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暗号資産のエアドロップとは?何のためにある?【暗号資産塾〜初心者のための入門コラム】

暗号資産業界では「エアドロップ」という言葉を良く耳にします。

エアドロップとは具体的に何なのか、どのような目的があるのか?

この記事では、エアドロップについての基本となる概念や目的、具体的な事例、そしてそれに伴うリスクについて、初心者にも理解しやすい形で解説していきます。

エアドロップの基礎知識

エアドロップとは

「エアドロップ」は、英語では「空から降る」を意味します。ブロックチェーンの世界においては、暗号資産が無料で配布されるイベントのことを指します。

このイベントは基本的にはマーケティングの一環として行われ、プロジェクトの宣伝、ユーザーの拡大のために利用されることが多いです。エアドロップの受け取りには、特定のウォレットに暗号資産やNFTなどを持っていることや、プラットフォームやサービスの使用が一般的な条件に含まれます。実際のエアドロップ条件はプロジェクト毎に異なりますので、公式のアナウンスなどの情報を元にご自身で確認する必要があります。

しかし、エアドロップは無料で暗号資産をもらえるメリットだけではなく、リスクも伴うことを念頭に入れる必要があります。無料でトークンを受け取ることはかなり魅力的に思えるかもしれませんが、詐欺的なエアドロップも存在するため、参加する際には慎重に行う必要があります。

エアドロップの目的

次にエアドロップの目的について記載していきます。

先にも記載しましたが、エアドロップが行われる目的としては、基本的にはマーケティングの一環です。エアドロップの目的を知ることは、プロジェクト側の意図を把握する上でも重要な要素の一つです。それではいくつかまとめていきます。

認知拡大

エアドロップは強力なマーケティング手法として、一般的にはプロジェクトの認知拡大の要素があります。新しい暗号資産を無料で配布することで、ユーザーからの注目を集め、ブランドの認知度を高めることができます。このような戦略は特に、新しいプロジェクトやまだ知名度の低いトークンにとって、暗号資産業界では有効な手段となっています。さらに、エアドロップを通じて得られた暗号資産は、受け取ったユーザーによってさらに広められる宣伝効果も期待できます。

流動性の促進

エアドロップによって、ユーザーに新しい暗号資産を配布すると、その暗号資産の流動性が向上します。流動性はその暗号資産の取引が多ければ多いほど高くなります。流動性が高いと、暗号資産はより容易に売買され、市場の健全性が保たれるようになります。また、流動性の向上は、その暗号資産が暗号資産交換所で取引されるようになるなど、より大きな範囲で、取引の選択肢を開くことにも繋がるため、流動性の促進はプロジェクトに取っては重要な要素の一つとなります。

コミュニティの拡大と参加の促進

エアドロップはコミュニティの拡大と促進においても重要な役割を果たします。エアドロップを行うことで、新規ユーザーを引き付け、既存のユーザーを喜ばせることでコミュニティが拡大し、プロジェクトへの関心と参加を促進させます。これはネットワーク効果を生み出し、プロジェクトの知名度と共にコミュニティ力を強化させます。更に、新しいユーザーからの意見を通じて、プロジェクトは改善の機会を得ることにも繋がります。このようにエアドロップは、コミュニティを拡大・促進し、長期的なコミュニティの忠誠心とサポートを築く基盤にもなります。

既存ユーザーへの報酬

エアドロップは、既存のトークンホルダーに対する報酬としても使用されます。この戦略は、プロジェクトに対して初期から応援し、長期的な支持や投資をしているユーザーへの感謝を示し、既存ユーザーへ長期的な関係性を更に促進するために行われます。また、既存ユーザーへの報酬は、新しい投資家やユーザーに対して、プロジェクトがそのコミュニティを大切にしているというポジティブなメッセージを発信することにも繋がります。

