記事提供元:BITTIMES(ビットタイムズ)
ポルカドット(DOT)は、異なるブロックチェーン間の連携を可能にするWeb3時代の中核プラットフォームとして注目されてきました。高いスケーラビリティと相互運用性を備えたその設計は、次世代の分散型アプリケーション基盤として進化を続けています。
2025年にはトークン供給モデルの大幅な見直しや、Polkadot 2.0への移行といった重要なアップデートが実施され、DOTのトークノミクスやエコシステムにも大きな変化が訪れています。
本記事では、ポルカドット(DOT)の特徴や2025年のプロジェクト最新動向、Web3財団の取り組みまで、初心者にもわかりやすく解説します。
ポルカドット(DOT):Web3時代を支えるマルチチェーン
ポルカドット(DOT)は、異なるブロックチェーン同士を相互接続し、データやトークンをシームレスにやり取りできるマルチチェーンネットワークです。イーサリアム共同創設者ギャビン・ウッド博士が設計し、Web3財団主導で開発が進められています。
ポルカドットの最大の特徴は、複数の独立したブロックチェーン(パラチェーン)を一つのネットワーク上で連携させる点にあります。
ネットワークの中心にはリレーチェーンと呼ばれるメインチェーンが存在し、セキュリティとコンセンサスを担います。
リレーチェーンに接続されたパラチェーンは、各々が独自の機能や目的を持ちながらも、ポルカドット全体の高いセキュリティを共有します。
この構造により、単一チェーンよりも遥かに多くのトランザクションを同時処理できる高いスケーラビリティが実現されています。
暗号資産プロジェクト「ポルカドット(DOT)」とは
ポルカドットは「ブロックチェーンのインターネット」を目指し、異なるチェーン間の相互運用性を実現します。従来のブロックチェーンはそれぞれ独立しており、資産やデータのやり取りは困難でした。ポルカドットはこの課題を解決し、チェーン間での資産移動やメッセージングを可能にするプラットフォームとして設計されています。
また、並列処理による高い拡張性も特徴であり、Web3時代のインフラとしての役割が期待されています。
リレーチェーンとパラチェーン:ポルカドットの独自構造
ポルカドットネットワークの中核はリレーチェーンで、全体のコンセンサスとセキュリティを提供します。
一方で、リレーチェーンに接続されるパラチェーンは、各プロジェクトごとに設計された独自のブロックチェーンです。これにより、各プロジェクトはセキュリティ構築の負担を軽減しつつネットワークに参加できます。
スマートコントラクトやIoTなど、用途ごとに異なる機能を持つチェーンが並列で動作することで、ネットワーク全体の処理能力が大幅に向上します。
さらに、XCM(クロスコンセンサスメッセージング)により、安全なメッセージ交換も可能です。
DOTのユースケースと基本機能
DOTはポルカドットのネイティブトークンであり、ネットワーク運営においてガバナンス、ステーキング、ボンディングなどの機能を果たします。
ガバナンスでは、保有者が提案への投票を通じてネットワーク運営に参加します。ステーキングでは、DOTをバリデーターに委任または自身で運用し、報酬を得ることができます。ボンディングは、パラチェーン参加のための資金提供に用いられます。
また、手数料支払いにも使われますが、主にステーキングとガバナンスが重要な機能とされています。
DOTの発行ルール変更:供給上限とインフレ抑制策
インフレーションモデル:年10%発行の仕組み
ポルカドットは当初、総供給量に上限を設けないインフレ型モデルを採用していました。2020年には基準供給量が10億DOTとされ、年率10〜12%で新規発行が行われていました。
このうち85%はステーキング報酬、15%はネットワークトレジャリーに分配されました。インフレ率はステーキング参加率に応じて調整される設計となっており、ネットワークの安定性とインセンティブの両立が図られています。
ガバナンス投票で「21億DOT」に上限設定
2025年9月、ガバナンス投票「Referendum 1710」によりDOTの総供給量を21億DOTに上限設定する提案が可決されました。
これにより、従来の無制限発行モデルは終了し、発行ペースが抑制される新たな仕組みに移行しました。
