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裁定取引(アービトラージ)って何?簡単な仕組みを紹介【暗号資産塾〜初心者のための入門コラム】

裁定取引(アービトラージ)とは、同じ暗号資産でも取引所(DEXを含む)、およびマーケットにおいて価格差が生じることを利用して利ざやを稼ぐ手法です。

この記事では、暗号資産における裁定取引(アービトラージ)がどのような仕組みで起こるのか、やり方、メリット・デメリットについて解説していきます。

裁定取引(アービトラージ)とは

暗号資産取引における裁定取引とは、暗号資産を取り扱う取引所の間で生じる価格差を利用して売買を行い、利ざやを取る取引手法のことで「アービトラージ」とも呼ばれます。

暗号資産は、同じ銘柄でも取引所ごとに売買の価格が異なります。

この時に生じる価格差を利用することで裁定取引(アービトラージ)が可能となります。

裁定取引(アービトラージ)の仕組み

続いて、裁定取引がどのような仕組みで利益になるのかについて具体的に見ていきましょう。

取引所ごとの価格差を利用する

例えば、AとBという二つの取引所で、ビットコインの取引価格が仮に以下のような価格で提示されていたとします。

取引所A:売却価格=100万円 / 購入価格=101万円

取引所B:売却価格=102万円 / 購入価格=103万円

この時、取引所Aで101万円で1ビットコイン購入し、それを取引所Bで売却すれば手元に102万円の日本円が戻ってきます。

これによって1万円の差益を得ることができます。

このように取引所ごとに提示される価格の差を利用して利益を得るのが裁定取引(アービトラージ)です。

なぜ取引所ごとに価格差が生じるのか

現在の法定通貨(ドルやユーロ、ポンド等)では、世界中で膨大な取引量と流動性があるため、こうした価格差が生じることはほとんどありません。

仮に発生したとしてもそれは一瞬で是正されることがほとんどで、その価格差を狙った裁定取引で利益を出し続けることは難しいとされています。

ではなぜ暗号資産において取引所ごとの価格差が発生しやすいのか。

いくつかの要因はありますが、その中でも最も大きな理由とされているのが、取引所ごとの流動性の違いです。

取引量が十分にある取引所とそうでない取引所では、特に大きな注文が入った時に捌ける注文量に差が出ます。

取引量の少ない取引所では板が薄いため大口の成行注文が入った時に市場価格よりも遠い価格で約定してしまうことがあります。

これにより価格差が生じます。

暗号資産における裁定取引(アービトラージ)のやり方

それでは実際に暗号資産で裁定取引を行う方法について具体的に解説していきます。

複数の取引所で口座を開設

まずは複数の取引所で口座を開設します。

出来るだけ多くの口座を開設することで、より価格差が出ているところを発見しやすく選択肢が広がります。

ビットコインなど、対象とする暗号資産の取引所ごとのリアルタイムレートを比較したサイトに表示されている取引所の口座を開設しておくと良いでしょう。

参考:Coin Choice

取引所ごとの価格差をチェック

続いて、上記で紹介したような取引所ごとのビットコインのレートを一覧表示したサイトなどを見て価格差をチェックします。

効率よく価格差をチェックするには、取引所ごとのレートをチェックするよりは一覧表示されたサイトやアプリを活用する方が効率が良いでしょう。

安い取引所で購入、別の取引所に送金後に売却

価格差をチェックして、最も安い取引所で購入して、最も高い取引所で売却します。

安い取引所で購入した暗号資産を高く売却できる取引所に送金し、そこで売却することで利益を出します。

購入と売却を同時に行う方法

上記の方法の場合、暗号資産の送金中に価格が変動し、裁定取引がうまくいかない可能性があります。

そこで裁定取引を行うために口座を開設した取引所に日本円と対象とする暗号資産(例えばビットコインなど)をあらかじめ入金しておきます。

そして実際にアービトラージが可能な組み合わせを発見した段階で購入と売却をそれぞれの取引所で同時に行います。

裁定取引(アービトラージ)のメリット

暗号資産の裁定取引にはどんなメリットがあるのでしょうか。

ここでは主に三つのメリットについてご紹介していきます。

価格変動リスクが低い

まず一つ目は、価格変動のリスクが低いという点です。

暗号資産は時として非常に高いボラティリティとなるため、暴騰暴落によって保有資産の価値が大きく目減りするリスクがあります。

しかしアービトラージの場合は、その時の価格で購入から売却までが非常に短い時間で完結するため価格変動に対するリスクは低いと言えるでしょう。

専門的な知識やスキルが必要ない

暗号資産の取引をする場合、その暗号資産について調べたり分析するだけでなく、市況の状態や相場の空気など専門的な知識や経験を必要とする場面が数多くあります。

それに対して裁定取引の場合は、取引所ごとの価格差を利用するだけという非常に簡単な方法であるため難しい知識や長年の経験といったものが必要ありません。

暗号資産の初心者の方にとっても比較的取り組みやすい取引手法であると言えるでしょう。

短時間で利益を得ることが出来る

通常、暗号資産の取引において利益を出そうとする場合、なんらかの暗号資産を購入し、それが値上がりした時に売却することで売買差益を得ることができます。

すなわち、値上がりするまで待つ必要があり、場合によってはそれなりの時間を要する可能性があります。

しかし裁定取引においては、値上がりまでの時間を待つ必要がないため利益を得るまでに長い時間を必要としない点がメリットとなります。

裁定取引(アービトラージ)のデメリット

一方で裁定取引にはどんなデメリットがあるのでしょうか。

以下に二つのデメリットを紹介します。

まとまった資金がないと利益が小さい

まず一つ目はある程度の資金がないと取れる利益が非常に少ないという点です。

例えばビットコインの場合、1ビットコインの売買で得られる利ざやはその時にもよりますが、多くの場合数千円程度です。

そこから手数料(取引手数料、出庫手数料、送金手数料)などを考慮した場合、まとまった資金で取引をしないとほとんど利益を得ることが出来ません。

常に監視が必要(時間が必要)

裁定取引はその性質上、取引所ごとの価格差を発見する必要があります。

そのため、適切なタイミングでトレードするためには価格の変動をチェックし続ける必要があります。

自分で価格監視プログラムや裁定取引のボットを動かす等をしない限り、常に監視し続けることによる拘束時間が必要であることはデメリットであると言えるでしょう。

まとめ

以上、暗号資産における裁定取引(アービトラージ)について解説させていただきました。

価格変動による大きな損失というリスクをなるべく排除し、着実に利益を得ることができる可能性のある裁定取引は、初心者の方にも比較的取り組みやすい取引手法です。

得られる利益が小さいといったデメリットもあるものの、リスクに敏感な方にとっては数ある取引手法の中から選択肢の一つとして検討する価値はあるのではないでしょうか。

   

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記事執筆(コンセンサス・ベイス株式会社)

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