SH

Dogecoin価格分析〜プログラミング言語「Python」を使用してDogecoinを紐解く〜

Dogecoinの価格データを収集してプログラミング言語「Python」を用いて統計情報を作ると、どのようなことが見えてくるでしょうか。本記事ではDogecoinの約半年分の価格データを集め、様々な統計を利用して多角的に分析しています。Dogecoinは買い時なのか売り時なのか、上昇トレンドにあるのか、平均リターンの期待値はどれくらいか、1日の最大利益や最大損失はどの程度なのか、出来高に対する価格の動きは健全か、などなど、非常に興味深い各種分析をご紹介します。各種チャートの見方や指標の意味を勉強することもできる面白い記事となっておりますので、ぜひご覧下さい。

本記事は、 randerson112358氏の「Dogecoin Analysis: Will Dogecoin Increase in Price?」の内容を日本語へ翻訳し掲載したものです。原文の英語版はこちらをご覧ください。

はじめに

この記事の資料は教育を目的とするものであり専門的な投資アドバイスではありません。投資はご自身の判断で行ってください。また、記事を気に入っていただけた方はぜひ原文の英語版から「拍手する」を押していただければ、我々のコンテンツ作りのはげみとなります。

本記事は暗号通貨Dogecoinの分析を試みるものです。記事を読むよりも動画で内容を知りたいという方のためにはYouTubeのビデオもあります。記事の内容を詳しくカバーした動画となっておりますので、こちらをご覧いただくと、今回の分析で使用されているプログラミング言語Pythonについて学習することができます。(使用したプログラミングコードについてもご紹介しています。)

Dogecoinはソフトウェアエンジニアのビリー・マーカス氏とジャクソン・パーマー氏によって発明された暗号通貨です。両氏は、動作がはやくて、楽しめて、かつ送金手数料のかからない決済システムの開発を目指していました。

こうして誕生したのがDogecoinと呼ばれる「ミームコイン(ミームから生まれた暗号通貨)」です。Dogecoinはご存知の通り非常に人気が高まっていて、その急成長ぶりはわずか1ヶ月足らずで800%という価格上昇を記録したほどです。以下からはDogecoinに関して分析を行っていきます。

値動きのデータを収集する

まずはじめに2019年12月から2021年4月までのDogecoinの値動きに関するデータを収集しました。


表:2019年12月から2021年4月までのDogecoin価格(一部省略あり) 
<左から右へ>日付、始値、高値、安値、終値、調整後終値、出来高

Pythonで統計情報をとる

次に、先ほど収集したデータセットの統計をとっていきます。データセット内のDogecoinの最高終値は約40.73セント(0.473ドル)で、最低終値は約0.1537セント(0.01ドル未満)であるということがわかりました。(下表参照)

表:収集したDogecoinデータのPythonによる統計情報
<上から下へ>データ件数、平均、標準偏差、最小値、第1四分位数、第2四分位数、第3四分位数、最大値

つまり、この資産を最安値の終値で購入し最高値の終値で売却した場合、当該資産はおよそ400倍になるということになります。2年未満という短い期間からはとても考えられないような利益です。

ローソク足チャート

次はローソク足のチャートを見ていきましょう。ローソク足のチャートからは特定期間における資産の始値、終値、高値、安値がわかります。したがってローソク足のチャートを使うと、特定期間における価格の範囲を視覚的に捉えることができます。


チャート:2020年1月から2021年4月までのローソク足チャート

ここからズームインして、より新しい方の日付のデータのみにフォーカスしてみましょう。興味深いことに、2021年4月18日から2021年4月27日の間に数日、始値と終値の幅が小さくなっている日があるということがわかります。ローソクのヒゲもかなり短くなっています。つまりこの数日に関してはDogecoinの値動きがほとんどなかったということが言えます。

さらにチャートを見ていただくと、2021年4月16日に大きな緑のローソクがたっていることがおわかりいただけるかと思います。ここからわかるのは、①この日は始値よりも終値が高かったということ、②前取引日と比較して劇的な価格上昇があったこと、の2点です。


チャート:2021年の4月にフォーカスしたローソク足チャート

フィボナッチリトレースメントでトレンド分析

次は終値と出来高のグラフを用意して、終値についてフィボナッチリトレースメント用に水準線を入れましょう。フィボナッチリトレースメントを使うと、押し目(上げ相場が一時的に下がること)やトレンドの勢い(上昇が失速するかどうか)などを予測することができます。

実際に、黄色の水準線によって押し目が支えられているということがわかります。またオレンジの水準線付近で反発があり、価格が停滞ぎみであるということも見てとれます。


グラフ上部:2019年末から2021年5月までの終値の推移(フィボナッチリトレースメントの基準線入り)
グラフ下部:同期間の出来高

出来高は株式であれば取引された株数を、先物・オプション取引であれば契約数をしめします。出来高をみればマーケットが強気かどうか(取引が活発かどうか)を知ることができます。

上のグラフから、出来高が激増している時は価格も急騰しているということがわかりますが、これはよいことです。もしも出来高が少ないのに価格が劇的に上昇していたりしたら心配になってしまいます。

