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「不変性こそBitcoinの根源的価値」Bitcoin Rapid-Fire ジョン・ヴァリス氏(全インタビュー記事)

ポッドキャスト番組「Bitcoin Rapid-Fire」の司会者であるジョン・ヴァリス氏(John Vallis)に、Bitcoinと所有権という観点からお話を伺いました。カナダ出身のヴァリス氏は上海で金融・資産管理の仕事をした経験もあります。Bitcoinこそが自分の探し求めていた答えだというヴァリス氏に、Bitcoinの奥深さについて色々と伺いました。

インタビュー日 : 2021年3月23日

ジョン・ヴァリス氏(全インタビュー記事)

Bitcoinとの出会いとポッドキャスト番組のはじまり

Bitcoinとの出会い自体はけっこう前でした。たしか2012年頃のことだったと思います。しかし実際に注目しはじめたのは2014年になってからでした。

2015年にBTCC創設者のボビー・リーさん(Bobby Lee)にインタビューをする経験がありました。当時の私は面白い人と話すということが目的でしたので、今のような「Bitcoinの専門ポッドキャスト」をしているという感じではありませんでした。ただ単に会話を収録していただけだったのです。

しかし私はゆっくり確実に、この業界へと深くのめり込んでいきました。2019年、私は当時していた仕事を休んでタイに拠点を移していました。そこでポッドキャスト番組「Bitcoin Rapid-Fire」を始めました。

Bitcoinと所有権

Bitcoinが我々に提供してくれる所有権というのは、お金の所有権のあらゆる形態の中でも、ひときわ強力で最も過激なものです。

お金というは、我々の保有している時間を象徴するものです。だからこそ我々にとってお金は最も重要な資産です。我々はBitcoinを通して、自分の資産であるお金を所有することができます。しかしBitcoinの提供してくれる所有権というのは、ただ資産を所有できるというだけではありません。

Bitcoinを使えば、自分の所有している資産との関係を誰にも邪魔されることがないという利点があります。さらにBitcoinには誰にも価値を奪えないという利点もあります。つまり、インフレや新しい紙幣の増刷といった出来事によって自分の所有している資産の価値を奪われることがないということです。

これは、自分の払ってきた犠牲の価値を保存しておいてその価値に対して完全な主権を持つことができる、という非常に強力な考え方です。これほど重要なものに対してしっかりと主権を握れているのだと人々が感じれば、劇的な変化が起こってくるはずです。

Bitcoinが提供する所有権というのは、自分の資産に対する自由と独立、責任というものを感じさせてくれます。もちろん影響の受け方は人によって異なります。しかしこれらの感情は非常に強力で、間違いなく人々を夢中にさせるものだと思います。

Bitcoinを理解すると起こるパラダイムシフト

Bitcoinのもつ意味合いを理解しはじめると2つのことが起こります。1つ目は、通貨システムがどれほど腐敗しているのに気付き、Bitcoinがどのようにしてこの腐敗を解決できるかを理解するということです。

そうすると、他にも様々な多くのものに不信感を抱くようになります。これが2つ目の出来事です。「通貨システムをこんなにも見誤っていたのであれば、他の分野についてももう少し批判的な視線で見た方がいいのかもしれない」と考えるようになるのです。

そうすると、政府や医療や教育といった人生の身の回りの物事をより批判的な視線で見ることができるようになります。そうすると、主権を持つということの大切さが分かり夢中になり、様々な分野において主権を確立したいと考えるようになります。

このことを極端に単純化して考えると、多くのBitcoinerたちというのは、あらゆることに対する主権を自分で掌握できるような、可能な限り独立した砦を夢見ているということです。食料も、そしてエネルギーに至っても自分で確保して主権を握りたいのです。

現代においてどれだけの自由が奪われているのかということは、一度Bitcoinの世界に足を踏み入れてみるとよく分かります。人々が自由を望むのは、その価値と重要性を理解しているからこそだと思います。

ここ最近の新型コロナウイルスの蔓延以前から自由は奪われていましたが、確かにパンデミックの発生によってそれが明るみに出たというのは間違いないと思います。

主権や自由は恐ろしい 

人々が自分で責任を取りたがらないのは100%、怖いからという理由です。これが現在の状況を生み出した一因でもあります。貨幣システムについての批判はいくらでも出てきますが、自分で責任を受け持つか断念するかというのは結局個人の選択に委ねられているのです。