この決定は、DOTの価値安定性と経済モデルの持続可能性を高めることを目的としています。
インフレ率の段階的削減プラン(2年毎半減)
2026年以降、段階的に新規発行量を削減するスケジュールが導入される予定です。
2年ごとにおおよそ半減し、初期は年1億DOT規模の発行が、2030年には約3,000万DOT、2033年には1,000万DOT未満となる見込みです。
2040年代にはインフレ率が限りなくゼロに近づくと予想されています。この変更により、従来のインフレによる報酬モデルから、発行量に制限を設けた安定的な経済モデルへと転換されました。
今後はネットワークの支出もインフレに依存せず、DOTの価値保全とガバナンスの強化が期待されています。
ポルカドットプロジェクトの最新動向
開発ロードマップとポルカドット2.0移行
ポルカドットは、ポルカドット2.0へと段階的に移行中であり、2025年以降はネットワーク機能の大幅な強化が予定されています。
主な要素には、実行リソースを月単位で貸し出すAgile Coretime、市場需要に応じたブロック生成調整を可能にするAsync Backing、柔軟な処理能力拡張を実現するElastic Scalingなどがあります。
これらにより、ポルカドットはより柔軟かつ高性能なWeb3基盤へと進化すると期待されています。
パラチェーン・エコシステムとDeFi動向
ポルカドット上では、Acala、Moonbeam、Astarといった主要パラチェーンが金融、ID管理、スマートコントラクトなど多様な分野で活躍しています。
拡張性の高い構造により、TVL(預かり資産)も拡大しており、今後はAsset Hubやステーブルコイン導入によるDeFi活性化が期待されています。
Asset Hub移行とステーブルコイン計画
ポルカドットおよびKusamaはAsset Hubへのコア機能移行を進めており、軽量で効率的なインフラを構築しています。財政面では、ボラティリティの低減を目的として、DOTの一部をステーブルコインに転換する取り組みが進められています。
また、pUSDという新たな分散型ステーブルコインの導入も検討されており、エコシステム内の金融安定化が進められています。
クロスチェーンブリッジ(Snowbridge)の強化
Snowbridgeのアップグレードにより、ポルカドットとイーサリアム間の接続性が向上し、スマートブリッジとしての性能が強化されました。
これにより、トークンやメッセージの交換がより柔軟かつ効率的に行えるようになっています。
コミュニティとガバナンスの活性化
ガバナンス提案の活発化や開発者キャンプの開催、Subscanなどのインフラ整備支援により、ポルカドットのコミュニティ活動は活発化しています。
また、ステーキング率も約49%と高く、分散型ネットワークの成熟が進んでいます。
Web3財団の役割とDOT運用
Web3財団は、ポルカドットプロジェクトを支援する非営利団体であり、技術開発や教育活動を通じてエコシステムの拡大を図っています。
助成金プログラムなどにより多くのプロジェクトが支援を受けており、インフラやツールの整備が進められています。
また、Web3財団やParity Technologiesは一定量のDOTを保有し、ネットワーク運営や支援活動に活用しています。
これらはプロジェクトの開発支援、運営費、ガバナンス活動などに使われており、財団は透明性を確保しつつ、コミュニティと協調して運用を行っています。
ポルカドット(DOT)まとめ
ポルカドット(DOT)は、Web3時代を牽引するマルチチェーンプラットフォームとして、ブロックチェーンの相互運用性とスケーラビリティの課題を解決する画期的な技術基盤です。
リレーチェーンとパラチェーンによる構造により、柔軟性と高い処理能力を兼ね備え、独自トークンDOTはガバナンス・ステーキング・資金調達など多様な機能を担います。
2025年には供給上限を導入し、インフレ率を段階的に抑制する新たなトークノミクスへ移行。加えて、ポルカドット2.0やクロスチェーンブリッジ、Asset Hubなどの進展により、DeFiやdAppsの拡大も加速しています。
今後もWeb3財団の支援のもと、エコシステムの拡充と安定した成長が期待される注目プロジェクトです。


