SH

初心者がやりがちな暗号資産送金のミス【暗号資産塾〜初心者のための入門コラム】

今や株やFXなどに並ぶ投資先として知られるようになった暗号資産ですが、取引の際に注意しなくてはいけないのが「送金ミス」です。

今回の記事では、暗号資産を触り始めたばかりの初心者の方がやってしまいがちな送金ミスのケースや、送金ミスをしてしまった場合に出来ること、また送金ミスを防ぐ方法について解説していきます。

暗号資産の送金時に起こりがちなミスとは

暗号資産はブロックチェーン技術を使うことで、仲介者を介すことなくユーザー同士が直接暗号資産のやり取り(送金)を行うことが出来ます。

ただし、その場合には「送金ミス」に注意しなければなりません。

従来のような金融機関を利用した送金の場合、中央管理者がいることで組み戻しなどの対応が可能でしたが、中央管理者のいない暗号資産の場合にはそうはいきません。

暗号資産の送金ミスを防ぐためにも、まずはどんなケースがあるのかについてみていきましょう。

送金先のアドレスを間違えてしまった

最も基本的なミスとして挙げられるのが、「送金先のアドレスを間違えてしまう」というケースです。

暗号資産の送金に使われるウォレットのアドレスは複雑な文字列で構成されているため、送金の際に入力を間違えてしまうというケースがあります。

もし仮に入力を間違えた送金先のアドレスが存在していなければ、送金はエラーとなりますが、そのアドレスが存在していれば、そのウォレットに対して送金が完了してしまいます。

別の暗号資産のアドレスへ送金してしまった

続いては、「他の暗号資産のアドレスへ送金してしまう」というケースです。

暗号資産のアドレスは、ビットコインにはビットコインの、イーサリアムにはイーサリアムのアドレスがあるため、他の暗号資産のアドレスへ送金をした場合にはエラーが発生します。

しかし、ビットコイン(BTC)とビットコインキャッシュ(BHC)、イーサリアム(ETH)とイーサリアムクラシック(ETC)やポリゴン(MATIC)などアドレス形式が似ている場合にはエラーを検知出来ずに送金が完了してしまうケースがあります。

このケースの場合、暗号資産が消滅してしまうため、取り戻すことが出来なくなってしまいます。

フィッシング詐欺にも注意が必要

これは送金ミスとは少し違うかもしれませんが、フィッシング詐欺などにより送金ミスが誘発されてしまうケースもあります。

仮想通貨取引所を名乗ってメールを送って送金させたり、「キャンペーンに当選した」「アカウントの安全を確認する」といった名目で送金を促してくるケースがあります。

こうした悪質な意図をもって行われるケースでは、送金してしまった暗号資産を取り戻すことはほぼ不可能となるでしょう。

送金ミスをしないために

暗号資産における送金ミスは、多くの場合取り戻すことは出来なくなってしまうため、ミスをしないための防止策が非常に重要です。

ここでは、暗号資産の送金ミスを防ぐために出来ることについて確認していきます。

テスト送金を行う

まず送金ミスを防ぐために最も効果的と言える方法が、「テスト送金を行う」ことです。

最初の送金時に送金予定の暗号資産全てを送金するのではなく、その送金先が正しいアドレスかを確かめるためにごく少額の送金を試しにしてみるという方法です。

このテスト送金が正しく行われていることが確認できて、初めて全額を送金しましょう。

最初に一気に送金してしまうことに比べ、時間や送金に関わる手数料が余計にかかってしまうことになるかもしれませんが、送金ミスによって多額の暗号資産を失うよりは良いはずです。

ミスによって全てを失わないための保険料と思ってテスト送金をすることをお勧めします。

リストなどを利用し、手入力をしない

暗号資産のアドレスは、とても複雑な文字列で構成されているため、手入力をすれば当然ミスが起こりやすくなります。

送金先のアドレスはコピーペーストをするなど、手入力による打ち間違えが極力発生しないようにしましょう。

また取引所によっては、送金先を登録するなどリストを作ることが可能なので、一度テスト送金などを行い間違いがないことを確認したアドレスをコピーペーストしてリストに登録することで、次回以降間違いが起こりにくくなるでしょう。

