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「冗談からはじまり人気になったコイン」ドージコインの価値はどこにある?

かわいい柴犬の顔で知られているいわゆるミームコインの一種のDogecoinですが、その人気の秘訣はかわいさだけでしょうか。Dogecoinの価値とは何でしょうか。また今まで個人や企業によってどのように利用されてきたのでしょうか。今回はDogecoinの魅力について、DogecoinをPRに利用してきた企業のストーリーやDogecoinのクリエイターの話も交えながら紹介しています。どうぞご覧下さい。

本記事は、 STEXに掲載されたJoyce Pavia Hanson氏の「Dogecoin: All Bite or Real Bark」の内容を日本語へ翻訳し掲載したものです。原文の英語版はこちらをご覧ください。

冗談からはじまり「楽しいから」人気になったコイン?

Dogecoinについて全く何も知らないという場合は、そろそろこのコインに注意を払いはじめた方がいいでしょう。Dogecoinはもともと冗談から始まった暗号通貨ですが、今や消費者や企業の定義するところの「価値保存」の認識を根底から覆そうとしているのです。

どうしてこのようなことが起こったのでしょうか。犬のミームという特徴以外に何もないようなコインが、一体どのようにして商品やサービスの「正当な」支払い手段まで上り詰めることができたのでしょうか。

最もシンプルな答えはきっと「楽しいから」ということになるでしょう。この理由に加え、従来の不換紙幣システムを敬遠する人々は、「価値」とは金庫の中に保管されているものによって定義されるのではなく、むしろコインの社会通用性に宿ると捉えている、ということもあるようです。

Dogecoinに関する報道と背景知識

Dogecoin(ちなみに読み方はoを伸ばして “ドージコイン” と発音する)は(本記事執筆時の2021年4月19日)直近の1週間で0.4ドルという過去最高値まで急騰し、時価総額は500億ドルを突破しました。Bitcoinの時価総額と比べると微々たるものに思えますが、実はすごいことです。

CNNも「Dogecoinの上昇は注目に値するものである。」と報じています。報道によれば、「Dogecoinは年初から2,000%以上高騰した。しかもテスラのイーロン・マスクCEOという大ファンがいて、彼のツイートが価格を押し上げる要因となった時もあった。」とのことです。

報道はさらに続きます。「DogecoinはRedditでもカルト的な人気があり、大変有名なReddit上のコミュニティーが、Dogecoinの価格を年内に『ムーン』させる(月に届くほど押し上げる)と決めているという。結果、Dogecoinは600%以上急騰した。」

ここでDogecoinの背景について少し触れておくと、Dogecoinはソフトウェアエンジニアのビリー・マーカス氏(Billy Markus)とジャクソン・パーマー氏(Jackson Palmer)によって開発されたコインで、2013年にローンチされました。

Dogecoinは自らを「世界中の “柴犬たち”(Dogecoin愛好家)に支持されている、オープンソースのP2Pのデジタル通貨」であると定義しています。

Dogecoinのウェブサイトでは「Dogeは楽しくてフレンドリーなマスコットです。」と説明されており、また「柴犬はオンラインミームとして広まった日本の犬種で、Dogecoinの象徴的存在です。」と紹介されています。

愛らしい犬の顔は有名人やソーシャルメディアのユーザーたちを魅了してやまず、魅了された人々はこのコインのアイコニックなイメージのとりこになってしまうのです。

#Dogcoin、#DogeWeek、#DogeToTheMoon…このコインのミームはとどまるところを知らないようです。ソーシャルメディア上でのものすごい活気がDogecoinの価格を押し上げ続けているのです。

有名人との関係と広報的価値

「フレーバータウン」の市長を名乗るガイ・フィエリ氏は、2021年4月13日に宇宙服を着たアイコニックなシェフである自身の写真をのせた「Rollin’ out to the moon」というツイートをし、数万人のフォロワーを集めました。

