今回の記事では、2023年のビットコイン、イーサリアムをはじめとした暗号資産の相場について分析していきます。
下記画像はビットコイン2023年のチャートです。価格変動に要因を与えた可能性のある出来事を振り返りつつ、分析していきましょう。
2023年1月
ビットコインの回復トレンド
1月は全体的に上昇トレンドとなり、1月17日には、ビットコインの価格が2022年10月下旬以来となる2.14万ドルまで上昇しました。
この上昇トレンドには、多くの要因があると考えられ、まず、FTXの崩壊後、市場の不安定さは続きましたが、暗号資産が底値を打ち、それらが落ち着きこれ以上の懸念材料が少なくなったことが要因の一つとして考えられます。また、ポジティブなニュースも多く、イーサリアムの次の大きなアップデート「シャンハイ」が予定されていることや、バイナンスが発行するステーブルコイン「バイナンスUSドル」でのビットコインの入札がトレンドの一因となったのではないかと思います。
最近のマクロ経済環境の改善や株式市場におけるリスク指向の回復や、イーサリアムのバーン量の増加に伴うNFT取引高の急増も、暗号資産市場全体の上昇要因として影響を与えている可能性が高いとされてます。
さらに、経済全体を見ると、アメリカがインフレを抑制しつつ、雇用を維持する「ソフトランディング」の期待が高まっています。この動向は、ビットコインやイーサリアムの価格上昇にも影響を与えていると考えられます。
2023年3月
上旬は不安定、下旬から急上昇
3月上旬は、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の市場流動性が低下しています。ビットコインの流動性は、2022年5月以降で最も低い水準になっており、イーサリアムも同様の傾向にありました。アメリカの銀行業界でも、シルバーゲート銀行やシリコンバレー銀行など、一連の経営破綻が発生しました。これらの銀行破綻は、USDコイン(USCD)などの暗号資産の価格や信頼性にも影響を与えています。特に、シリコンバレー銀行の破綻後、USDCの価格は1ドルを下回るなど、市場の不安が高まっています。また、SECの規制強化により、アルトコインを中心に売りが加速し、BTCも連れ安で2.2万ドルを割れるなど、かなりの下落トレンドに陥りました。
しかし、3月下旬には米国のインフレ減速ペース鈍化によるFRBの利上げ幅拡大の可能性などもあり、価値保存が可能な暗号資産への退避も高まりました。アメリカ人が積極的にビットコインを購入しているとの見解もあり、急激な上昇トレンドを見せました。
2023年4月
波乱含みの月
4月に注目された出来事の一つは、米国のファースト・リパブリック銀行の株価の暴落で、短期間での破綻が報じられました。
この不安定な状況の中、ビットコインは30,000ドルを突破するなどの好調な動きを見せました。さらに、テックやITのトレンドはAIに焦点を当てていますが、ビットコインは過去のバブルのような動きは見せていません。それにもかかわらず、価格の推移は金融の不安を反映していると言えるでしょう。また、ビットコインの爆発的な上昇は、ドルのパニックを示していると分析する人もいます。
イーサリアム(ETH)も、シャンハイという大型アップグレードを完了させ、価格は上昇の一途を辿っています。しかし、4月25日には、シャンハイの成功にもかかわらず、価格は4月9日以来の安値となる1833ドルまで下落しました。
このように、2023年4月は暗号資産の市場にとって波乱含みの月であったことが分かります。
2023年6月
高水準に上昇
ビットコインの価格は一時的な上昇を見せました。資産運用大手のフィデリティがビットコインETFの申請を検討しているとの報道が影響したとされる中、ビットコインの価格は一時3.1万ドルを記録しました。しかし、フィデリティからは正式なコメントは得られず、過去にも同社のETF申請は却下されています。
さらに、世界最大の資産運用会社ブラックロックがビットコインETFを申請したことで、暗号資産市場全体の期待が高まっています。特にビットコインETFの承認が進むことで、多くの投資家が手軽にビットコイン投資ができるようになることが期待されています。
また、6月中旬にはビットコインとイーサリアムが2021年2月以来の高水準に急上昇。これには、アメリカでのETF申請の相次ぐ動きや、主要トークンの上昇が影響しているとされます。ビットコインの市場支配率も50%以上に上昇し、暗号資産市場におけるその地位が確立されつつあることが伺えました。
一方で、アルトコインの中でもXRPの動きが注目されました。XRPは強気のトレンドが確認されています。この動きはビットコインの強気の先例となり、ビットコインの価格も今後の上昇が期待される状況となりました。
2023年8月
大きく下落したが、回復の兆しを見せる
ビットコインは一時的に大きく下落しましたが、その後、一部の好材料により回復の兆しを見せました。
アルトコイン、特にイーサリアムやXRPも注目され、投資家の信頼を取り戻し始めました。
ビットコインの価格は、先物市場の動向や金利上昇、ウォール街のリスク回避姿勢などの影響を受けて変動しました。8月18日、ビットコインは大きな下落を記録しました。しかし、8月30日には、グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)のETFへの転換に関する裁判での好意的な判決が下され、一時2万8000ドルを超える価格回復を見せました。
アルトコインの中で、XRPはSEC(米証券取引委員会)との訴訟で部分的な勝訴を収め、価格は1年ぶりの高値を更新しました。この勝訴は、アルトコインに対する投資家の信頼回復のきっかけとなりました。また、イーサリアム関連の投資商品には大きな資金流入が見られ、イーサリアムの市場センチメントが好転し始めていることを示しています。
小規模なアルトコインも注目されました。特に、ソラナやユニスワップは一定の資金流入を記録しました。
2023年9月・10月
安定的な上昇トレンド
9月20日には、イーサリアムの大口保有者の一部が取引所に移動したニュースが伝えられ、市場の懸念が高まりました。中でも、イーサリアムの共同創設者として知られるブテリン氏が取引所に一定量のETHを送金したことが大きな話題となりました。
一方で、10月6日、ビットコインは一時2.8万ドルを超える急騰を見せました。この上昇は、従来の金融市場の動きとは逆の動きを見せており、ビットコインが安全な避難場所としての地位を確立していることが示されたとされています。
10月下旬には、ビットコインETF(上場投資信託)の承認に対する楽観的な見方が拡がり、ビットコインの価格は年初以来の高値を更新しました。一方、イーサリアムの先物取引は低調で、ビットコインとの差が開く一因となっています。
ETFが今後の価格変動にどのように影響を与えるのか引き続き注目です。
まとめ
2023年の暗号資産市場は、様々な要因によって大きな変動を見せました。
ビットコインは、特に金融機関の破綻やETFの申請動向など、従来の金融市場との関連性を強めながら、安全な避難場所としての地位を確立しているようです。アナリストの指摘によれば、機関投資家の参加も増え、これがビットコイン価格の上昇を後押ししています。
一方、イーサリアムは大型アップデート「シャンハイ」の成功や共同創設者として知られるブテリン氏の動向など、市場の注目を集めましたが、価格の動きはビットコインとは異なるものでした。
アルトコインも多様な動きを見せ、投資家はこれらの暗号資産の特性や将来的な可能性をよく理解し、リスクを分散して投資することが重要となりました。
全体として、2023年の暗号資産市場は、経済環境や政策変動などの外部要因に左右されつつ、その中で独自の動きを見せており、投資家にとっては慎重な市場分析と戦略が求められる時期となっています。
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