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TRONとは?暗号通貨かそれ以上の存在か(Lukas Wiesflecker氏)

ウェブ上で日々コンテンツを制作しているコンテンツクリエイターたちの努力を直接支援し、その功績に対して直接報酬を渡したいという思いから生まれたプロジェクトがTRONです。暗号通貨としてのTRONにはどのような特徴があるのでしょうか。TRONには、1秒間に2000件という高速トランザクションをサポートできることや、ネットワーク上でdAppsを作成できるという数々の素晴らしい利点があります。またオンラインメディアの未来に興味を持っている人にとっても、TRONはぜひとも注目しておきたい暗号通貨です。

本記事は、 Lukas Wiesflecker氏の「What is Tron — a virtual currency, or is there more to it?」の内容を日本語へ翻訳し掲載したものです。原文の英語版はこちらをご覧ください。

TRONとTRXとは

TRONはdApps(分散型アプリケーション)の作成やメディアコンテンツの共有を可能にするブロックチェーンベースのOS(オペレーティングシステム)です。このOSの特定の機能へアクセスするために使用されるのがTRONのトークンであるTRXトークンです。

このことからもわかる通り、TRXの主な目的はTRONネットワークにおける使用です。しかし価値の貯蔵機能があるがゆえに取引所でも取引されているため、TRXを暗号通貨だと捉えることもできます。

TRONは2017年にジャスティン・サン氏(Justin Sun)によって創設されました。TRXはもともとはEthereumの規格であるERC-20ベースのトークンとしてはじまったのですが、2018年に分裂して独自のトークンとなりました。

同年にTRONはファイル共有プラットフォームのBitTorrentを買収し 、インターネット上のメディアの公平な競争環境を実現するための大きな一歩を踏み出しました。

TRXの今のところの最高値は2018年1月に到達した0.30ドルです。しかし2020年9月現在の価値は0.01ドル程度で、本記事執筆時点(2020年9月)の時価総額は暗号通貨の中だと第17位です。

TRONの誕生の背景

TRONが開発された背景には明確な目的があります。その目的とは、コンテンツクリエイターたちが努力に対する対価を受け取れるようにしたいというものです。

現在のメディア業界の構造としては、YouTubeやFacebookやAppleといった少数の大企業がウェブ上における掲載の覇権を持っており、何がウェブにのっていて何が閲覧されているかということをほぼほぼ掌握しています。

これらの少数の大企業はウェブ上で閲覧されるコンテンツに関してコントロールを持っているだけではなく、メディアによって生み出されている収益のほとんどを受け取っているというのが現状です。

つまり、コンテンツの制作者たちは収益のごく一部しか受け取ることができない構造になっているのです。この状況を打開するために生み出されたのがTRONです。

TRONはいわば「仲介業者」を取り除くことで、消費者がTRONのネットワークを通じてTRXトークンで直接コンテンツ制作者に報酬を渡せるような構造を可能にしたのです。つまり、発信者がメディアを完全に所有できるよう、大企業による一部占有を排除したのです。

TRONの技術と仕組み

TRONのネットワークにはいくつかの原則がありますが、その中でも第一の原則は、システム上のデータはすべて自由であり、いかなる中央機関によっても管理されていないということです。

コンテンツ所有者は、コンテンツに対する報酬としてデジタル資産(TRXトークンやTRXに裏付けられた他のトークン)を受け取ることができます。

開発者はネットワーク上のアプリ内で使用できるコインやトークンを作成して発行することができ、TRONはこれらのトークンもサポートしています。

TRONネットワークの開発計画の最終段階は、ネットワーク上でゲーム開発プラットフォームをサポートすることです。目指すところは完全な分散型のプラットフォームで、ユーザーがTRXを用いてゲームを購入することでゲーム開発者に直接報酬が与えられる仕組みです。

