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ビットコインETFを初心者向けにゼロから解説

近年、ビットコインは世界中で注目を集める投資対象となり、その波に乗じて、多くの人々が暗号資産の世界に足を踏み入れようとしています。

しかし、ビットコインへの直接投資は複雑でリスクが伴うため、多くの人たちにとってはハードルが高い一面もあります。そこで登場するのが「ビットコインETF」です。

この記事では、ビットコインETFの概要やメリット、デメリット、これまでの背景についてまで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

ビットコインETFの基礎知識

ビットコインETFとは

ビットコインETF(Exchange Traded Fund)は、ビットコインの価格に連動する投資信託のことです。投資信託は、複数の投資家から集めたお金をプロの運用管理者が投資、運用を行い、利益は投資家に分配する仕組みとなっています。

通常の株式のように証券取引所で取引され、ビットコインを直接購入する代わりに、その価格動向に投資できます。ビットコインETFを通じて、投資家はビットコインの市場に参入でき、ビットコインを直接保有するリスクや保管の手間を省くことができます。しかし、ビットコインの価格変動によるリスクは引き続き存在していることは念頭に入れる必要があります。

次はメリット、課題について記載していきます。

ビットコインETFのメリット

ビットコインETFは、ビットコインへの投資を簡単かつ安全にします。株式市場で取引されるので、暗号資産を保有するためのアカウントを持っていない人でも、従来の株式取引の方法でビットコインに投資することが出来ます。これにより、実際にビットコインを直接購入・保管する手間やリスクを省くことができます。

また、ETFは金融の規制のもとで運営されるため、投資家には一定の保護が与えられ、不正や詐欺のリスクを低減することができます。更に、ETFは株式や投資信託と同様に取り扱われるため、国によっては税負担が軽減される可能性もあります。具体的な税負担については各国の税法に依存するため各人がチェックする必要があります。

ビットコインETFの課題

ビットコインETFにはいくつかの課題もあります。まず、ビットコインの価格は変動が激しいため、ETFを通じて投資した場合でもリスクが伴います。市場の変動により、投資価値が急激に下がる可能性があります。また、ビットコイン自体がまだ新しい資産対象であるため、将来性や安定性については今後の同行や各国の情勢にも着目する必要があります。

次に、ビットコインETFはビットコイン自体を自己管理するウォレットに直接保有している訳ではないため、管理手数料を伴います。コストがかかることやETFの価格は必ずしもビットコインの市場価格と完全に一致するわけではない点も考慮する必要があります。

さらに、ビットコインETFは株式市場の取引時間に限定されるため、24時間取引されるビットコイン市場の急激な価格変動に対応できない場合もあるなど、柔軟性が制限される側面もあります。

ビットコインETFの種類

ETFには種類があり、先物価格に連動する「先物型」と現物価格に連動する「現物型」があります。

主な違いについては、どのように資産を保有するのかにありますが、それぞれの違いについてもう少し詳しくみていきましょう。

先物型

先物型のETFは、実際の資産を保有するのではなく、資産の将来の価格に投資する先物契約となります。これは将来の特定の時点でのビットコイン価格で買うか売るかの契約で、現物型のETFよりも価格変動のリスクがあることも特徴です。先物型のビットコインETFは特にアメリカで大きな注目を集め、既に承認を得ています。

現物型

現物型のETFは、実際の資産を直接保有する形となります。そのため、ビットコイン価格の市場動向に直接影響する要素が強くなります。先物型のETFに比べ、リスクを抑えたい場合は現物型のETFへ投資するのが一般的です。現物型のビットコインETFは現在、アメリカで承認を得ていませんが、承認される可能性があるとして期待が高まっています。

ビットコインETFのこれまで

ビットコインETFについて、前述した通り、アメリカにおいて承認されている「先物型」と承認されていない「現物型」があります。ビットコインETFはアメリカのSEC(米国証券取引委員会)への承認が重要な役割を担っており、これまでビットコインETFとSECはどのような動きがあったのか、年代別にざっくりと振り返ってみます。

