2020年、16億ドル以上のBitcoinを購入したことで話題になったMicroStrategy社のCEOであるマイケル・セイラー氏(Michael Saylor)にインタビューさせていただきました。暗号通貨に興味を持ったきっかけや、インフレとは何か、なぜBitcoinはシステムとして優れているのかなどについてお伺いしました。ぜひご覧ください。
インタビュー日 : 2020年12月8日
- マイケル・セーラー氏(全インタビュー記事)
- 大学での勉強とMicroStrategyの創設について
- 暗号通貨界に入ったきっかけについて
- メディアの報じるインフレ
- それでも「インフレはない」と言う政府
- Bitcoinは完璧な貨幣ネットワーク
- Bitcoinに投資するのはリスキーではない
- ドメイン名はデジタル資産
- Bitcoinとその他の暗号通貨
- 資産を分散するリスク
- “BitcoinのCEO” と呼ばれる人たち
- マイケル・セーラーのツイートは市場に対して影響力があるか
- Bitcoinは希望
- Microstrategyとブロックチェーン技術
- Bitcoinについての勉強法
- 技術変化の大波の中を生きる
- Bitcoinのネットワークに繫る人々
- 世界経済と日本経済の問題
- トレーダーとは異なる目線
マイケル・セーラー氏(全インタビュー記事)
大学での勉強とMicroStrategyの創設について
私はMITで宇宙工学を学びましたので、航空宇宙工学の学位を持っています。科学史、それから科学革命についても勉強し、それが経済や社会にどのような影響を与えるかについて学びました。
MITを卒業してから、1989年にMicroStrategyという会社を立ち上げました。これは24歳の時です。それ以来31年間にわたり、MicroStrategyのCEO兼筆頭株主を務めてきました。MicroStrategyはビジネスインテリジェンス製品を販売する会社です。我々は世界中のあらゆる場所で、法人向けに事業の製品と技術を販売しています。
暗号通貨界に入ったきっかけについて
私は2020年の3月までは完全に外部の者としてBitcoinの世界を観察していました。思うことは色々とあったものの、あまり詳しくはありませんでした。私は2013年に「Bitcoinの時代は終わった」という内容のツイートをしています。そして、7年間Bitcoinについては何も考えることはありませんでした。
2020年3月になってから大変興味を持つようになり、一生懸命勉強するようになりました。パンデミックと、それに対する財政対策を目にしたのがきっかけです。貨幣供給を見てみると、2010年から2020年までの間に、欧米ではM2の貨幣供給量が約5.5%拡大しています。マクロ経済学者はこういった事実に敏感ですが、私は気にとめていませんでした。
実際にインフレ率がたった1%だと思っていたわけではありませんが、政府はインフレはないと言っているにもかかわらず、買いたいものはすべて20%から40%も高くなっているということに気づいたのです。
実際のところ「インフレ」というのはインチキだと思います。中央銀行はインフレを「食料、エネルギー、資産を含まない商品やサービスのマーケットバスケットの価格変化率」と定義しています。つまり政府が行ってきたのは、定義上だけでデフレに陥っているマーケットバスケットを作ったことになります。食料やエネルギーを含むマーケットバスケットを定義すれば、もっと早くインフレが起きていることになります。
海岸沿いの土地などの不動産や、価値の高い珍しい美術品といった希少資産を含めれば、もっと早くインフレになるでしょう。つまりインフレはベクトルであり、いろいろな種類のインフレがあるのです。
債券のインフレ率は20%、株式のインフレ率は8%、食料やエネルギーを含まない消費財のインフレ率は1%以下です。デフレになっているものさえたくさんあります。間違ったところに焦点を当てると、間違った結論が導かれてしまうのです。
メディアの報じるインフレ
メディアは、中央銀行の指示する、食料やエネルギーを含まない消費者バスケットに基づいてインフレ率を公表しています。したがって皆安心してしまっているのです。例えば日本では、日銀が資金供給を増やしているにもかかわらず、インフレはしていないと言われたことがあります。
ところが、インフレしていないと言われているにもかかわらず、日本では良い不動産を購入することができません。東京の不動産は世界中で最も高価であり、超高額だというのは有名な話です。それなのに、それをインフレとだとは言おうとしないのです。