多くの人は「自分自身で健康管理をする責任を負いたくないから国の医療機関に任せる」という考えですし「お金の自己管理はしたくないから銀行に任せる」というように思っています。我々は自分で責任を負いたくはないのです。

我々は自分で責任を負いたくないので、代わりに人生の様々な場面において信頼を差し出しています。ところがその信頼は裏切られて破壊されてしまうことがほとんどです。しかも信頼がどのように壊されているかということに関しては、複雑な構造があるため、残念ながら気付けないことが多いのです。

このような背景があるので、Bitcoinの世界に入ってきた人にとって自分のBitcoinを管理して自分自身で管理するということは大きな一歩です。こういった行動こそが、主権をどれだけ重視しているのかということや、自由をどれだけ重視しているのかということを表す行動です。

自分で責任を負うという選択を最初にする人は、主権を最重視している人と、自由がないということを最も問題視している人です。彼らは後続に人々のために道を切り開いてくれるでしょう。

彼らは失敗を重ねることで立ちはだかっている様々な問題を解決してくれます。そして後続の人々のために道をより歩みやすくしてくれます。

彼らのおかげで自由は時間の経過とともに、より恐ろしくなくなるでしょう。しかし全く恐ろしくなくなるということはありません。なぜなら自由には常に責任がつきものであり、責任は恐ろしいものだからです。

自分は自由だと思い込んでいる人たち

責任をとる気がなければ自由を得ることはできません。逆に言えば、責任をとりたがらないということは結局自由を望んではいないということです。責任をとりたがらない人は、自分の人生を誰かにコントロールしてもらいたいということなのです。

こんな言い方をされると人は嫌がるでしょうし、多くの人がこの意見には賛同しかねるでしょう。しかしそれでも、異議を唱えることはできないのです。

現代人はお金とは何かということについて、それからお金の持つべき特性について、全然知らされていないように感じます。そして現代の一番の問題は、多くの人々が現状を受け入れてしまっているということです。多くの人は「こういうものだからこのままでいい」と考えてしまっているのです。

これは非常に危険な考え方です。なぜなら、何も修正したり改善したりする必要がないという前提に立った考え方だからです。このような考え方は、現在の独立と自由の度合いが適切なレベルであると思い込んでしまっているのです。

人は皆、自分が自由に関心がないということを認めようとはしません。それどころか、自分はもう自由を手にしていると思い込んでいて、現在の社会は自由のあるべき姿だと思ってしまっているのです。

現代の人々というのは、自分は自由な社会に住んでいると思い込んでいます。そして身の回りで起きている様々なことは自由な社会の特徴であると考えてしまっています。このように現状に酔いしれているような考え方には全く同意できません。

世界観に異を唱える

他の人の視点や世界観に対して異議を唱えるのはあまり有益な行動ではありません。人というのは、この世界を自分の視点から何とか理解して進んでいるからです。自分の世界観を使って、この狂った無秩序な世界の中から自分なりに何らかの安心感を得ているのです。

Bitcoinの興味深い点というのは、決して人の世界観全体に対して異を唱えるような存在ではないということです。Bitcoinは、世界の構成要素の一つである「お金」に対してのみ異議を唱えています。

お金の重要性や意味合いについて、そしてお金がどのように腐敗してきたかということを一度理解し始めると、この理解は生活の様々な分野に浸透してきます。この変化はほぼ自動的に起こります。

Bitcoinという領域は、最もポジティブで劇的な変化をもたらすことのできる場所です。だからこそ私は、たとえ今日の世界で起こっていることに怒りや不満を感じるようなことがあってもBitcoinのもたらしてくれる貢献に集中するようにしています。

進化の過程と理由が重要 

あらゆるものは進化しています。我々の体や文化も進化の過程の途中です。お金や経済も、もちろん進化の過程にあります。

物事が今のような形になっている理由を理解したいのであれば、どのようにして今に至ったのか、今に至るまでに起こった様々な経緯を理解することが非常に重要です。

私は子供の頃「なぜ世界の国々は今のようになっているのだろうか」ということを疑問に思っていました。例えば「なぜ米国では英語が話されているのか、なぜ最強の国なのか」「中国ではなぜ中国語が話されているのか、なぜそういった歴史があるのか」といったようなことです。 