アドレスポイズニング詐欺について知っておく

暗号資産の送金ミスを防ぐために、「アドレスポイズニング詐欺」について知っておきましょう。

こちらは上記で紹介したフィッシング詐欺とは少し違い、「アドレス入力時に行うコピー・アンド・ペースト」をたくみに利用した詐欺行為となっています。

まず対象者の取引を追跡し、取引相手となっているアドレスに類似した文字列でウォレットのアドレスを作ります。

そして詐欺師側は対象者のアドレスに対して少額の暗号資産を送金し、対象者の取引履歴に詐欺師のアドレスを残します。

この取引履歴に残ったアドレスは、本来の送金先のアドレスに似ているため、送金者に対して正しい送金先であると誤認させてしまいます。

最終的に、送金者は送金の際に詐欺師のアドレスをコピーペーストしてしまい、詐欺師に対して送金を行ってしまうのがこのアドレスポイズニング詐欺です。

アドレスポイズニング詐欺を防ぐためには、アドレスの最初と最後だけでなく、全ての文字列を確認することが大切です。

取引履歴に残ったアドレスなら安心という思い込みをせず、安易に送金してしまわないように注意しましょう。

送金ミスをしてしまったら

人間が操作している以上、どうしても送金ミスをゼロにすることは難しいかもしれません。

ここでは、もし仮に送金ミスをしてしまった場合どうすれば良いのか。

その対処方法や出来ることについて確認していきます。

取引履歴を確認する

もしも暗号資産の送金ミスをしてしまったら、まずやるべきことは「取引履歴を確認する」ことです。

暗号資産の取引は全てブロックチェーンに記録され公表されているため、それぞれのネットワークの管理サイト(ブロックチェーンエクスプローラー)で確認することが出来ます。

ビットコインなら「blockchain.com」、イーサリアムなら「etherscan.io」、その他の暗号資産なら「暗号資産の名前(英語名:ポリゴンならMATICなど)+transaction」で検索しましょう。

取り戻せる可能性があるケース

暗号資産の送金ミスは取り戻すことが出来ないケースがほとんどですが、もしかすると取り戻すことが出来るケースがあります。

それは現在も使われているウォレットに送金してしまった場合です。

この場合、暗号資産は消滅していないためそのアドレスの所有者にコンタクトを取ることが出来れば、交渉して戻してもらえる可能性があるかもしれません。

しかし、これはあくまでも物理的に可能であるというだけで、現実的にはそのアドレスの所有者にコンタクトを取ることは難しい上に、仮に取れたとしても交渉に応じてくれないケースがほとんどかもしれません。

あくまでも可能性であり、取り戻すのは現実的には難しいと認識し、送金ミスが起こらないように細心の注意が必要です。

取り戻せる可能性がないケース

上記のようなケースでは、暗号資産自体は消滅しないため、もしかすると取り戻すことが出来る可能性があります。

しかし別の暗号資産のアドレスに送金してしまった場合は暗号資産が消滅してしまうため取り戻すことが出来ません。

また、秘密鍵やリカバリーフレーズが忘れられている未使用のウォレットアドレスに送ってしまった場合も取り戻せる可能性がなくなります。

こうしたウォレットに送金されてしまった暗号資産は誰も動かすことができないため、取り戻すことが不可能になってしまうでしょう。

まとめ

今回の記事では、暗号資産の送金ミスにおいて「どのようなケースがあるのか」「取り戻すことは出来るのか」「送金ミスをしないために出来ること」について解説してきました。

人の手で行う以上、完全にミスをなくすことは出来ませんが、ミスをほぼゼロにするために出来ることはあります。

暗号資産を取引する際には、細心の注意を払うように心がけましょう。

   

BTCBOXでは暗号資産塾のテーマを募集しております。記事作成の参考にさせて頂きますので、「暗号資産塾」で取り上げて欲しいテーマについて、こちらからご意見をお寄せください。

記事執筆(コンセンサス・ベイス株式会社)

コンセンサス・ベイスは、国内初のブロックチェーン技術の専門企業として事業を展開しており、専門的な知識と技術を持った企業としてアドバイス、コンサルティング、開発、教育を行っています。

Consensus Base Inc.
コンセンサス・ベイス株式会社はブロックチェーン技術の専門企業です。ビジネス・ICOコンサルと開発を行っています。