それでも「インフレはない」と言う政府
実は政府は「欲しがってはいけないもの」「買ってはいけないもの」というのを決めていて、それを熱望したりしない限りは、インフレなど起こらないのです。私はこれを理解することができなかったため、今まで特に注目してきませんでした。
2020年の3月から注目し始めたのは、政府がインフレはないと主張している間に、自分の欲しいものがどんどん値上がりしていったからです。M2の貨幣供給の拡大は、「資本コスト」とも呼ばれる、いわば資産のインフレです。
単にインフレと呼ぶこともできますが、そうすると食料、エネルギー、資産を含むマーケットバスケットについて再定義しなければならなくなるので、ここでは「資本コスト」と呼ぶことにしましょう。
気がついたら資本コストが3倍になっていました。以前は5%だったのが、今では15%になっていたのです。こうなると、保有している全ての投資のうち、利回りが15%以上にならないものは価値を失うとことになります。債券の利回り、株式の利回り、さらには持っている不動産の家賃の利回りにも当てはまります。
市場に出回っているどんなビジネスだろうと、年に15%以上のスピードでキャッシュフローを成長させなければ、価値を失うのです。たとえば保有する不動産で、家賃利回りが15%以上になっていないものがあれば、家賃が15%以上にでも上がらない限り、その不動産には価値がないということです。
このことについて理解すれば、世界中の300兆ドル相当の法定通貨の資産は、すべて価値を失いそうだということに気がつきます。これらの資産は、今から46ヶ月、あるいは48ヶ月の間に、価値のおよそ半分が失われる可能性が高いです。
したがって、富や購買力を維持したいのであれば、自分が買えるような希少価値の高い資産を探し出さなければなりません。これを探すことで、最終的に私はBitcoinへとたどり着きました。
Bitcoinは完璧な貨幣ネットワーク
Bitcoinの最も重要な特徴は、熱力学的(Thermodynamically)に健全なシステムあるという点です。Bitcoinは、2100万枚以上のコインが存在しないという、閉鎖的な熱力学システムです。コインを失うということ以外で、コインを新たに追加したり削除したりすることはできません。
これはつまりデフレ的なシステムなので、そこにエネルギーを足すことか、エネルギーを奪うことしかできません。温めるか冷やすかのどちらかしかないのです。Bitcoinの強みは、史上初の健全な貨幣ネットワークであるということです。
私はこの仕組みを、「貨幣エネルギー」のネットワークだと考えています。このネットワークは、パワーを損なうことなく、貨幣のエネルギーを収集・貯蓄して流すことができます。エネルギーというのは、お金を10年あるいは100年の間、保存しておけるということを意味します。
しかも、非常に効率の良い貨幣ネットワークであり、例えばゴールドといった他の貨幣エネルギー源に対して、1000分の1、あるいは10,000分の1のエネルギーしか必要としません。だからこそ有力なのです。
なぜ有力なのか理由を挙げるときりがないのですが、たくさんの理由を挙げすぎても要点を見失ってしまいます。Bitcoinの一番のポイントは、エネルギーネットワークの中でも初となる、設計された貨幣エネルギーシステムだという点です。
このシステムは、どんな形のエネルギーでもお金に変換することができて、逆にお金をあらゆる形のエネルギーに変換することもできます。だからこそ貨幣エネルギーの最高の形態なのです。
他のあらゆる貨幣ネットワークは欠陥品です。たとえば貝殻は、このようにうまく機能しません。日用品、タバコ、金、銀、銅も同じです。これらのものはすべて欠陥があるので、時間の経過とともにエネルギーが流出していってしまうのです。
ゴールドは最も有名なお金ですが、ゴールドは毎年2%採掘されています。したがってゴールドにエネルギーを蓄えた場合、少なくとも年間2%のエネルギー損失となります。つまり他のあらゆるものが100年間変化していないと仮定した場合、100年間の時の中で80%以上のエネルギーが失われているという計算になります。
それでもBitcoinよりもゴールドを選ぶ人がいるのは、Bitcoinのことを知らないからです。だからゴールドは唯一最高のエネルギーシステムであり、その代替手段は法定通貨のネットワークになってしまうのです。
ゴールドという通貨ネットワークにおける年間のエネルギー損失レベルが2〜4%なのに対して、法定通貨におけるエネルギーの損失は毎年5~25%です。これはゴールドが優れているというわけではありません。紙幣のネットワークがあまりにもひどいのです。