こういった疑問は歴史がどのように展開してきたかということを理解する上で重大な疑問です。多くの現代人の抱えている問題は、歴史に対して何の視点も持っていないということだと思います。

物事がなぜ今のような形になっているのか、その理由を見つけるのは非常に難しいことです。また、過去に物事がどうしてうまくいかなかったのかということを理解するのも同様に難しいことです。

現在と過去の類似性 

人類は約6000年という比較的短い歴史しかありません。しかしそれでも、現在起こっているほとんどのことは歴史の中に類似性を見つけることができます。様々な統治形態、革命、お金、戦争、政治的イデオロギー、すべて過去に同じような例が存在します。

現代の人間に関しても、過去の人間と類似性があります。たとえ周りの風景や環境が変わっても、石造りの住処から木造に家屋に住むようになっても、人間の言動というのは昔とそれほど変わりません。

なぜなら人間は物事に対して「意味」を創り出す存在だからです。我々は客観的な事実よりも、創り出された意味に基づいて周りの環境と関わり合ってきました。

歴史を理解するということは非常に重要です。歴史を理解すれば、過去に犯した過ちを避けて同じ過ちを犯さないようにすることができますし、大惨事になる前に食い止めることができます。

ところが我々は、現在の政治へのアプローチ方法や考え方が過去にどのような悪い結果をもたらしたのか、ということについて十分な注意を払っていないように感じます。私はこのことについて、とても懸念しています。

人間は果たして進歩しているのか 

たとえ人間が同じ行動を繰り返していたとしても、その中には必ず進歩の要素があると思います。私は根っからの楽観主義者です。だからこそ、歴史の描く軌道はポジティブな変化へ向かっているのだと期待せずにはいられません。

もしも歴史が良い方向へ動きつつあるのであれば、それこそ、過去に何が上手く行って何が上手く行かなかったのかということについてはより一層よく認識しなければいけません。そしてそこから得られた教訓を、現在起こっている問題や現在構築している解決策に応用していかなかればいけません。

現在の世界において最も明白で有益な進歩の例はBitcoinです。人類の進歩を促進するもののの中でも、これほど斬新でインパクトのあるものはないと思っています。

新しいテクノロジーよりも大切なもの

例えばAIやロボットといった新しいテクノロジーは非常に興味深いものです。しかしロボットやインターネットやアプリよりも一層奥深い大切なものがあります。人間には新しい技術よりも大切なものがあるのだということを理解していないと、物事は上手くいかないでしょう。

人類は歴史を通して「意味」に関する格闘を繰り広げてきました。しかし現代人の多くはこの重要性を理解していません。現代人の多くは、宗教だろうが哲学だろうが、意味に関しては「何でもいい」と思ってしまっていて、技術の進歩に注力しています。

しかしすべての努力には、最終的には意味がなければいけません。それから、どういった価値があるのか、価値観の方向性も定められなければいけません。人類は意味を育てるということを怠るべきではありません。自分の中でしっかりとした意味を構築する前に、目新しさを求めてAIの開発に走ってしまえばひどい目に遭うことになると思います。

自分には合わなかった金融業界

幼い頃の私は色々なことに興味を持っていました。また、お金持ちになりたいという強い願望を抱いていました。そんな私は、「お金持ちになるにはお金を扱う仕事をすることがもっとも手っ取り早い」と考えて金融業界に入りました。

しかし入ってすぐ、金融業界の実情は自分の価値観や理念とまるで一致しないということに気が付きました。おまけにこの業界には自分の苦手とするタイプの人たちもよく集まってきました。

仕事自体にもあまり価値を見出すことができませんでした。他の人が一生懸命に行ったことの何割かをもらっているだけ、というような仕事でした。金融システムに対して批判したいこともありました。金融業界で働いた私はかなり心が傷つくような思いをしてきました。

