近年では、広く投資対象としても注目を浴びる暗号資産ですが、管理する上では紛失のリスクがあることを忘れてはいけません。
この記事では、個人が自分自身のウォレットで管理する暗号資産が無くなってしまうケースやそれを防ぐための対策について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
暗号資産を個人が無くしてしまうケース
まずは個人で管理している暗号資産が無くなってしまうケースについて確認していきましょう。
送金ミス
まず気をつけなくてはいけないのが、暗号資産を送金する際のミスです。
暗号資産における送金ミスは、銀行振り込みの間違いとは性質が異なるため、戻ってこなくなってしまうケースがあります。
一つは送金先のアドレスを間違えてしまい、存在しないアドレスや知らない人に送ってしまうケース。
銀行振込とは異なり、暗号資産の場合は存在しない人のアドレスに送金しても正常に処理されてしまい、組戻し手続きなどもできないことが一般的です。
また、もし仮に受取人が存在すれば、返してもらえるように交渉することも出来るかもしれませんが、現実的には受取人を特定することは難しく、仮に分かったとしても返してくれるとは限りません。
続いては、違う暗号資産のアドレスに送金してしまうケース。
イーサリアムとイーサリアムクラシックのようなアドレス形式が同じチェーンの場合、エラーとならずに送金が完了してしまうケースがあります。
この場合は、受け取り手のウォレットや取引所がそのチェーンに対応していなかった場合、暗号資産が消滅してしまうリスクがあります。
ウォレットの紛失
取引所を使わずに自分で暗号資産を管理する時に必要なのがウォレットです。
このウォレットを紛失してしまうと、そこで管理していた暗号資産を消失することになってしまいます。
ウォレットにはウェブ上で管理するオンラインウォレットや物理的なデバイスとして存在するハードウェアウォレットなどがあります。
オンラインウォレットが紛失するというとイメージが湧きにくいかもしれませんが、秘密鍵を忘れる、無くすなどしてしまうと、ウォレット内の暗号資産を動かすことは出来なくなります。
ハードウェアウォレットは物理的なデバイスなので紛失してしまえば当然保管していた暗号資産を取り戻すことは出来なくなってしまいます。
ソフトウェアのバグ
暗号資産の消失は、ソフトウェアのバグによって発生するケースもあります。
実際に、ウォレットのバグによって多額の暗号資産が永久に取り出せなくなってしまったケースや、バグによる脆弱性によって暗号資産が盗まれてしまったケースがあります。
不正アクセス
個人でウォレットを管理している場合でも、不正アクセスによって暗号資産を失うリスクがあります。
パスワードが簡単すぎるものであったり、複雑であったとしても漏洩してしまったりすれば不正アクセスによってウォレット内の暗号資産を抜き取られてしまう恐れがあります。
これらパスワードの漏洩はフィッシングメールやウイルス、マルウェアなど様々な要因によって起こりうるので注意が必要です。
詐欺
個人のウォレットを狙った詐欺も数多く存在します。
偽のWebサイトに誘導してパスワードなどの情報を盗むフィッシング詐欺だけでなく、マッチングアプリで直接知り合った対象者に対して偽のICOへの投資を勧めるなど手口は多様化、複雑化しています。
直接法定通貨を騙し取られるパターン以外にも、保有している暗号資産を送金するように促されそのまま騙し取られるケースもあるので注意が必要です。
脅迫や強要
暗号資産というとどうしてもデジタル的な紛失や消失をイメージするかもしれませんが、個人に対する脅迫などによって、暗号資産を盗む、強奪するといったケースもありえるでしょう。
ネット上で自分がどの程度の資産を持っているかを公開したり、SNSを通じて多くの人と知り合うなどの機会が多い人は注意が必要です。
暗号資産を無くす事故に合わないために個人で出来ること
続いては、上記で紹介した手口によって個人のウォレットで管理していた暗号資産を失ってしまうリスクを、少しでも軽減するために出来ることについて解説していきます。
オンラインウォレットの管理
自分のパソコンやスマホにインストールして使用するウォレットは、デバイスがインターネットに接続されているため注意が必要です。
ウィルスによってパスワードが抜き取られたりハッキングされるリスクがあります。
このようなリスクを避けるためには、コールドウォレットと呼ばれるインターネットに物理的に接続されていないウォレットの使用を検討しましょう。
ハードウェアウォレットやペーパーウォレットがこれに該当します。
ただしこの場合も保管場所やウォレット自体の盗難、紛失に注意する必要があります。
ウォレットのバックアップを取る
ウォレットに入れた暗号資産を失わないためには、ウォレットのバックアップも重要です。
オンラインウォレットについてはバックアップ機能を活用し、バックアップはオフライン上に保管し、念の為にパスワードを設定するとより安心でしょう。
ハードウェアウォレットに関しては、リカバリーフレーズの保管によって紛失や故障などに対応出来ます。
また同様にリカバリーフレーズを使うことで別のバックアップ用ハードウェアウォレットを作ることも可能です。
セキュリティの強化
ウォレットに設定するパスワードはなるべく強固なものに設定しましょう。
簡単に推測されそうなものは避け、ある程度の文字数、大文字小文字、数字記号などを組み合わせ、尚且つ定期的に変更するようにしましょう。
また、2段階認証や2要素認証が設定が可能なものに関してはしっかりと設定しておきましょう。
リカバリーフレーズについても他人に見られない場所(金庫を活用する)など保管方法に十分注意しましょう。
リスクの分散
個人で管理する暗号資産が消失するケースとして、価値の暴落も考慮しておきましょう。
暗号資産には非常に様々な種類があり、中には価格の変動が非常に激しいものもあります。
様々な要因で一気に価値が暴落し、ほぼ無価値になるような暗号資産も存在するため、ある一つの暗号資産、特に草コインと呼ばれるようなマイナーな暗号資産に一点張りするのは非常に危険です。
複数の暗号資産に分散して保有するようにしましょう。
情報収集
暗号資産の分野は現在進行形で技術が進歩しています。
これらの情報に対してしっかりとアンテナを張ることで、最新のセキュリティ情報、新たな詐欺や不正アクセスの手口、価値の変化などの情報を得ることができます。
これら最新の情報を知ることで、自分の暗号資産をしっかりと守るための手段を得ることができるので、常に最新の情報を得ることが出来る状態にしておくことが大切です。
送金ミス対策をする
送金ミスによる暗号資産の消失を防ぐためには、まず入力したアドレスを複数回確認しましょう。
また、小額の送金を試みることも有効です。例えば、大きな金額を送金する前に、最初に小額のテスト送金を行って、送金先のアドレスが正しいことを確認することができます。
もしも誤ったアドレスに暗号資産を送金してしまった場合、返金が可能かどうかは送金先の状況によって異なります。
送信前には必ず注意深く確認するようにしましょう。
まとめ
以上、この記事では、暗号資産を無くしてしまう事故はなぜ起こるのか(ウォレット編)ということで、個人で管理する暗号資産が無くなってしまうケースについて、対策と合わせて解説させていただきました。
暗号資産は一度失ってしまえば取り戻したり復旧させることが非常に困難であるケースが多く、一度のミスが致命的になりかねません。
それらを防ぐためにも、出来る対策はしっかりしておきましょう。
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