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ステーブルコインをゼロから解説!どんな目的で使用されている?【暗号資産塾〜初心者のための入門コラム】

暗号資産の世界は、ビットコインやイーサリアム、価格変動の激しいアルトコインなどの暗号資産が知られている一方で、異なる性質の「ステーブルコイン」が注目を集めています。

ステーブルコインとは具体的に何なのか、どのような目的で使用されているのでしょうか?

この記事では、ステーブルコインの基礎知識から、他の暗号資産との違いや種類について、初心者の方でも理解しやすいように解説していきます。

ステーブルコインの基礎知識

ステーブルコインとは

ステーブルコインは暗号通貨の一種で、法定通貨や他の資産に価値を連動(通称ペッグ)されています。このペッグにより、ステーブルコインはビットコインなどの他の暗号通貨に見られるような大きな価格変動から保護され、安定した価値を維持することができます。一般的には、米ドルやユーロなどの主要通貨に価値をペッグすることが多いですが、金などの貴金属や他の暗号通貨にペッグするケースも存在します。

ステーブルコインの主な特徴は、その安定性にあります。これにより、日常の取引や資産の保存、国際送金などにおいて、通貨の価値の不安定さを抑えることができます。また、暗号資産は一般的に価格の変動が激しいため、ステーブルコインに置き換えることにより、安全なリスク保護としての役割を果たし、取引の決済手段としても広く利用されています。

ステーブルコインの使用用途

​​ステーブルコインは、その価値の安定性から様々な用途で利用されています。

一般的な使用例としては、暗号通貨取引での決済手段として広く用いられています。その安定した価値により、投資家は市場のボラティリティを避けつつ取引を行うことができます。

また、国際的な送金にも利用され、従来の銀行システムよりも迅速かつ低コストで資金を送金できるため、特に海外で働く人々にとって有用です。

さらに、ステーブルコインはデジタル経済や分散型金融(DeFi)における重要な役割を担っています。DeFiプラットフォームでは、貸し付けや借り入れ、または資産の収益化といった様々な用途に利用されており、従来の金融システムに代わる新しい選択肢を提供しています。

このように、ステーブルコインはその柔軟性と安定性を活かし、幅広い分野での使用が進んでいます。

ステーブルコインの分類

ステーブルコインは、価値の安定性を維持している仕組みによって分類することができます。法定通貨担保型、暗号資産担保型、そしてアルゴリズム型の3種類です。では、それぞれの違いについて解説していきます。

法定通貨担保型

法定通貨担保型のステーブルコインは、その価値を特定の法定通貨、例えばドルやユーロなどに1対1でペッグします。これは、発行側が顧客から法定通貨を受け取り、それに相当する量のステーブルコインを発行することによって実現されます。発行されたステーブルコインは、基盤となる法定通貨と同等の価値を保持し、安定した取引価値を提供します。

この種類のステーブルコインの主な利点は、暗号通貨市場特有の高い価格変動から逃れることができる安定性です。ユーザーは市場のボラティリティに左右されずに取引を行うことができます。

法定通貨担保型のステーブルコインは、法定通貨と同等の価値を持つため、日常の取引や資産の保存手段としても使われます。

暗号資産担保型

暗号資産担保型のステーブルコインは、その価値を他の暗号資産、例えばビットコインやイーサリアムに担保して発行されるタイプです。これらは、一般的に、担保として提供される暗号資産の価値がステーブルコインの発行額を上回るように設計されています。この過剰担保は、暗号資産の価格変動に対する安全網として機能し、ステーブルコインの価値の安定を保証します。

暗号資産担保型ステーブルコインの利点は、中央集権的な発行者に依存しない分散型の構造にあります。これにより、透明性とセキュリティが強化され、利用者はブロックチェーン技術の利点を得ることができます。

暗号資産担保型のステーブルコインは、暗号資産市場での流動性提供や分散型金融(DeFi)アプリケーションでの使用に特に適しています。

アルゴリズム型

アルゴリズム型のステーブルコインは、従来の資産や他の暗号資産に価値を担保するのではなく、ソフトウェアのアルゴリズムによって価格の安定を図る暗号通貨です。これらのステーブルコインは、市場の需要と供給に基づいてステーブルコインの供給量を増減させることで、特定の法定通貨に対する価値のペッグを維持します。

このタイプのステーブルコインの利点は、中央機関や外部資産に依存しない完全な分散化にあります。また、透明性が高く、ブロックチェーン技術の特徴を反映しています。しかし、これらの価格は市場動向に強く依存しており、極端な市場変動時には価格の安定を維持するのが難しい場合があります。