求めていた答えはBitcoin

私が嫌っていた様々なことと全く反対の性質を持っていたのがBitcoinです。

私はBitcoinとは何かということや、政治や通貨や経済システムの抱えている諸問題をどのように解決できるのか、ということを理解しました。通貨システムにおける諸問題がどのようにして政治問題や社会問題、ひいては個人の問題につながっているのかということも理解しました。

Bitcoinについて理解すればするほど、もっと関わりたいと思うようになりました。Bitcoinは、私の望んでいた様々なことに対する答えでした。それまでの私は、自分の望みに対する答えが存在するということを知らなかったのです。

今ではこの技術が、社会的、経済的、金銭的な面において、そしてもっと個人的なレベルにおいてもポジティブな変化をもたらす可能性を感じています。Bitcoinに時間を費やす以上に有意義な時間の使い方はないと思っています。

どこまでも奥深いBitcoin

私は昔から好奇心が強く、若い頃は常にたくさんの本を読んで勉強していました。本を読むことは、世界に対しての自分の考え方を形成するのに役立ちました。おかげで自分なりの視点と批判的思考能力を身につけることができました。

Bitcoinが登場してきて、色々と学んでいくうちに、自分が見てきた世界の諸問題はBitcoinによって解決できるのではないかと考えるようになりました。

この業界における数々の作品や記事、たとえば「The Bitcoin Standard」といった画期的な著作等は、業界をざっくり理解して描写するのに役立ちました。しかしご存知のようにこの業界は大変奥が深く、さらに深いところまで、いつまでも続いていきます。

Bitcoinについては、まだまだ理解すべきことが星の数ほどあるように感じています。深く掘り下げれば掘り下げるほど、より多くのものを提供してくれるのです。Bitcoinが我々の世界をより良く、そしてより公平にしてくれる可能性があるという確信がどんどん強くなっています。Bitcoinのもつ特性が、最終的により公正なシステムをもたらすだろうと考えています。

世の中に蔓延する自殺やうつ病

労働者の間で流行する自殺やはびこる絶望、薬物濫用、欲求不満、そして不安やストレスといった問題は、日本を含めて多くの国々で蔓延しています。これらの問題の根本は全て同じところにあります。

こういった問題に対する解決策を見つける責任を個人に負わせるのは賢明とは言えません。システムの構造が人々に絶望感を抱かせる大きな要因となっていることは明らかです。他にも様々な問題がある中、時が経つにつれ、人々の労働はより重くなっていくにも関わらず、得られる対価は少なくなってきています。このような状況では誰でも参ってしまいます。

我々の現在の通貨・金融システムでは、多くの人々の努力によって得られた報酬をこぐ少数の人しか享受できないような構造になっています。自分の努力が報われていないと思うと、気が滅入るものです。

この努力が報われない不満というのは「高い年収をもらって当然の仕事をしている」といった類いの利己的な考え方ではありません。どちらかと言えば「努力しているし、わき目もふらずに懸命に取り組んでいる、勉強もしている。それなのに、なぜまだ足りないのだろう」というもっと単純な落胆です。

こういった人生におけるストレスが積もり積もって、多くの人にとっては手に負えなくなります。そして最終的にストレスに飲み込まれてしまうのです。

Bitcoinは新しい行動様式を可能にしてくれる手段 

Bitcoinには、個人に対して変革をもたらす効果があります。私はBitcoinの持つこの効果に大変興味を感じています。Bitcoin自体は、言ってしまえばインターネットやカメラなどと同じように、我々の様々な行動を可能にするための新しいツールに過ぎません。

つまりBitcoinは我々にとって新しい行動様式を可能にするための手段なのです。私が興味を持っているのは、どのような行動様式が可能になるのか、そしてその新しい行動様式が個人にどのような影響をもたらして、どのような可能性を与えてくれるのかということです。

人生を好転させたBitcoin

私のポッドキャスト番組「Bitcoin Rapid-Fire」では、有名な作家や起業家からも話を聞きますし、ツイッターにいる人と話したりもします。フォロワー数が全然いないような人とも話します。

人々はこの領域に入ってきて色々なことを学び始めると、徐々にその意味を理解しはじめます。一つ確実に言えるのは、そうすると人生が好転してくるということです。

人生が好転するというのは決して、投資をして億万長者になれたからというわけではありません。もちろん経済的なストレスが解消されるのは確かですが、大切なのは、イデオロギーや世界観、物事を見る視点が変わるということです。