貨幣エネルギーの損失率はものによって様々です。例えば、アルゼンチン、レバノン、ベネズエラ、トルコなどの国々では、通貨インフレ率が5%をはるかに超えています。したがって、毎年2〜4%しか価値が失われないゴールドにお金を入れることができれば、年間10%もの価値を失うネットワークなんかに比べたら、はるかにいい選択でしょう。
このように、ゴールドは法定通貨に比べるとよく見えるかもしれませんが、「全く価値を失わない」ものの前では、ひどいものに見えるかと思います。Bitcoinは100年よりも長く、全ての資産の価値をそのまま維持することができるのです。
Bitcoinに投資するのはリスキーではない
もしも今持っているお金の半分を失うことになれば、私は間違いなく、Bitcoinのバスケットに残りの全ての卵を入れます。資産を自国の通貨という形で保有するのではなく、過去10年間、毎年必ず値上がりし続けたものに投資しておくのがいいでしょう。
自国の通貨が90%の確率で値下がりすると知っているのにもかかわらず、その通貨を保有し続けるのは、果たして賢いと言えるでしょうか。資産を分散させる手段として、Bitcoin以外に一体何が考えられるでしょうか。
通貨が値下がりした場合、不動産や株式、債券と行った他のあらゆる法定通貨の金融商品も、かなりの価値が失われます。このような状況下でBitcoinを知らなかった場合は、まずゴールドをとるでしょう。
しかしBitcoinを知るとすぐに、ゴールドを売りBitcoinを買うでしょう。Bitcoinは不安定でリスクが高いため、資本のごく一部しか入れるべきではないという従来の見解は正しくないと思っています。Bitcoinは、あらゆる面でゴールドよりも優れているように設計された安全な資産です。まさに財を蓄えるのに理想的な資産だと思います。
資産を現金で保有し続けているとその半分を失うということをわかっていて、しかもゴールドよりも優れた設計の資産があるのであれば、それに投資するのは決してリスクが高いとは言わないでしょう。
ドメイン名はデジタル資産
私の主な事業は、法人向けの事業製品や技術、そしてビジネスインテリジェンス製品の販売です。私自身技術系の起業家ですので、常に新しいビジネスを生み出すことに非常に興味を持っています。
私は常に、デジタルの希少性について、テクノロジーについて、そしてテック投資に興味を持っていました。
Apple、Amazon、Google、Facebookには早くから投資をしていましたし、テック投資家としての役割を果たすために、これらのビジネスモデルについて多くのことを学びました。これらの取り組みに加えて、MicroStrategyのCEOとしてビジネス経営を続けてきました。
1990年代には、Hope、Courage、Wisdom、Strategy、Angel、Alarm、Speaker、Voice、といった、いくつかのドットコムドメイン名を購入しました。さらに自分の名前のMichaelと、ニックネームであるMikeも購入しました。これらのドメイン名は、ビジネスを展開するのにちょうどいいデジタル資産になると思ったからです。
そのうちの1つであるAlarm.comを商品化して、独立させました。Angel.comは1億ドル以上で売却しました。そして今ではナスダックで47億ドルの時価総額で取引されています。Voice.comというドメインも最終的には3000万ドルで売却しました。
英語を学んでいる人なら誰でも「Hope」という単語の綴りがわかるでしょう。ドメイン名の価値は、言語によって決まります。ビジネスにおいて最もよく使われている言語は英語です。インターネット上で最もよく使用されているドットコムのドメインも英語です。
したがって、AppleやAmazonなどのように、綴りが簡単で、ポジティブな意味合いをもつ覚えやすい単語は非常に重宝されます。こういった単語をもっていれば、その単語を使ってビジネスをすることができるのです。
たとえば10億人の人が、その単語をみて綴りを覚えることができれば、その人たちはその名前をパソコンに打ち込むことができるでしょう。逆に言えば、ポジティブな意味もない複雑な名前は覚えられにくいです。したがってHope(希望)やWisdom(知恵)といったように、シンプルな名前の方がいいのです。
もう一つの重要な要素は、「.com」のドメインであることです。単語がドットコムドメインでない場合は価値が下がります。「.io」や「.org」「.tv」などは覚えにくいのです。さらに単語が長すぎる場合も価値は下がります。
