SH

暗号資産が無くなってしまう事故はなぜ起こるのか(取引所編)【暗号資産塾〜初心者のための入門コラム】

暗号資産が無くなってしまう事故について、時折ニュースなどで目にしたことがある方は少なくないでしょう。

この記事では、特に取引所に預けた暗号資産が消失してしまう事故が発生する原因や具体例を紹介しながら、その背景にある課題や解決策について初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

暗号資産が無くなる事故の原因とは

まずは暗号資産が消失してしまう原因について確認していきましょう。

セキュリティ上の問題

暗号資産取引所のセキュリティが不十分な場合、攻撃者によるサイバー攻撃やマルウェアによる盗難などの危険があります。

過去には、取引所に対する不正アクセスによって管理者権限が奪われ、ウォレットから多額の暗号資産が盗まれたケースなどが存在します。

技術的な問題

暗号資産を取り扱うウォレットや取引所の技術的な問題によって暗号資産が消失することがあります。

一つはプログラムのバグによって暗号資産が消失する可能性です。

実際に複数アカウントで暗号資産を管理することが可能であったウォレットの機能にバグがあったことにより、多額の暗号資産がアクセス不能になった例があります。

法的な問題

政府による規制や法律の変更などにより暗号資産が禁止され、取引所が閉鎖に追い込まれ、暗号資産が取り出せなくなってしまう、もしくはその価値が暴落する可能性があります。

実際に中国政府による規制強化によって取引所が閉鎖され、投資家の暗号資産が失われたり、アメリカ証券取引委員会などの決定によって価格が急落した事例もあります。

自然災害

暗号資産が無くなってしまう事故には自然災害もあります。

実際に海外の取引所では洪水によって保管していたコールドウォレットが破壊されてしまい、その中に保管されていた暗号資産が失われてしまった事例があります。

暗号資産消失を防ぐために取引所が行っている対策

ここまで取引所に預けた暗号資産が消失してしまう原因について紹介してきましたが、これに対して取引所はどのような対策を行なっているのでしょうか。

その対策について解説していきます。

セキュリティ対策

取引所ではハッキングなどの外部からの攻撃を防ぐために、セキュリティ対策を行っています。

例えば、2段階認証、2要素認証の導入、暗号化技術、マルチシグ機能などの導入により不正アクセスを防いだり、システムの監視や運用管理によって異常が見られた場合に即座に対応する体制作りを行います。

技術的対策

取引所では、プログラムのバグなどによって、暗号資産が消失する可能性を減らすために、定期的なシステムのテストや更新を行っています。

またシステムダウンを防ぐために、サーバー性能の向上や冗長性の確保、ハードウェアやソフトウェアの最適化、DDoS攻撃から守るための防御システムの導入も行われます。

災害対策

取引所は自然災害に備えるために、適切な対応を講じるためのマニュアルを策定したり、実際に災害によって暗号資産消失事故が起きた場合の保障内容を取り決めています。

暗号資産を消失させないために個人で出来ること

ここまでは取引所において暗号資産が無くなってしまう事故の原因や、取引所が行っている対策について解説していきましたが、取引所を利用する個人が出来ることについてもまとめておきます。

取引所の選択

暗号資産を取引所で保有する場合は、取引所の選定が非常に重要です。

取引所の運営会社の信頼性やセキュリティ対策が重要なポイントとなります。

また、取引所の保険制度がある場合は、暗号資産の盗難や不正アクセスなどの被害に遭った場合にどの程度の補償を受けることが出来るかについてもしっかりチェックしておきましょう。

セキュリティの強化

二要素認証や二段階認証を適切に設定する。パスワードの定期的な変更や推測されにくいパスワードにする。リカバリーフレーズを適切に管理するなど、ユーザー側で出来ることについてはしっかりと設定するようにしましょう。