健康に対する考え方、それから家族に対する考え方も変わります。しかしおそらく最も重要な変化は、将来に対する考え方が変わるということだと思います。

未来への希望と現在を生きる活力   

現状の世界はいくら見渡しても、よりよい未来へ向かう明確なビジョンが見えてきません。だからこそ多くの人々が希望を失ってしまっているのです。しかし一旦Bitcoinの持つ意味を理解しはじめると、未来に希望が持てるようになります。

Bitcoinの持つ影響力、つまりBitcoinがより公平な通貨システム、そしてより公平な経済システムへとつながる可能性があるということを理解しはじめると、人々は未来に希望を持ち始めるでしょう。未来への希望こそが現在を生きる活力です。

逆に言えば、未来への希望がなければ現在の世界の全ては無意味です。未来に希望を持とうとしなければ、今の環境の中にある情報にも何の価値もありません。しかし未来への希望があって、自分の理想の未来を最善の方法で手繰り寄せようという意志があれば、今の環境の中にあるありとあらゆるものに命が吹き込まれるのです。

未来への希望があれば、現在の環境の中にある全てのものは、思い描いている未来にいち早く、そしてより良い方法で到達するための潜在的な助けとなります。

技術革新で消えるゴールドの優位性

多くの人がゴールドを安全な資産だと考えヘッジ手段として利用しています。しかし個人的には、これは非常に危険な可能性を孕んでいて安全を得るのにはむしろ逆効果だと考えています。

なぜなら貨幣の競争が続いていく限り、ゴールドはこの先の10年間でほぼ非貨幣化されてしまう、つまりお金としての地位を失うと思っているからです。この意見は、人類がゴールドを価値の貯蔵手段として5000年以上使ってきたという歴史を考えると、たしかに突拍子もない考え方のようには思えます。

しかし、よくよく考えてみてください。例えば我々は、1万年以上前から交通手段として馬を使っていたという歴史があります。1900年代初め頃は、自動車と馬が共存していた時期もありました。その頃馬に乗っていた人々は「車は汚い」「うるさくて不便」「泥道では使い物にならない」と言っていました。

ところが、自動車は馬とは違って、改良に改良を重ねることができる技術でした。車は時間をかけて改良され、不便さはなくなり、泥道にも強くなり、臭くもなくなりました。

さらに道路といったインフラが整備されたことで、効率が大幅に上がりました。自動車はこのようにして、それまでの交通手段がかかえていた問題を解決していくかのごとく常に技術を革新してきたのです。

私は、ゴールドとBitcoinにも同じことが起こると考えています。今後の10年間で、ゴールドはBitcoinに貨幣としての優位性の多くを奪われるでしょう。そうなってくるとゴールドは本来のあるべき姿、つまり有用な工業用金属になります。

ゴールドにはたくさんの産業用途があります。ゴールドが産業用に用いられるようになると、そのコストも下がるでしょう。そして価格が下がればさらに多くの産業用途に使われていくようになるという流れです。

貴金属としての価値

ゴールドが宝飾品として使われている理由の1つは、価値があるからです。ゴールドの価値が下がれば人々はゴールドを身につけることをあまりしなくなるでしょう。価値が下がったゴールドをいくらたくさん身につけたとしても、ステータスを示すことができなくなるからです。

ゴールドはまだ非貨幣化されていないので、今のところ通貨としての価値があります。そう考えると今のうちが、切り替えにはもってこいの時期です。

様々な出来事を考えると今年はあまりいい年とは言えません。とは言えBitcoin価格は史上最高値に限りなく近い高値です。ゴールドを売却してBitcoinと交換するには、今が絶好の機会だということです。

むしろ今交換しておかないと、これから先はどんどん困難な状況になってくるでしょう。100年以上前に中国が銀本位制を採用していた頃以降、シルバーがたどったような道をゴールドもたどることとなるでしょう。

たしかにゴールドの輝きは美しいものです。これを手放すというのは非常に難しいことです。しかしそれでも、現在の環境を考えると貴金属を売却してBitcoinを入手するのが賢明な行動です。

