暗号資産、および仮想通貨を取引しようとする方であれば、ほとんどの方がブロックチェーンという言葉を聞いたことがあるでしょう。
ただその内容、仕組みについて知っているという方は多くないかもしれません。
この記事ではそんなブロックチェーンという技術について、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
ブロックチェーンって一体何?
ブロックチェーンとは、分散型台帳技術と呼ばれる技術の一種で、やりとりされるデータをブロックと呼ばれる単位でまとめて鎖状に繋ぐことで保管する技術です。
元々はビットコインを支えるための技術としてサトシ・ナカモトと呼ばれる正体不明の人物(もしくはグループ)によって論文発表され、2009年に世界初のブロックチェーンを利用した仮想通貨としてビットコインが誕生しました。
ブロックチェーンの特徴
ブロックチェーンには以下の4つの特徴があると言えます。
● 中央に管理者がいない
● システムがダウンしにくく安定性が高い
● 改ざんすることが非常に難しい
● 運用コストが安い
中央の管理者がいない分散型のシステム
まず、ブロックチェーンの大きな特徴の一つが「自律分散型」と呼ばれるように中央に管理者がいないという点です。
例えば、ツイッターというサービスはツイッター社によって運営されていて、利用するためのアカウントはツイッター社が管理しています。
しかしブロックチェーン上のサービスは基本的にこのような管理者がいないことが大きな特徴と言えます。
システムがダウンしにくく安定性が高い
この特徴は、システム全体の安定性を高めることにも繋がります。
中央に管理者がいるシステムというのは管理者のサーバーが落ちたりするとサービスが使えなくなってしまいます。
上記の例で言えば、ツイッターのサーバーが何らかのトラブルによってダウンすればツイッターというサービスは使えなくなってしまうということです。
しかしブロックチェーンの場合は、どこかのマシンが止まってしまったとしても、他のマシンがその作業を続けることで運営を継続することが可能です。
世界中の参加者(ノードと呼ばれます)が同時に落ちない限り運営が止まらないということは大きな安定性があると言えるでしょう。
改ざんが非常に難しい
そしてブロックチェーン上で行われる取引の記録は、それぞれ鎖状に連なっていて、一つの記録を改ざんするとその後の全ての記録も変わってしまうためすぐに改ざんがしたことがバレてしまいます。
これによって取引の内容を改ざんすることは実質不可能とされています。
改ざんや偽造などが非常に難しいということは、取引をする上で非常に重要な要素の一つと言えるでしょう。
運用コストが安い
さらにこれらの取引は既に述べたように世界中の参加者によって管理されているため、中央のサーバーを管理したり保守したりする必要がありません。
これによって運営のコストを下げることにも繋がっています。
ブロックチェーンの仕組み
上記のような特徴を持つブロックチェーンが、具体的にどんな仕組みで動いているのかについて、分かりやすくビットコインの取引を例に解説していきます。
P2Pネットワーク
P2Pとは、「Peer to Peer」の略で複数のコンピューターが1対1で繋がり相互に通信することで構築されるネットワークのことです。
従来のサービスのようにどこかにサーバーがあって一元的に管理されている状態とは違い、世界中にあるコンピューターが繋がり、それぞれがデータを保管、共有しています。
ビットコインの場合で言えば、過去の取引の記録が書かれた帳簿を、P2Pによって繋がったコンピューター同士で保管しつつ、新たなデータが貯まればそれに追加しそのデータを共有します。
こうして出来た最新版の帳簿をどこか一箇所のサーバーで保管するのではなく、ネットワークで繋がったそれぞれのコンピューターで保管することで改ざんを防ぎます。
トランザクション
ビットコインの一つ一つの取引データのことをトランザクションと言います。
世界中でビットコインが取引されるごとにトランザクションが更新されていき、取引の内容は全ての人が見ることができる状態となっています。
トランザクションはまず未承認という状態となり、取引を成立させるためには承認が必要となります。
ビットコインの場合、複数の未承認状態のトランザクションを10分ごとに一括して承認する仕組みを採用しています。
そして承認された複数のトランザクションをまとめてブロックと呼ばれる箱に格納し、一番新しいブロックの最後に繋げて保管されることで取引が成立します。
ビットコインの取引を指示してから取引が完了するまで時間がかかるのはこのプロセス(承認待ちの列に並んでいる)を経ているためです。
ハッシュ
個々のトランザクションはハッシュ関数と呼ばれるアルゴリズムによってハッシュ値と呼ばれる決まった長さの文字列に変換(暗号化)されます。
入力したデータがほんの少しでも違えば全く違ったハッシュ値が出力されます。
また、ハッシュ値から元のデータを割り出すことは出来ません。
もしも元データに少しでも変化があれば、全く異なるハッシュ値がはき出されるため改ざんされたことが簡単に分かることからデータを書き換えてそれを正当性のある情報にするのは非常に困難であると言えます。
コンセンサスアルゴリズム
ブロックチェーンは中央に管理者がいないため、データの正確性や安全性を保つために参加者同士で合意形成を得るための仕組みを備えています。
それが「コンセンサスアルゴリズム」です。
これにはいくつかの種類が存在しますが、ビットコインにおいてはProof of Work(PoW)と呼ばれるコンセンサスアルゴリズムが採用されています。
簡単に解説すると、ハッシュというのは、個々のトランザクションだけでなく、個々のブロックもハッシュ関数によってハッシュ値に置き換えることが可能です。
ビットコインでは、新たにブロックを追加する際に「直前のブロックのハッシュ値とそこに格納される取引データと任意の文字列」の組み合わせから出力されるハッシュ値の中からある一定の条件の文字列を見つけた人がブロックを追加できるルールとなっています。
この条件にあったハッシュ値を見つけた人にはビットコインが割り当てられることになっていて、これがマイニングと呼ばれるものです。
一時期「マイニングでビットコインを稼ぐ!」みたいなことを聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、マイニングはこの計算競争のことを指しています。
ブロックチェーンとスマートコントラクト
ブロックチェーンにおけるスマートコントラクトとは、特定の条件が満たされた場合においてあらかじめ契約などによって決められた処理などが自動的に実行されるプログラムのことを指します。
ここでの契約とは、売買、貸借、交換、譲渡だけでなく、仕事の受発注や雇用契約まで様々な契約ごとに利用が可能です。
これらの契約をブロックチェーン上にプログラムしておくことで自動的に契約条件が履行されるだけでなく、ブロックチェーンの性質上改ざんが難しいことから、契約を破棄したり秘密裏に変更することも出来ません。
さらに契約には仲介者を必要とすることもないため余計なコストも人も必要としないことも大きなメリットの一つです。
またこれらの記録は全てブロックチェーンに記録されオープンになっているためその気になれば誰でも見ることが出来るという透明性もその特徴と言えるでしょう。
これによって、ありとあらゆる契約が今まで必要だった多くの人の手間やコストをかけることなく出来るようになる可能性を秘めていることから、非常に大きな変革、社会構造の変化をもたらす可能性もあると言えるでしょう。
まとめ
ここまでブロックチェーンについて解説してきましたがいかがだったでしょうか。
よく分からないものだったブロックチェーンを、なんとなくでも理解していただけたでしょうか。
後半のスマートコントラクトの部分で少し解説したように、将来ブロックチェーンが世の中のインフラで当たり前のように使われるようになる可能性も十分にあります。
これから登場してくるであろうブロックチェーンを基盤とするサービスのメリットに、皆さんも是非目を向けてみてください。
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