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暗号資産の送金が遅くなったりするのはなぜ?対処法はあるのか?【暗号資産塾〜初心者のための入門コラム】

暗号資産と言えば、2017年のビットコインバブルの影響などにより投資対象として注目されがちですが、手軽に送金することが出来ることも魅力の一つです。

しかし、簡単に出来る送金も、現状では時間がかかってしまうことがあるのも事実です。

この記事ではそんな暗号資産の送金に時間がかかってしまう理由と、それに対する対処法について初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

暗号資産の送金時間の決まり方

暗号資産は法定通貨と同様に、任意の相手に対してその暗号資産自体を送金することが可能です。

法定通貨と違うのは、海外であろうが簡単に送金出来るということでしょう。

送金の手続き自体は非常に簡単ではあるものの、送金した瞬間に相手方に届くわけではなく、タイムラグが発生します。(受け取った側がその暗号資産をすぐに使える状態になるわけではありません。)

まずはこの暗号資産送金のタイムラグがなぜ発生するのか、送金時間はどのように決まるのかについて確認していきましょう。

送金が完了するにはマイニングによる承認が必要

暗号資産の送金にタイムラグが発生する最大の理由は、行われる取引の正当性を検証するための時間が必要だからです。

「暗号資産は改ざんが非常に難しい」と言われるのはこの承認作業が行われているためで、これがなければ暗号資産の信頼性は揺らいでしまうと言っても過言ではありません。

では具体的にどのようなプロセスで承認が行われるのかについて、ビットコインを例に解説します。

ビットコインは10分に一回まとめて承認

ビットコインの取引は現在世界中で24時間絶え間なく行われていますが、これらの取引(トランザクションと言います)の一つ一つは、手続きをした段階ではまだ承認されておらず、「未承認」の状態になっています。

この未承認のトランザクションが、マイナーと呼ばれる確認者に送られ、マイナーがそのトランザクションに改ざんなどの問題がないか確認作業を行います。

ビットコインでは、これらのトランザクションを一つにまとめてブロックにし、およそ10分ごとに一括で承認する仕組みになっています。

承認されたブロックが、これまで一本の鎖のように繋がれてきたブロックの最後に追加されることで、初めてその取引が成立します。

「ブロックチェーン」という技術の名前の由来にもなっているもので、ビットコインでは10分おきにこの承認作業が行われるためにどうしてもライムラグが生じてしまいます。

暗号資産の送金が遅くなる理由

では、ビットコインの場合であれば最長でも10分で送金が完了するのかと言えば必ずしもそうとは限りません。

それどころか、場合によって数時間、数日、数週間かかってしまう可能性もあります。

ではなぜ10分に一回承認されるはずのビットコインの送金にそれだけ時間がかかってしまう可能性があるのでしょうか。

その理由は主に以下の3つです。

  1. 一つのブロックに取り込める量が決まっている
  2. 手数料が高い順に処理されていく
  3. マイナーが減っている

どういうことなのかそれぞれ見ていきましょう。

一つのブロックに取り込めるデータのサイズが決まっている

ビットコインでは一つのブロックに書き込めるデータのサイズが1MBと決まっています。

そのため、取り込みきれなかったトランザクションは次のブロックへ取り込まれることになります。

次のブロックが承認されるまで取引は完了しないので、承認までの時間がさらに10分延長されることになります。

このようにトランザクションの量が増えることによってどんどんと未承認のトランザクションが溜まってしまい取引は遅延していきます。

手数料が高いトランザクションから優先的に処理される

上記のように未承認の状態で保留となったトランザクションは、手数料が高い順に処理されていきます。

承認作業を行うマイナーはこの手数料が報酬となっているため、高い手数料が設定されたトランザクションから優先的に処理していきます。

そのため、手数料が安く設定されていたり、無料に設定してしまっていれば、いつまでも処理されず、承認されるまでに数週間かかってしまうこともあります。

マイナーが減っている

ビットコインの承認作業を行うマイナーは、当然ですが報酬を目当てにこの作業を行っています。

しかし、昨今はこのマイニングを行うためのコスト(電気代)が高騰していることや、マイニング報酬の減少(ビットコインの半減期)によってマイナーが減ったとされています。

承認作業をしてくれるマイナーが減ってしまえば、当然処理出来るトランザクションは減ってしまいます。

このことも送金が遅くなってしまう原因の一つと言えるでしょう。

暗号資産の送金が遅い場合の対処方法

上記のような理由で暗号資産の送金が遅くなってしまった場合でも、送金を早める方法があります。

どうしても送金を早く行いたい場合には以下の二つの方法が主な対処方法となるので確認していきましょう。

送金手数料を多く支払う

送金が遅い場合の対策としてまず出来ることは、「送金手数料を高く設定する」ことです。

上記で解説した通り、保留となったトランザクションは手数料が高く設定されたものから優先的に処理されていきます。

個人ウォレットを利用して暗号資産の送金を行う場合、マイナーに支払われる手数料を高く設定することでマイニングの優先度合いが上がるため送金が完了するスピードを早めることが出来る可能性が高くなるでしょう。

送金する時間を変える

送金時間を短くするもう一つの方法は、混雑しそうな時期や時間を避けるということです。

これまでの解説の通り、取引量が増えることで未承認のトランザクションが溜まってしまい、送金に時間がかかってしまいます。

取引量が減りそうな時間帯、時期を狙って送金をすることで送金時間を短くすることが出来る可能性があります。

ただし、送金しようと思った瞬間を起点に考えれば、結果送金時間が長くなってしまっていることと変わらないという考え方もあるでしょう。

一刻も早く送金したいという方にはあまり向かない選択肢と言えます。

送金時間の短い暗号資産に変えて送金する

上記の二つが「暗号資産送金時間の主な短縮方法」と言えますが、もう一つ方法があります。

それは「送金時間の短い暗号資産に一旦変えてから送金する」という方法です。

例えば、ビットコインを送金したい場合、一旦イーサリアムやリップルなどの別の暗号資産に変えてから送金するという方法です。

「送金時間の短い暗号資産は何か」を調べる必要があることや、「もう一度元の暗号資産へ変える際の変動リスク」がありますが、このような方法があるということも頭に入れておくと良いかもしれません。

まとめ

暗号資産の送金時間がなぜ遅くなるのか、また遅くなってしまう時にはどうすれば良いのかについて解説させていただきました。

暗号資産は、世界中のどこでも簡単に送金が出来ることが大きな魅力の一つです。

ただ送金には時間がかかってしまう可能性があることも知っておきましょう。

すぐにでも暗号資産を送金しなくてはいけない場合には、この記事で紹介したように手数料を上乗せする、送金時間や時期を変更する、他の暗号資産に変えてから送金するなど、なんらかの対策をするようにしましょう。

   

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記事執筆(コンセンサス・ベイス株式会社)

コンセンサス・ベイスは、国内初のブロックチェーン技術の専門企業として事業を展開しており、専門的な知識と技術を持った企業としてアドバイス、コンサルティング、開発、教育を行っています。

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