TRONは「通貨」なのか

TRXは価値貯蔵の手段として、投資対象として、あるいは他の通貨との取引手段として用いることもできます。このような性質があるため、TRXは「お金」や「通貨」としての側面を持つとみなすことができます。 しかしTRXの大前提はやはり、TRONのネットワーク上でdAppsの作成や使用のために用いられることです。

TRXをステーキングすることも可能で、ステーキングを行うと「TRONパワー」と呼ばれる報酬を得ることができます。このTRONパワーがあると、ネットワーク上の決定に関する投票権を得たり、より高いステータスを得たりすることができます。

ステーキングのためにTRXトークンをロックしておく期間が長ければ長いほど、多くのTRONパワーを受け取ることができます。

TRONのトランザクションに手数料はかかる?

TRXのトランザクションに手数料はかかりません。これはTRONが成し遂げた驚くべき功績です。また、TRONネットワークでは1秒間に2000件ものトランザクションを処理することができます。

ただしTRONを取引所で購入する場合は、販売者側に支払う手数料がかかります。特にTRXは別のコイン(たとえばBitcoinやEthereumなど)を使って購入しなければいけないため、購入時の手数料と売却時の手数料がかかります。

TRONのメリッなど

・手数料のかからない高速トランザクション

TRONはネットワーク上でのトランザクションに手数料がかからない上、トランザクションのスピードも非常に高速で、1秒間に最大2000件のトランザクションをサポートできます。これらのメリットはTRONの将来にとってよいサインであり、TRONがオンラインメディアに革命をもたらす可能性を裏付けるものです。

Ethereum(1秒間に25トランザクション)やBitcoin(1秒間に3〜6トランザクション)といった他のコインと比較すると、TRONの性能の高さがより際立ちます。

・dAppsの作成・利用

TRONのネットワークではネットワーク上にdAppsを作成することができます。システム上で作成したdAppsにてコンテンツ提供をすると、報酬のデジタル資産を受け取ることができます。報酬は何かしらのトークンでもいいですし、もちろんTRXを選択することもできます。このようにTRONネットワーク上でのアプリやコンテンツ作成の根底にはTRXがあるため、作成に費やした労力に対しての対価が得られるのです。もしもアプリの作成に興味がなくても、すでに作成されている多くのdAppsを無料で利用できるというメリットを享受することができます。

・コンテンツクリエイターに対する直接支援

コンテンツクリエイターをより適切に支援することが肝要であるというのがTRONの信条です。現在のインターネット利用者層というのは、オンラインメディアを楽しんでいる人たちであると言っていいでしょう。オンラインメディアを楽しむことができるのもコンテンツクリエイターたちの努力のおかげなので、その努力を適切に支援するのは当然のことです。

TRONは匿名で利用できるか

TRONは匿名で取引できますが、これはTRONのネットワーク上でのやりとりに限った話です。そもそもTRONを購入して管理するためにはウォレットを使う必要があり、これにはもちろん自分の身元を証明しなければなりません。

ただ、はじめにも書いた通り、TRONのネットワーク上では匿名でトランザクションを行うことができます。

一点だけ注意が必要なのは、どんなブロックチェーンも全トランザクション履歴を保持するため、いかなる取引であっても真の意味では匿名だとは言えないという点だと思います。

TRONの安全性はどうか

TRONは暗号通貨界隈では安全性が高いとの評判を得ています。もちろんTRONも他の暗号通貨と同様に分散型ネットワークなので、自分のトークンを賢く管理できるかどうかという部分では個々人の責任が重いです。ただ、TRONのシステム全体としては、まだセキュリティー上のスキャンダルに見舞われたことはありません。

TRONの開発チームと開発中心

TRONはオープンソースのプロジェクトなのですべての開発者の開発参加・貢献を奨励しており、開発者らはTRONの開発センターを通じて開発に参加することができます。開発センターは開発の中心(ハブ)であり、プロトコル、ノードのセットアップ、スマートコントラクト、そしてdApps開発に関する情報記録があります。

このハブの目的は、比較的経験が浅く知識量のない人でも、TRONネットワークの使用方法、ネットワークへの参加方法、そして最終的には設計方法を段階を追って学べるようにすることです。