Investopedia(投資や金融商品情報を提供する金融関連ウェブサイト)によると、「出来高が減少しているタイミングで価格が高値(あるいは安値)を更新したら要注意です。価格のリバーサル(反転)が始まっているかもしれません。」とのことです。

これらのことからも、今回のDogecoinのグラフにみられるような出来高の増加にともなう価格上昇はよい傾向だとみることができます。

Dogecoinのリターン分析

次は日次の単純リターンについて分析をしていきましょう。下のグラフを見ると、グラフが大きく伸びている箇所、つまり価格が大きく上昇している日があることがわかります。グラフが最高点に達している日は、価格が250%以上伸びています。また、最高点まで上昇したすぐ後に、今度はおよそ40%も下がった日もあります(これは今回収集したデータセットの中でも最もリターンの低かった日でした)。

日次の単純リターンの実際の最大値と最小値を得るには、これらの単純リターンの統計を取る必要があります。



グラフ:日次の単純リターン(2020年1月〜2021年5月)
縦軸はパーセンテージ(1.0=100%)

これから取得していきたいのは1日の単純平均リターンと日ごとの最大リターンと最小リターン(つまり最大損失)です。そこで、まずは日次の単純リターンの統計情報をとる必要があります。

表:日次の単純リターンの統計情報のPythonによる統計情報
<上から下へ>データ件数、平均、標準偏差、最小値、第1四分位数、第2四分位数、第3四分位数、最大値

上の表から、1日の単純リターンの最大値は約275.64%で最小値は約-40.26%、平均するとDogecoin投資に対して毎日約1.67%のリターンが期待できるということがわかります。これはなかなか悪くない数字ですが、この統計からは価格の変動がすごく激しいということも見てとれます。Dogecoinは安定した資産を探しているという人には向いてなさそうです。

単純移動平均と相対力指数

最後のグラフは、SMA(単純移動平均)とRSI(相対力指数)を示したものです。RSIが70以上であれば当該資産は買われすぎている状態であると見なされるので、売り時だと言えます。逆にRSIが30以下の時は売られすぎている状態であり、買い時だと判断することができます。



左グラフ:2020年1月から2021年5月までのDogecoinのRSI(相対力指数)
(緑の線はRSI=30とRSI=70)

右グラフ:2020年1月から2021年5月までのDogecoinのSMA(単純移動平均)
(青線は終値、赤線は30日移動平均線)

上のRSIのグラフを見るとRSIが70と30のちょうど真ん中に入っているので(記事執筆時点=2021年5月)、今は売るタイミングでも買うタイミングでもなく、資産を保持しておくのが良さそうであるということがわかります。

SMA(単純移動平均)からは、一般的に資産のトレンドを読み取ることができます。資産価格がSMAよりも上の場合、当該資産は上昇トレンドにあります。逆に資産価格がSMAを下回っている場合は下降トレンドとなります。上のSMAのグラフをみてみると、Dogecoinは間違いなく上昇トレンドにあるということがわかります。

最後に

たしかにDogecoinはすぐにリターンを得るためにはよい投資かもしれません。価格上昇は今後も続いていきそうです。ただ、繰り返しになりますが私はファイナンシャルアドバイザーではなく、本記事も金融アドバイスではありません。投資をはじめるのに遅すぎるということはありませんが、投資を行う際には必ずご自身でよく調査をするようにしてください。

本記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。お楽しみいただけましたでしょうか。記事を気に入ってくださったという方はぜひ、原文の英語版の最後にある拍手ボタンを押していただければと思います。また、記事が面白かったという方はぜひ下のリンクからウェブサイトとYouTubeチャンネルもみてみてください。金融やコンピューターサイエンス、プログラミングがお好きな方は必見です。一緒に勉強を続けていきましょう。

ウェブ: https://everythingcomputerscience.com/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCbmb5IoBtHZTpYZCDBOC1CA

翻訳: Nen Nishihara

暗号資産に係る留意事項 

1.弊社が取り扱う暗号資産は、弊社の説明に基づき、金融庁・財務局が資金決済法上の定義に該当することを確認したものにすぎません。

2.金融庁・財務局並びに弊社が、これらの暗号資産の価値を保証したり、推奨するものではありません。暗号資産は、必ずしも裏付けとなる資産を持つものではありません。

3.暗号資産の取引を行う際には、以下の注意点にご留意ください。

(1)暗号資産は、日本円やドルなどのように国がその価値を保証している「法定通貨」ではありません。インターネット上でやりとりされる電子データです。

(2)暗号資産は、価格が変動することがあります。暗号資産の価格が急落したり、突然無価値になってしまうなど、損をする可能性があります。

(3)暗号資産交換業者は金融庁・財務局への登録が必要です。弊社は暗号資産交換業者(関東財務局長第00008号)です。

(4)暗号資産の取引を行う場合、弊社のWeb上の説明書面(利用規約等)をお読みいただき、取引内容をよく理解し、ご自身の判断で行ってください。

(5)暗号資産や詐欺的なコインに関する相談が増えています。暗号資産を利用したり、暗号資産交換業者の導入に便乗したりする詐欺や悪質商法にご注意ください。

なお、弊社が取り扱う暗号資産は、弊社の暗号資産交換業の登録に当たり弊社の取り扱う暗号資産として金融庁・財務局に申請したものです。