世界中の商取引のうち65%~80%が英語ですので、英語で最も重要な1000の単語のうちの1つでも所有していれば、そのドメイン名はちゃんとしたビジネスになります。
もしも現在AppleがApple.comを手に入れようとした場合、いくら払うかを想像してみてください。その単語を所有していれば、デジタル資産を所有していると言えます。
ドメイン名を所有しているというのは言ってみれば、世界最大の都市マンハッタンで土地を所有しているようなものです。貴重なドメイン名をもっていれば、世界中のあらゆる都市の中心地を所有しているようなものです。
Bitcoinとその他の暗号通貨
私はEthereumに投資していません。「Ethereumはリスクが高いのか」と聞かれれば「はい」と答えます。Ethereumは複雑なのでBitcoinよりもはるかにリスクが高いです。
ソフトウェアや暗号ネットワークを作るときには、どんな設計にするのか、方針が大切です。Ethereumは、より実用的で複雑になるように設計されています。だからこそ、ハッカーがハッキングをしかけられる面がより多くなってしまっているのです。
可動部分も多いため、より壊れやすいというリスクがあります。リスクが高いので、私はEthereumには投資しないのです。
他のあらゆる暗号通貨はベンチャーキャピタルのようなものです。はるかに大きなリスクを孕んでいて、成功するものもあれば失敗するものもあります。複雑になればなるほど、そして機能が増えればなるほど、攻撃されやすい側面も増えます。
Bitcoinの大きなメリットは、シンプルで変更しにくい点だと思います。Bitcoinはそれほど機能的ではありません。Bitcoinが成功するために、これ以上機能を追加する必要はありません。もうすでに完成品なのです。
暗号資産ネットワークの最大の特徴は、永久不滅の主権があることです。永久不滅の主権とは、攻撃の弾丸を防ぐことができて、永久に持続することができ、国家や企業といった枠組みの制約からはずれて機能できるということです。
また、この永久不滅の主権にとって不可欠な機能が価値の保存機能です。価値とはエネルギーのことであり、エネルギーこそがお金なのです。
資産を分散するリスク
何百種類もの異なる暗号通貨ネットワークに分散して投資する方が、最もリスクの低い1種類ものに資産を集中させることよりもずっと危険です。分散すると資産の99%を失ってしまう可能性が高まります。分散すれば、勝っているものを売却し、負けているものを購入することになります。
例えばAmazonの株を所有している場合、なぜ他の小売企業の株を購入して分散しようとするのでしょうか。Amazonが多数の小売企業を潰してしまえば、分散した株はすべて損失になってしまいます。勝っているものだけ買ったほうがリスクが少ないのです。
GoogleやAppleについても同じ理論が当てはまります。 Appleは携帯電話業界の全利益の150%を生み出すほどの大成功を収めました。つまりAppleは儲かって、業界他社は損をしたのです。もしも分散投資のためにAppleの株を売って他を買ったのであれば、勝者を売り敗者を買ったことになります。
Bitcoin建てで100万ドル分を保有する代わりに、法定通貨でお金を保有すれば、価値が失なわれていってしまいます。
“BitcoinのCEO” と呼ばれる人たち
Bitcoinには何千人ものCEOがいます。私もその内の1人で、自分の領域内でできることをしてBitcoinを支持しています。GrayscaleのCEOやCoinbaseのCEO、そしてBinance、Square、Paypalなども皆Bitcoinの支持者です。
毎朝どこかのCEOがBitcoinの話をしていて、そして午後にはまた別のどこかで別のCEOがBitcoinのついて話していると思います。日本にCEOがいるのと同じように、韓国やドイツにもCEOがいて、世界中にBitcoinの話をしている“BitcoinのCEO” がいるのです。
これがあるべき姿だと思っています。私は多くのCEOたちの中の1人で、大勢のCEOがいることは非常に素晴らしいと思います。この業界のことを考え、支援してくれる情熱的なリーダーたちがどこにでもいて、自分もそのチームの一員であることをとても嬉しく思います。
マイケル・セーラーのツイートは市場に対して影響力があるか
そんなことはないですし、誰かに対してまたは何かに対して影響を与えようとも思っていません。私は長期的な視点を重視しています。価格が短期的にどうなるかを把握することはできないと思っていますし、気にしたこともありません。私にとっての短期的というのは3年先、中期は10年先、長期は100年先です。