不変性こそBitcoinの根源的価値

Bitcoinは常にアップグレードされ続けています。しかし実は、Bitcoinの構成要素には2種類あり、アップグレードされ続ける部分と絶対に変わらない部分があります。

1つ目の構成要素は、アップグレードされ続けることによりあらゆることがより便利でより効率的になるという特徴があります。それに対してもう1つの構成要素はBitcoinを成り立たせている根源的な要素であり、これは常に不変です。

ところが多くの人は、Bitcoinや他のすべての暗号通貨が特別な理由はその根本的な成り立ちにあるということを理解していません。その根本を変えてしまうと、特別さが失われてしまうのです。Bitcoinの特別な点の1つはその不変性なのです。

もしも中核となる最も重要な箇所を変更できるようにしてしまうと、あらゆる暗号通貨のあらゆる側面を際限なく変更できることになってしまいます。そうすると暗号通貨の魔法が失われてしまうのです。

確かに、根本的な価値を変えることのない部分であれば変化を加えてもいいところもあります。しかし一番大切なのは、たとえ変えた方がより良くなると思っても、変えてはいけない部分もあるということです。

暗号通貨の魔法を成り立たせているものの1つは不変性という要素なのです。Bitcoinの場合は、例えば2100万枚という供給量の上限は絶対に不変であるべきものです。このような要素というのは今後も変更されることはないと思います。保有者にも、ノードを運営する人にも、経済的なインセンティブが何もないからです。

たまに、「将来的には手数料がセキュリティコストをカバーできなくなる可能性があるためインフレが起こるはずだ」という予測も耳にすることがあります。しかしこれは、なぜBitcoinが特別なのかということを完全に誤解してしまっている意見です。

まずは「変えてはいけない根本的な価値観を守る」ということに皆が合意する必要があります。そうしてこそ我々は、より公平な経済システムの基盤として機能するような、特別なものを手に入れられるでしょう。

Bitcoinの根本的な価値の変更を認めるのであれば、それが誰の手によって行われるのか、変更権を有しているのは誰か、それに、変更がその時々の政治や哲学に左右されないようにするためにはどうすればいいか、といったことについて考えていかなければなりません。

Bitcoinの根本的な価値というのは、やはり絶対に不変であるべきです。今までの経済学には存在してこなかった概念ですが、絶対不変の定数なのです。従来の我々は価値を測るための不変数を持ち合わせていませんでした。しかし今はあります。この重要性を理解して認めていかなければいけません。

なぜ不変性が大切なのか

現在の世界では、意見の相違が物理的な衝突や暴力につながってしまうことが多々あります。これはなぜかというと、一定の基準として機能できるような、常に不変である存在が欠如しているからです。

しかしBitcoinには譲れない最低限の不変なラインがあって、そのラインを遵守する限りは他のあらゆることに対して意見が相違してもよい、という性質があるように思います。この性質は大変重要です。なぜなら、最善の決定のためには意見の相違が必ず必要だからです。

誰かが1人だけが1つのレバーに手をかけている、というような状況は実はありえません。つまり、何かを一方的に変える力は誰にもないということです。だからこそ、根本的な部分は不変を保つということが非常に大切だと思うのです。

政府が操作可能なマーケット

実はBitcoin市場以外のほぼ全ての市場は操作されています。株式市場の操作の度合いはそれほど強くないかもしれませんが、債券市場は完全に茶番です。

本来、債券市場は2 つの要素を反映します。1つ目の要素は資本ストックです。これはつまり、貸し出しや投資に利用できる全貯蓄の合計が債券市場に反映されるということです。そして2つ目の要素は、市場参加者の時間とリスクの選好です。

本来であればこの2種類の要素が組み合わることで資本コストが生まれます。資本コストとは、ある一定の金額をある一定の期間貸すのに、どれくらいのコストがかかるのかという値です。

資本コストは本来であれば、市場に参加している全員が個々に判断した結果によって生みだされる真実であるはずです。しかし実際の市場ではそうはなっていません。

実際には政府が「消費を増やしたいから金利を下げる」というように決定を下しているのです。そして中央銀行が、政府の決定を支えるべく国債を買い取ることで低金利が維持されるのです。

