デジタルコンテンツに特化したプラットフォームとして誕生したトロン(TRON)。
2021年3月には国内取引所で初めて上場した暗号資産として非常に注目を集めました。
この記事ではそんなトロンについて初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
トロンとは?
トロン(TRON)は、ブロックチェーンの技術を用いて、ゲーム、動画、音楽などデジタルコンテンツの配信、保存、所有などを目的として開発されたプラットフォームです。
リップルチャイナの事務所長をしていたことでも知られている創業者のジャスティン・サン氏によって設立されたトロン財団から2017年に公開されました。
暗号資産としてのトロン(TRX)は、このプラットフォーム上の基軸通貨としての役割を果たしています。
トロンの特徴
デジタルコンテンツのプラットフォームとして誕生したトロンは、ブロックチェーンを用いることでこれまでのプラットフォームとは一線を画したいくつかの特徴を持っています。
これについて一つ一つ解説していきます。
非中央集権型(分散型)のプラットフォーム
YouTubeなどに代表される既存のデジタルコンテンツプラットフォームは中央集権型である一方、トロンは非中央集権型のプラットフォームとなっていることが大きな違いであり特徴となっています。
YouTubeであればGoogleという管理者がサービスの運営を行っていますが、トロンはブロックチェーン技術を用いることで、そのような管理者を必要としません。
これによって、これまではクリエイターが管理者に支払っていた利用料や手数料、広告料や投げ銭の一部などを支払う必要がなくなります。
ユーザーがクリエイターに対して直接的に課金することが出来ることで、クリエイターは広告主に忖度することなく真にユーザーが求めるコンテンツを作ることに専念することが出来るでしょう。
また、ブロックチェーンによって分散管理されるためサーバーダウンなどのトラブルを回避することが可能であるといった点も大きなメリットの一つです。
DApps(分散型アプリ)の開発・利用が可能
トロンでは、ブロックチェーン上でDAppsの開発を行うことができます。
DAppsとは、中央管理者のいないサービスを提供するアプリケーションのことで、これまではイーサリアム上での開発が主でしたが、この開発がトロン上でも行われるようになってきています。
独自のコンセンサスアルゴリズムにより素速い処理速度を実現
トロン(TRON)では、コンセンサスアルゴリズム(取引に不正がないかの承認作業およびそのアルゴリズム)において、独自の方法(DPoSをベースとした)を採用しています。
暗号資産でも特に有名なものと言えばビットコインを思い浮かべる方が多いかと思いますが、ビットコインとは全く違ったアルゴリズムを採用しています。
ビットコインは1秒あたり7~10件程度の取引しか処理出来ないのに比べ、トロンでは1秒あたり2,000件もの処理が可能です。
暗号資産の中でも特に処理が早いとされるリップル(1秒あたり1,500件)よりも速いことはトロンの大きな特徴と言えるでしょう。
ICOが可能
トロンのプラットフォーム上では、独自のトークンを発行することが可能です。
いわゆるICOと言われるもので、コンテンツを制作するための資金調達をすることができるため、クリエイターにとって非常に活動が行いやすくなっています。
また発行されたトークンがその価値を高める可能性を秘めているため、投資家がクリエイターを応援しやすい環境にもなっていると言えるでしょう。
DeFi(分散型金融)の発展
トロンは、DeFi(分散型金融)の発展にも力を入れています。
それによりトロンはDefiの預け入れ総額で世界で第2位の規模へと発展しています。(2023年3月時点。なお1位はイーサリアム)
企業やプロジェクトと提携している
トロンは上記のようなデジタルコンテンツ配信プラットフォームを作るだけでなく、多くの有名企業やプロジェクトと提携および買収を進めています。
以下に主な提携先を紹介しておきます。
● Samsung:韓国の総合家電メーカー
● Obike:シンガポールを拠点とするシェアサイクル事業を展開する企業
● Opera:ノルウェーのソフトウェア企業
● Swisscom:スイス最大の電気通信事業者
● BitTorrentt:アメリカのソフトウェア開発企業
● BitGuild:中国の分散型ゲームプラットフォーム
● steemit:韓国の分散型SNS
例えばObikeでは独自のトークンが発行されており、サービスの利用にそのトークンを使用することが可能です。
これらの提携は今後も広がっていく可能性があると言えるのではないでしょうか。
ロードマップを作っている
トロンは現状ではまだ未完成のプラットフォームでありながらも、そのスタート時より今後に向けてのロードマップを発表しており、2027年の完成を目指しています。
以下にそのロードマップを紹介しておきます。
- Exodus(2017年8月〜2018年12月)
- Odyssey(2019年1月〜2020年6月)
- Great Voyage(2020年7月〜2021年7月)
- Apollo(2021年8月〜2023年3月)
- Star Trek(2023年4月〜2025年9月)
- Eternity(2025年4月~2027年9月)
第一段階(Exodus)ではユーザーがデータをアップロード出来る様にする。
第二段階(Odyssey)ではクリエイターが利益を上げることが出来るシステムを導入する。
といったロードマップが期間を区切ってしっかりと設定されており、これまでほぼロードマップ通りにアップデートが進んでいることは、トロンの信頼性を高いものにしていると言えるでしょう。
現在は第4段階(Apollo)にきていて、ここでのロードマップは「独自トークンの発行を可能にする」となっていますが、これもすでに達成されています。
トロンの価格動向について
2017年8月にスタートしたトロンですが、そこから現在までに主に3回の大きな価格変動があったのでそれについて見ていきます。
以下が価格変動のグラフとなるのでまずはそちらをご覧ください。
まずは2017年12月から2018年1月にかけて急騰しているのがお分かりいただけるかと思いますが、これは仮想通貨バブルです。
多くの仮想通貨の資金が一気に流れ込み、その恩恵をこのトロンも受けた形となっています。
続いては、韓国の大手取引所である「Bithumb」への上場です。
そして三つ目は日本の取引所であるビットポイントで取り扱いが開始となった時です。
このように何かのきっかけで価格が大きく動くことがあるため、今後もなんらかの要因により価格が変動する可能性はあるでしょう。
まとめ
以上、トロンについてその特徴などについてまとめてきました。
既存のサービスとは一線を画したブロックチェーン技術によるデジタルコンテンツプラットフォームは、業界を大きく変える可能性を秘めています。
そうなれば暗号資産としてのトロン(TRX)の需要も高まるかもしれません。
今後の展開や拡大について注目しておく価値は十分にあると言えるのではないでしょうか。
BTCBOXでは暗号資産塾のテーマを募集しております。記事作成の参考にさせて頂きますので、「暗号資産塾」で取り上げて欲しいテーマについて、こちらからご意見をお寄せください。