年代別ビットコインETFの動向

2013年: 最初のビットコインETF申請

ウィンクルボス兄弟が最初のビットコインETF、Winklevoss Bitcoin Trustを提案しました。

2017年: SECによる初期申請の却下

SECはウィンクルボス兄弟の提案を含む複数のビットコインETF申請を却下しました。

市場の操作や詐欺のリスクが主な懸念事項としました。

2018-2020年: 追加の申請と度重なる却下

この期間中もウィンクルボス兄弟の申請、投資管理会社VanEckと金融サービス会社Solidの申請、Bitwiseがビットコイン市場の成熟度や流動性に関するデータを提供するなど、複数の企業がビットコインETFをSECに申請しましたが、こちらも承認されたものはありませんでした。

2021年10月: 最初の先物型ビットコインETFの承認

SECはビットコインETFの「先物型」、ProShares Bitcoin Strategy ETFを承認しました。

2022年: 現物型のビットコインETFへの関心の高まり

投資家と資産運用会社が実際のビットコインに投資する現物型のビットコインETFの承認を積極的に求めるようになりました。

ビットコインETFの2023年の動向

現在、ビットコインETFに関するニュースは現物型のビットコインETFの動向に大きな注目が集まっています。

世界最大の資産運用会社であるBlackRockが現物型のビットコインETFの申請を行いました。BlackRockの申請後、ビットコインとアルトコインの価格が上昇し、市場にポジティブな影響を与えました。金融機関がクリプト市場に注目し始め、政府や規制当局もアプローチを見直す動きが見られています。

現物型のビットコインETFが承認されれば、ビットコインのさらなる普及と市場の成長に影響すると暗号資産業界では期待が大きく高まっている状況です。

ビットコインETFと日本

ビットコインETFは日本においてどのような状況なのでしょうか。

日本ではビットコインETFの取引はまだ可能でなく、暗号資産に関する規制があるため、ビットコインETFのような暗号資産関連の金融商品に対しては、まだ承認が出ていない状況です。

日本では暗号資産の交換業者が金融庁に登録されており、国内で取引される暗号資産の種類やサービスは厳しく規制されている現状もあります。日本国内でビットコインETFが将来的に承認される可能性はありますが、新たな金融商品としての承認には時間がかかると予想されます。

まとめ

ビットコインETFは、ビットコインの価格に連動する投資信託であり、証券取引所で取引されることで、投資家にビットコイン市場への簡便なアクセスを提供します。この金融商品は、ビットコインを直接購入するリスクや保管の手間を省きつつ、その価格動向に投資する方法ですが、ビットコインの価格変動に伴うリスクは依然として存在します。

ビットコインETFの主なメリットは、リスクの分散と金融規制による保護です。これにより、暗号資産市場への参入障壁が低くなります。しかし、ビットコインの価格変動リスク、管理手数料、取引所の取引時間による柔軟性の制限など、いくつかの課題もあります。

ETFには「先物型」と「現物型」が存在し、それぞれ異なる特性を持ちます。先物型ETFは将来のビットコイン価格に投資し、アメリカで承認されていますが、現物型ETFは実際のビットコインを保有し、現在アメリカで承認されていません。現物型ETFは、市場動向に直接影響されるため、リスクが低いとされています。

ビットコインETFのアメリカにおける歴史を見ると、2013年に初めて提案されてから、SECによる複数回の却下を経て、2021年に最初の先物型のビットコインETFが承認されました。現在、現物型のビットコインETFの承認に対する期待が高まっており、金融機関の暗号資産市場への関心が増加しています。日本ではビットコインETFはまだ承認されておらず、国内の規制状況により今後の承認には時間がかかる可能性があります。ビットコインETFの将来は、規制当局のアプローチと市場の発展によって大きく左右されるでしょう。

   

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記事執筆(コンセンサス・ベイス株式会社)

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