薄められる国民の資産

経済大国は今のところデフォルトしていません。そしてこれから先も、ほとんどの経済大国はデフォルトしないだろうと思います。これには理由があります。デフォルトしない理由はずばり、これらの国の国民が政府が発行した通貨を使うことを強制されているからです。

これはどういうことかというと、このような国々の政府は、国民の全生産能力を永続的に利用できるということです。

中央銀行が国債を買うという行為は、国債を買うためのお金を何もない空気中から生成しているのと同じです。こうして新しく無から生み出されたお金というのは、既存のお金、つまり国民の貯蓄や資本を薄めるものです。

したがって問われるべき質問は「崩壊はいつ訪れるのか」ではなく「既にどれだけのものが壊されてきのか」なのです。「いつ崩壊するのか」ということは、人々があとどれだけ我慢できるか、ということにかかっているのです。

これから先も、主要国の政府が明確なデフォルトに陥ることはないだろうと私は思っています。仮にもしもデフォルトを起こしてしまったとしたら、その罪はあまりにも重く、今までの不始末をこっぴどく糾弾されてしまいます。

したがってそのような事態を避けるために、政府はこれからも道を踏み外し続けるでしょう。つまり、お金の印刷を効果的に利用して国民の富を搾取し、これまでの不始末や犯してきた過ち、汚職、数々の悪用といった類いのものを隠し通そうとするでしょう。

政府から貯蓄を守るための対抗手段

貯蓄を搾取する政府の行いに対して多くの人々が反発しようとしています。そもそも人々の貯蓄というのは、毎日働いたり、夜遅くまで大変な仕事に取り組んだり、何年も勉強したり、といったこれまでに捧げてきた犠牲の上に成り立っている、大切な蓄えです。

この大切な蓄えが政府の不始末によって銀行口座からみるみる消えていくのを、何も出来ずに見ているだけということを望んでいる人はいません。だからこそ人々は対抗手段としてBitcoinを選んでいるのです。

人々による反発は今後も続いていくので、今後は時間の経過とともに、政府はだんだん人々から搾取することができなくなっていくでしょう。そうすると残念ながら一番傷つくのは、自分の身を自分で守るという責任を果たさなかった人たちです。

しかし彼らは、なぜ自分らが傷つかなければならないのか理解に苦しむと思います。政府が正直に理由を説明してくれるとは到底思えません。しかも不幸なことに、傷ついた人たちこそが、さらなる政府の助けを求める人たちなのです。

これこそまさに、長年続いてきた負のスパイラルです。ほとんどの場合、状況が悪くなればなるほど、政府のさらなる介入を求めることが唯一の解決策になってくるのです。しかし政府はこれまで通りのことを続けるしかなく、このことが問題をますます悪化させているのです。

政府に対して意思表示をすること

一部の集団が政府と連携し、自分たちの富を維持するためにBitcoinユーザーを敵視するという可能性は十分にあり得ると思います。

しかしそれにしても、政府が今までとってきた数々の行為はあまりにも無謀で、まさに狂気の沙汰だったと思います。私が指しているのは、政府がつくりあげてきた債券市場や中央銀行といった仕組みのこと、それにお金の力の乱用のことなどです。

政府や中央銀行の貨幣を創造する力とその能力の非対称性により、我々の生きる世界は、政府という組織と国民との間に大きな開きがある世の中になってしまったのです。

大規模な軍事力、核兵器、巨大な警察組織を有する政府に対して、我々国民は非力です。我々に出来る唯一のことは、これ以上政府に搾取されないように政府の略奪を止めることです。我々は政府に対して「もうこれ以上お金は奪わせない。同意なしにお金を取ることはさせない」という意思表示をしなければなりません。

より多くの人がこのような声をあげていけば、政府という巨大な怪物の息の根を止めることができます。なぜなら、今まで構築されたシステムや構造というのは、現在のやり方に依存することで成り立っているからです。だからこそ、現在のやり方を変えれば世の中の仕組みに変化が見られるようになるのです。

分散投資について

ポートフォリオを多様化すべきかどうかという問題については、決めかねているところがあります。この問題については、個々人の年齢や事情、それにライフスタイルといったそれぞれの背景が関わってくると思います。

