前回の記事ではステーキングとは何か?についてお伝えしました。
では実際にステーキングはどのようにして行うのか?
この記事では、暗号資産の中でも代表的なイーサリアムのステーキングを具体例として挙げ、実際にステーキングを行う方法について解説します。
イーサリアムとステーキングの変化
イーサリアムは、イーサリアム2.0への移行により、ネットワークはProof of Work(PoW)からより効率的で環境に優しいProof of Stake(PoS)へと変更されました。この変更は、イーサリアムのステーキングにも大きな変化を及ぼしました。
簡単に言えば、イーサリアムのネットワークは以前よりもはるかにエネルギー効率が良くなりました。PoWでは、トランザクションを検証し新しいブロックを生成するために膨大な計算作業(マイニング)とそれに伴う消費エネルギーが必要でしたが、PoSではこれが不要になります。結果として、イーサリアムの運用はよりエコフレンドリーで、かつ効率的になりました。
さらに、イーサリアム2.0では、ユーザーはETHを「ステーキング」することにより、ネットワークのセキュリティ維持に貢献し、報酬を獲得できるようになりました。
ステーキングの基本
ステーキングについても改めておさらいしましょう。
ステーキングとは、暗号資産(特にProof of Stakeを使用するブロックチェーンネットワークにおいて)をブロックチェーンのセキュリティとネットワーク運営に貢献するために暗号資産を「預ける」プロセスです。
このプロセスにより、ユーザーはネットワークのセキュリティを強化し、新しいブロックの生成やトランザクションの検証に貢献し、その報酬として新たに発行されるコインや手数料を受け取ることができます。
イーサリアムでのステーキングの種類
ステーキング方法についてはいくつかの方法が存在するので、それぞれ解説していきます。
個人での直接ステーキング
この方法では、ユーザーは直接イーサリアムのネットワークにETHをステーキングします。
これには最低32ETHの保有が必要で、自分自身でバリデータノードを運用することになります。バリデータノードとはトランザクションの検証、新しいブロックの生成、ブロックチェーンの整合性とセキュリティの維持を行う重要な役割を果たすコンピュータやサーバーのことで、ハードウェアの設定、セキュリティの確保、継続的な管理が必要です。
高い技術的知識とコミットメントが求められ、自身で全てのプロセスを管理する必要があるため、上級者向けのステーキング方法となります。
ステーキングプールの利用
ステーキングプールは、複数人がそれぞれの暗号資産をまとめて預けることで、一緒にステーキングを行う方法です。最低32ETHの要件を満たす必要がなく、より少ない量のETHでも参加できます。
ステーキングプールはプロセスを簡素化し、技術的知識が少ないユーザーにも適しています。プールによっては管理手数料がかかることがありますが、利便性とアクセスのしやすさを提供しているのが特徴です。
取引所のステーキングサービス
いくつかの暗号資産取引所では、イーサリアムのステーキングサービスを提供しています。
取引所を通じてステーキングすると、ノードの立ちあげ、運用等の技術的な側面は取引所側が管理することになります。ユーザーは取引所プラットフォーム上で簡単にETHをステーキングをすることができ、特別なセットアップや管理は必要ないのが特徴です。
DeFiプラットフォーム
一部のDeFiプラットフォームは、イーサリアムをステーキングするためのサービスを提供しています。これらのプラットフォームは分散型であり、しばしばステーキングプールと似たメカニズムを使用します。DeFiプラットフォームを利用すると、ステーキングのプロセスが簡素化され、追加の金融商品との組み合わせも可能になります。
イーサリアムステーキングの方法
イーサリアムのネットワークに個人で直接ETHをステーキングするには、いくつかの手順を踏む必要があります。以下にそのプロセスを説明します。
1. 最低要件の確認
まずは、イーサリアム2.0にステーキングするためには、最低32ETHが必要です。32ETH未満でもDeFiプラットフォームのようなサードパーティサービスを通じて間接的に参加できる場合がありますが、直接イーサリアムのネットワークにステーキングする場合には32ETHが必要になります。