フィエリ氏と同じくDogecoinのファンであるイーロン・マスク氏も、2021年4月15日に「Doge barking at the moon」とツイートし、Dogecoinの価格高騰に貢献したと言われています。

ミーム的な側面がトレーダーたちの間で人気を集める一方で、事業家たちの間では、Dogecoinを商業的に利用できる支払形態にしようとするより本格的な動きも出てきました。ここでまた、暗号通貨ファンの著名人が事例作りに貢献しました。

ダラス・マーベリックス(NBAのチーム)のオーナーであるマーク・キューバン氏は2021年3月のプレスリリースの中で、「マーベリックスがチケットやグッズの支払い手段としてDogecoinを受け入れることにしたのには、この地をも揺るがすほどの非常に重要な理由がある。その理由とは、我々にそれが可能だからである。」と述べました。

キューバン氏はさらに続けて「ビジネスをするには、楽しく魅力的で、願わくばたくさんのPR効果を生み出すようなことも必要だからこうするのだ。」と付け加え、「だからこそ我々はDogecoinを今日も、明日も、そしてこれから先もきっと受け入れ続けるだろう。」と締めくくりました。

Dogecoinでの売上は550%以上増加したとキューバン氏は報告しました。また「現在のところ累計122,000Doge以上のグッズを販売した。受け取ったDogeは1Dogeも売却しない。」とツイートした記録も残っています。

Dogecoinの広報価値に大きな重要性を見出している巨大企業は他にもあります。たとえばサラミスティックのブランド「スリムジム(Slim Jim)」は、格式高いDogecoinのソーシャルメディア戦略を持っていて、自社商品とDogecoinを関連づける一連のミームやハッシュタグを通してDogeの愛好家たちにアピールしています。

コインデスクの報道によれば、スリムジムの親会社である「コナグラ・フーズ(Conagra Brands)」のCEO情報では、ソーシャルメディアに精通したスナック菓子ブランドであるスリムジムは、柴犬のミームを持つコインの関連コンテンツを取り入れ始めて以来、1四半期でTwitterのフォロワー数が160%も増加したそうです。またツイートの月間インプレッションも急騰した(25日間で3500万インプレッション)とのことです。

スリムジムのDogecoin関連キャンペーンは同社の決算説明会の中でも言及されました。スリムジムのショーン・コノリーCEO(Sean Connolly)は、「Dogecoinを開発した人々からの直接的な関与や支持も含め、オーディエンスとの交流が大幅に増加した。」と述べています。

クリエイターの語るDogecoinの「真の価値」とは?

Dogecoinの共同開発者のビリー・マーカス氏はRedditに投稿されたオープンレターの中で、Dogecoinの背景にある思想について簡単に説明しています。

その中でマーカス氏は、「たしかに冗談のつもりで作りました。ジャック・パーマー氏がこのアイデアについて『次来る流行(the next big thing)だ』と軽口を叩いた後、私は全くの無計画でそのアイデアを形にしたのです。何の期待もしていませんでした。作るのにかかった時間は3時間くらいです。」

また、マーカス氏はRedditのr/dogecoinのグループにいる130万人以上のメンバーに対して、Dogecoinをローンチする際に思い描いていたことを説明しています。

「喜び、優しさ、学び、他者に与えること、共感、楽しみ、コミュニティ、インスピレーション、創造性、寛容さ、愚かさ、不条理。こういったものが、私にとってDogecoinの価値を高めているものです。したがってコミュニティーがこれらの要素を体現していれば、それこそが真の価値(True Value)です。」

「価値の貯蔵」機能は果たして真の価値なのでしょうか?

どうやら「真の価値」というのは、暗号通貨が主流になっていくにつれて、Dogecoinやその他のまだ日の目を見ていないような、ブレイク前の多くのデジタル通貨の物語によって再定義されていくようです。

冗談から始まったコインであるDogecoinにとっては「to the moon」という言葉が真言、あるいはスローガンとなりました。

翻訳: Nen Nishihara

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