TRONを採用している企業やプラットフォームなど

・Refereum

ゲームの流通・宣伝を行うプラットフォームであるRefereumでは、ゲームプレイヤーたちが配信中にTRXを獲得することができます。また配信の視聴者も視聴を通して報酬を獲得することができます。Refereumとのパートナーシップは、ゲームとブロックチェーンの統合による大いなる可能性の追求というTRONのメディア関心とも一致しています。このパートナーシップの主な原動力はプラットフォーム「Dlive」での配信サービスで、TRONはBitTorrent(TRONが提携しているアメリカのソフトウェア開発会社)を通じてDliveサービスにアクセスします。

・Metal Pay

TRONは仮想通貨決済サービスMetal Payとも提携しています。この提携により、ユーザーはMetal Payのサイトやアプリから簡単にTRXトークンを現金購入できるようになりました。この仕組みのおかげで、おそらくは一定数の人々が困難に感じていたTRONの購入プロセスという参入障壁の一つを克服することができました。

・サムスン

サムスンはBlockchain KeystoreにTRONを追加しました。これにより、最新の端末を使っているサムスンユーザーたちはサムスンのアプリストアを通じてTRONのdAppsにアクセスできるようになりました。これはTRONのブロックチェーンにとって非常に重要な成果です。コンテンツクリエイターたちは努力に対して正当な報酬を受け取ることができるようになり、彼らの開発したdAppsにはより広いユーザー層がアクセスできるようになったからです。

TRONのマイニング

TRXを入手するには、既存のトークンをステーキングして他の取引を検証します。取引検証をサポートすることで検証者はトークンの作成や取引にかかる手数料を受け取ることができるのです。ここで特筆すべきは、この手数料として新たに支払われる資産は、新規発行されたものではなく既存のものであるという点です。

TRONを保管できるウォレット

TRXを保管することができるウォレットにはいくつか種類があります。中にはTRONのコミュニティーによって作成されたソフトウェアウォレットもあり、それらはTRONのウェブサイトで公開されています。TRON用のウォレットの例をいくつかご紹介します。

  • Ledger Nano S (ハードウェアウォレット)
  • Trezor (ハードウェアウォレット)
  • Guarda-Wallet (デスクトップウォレット)
  • Atomic Wallet (デスクトップウォレット)
  • Tronscan (ホットオンラインウォレット)
  • Tronlink (Google Chrome用の拡張機能)

どのウォレットにもそれぞれのメリットとデメリットがあります。携帯性に優れているものもあれば安全性に優れているものもあります。どれにするかはしっかりと調べた上で決めるようにしましょう。

また、こちらの記事も参考にするといいでしょう。

あわせて読みたい:おすすめ暗号通貨ハードウェアウォレットBest Cryptocurrency Hardware Wallets

TRONは投資対象としてどうか

TRONのネットワークの可能性とオンラインメディアの未来に興味を持っている人にとって、TRONは純粋に魅力的な投資先であると言えるのではないでしょうか。

また、TRXはTRONのネットワーク上での交流の大前提です。そういった観点では、メディアに対する情熱を持っていてTRONのネットワーク上のdAppsを使っていろいろしたいというコンテンツクリエイター志望者たちにとっても、TRONは良い投資でしょう。

ただし、TRXも暗号通貨である以上、価格変動の影響を受けるという点には注意する必要があります。1トークンあたりの価格は約0.0.1ドルで(記事執筆時点=2020年9月)暗号通貨の中でも特に高価な方というわけではありませんが、それでも投資の原則は変わりません。投資を行う前には十分な調査を行った上で、失ってもよいという金額以上は決して投資しないようにしましょう。

最後になりますが筆者のニュースレターでは毎月より詳細な考察をシェアしていますのでぜひチェックしてみてください。あわせて各種SNSもみていただければと思います。コメントも大歓迎です。

翻訳: Nen Nishihara

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