市場は結局なるようになるのです。だからBitcoinを買った時もはじめの3年間の間は、間違いだったならばそれはそれで仕方ないと覚悟していました。しかし今では、正しいタイミングで正しいことができたと思っています。
Bitcoinは希望
初めてBitcoinを購入した時はホッとしました。世の中が良くなるような気がしました。自分の会社も、もっと成功するだろうと思いました。私はBitcoinを希望だと考えています。私は「hope.com」を所有しているので、それをBitcoinの情報ページとして使っています。Bitcoinを持っていると希望があるので嬉しかったですね。
Microstrategyとブロックチェーン技術
現在、我々はBitcoinのフルノードを動かしています。ブロックチェーンを抽出してデータを研究し、我々のビジネスにどのような付加価値をつけられるかを検討しているところです。まだ具体的な発表は何もないのですが、研究中の分野ではあります。
また、我々のソフトウェアを使ってBitcoinにより価値をもたらすことのできる良い方法を見つけることができれば、その時はそれを実行に移します。
Bitcoinについての勉強法
ほとんどの勉強はYouTubeでしました。それから、アンドレアス・M・アントノプロス氏の著作から多くのことを学びました。Erik Voorhees氏とPeter Schiff氏によるBitcoinに関するディベートや、ポッドキャスト番組の「The Pomp Podcast」も視聴しました。
Saifedean Ammous氏の著作『Bitcoin Standard』も読みました。Vijay Boyapati氏の著作『The Bullish Case for Bitcoin』や、Parker Lewis氏の著作も読みました。様々な著作や動画を見てきました。
技術変化の大波の中を生きる
技術的な変化の巨大な波が来ています。これを利用しない手はありません。我々は今まさに波の中を生きています。これは仮想現実的な波であり、この波の中で人は、光速で移動したり、時間や空間を曲げることができるのです。
光速で移動できるというのはつまり、世界の両端にいる2人の人が、Zoomを通して交流できるということです。これはパンデミックが起こる前はそれほど一般的なことではありませんでした。2020年に入ってから急激的に普及したのです。私も今年に入ってから、オーストラリアやドイツなど、様々な国の人たちと交流するようになりました。
時間と空間を曲げるということは、いつでもどこでも、そして誰でも見られるような動画を作成できるということです。同じくビジネスにおいても、時間と空間を曲げて機会を創出するということが重要です。
たとえば世界のある地域の労働力を使って、別の地域でのサービス提供をしたり、あるいは今まで手動で行っていたことを自動化したり、といった具合にです。我々の生きる市場の中では、このような仮想現実的な側面を様々な形で見つけることができます。
Bitcoinのネットワークに繫る人々
金融界でも変革が起こっていて、ここでも利用すべき最高のチャンスが、まさに今訪れています。変革というのは、人々が法定通貨投資を暗号通貨への投資に転換していることです。
Bitcoinには、基礎となるセトルメント・ネットワークとマネタリー・ネットワークのレイヤーがあります。人々はBitcoinというマネタリー・ネットワークに繫ることができます。自らマイナーになることによってネットワークに繫る人もいれば、取引所を通して繫る人もいますが、どちらも非常に重要です。
SquareやPaypalなどの決済ネットワークは、Bitcoinのセトルメント・ネットワークのレイヤーに繋がっています。
さらに、暗号通貨界隈にはアナリストがいて、高度な金融商品も存在します。市場は進化しているのでいつか必ず、生命保険や債券、銀行サービス、そしてその他の種類のデリバティブなどもすべてネットワークに接続されていくようになるでしょう。
78億人もの人口のいる世界では、資産をBitcoinのようなものに変換していかない限りは、これから先46~48ヶ月に間に財産の半分を失ってしまいます。この問題を解決できれば、ビジネス機会的にもかなり大きな推進力になると考えています。
しかし問題解決のためには、地球上のすべての国で、あらゆる種類のコンプライアンス要件に準拠する必要があります。要件はそれぞれの国によって違うだけではなく、たとえ同じ国内だとしても州によって異なることもあります。
例えば、フロリダ州の住民だとBitcoinのデリバティブ取引ができないかもしれませんが、オハイオ州の住民だとできるかもしれません。国だけではなく州ごとの違いも重要なのです。