アルゴリズム型のステーブルコインは、新しい金融技術の一環として注目されていますが、広く利用され、実際に健全に機能するかどうかは、市場がどれだけ発展しているか、そして投資家がどれだけ信頼しているかに大きく左右されます。

代表的なステーブルコイン

ステーブルコインの種類について解説しましたが、ではそれぞれ実際どのようなステーブルコインがあるのでしょうか。代表的なステーブルコインを紹介していきます。

Tether (USDT)

法定通貨担保型ステーブルコイン。

運営元はTether Limited社で、価値は米ドルに1対1でペッグされています。

歴史が長く、市場で最も広く使われているステーブルコインの一つです。

USD Coin (USDC)

法定通貨担保型ステーブルコイン。

発行元はCentreで、これもまた1USDCが1米ドルにペッグされています。

CentreはCircle社とCoinbase社が立ち上げた非営利組織です。

JPY Coin(JPYC)

法定通貨担保型ステーブルコイン。

発行元はJPYC株式会社で、1JPYCが1円にペッグされています。

JPYCを購入後は円に戻せないプリペイド方式となっており、今回挙げている例の中では異なる特徴を持っています。

※次回以降の記事で詳しく掘り下げていきます。

Dai (DAI)

暗号資産担保型ステーブルコイン。

MakerDAOプラットフォーム上で運用されています。

1DAIは1米ドルにペッグされており、その価値はイーサリアムなどの暗号資産によって担保されています。

TerraUSD (UST)

アルゴリズム型ステーブルコイン。

Terraform Labsが発行し、価値は米ドルにペッグされています。

USTの価値が1ドルから逸脱した際には、LUNAとの交換を通じて価格の安定を図るアルゴリズムでしたが、2022年5月に大暴落し、暗号資産業界の歴史的ニュースとなりました。

ステーブルコインの課題

ステーブルコインの課題

ステーブルコインは、価値の安定性を特徴にいくつかの種類やそれぞれに特徴があることを解説しましたが、一方でいくつかの課題もあります。

まず、透明性と信頼性が大きな問題です。特に法定通貨担保型ステーブルコインの場合、発行元が宣言している通貨額に等しい資産を本当に保有しているかどうかが鍵となります。担保が不足している場合、信頼性が損なわれ、ステーブルコインの価値が下落するリスクがあります。

また、規制の不確実性も課題の一つです。多くの国ではステーブルコインに関する法的枠組みがまだ確立されておらず、新しい規制が導入される可能性があります。これにより、ステーブルコインの運用や市場に大きな変化が起こる可能性があり、投資家にとって不透明な側面もあります。

さらに、市場のボラティリティや流動性の問題もあります。特にアルゴリズム型ステーブルコインは、価値の安定を保つために複雑なメカニズムに依存しており、市場の急激な変動が起こると価値の安定を維持するのが難しくなることがあります。

まとめ

ステーブルコインは、ビットコインやイーサリアムなどの価格変動が激しい暗号資産とは異なり、価値が安定していることが特徴です。これは、ステーブルコインが法定通貨、または金などの他の資産にその価値を連動させているためです。

ステーブルコインの使用用途は多岐に渡り、暗号通貨取引での決済手段、国際的な送金、デジタル経済や分散型金融(DeFi)における貸付や借入など、様々な金融サービスで活用されています。

ステーブルコインの種類は主に3つあり、特定の法定通貨に価値を固定した「法定通貨担保型」。他の暗号資産に価値を担保する「暗号資産担保型」。市場の需要と供給に基づいて価格の安定を図る「アルゴリズム型」が存在します。

しかし、ステーブルコインは透明性と信頼性の課題もあり、特に法定通貨担保型の場合、発行元が宣言している通貨額に等しい資産を保有しているかどうかが重要です。規制の不確実性も問題で、常に規制の動向をチェックすることが重要です。さらに、アルゴリズム型ステーブルコインは市場の変動により価値の安定を維持するのが難しくなることもあります。

これらの課題も踏まえた上で、ステーブルコインを適切に利用し、運用していくことが重要となってきます。

   

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記事執筆(コンセンサス・ベイス株式会社)

コンセンサス・ベイスは、国内初のブロックチェーン技術の専門企業として事業を展開しており、専門的な知識と技術を持った企業としてアドバイス、コンサルティング、開発、教育を行っています。

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