分散化とセキュリティの向上

エアドロップは、ブロックチェーンネットワークのセキュリティを強化する手段としても活用されます。特に、分散型ネットワークでは、暗号資産の広範囲にわたる分散がセキュリティに直接的な影響を与えることがあり、暗号資産が多くの異なるウォレットに配布されることによって、ネットワークの分散度が高まります。これは、特定の個人やグループが大量の暗号資産を保有することによるリスクを減少させ、ネットワークに対する潜在的な攻撃や操作を困難にし、セキュリティ向上に繋がります。エアドロップを通じて暗号資産の分散を図ることで、ネットワーク全体の安全性と健全性を保つことができます。

エアドロップの事例

では次に、実際に暗号資産業界で行われたエアドロップの事例について、いくつか紹介させていただきます。

Uniswap (UNI)

Uniswapは、Ethereumブロックチェーン上の分散型金融(DeFi)プラットフォームの一つです。

2020年9月に行われたUniswapのエアドロップは、暗号通貨業界で非常に注目されました。Uniswapは、その分散型取引所(DEX)を利用したことがある全てのユーザーに400 UNIトークンを配布しました。このエアドロップは、Uniswapのコミュニティに対する感謝の意を表すと共に、ガバナンストークンとしてのUNIの普及を目指したものでした。

Ethereum Name Service (ENS)

ENSは、イーサリアムブロックチェーン上の分散型ドメイン名サービスです。

2021年11月に、ENSドメインを所有または使用していたユーザーに対して、ガバナンストークンであるENSトークンをエアドロップしました。このエアドロップは、ENSコミュニティの拡大と参加者への報酬提供を目的としたものでした。

1inch Exchange (1INCH)

1inch Exchangeは最適なトークンスワップをアグリゲートしてくれるDeFiプロトコルです。

2020年12月に、特定の取引基準を満たした1inchプラットフォームのユーザーに対して、ガバナンストークンである1INCHトークンを配布しました。このエアドロップは、プラットフォームの既存ユーザーに対して、ユーザーの忠誠心とプラットフォームへの関与を高めること、更には、1inchのガバナンスとコミュニティ参加の分散化を図ることも狙いでした。

エアドロップの注意事項

エアドロップのリスク

エアドロップはユーザーにとってはかなり魅力的に思える一方で、いくつかのリスクも伴います。

まず、詐欺的なエアドロップが存在する点が挙げられます。これらは、ユーザーの個人情報を騙し取ったり、悪質なマルウェアを配布するための手段として用いられることがあります。したがって、エアドロップに参加する際には、プロジェクトの信頼性や情報を調べ、慎重に評価することが重要です。

また、エアドロップを受け取ったトークンには税金が課せられる可能性があり、その管理が複雑になることもあります。特に、暗号資産に対して税法が厳格な国では、エアドロップを通じて受け取った暗号資産の価値が課税対象となることがあります。

さらに、エアドロップが市場に大量の暗号資産を流入させることで、その暗号資産の価値が下落する可能性もあります。特に新しい暗号資産の場合、市場が供給過多に対応できずに価値が急落するリスクがあります。

これらのリスクを踏まえ、エアドロップに参加する際には、プロジェクトの背景、トークンの市場動向、法的側面を十分に理解し、慎重な判断を行う必要があります。

まとめ

エアドロップは暗号資産業界におけるイベントやマーケティングの手法として、プロジェクトからユーザーへ無料で暗号資産が配布されるイベントのことを指します。

この戦略は、新しい暗号資産の認知度を高め、コミュニティを拡大し、流動性を促進するために用いられます。エアドロップによって、新規および既存のユーザーは新しい暗号資産を受け取り、これがプロジェクトの知名度拡大やコミュニティメンバーとしての関与を促します。

しかし、エアドロップには注意が必要です。詐欺的なエアドロップが存在し、トークンの大量供給が市場価値に影響を与える可能性があります。参加する前に、プロジェクトの信頼性を慎重に評価し、関連する法的および税務上の義務を理解することが重要です。エアドロップは暗号資産世界において、かなり魅力的な機会を提供しますが、リスクがあることも十分に考慮する必要があります。

   

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記事執筆(コンセンサス・ベイス株式会社)

コンセンサス・ベイスは、国内初のブロックチェーン技術の専門企業として事業を展開しており、専門的な知識と技術を持った企業としてアドバイス、コンサルティング、開発、教育を行っています。

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