税制上のコンプライアンス等をどのように解決して変えていくか、そしていかにして人々がやりたいことをできるようにしていくか、ここが今のところ、大きなビジネスチャンスとなり得ます。
世界経済と日本経済の問題
日本はマクロ経済的に、他の国と同じような課題を抱えていると思います。日銀は非常に積極的な金融緩和政策を行ってきました。日本の銀行は大量の株式を保有していますが、同様に多くの国債も保有しています。
EUやアメリカと同じように、日本もまた資金供給量を拡大させています。これの一番の問題は資産の過剰なインフレで、市場における価格の発見が不足していることです。
債券、株式、不動産市場を含め、資本市場は凍結状態です。これらの資産価値はすべて非常にインフレしています。一般人が働いても働いても、資産を購入するのに十分なお金を稼ぐことができません。
あらゆる資産価格が上昇しているのに対して、賃金は横ばい、もしくははるかにゆっくりと上昇します。したがって全階級の人々が資産を購入することができなくなり、市場は凍結状態になってしまうのです。
その結果、経済を非効率にしてしまうゾンビ企業やゾンビ資産とよばれる存在が生みだされ、資産取引が行われなくなってしまうのです。日本ではずっと前からこういった問題があります。現在これは世界の他の国でも問題になり始めています。
対処法が必要なのですが、Bitcoinが一番良い解決策だと思っています。価格を見出すことができなくなった資産から貨幣エネルギーが流出してくると、やがて人々はそれに気づきます。そうなってくると、過大評価されてきた資産を売り、Bitcoinを買うという論理的な行動をとりはじめることができます。
人々が資産を売却しはじめれば、貨幣エネルギーがより完璧な貨幣ネットワークに流れ込みます。そうすればあらゆる市場において、また価格の発見が可能になるのです。結果として、再び物を買う余裕ができるようになります。
この解決策をの実現には、取引所を成長させ、そして誰もが簡単にBitcoinを手に入れることができるように教育をするのが最善の方法です。
トレーダーとは異なる目線
我々はトレーダーではありません。Bitcoinでトレーディングをしているわけでもありません。ギャンブラーでも投機的な投資家でもなければ、マクロ経済のトレーダーでもありません。トレーダーのほとんどは非常にテクニカルで、価格がどのように動くかの考え方のモデルをというのを持っています。
しかし我々はトレーダーとは異なる見解を持っています。世界には300兆ドルの資産があり、そのうちの半分は今後46~48ヶ月の間に、中央銀行によって資産価値が流出してしまうと考えています。Bitcoinは我々にとって安全資産であり、長期的に見て価値のあるものになると確信しています。
Bitcoinネットワークが貨幣エネルギーを吸収してくれるので、タイミング的にはいつ買ってもいいと考えています。そして売るべきではないと思います。売って代替品を買っても、それは欠陥品なので、売るのは決して得策ではありません。例えて言うとすれば、今我々は北極点にいるようなものです。気温は日に日に寒くなっていきます。もしもそんな時に、暖房の効いた小屋でもあれば、凍死するのを選ぶかわりに小屋に入るでしょう。小屋に入るのに高いお金を払うのか、などと考えても意味はありません。凍死するのはごめんなのです。
それにもっと寒くなってくると他の人も入ってくるでしょうし、その時には入るのにかかるお金ももっと高くなっているかもしれません。いつ小屋から出るのか、という質問など絶対に気にもしないと思います。
外は凍えるほど寒いので、小屋からでるなんてことは絶対にありません。一体なぜ、暖かい場所から離れなければならないのでしょうか。たとえ入場料が少しくらい高くても、どうってことはありません。
私は毎日、世界をより良い場所にするにはどうしたらいいかということを考えています。私にとってBitcoinは、水道、電気、飛行機、電車、鉄、石油と同じくらい重要なのです。ただ多くの人がまだその重要性を理解していません。
私は純粋に、Bitcoinの通貨ネットワークを人々に伝えてこのネットワークを構築していくことに興味があるのです。
インタビュー・編集: Lina Kamada
翻訳: Nen Nishihara
【免責事項】
本ウェブサイトに掲載される記事は、情報提供を目的としたものであり、暗号資産取引の勧誘を目的としたものではありません。また、本記事は執筆者の個人的見解であり、BTCボックス株式会社の公式見解を示すものではございません。