Bitcoinはおそらく誰にとっても、これまでに存在してきた中で最も非対称性の高い投資機会だと思います。しかしそれとはまた逆説的に、Bitcoinは現代において最も保守的な投資である、という風にも考えています。

つまり私から言わせれば、ポートフォリオの大半をBitcoinに配分するべきだと思っています。しかし人によっては、別のものでヘッジした方が賢明だと考えるかもしれません。ただこの辺の選択については、私の意見するべき範疇を超えていると考えています。

コロナ以降の世界 

たとえコロナが過ぎ去った後でも、コロナ以前の世界に戻るのがいいことだとは考えていません。人間は快適さを求める生き物であるがゆえに、今までの快適さや計画、慣れ親しんだものが壊れると、どうしても元に戻りたくなります。

しかし歴史的に見ても、物事が元に戻るということはありません。物事には周期性こそあれど、必ず時系列的な進行があるのです。例えば16、17世紀の人々はルネサンスに憧れていたかもしれません。しかしそんな世の中に次に訪れたのは産業革命でした。

つまり、大切なのは前を向くことです。そして前を向くための最善の方法は、勉強して情報を集め、できるだけ明確な方向を向くことです。混沌とした状況の中では、誰も前に進みようがありませんし、未来を予測することもできません。

特に現代は、世界を一変させるような技術が次々と生み出されて色々と繫がってきているような時代です。だからこそ、未来は不確実性に溢れています。そんな中どう進めばいいかを決めるためには、自分にとっての意味、真実、そして価値とは何かということを理解し、それをコンパスの指針にしなければなりません。

情報収集で視界を広げる

私にとっての最たる目標は、物事を最高の解像度で見るということです。これは並大抵のことではありません。人間はどうしても主観的な生き物だからです。人間は主観的で偏見や先入観にまみれているため、視界を澄まして何かを明確に見るということはとても難しいのです。

社会、経済、政治、金融、医療、そして教育といったものがどれほど堕落しているか、これらのものに対する真の価値判断はどうあるべきか、ということを考えていくと、私は恐ろしいと感じます。私はこの恐怖心を何とか解決策に向けようとしています。そして私にとっての解決策というのがBitcoinなのです。

多くの人は、周りで何が起こっているのか、自分の視界を澄まして直視しようとしていないと感じています。様々な誤解があり、先入観があり、歪みがあります。そして人々はあの手この手で、誤った方向に導かれてしまっていると思います。しかも一番最悪なのは、物事が見えていないということではなく、見ようともしていないということです。

もしも物事を明確に見たいと思う目的があれば、必ず方法があります。情報収集をして勉強するための手段はいくらでもあります。特にインターネットは有用でしょう。自ら勉強し、自分で責任を負いたいと望むのであれば、特にお金をかけずともとても簡単にできるのです。必要なのは時間だけです。

ところが実際には、自分から物事を明確に見ようとする人はほとんどいません。皆、誰かに言われたことをそのまま信じて受け入れようとしています。これには本当にがっかりさせられます。

Bitcoinの今後のアップグレードについて

アップグレード「タップルート」が行われることでBitcoinの機能性が向上し、また何らかのイノベーションが起こるようです。

それからライトニングネットワークも非常に楽しみです。ライトニングネットワークこそインターネット3.0になるのではないかと、この頃思い始めています。

大切なのは、全てに通ずるベースレイヤーはBitcoinであるため、いかなるアップグレードもBitcoinの主要な特性を維持することが前提だということです。

日本の読者へメッセージ

自分の頭で考えるということが大切だと思います。情報をただ信じるのではなく、自分で検証し、自分で結論を導き出すということをしてください。これこそが自分の信念を保つ唯一の方法だと思います。

あらゆる情報を取り入れて必ず自分のフィルターを通すことで、自分の行動は紛れもなく自分のものだと確信できるようにしてください。

我々は決して他の誰かのイデオロギーの化身ではありません。我々は皆、独自の考え方を持った1人の人です。我々の1人1人が自分だけの決定をすることで、最終的に一番素晴らしい形でこの世界に存在しているのです。

インタビュー・編集: Lina Kamada

翻訳: Nen Nishihara

     

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