次にハードウェアの準備が必要です。安定したインターネット接続と、24時間稼働することができる信頼性の高いコンピュータとなってきます。
2. クライアントソフトウェアの選択と設定
イーサリアム2.0のネットワークで検証者として機能するためには、適切なクライアントソフトウェアを選択してセットアップする必要があります。Prysm、Lighthouse、Tekuなど、複数のクライアントソフトウェアが利用可能です。選択したクライアントソフトウェアの公式ガイドに従ってソフトウェアをインストールします。
3. ETHをステーキングに預ける
イーサリアム2.0の公式ステーキングアドレスに32ETHを送付します。これを行うには、メインネットのイーサリアムウォレットからトランザクションを行います。このやり取りは非常に重要な行為のため慎重に行う必要があります。トランザクションがネットワークによって確認された後、ステーキングが開始されます。
4. 検証者としての稼働と報酬
クライアントソフトウェアが正常に設定された後、コンピュータはイーサリアム2.0ネットワークの検証者として稼働を開始します。これにより、トランザクションの検証や新しいブロックの生成などのプロセスに参加します。ネットワークに貢献することで報酬を受け取ることができます。これには新しく発行されるETHやトランザクション手数料が含まれます。報酬の量は、ステークされたETHの量やネットワークの状態によって変動します。ノードの稼働状態を定期的にチェックし、必要に応じてソフトウェアのアップデートやメンテナンスを行いましょう。
※注意点
前提としてステーキングにはリスクが伴います。不正行為やダウンタイムによって預けたETHの一部を失う可能性があります(スラッシングと呼ばれる罰則を受ける)。
また、ETHをステーキングすると、一定期間引き出すことができなくなります。そのため、流動性に影響が出る可能性があることを理解しておく必要があります。
最後にイーサリアム2.0へのステーキングは複雑なプロセスであり、技術的な知識が必要です。プロセスを開始する前に、公式のガイドラインをよく読み、理解することを強く推奨します。
ステーキングのリスク
先程はイーサリアムのステーキングについて注意点を述べさせていただきましたが、一般的なステーキングにもリスクが存在するので改めてまとめていきます。
まず、市場の価格変動は一般的なリスクです。特に暗号資産の価格は変動が激しく、ステーキング中に価格が下落すると、報酬の価値も低下する可能性があります。
また、ステーキングされた暗号資産は、特定期間アンロックされず、その間は流動性を失います。この流動性のリスクは、緊急に資金が必要になった場合に影響を及ぼす可能性がありますので、事前にステーキング期間の確認を行うことを推奨します。
次に、スマートコントラクトのリスクも考慮する必要があります。多くのステーキングプロセスはスマートコントラクトに依存しており、これらのコントラクトにバグや脆弱性がある場合、資産が失われる可能性があります。
これらのリスクを管理するためには、まずリスクの分散化が非常に重要です。全ての暗号資産をステーキングに充てるのではなく、異なる投資に分散させることがリスク管理に繋がります。また、市場の動向は常に変化するため情報収集を怠らず、価格変動に応じた対策を行うことが大切です。
まとめ
ステーキングは、イーサリアムのブロックチェーンセキュリティとネットワーク運営に貢献するプロセスです。これにより、ユーザーは新しいブロック生成やトランザクション検証に参加し、新たに発行される暗号資産を手数料の形で報酬を受け取ることが出来ます。ステーキング方法には、個人での直接ステーキング、ステーキングプールの利用、取引所のステーキングサービス、DeFiプラットフォームを利用したステーキングがあります。
イーサリアムに直接ステーキングするには最低32ETHと技術的知識、自分自身でノードの運用を行うことが必要ですが、プールや取引所などのサードパーティサービスを利用すれば少ない資産や知識でも参加することができます。
しかし、イーサリアムのステーキングにはリスクが伴います。市場のボラティリティ、スマートコントラクトのリスク、流動性のリスクなどを理解し、適切に管理することが大切です。一般的にステーキングを行う際は、リスクの分散、市場動向のチェック、安全なプラットフォームの選択が重要となります。
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