また取引所から提供されるアプリを常に最新の状態にしておくことも個人で出来る重要なセキュリティ対策の一つです。

情報収集

暗号資産の取引や保管に関する情報は、常に最新の情報にアップデートするようにしましょう。

テクノロジーの進歩やセキュリティリスクの変化に迅速に対応することで、より安全に暗号資産を保管することができるでしょう。

また、取引所の安全性に関するニュースや情報にもしっかりアンテナを向け、利用中の取引所に問題が発生していないかを把握しておくことも対応のスピードへ繋がる重要な項目となります。

法的な問題への対応

暗号資産に関する法律や規則について把握するようにしましょう。

また、海外の取引所を使う場合には日本とは異なる法律や規則が存在するため、もしもの時にどのような事態になりうるのか、ある程度把握しておくことが大切です。

その国の法律が変更されることによって取引所が凍結され資産を引き出せなくなるといったことがあり得るということは頭に入れておきましょう。

送金ミス

ユーザーの送金ミスによっても暗号資産を無くしてしまうケースがあります。

送金先のアドレスを間違えてしまう、別の暗号資産のアドレスに送金してしまうなどのミスによって暗号資産を取り戻すことが出来なくなってしまうケースがあるため、こうしたミスが起きないように注意が必要です。

取引所における暗号資産消失の過去事例

最後に、実際にあった暗号資産が無くなってしまう事故について、どのようなケースだったのかを紹介していきます。

これらはあくまでも過去の事例なので、現在ではこうしたケースを元に対策が行われています。

取引所不正アクセスによる事例

取引所に預け入れられている暗号資産が無くなってしまうケースで最も多いのがこの不正アクセスによるものです。

不正アクセスは様々なルートから行われると考えられますが、いずれにしても脆弱なセキュリティの穴をついて不正アクセスが行われ、管理者権限を奪われるなどされることによって暗号資産が盗まれてしまいます。

こうしたことを防ぐためにも、取引所では上記で紹介したようなセキュリティの強化が行われています。

取引所管理のウォレット秘密鍵が管理者死亡により分からなくなった事例

ある海外の取引所において、CEO死亡により取引所が閉鎖。

その後の発表で、同取引所が顧客の暗号資産をCEOが独自のウォレットで管理していたことが判明。

アクセスの方法が明記されたものが何も残っていなかったために同ウォレットに保管されていた暗号資産にアクセスすることが不可能になってしまうという事件がありました。

誤送金による消失

海外の取引所から国内の取引所に暗号資産を送金しようとした際、チェーンの選択を誤ってしまい国内の取引所が対応していないために送金した暗号資産を移動させることが出来なくなってしまった事例があります。

これは海外の取引所を使用する際に特に気を付ける必要があり、送金手続きの際にはしっかりと確認することが大切です。

まとめ

以上、この記事では暗号資産が消失してしまう原因や過去の事例について紹介させていただきました。

ここで紹介した事例を見て、暗号資産を取引することに不安を感じる方も少なくないかもしれません。

しかし、取引所ではハッキングや内部の不正を防ぐための様々な対策が行われており、過去の事例のような事故は起こりにくくなっていると言えます。

またユーザー側も、使用している、もしくは使用を検討している取引所がそうした対策をしっかりと行なっていることを確認することでリスクを軽減し、より安全に暗号資産の取引を行いましょう。

   

BTCBOXでは暗号資産塾のテーマを募集しております。記事作成の参考にさせて頂きますので、「暗号資産塾」で取り上げて欲しいテーマについて、こちらからご意見をお寄せください。

記事執筆(コンセンサス・ベイス株式会社)

コンセンサス・ベイスは、国内初のブロックチェーン技術の専門企業として事業を展開しており、専門的な知識と技術を持った企業としてアドバイス、コンサルティング、開発、教育を行っています。

Consensus Base Inc.
コンセンサス・ベイス株式会社はブロックチェーン技術の専門企業です。ビジネス・ICOコンサルと開発を行っています。