暗号通貨界隈で人気YouTuberとして活動するラーク・デービス氏にお話を聞きました。インタビューでは、YouTubeコミュニティやインフルエンサーが暗号通貨市場に与える影響について解説していただきました。是非、ご覧ください。
インタビュー日 : 2020年4月15日
ラーク・デービス氏(全文インタビュー記事)
人気チャンネル「クリプト・ラーク」
私は、暗号通貨系Youtuberのラーク・デービス(Lark Davis)と申します。現在、私のYoutubeチャンネル「クリプト・ラーク:The Crypto Lark」には、11万人以上の方に登録してもらっています。もう何年間もYouTubeで動画を作り続けています。基礎的な知識を身に付けたい方達のために、YouTubeで初心者向けの暗号通貨の講座も製作していて、これから暗号通貨の世界に入りたい方のサポートを行なっています。これまで何年も動画を制作してきましたが、今日新しく入って来た人でも直ぐに情報が得られ、何が起きているかを理解できるような動画を作り続けていこうと考えています。
Lark Davis
暗号通貨との出会い
この世界に最初に入ったのは、Steemという暗号通貨がきっかけでした。暗号通貨コミュニティと交流し、Bitcoinを購入し始めたきっかけであり、Steemitというプラットフォームに記事を投稿することでSteem(Steemit上のコイン)をもらい始めることとなりました。当時は、旅行の話や訪れた場所の感想などについて夢中になって記事を投稿していました。Bitcoinにも非常に興味があったので、それに関連する投稿も始めました。しばらくしてからBitcoinに関する考えを皆から聞かれるようになりました。その質問に回答するためにSteemitに記事を投稿していましたが、記事を書く作業にかなりの時間を使っていることに気付きました。そこで、時間をより効率的に使うため、記事を書く代わりにもっと早くできる動画作成を始めました。最初の動画を録画して、YoutubeとSteemitにアップロードしたのを覚えています。その後、YouTubeチャンネルに人気が出てきたので、Steemitに投稿することはなくなりました。もう長い間、Steemitを使用していませんが、これが暗号通貨コミュニティに足を踏み入れ、コンテンツクリエイターとなったきっかけです。
暗号通貨系Youtuberの変化
私は、2017年にコンテンツクリエーターとして暗号通貨でのキャリアをスタートさせました。当時は、今のように大きなチャネルは少しだけで、その他のチャンネルは少し遅れて2018年、2019年から増えてきました。YouTubeチャンネルの「Ivan on Tech」や「DataDash」のような人たちと同じ頃に、私も動画作成を始めました。それ以前にも大きな暗号通貨系のチャンネルはいくつかありましたが、現在はその中の多くの人がコンテンツを作らなくなってしまいました。「Davincij15」のようなチャンネルは数年前からずっと存在していて、まだコンテンツを作り続けているので、非常に素晴らしいと思います。5年前にコンテンツを作成していた人のほとんどが、既に止めてしまっていて、動画を作成したとしても不定期にしか出さなくなりました。
それがなぜかを考えると、もしかしたら彼らは2017年にすでに数百万ドルを稼ぎ、カリブ海の島に移り住んでいるからなのかもしれません。それは定かではありませんが、コンテンツを作り続ける理由と作らない理由は皆にあるのだと思います。コンテンツ作りはフルタイムの仕事で、コミュニティと関わり、本当に面白いコンテンツを作り続ける必要があります。もちろん、批判にさらされることにもなるので、それを避けて静かな生活を求める人もいるのかもしれません。
もちろん、私も批判は受けますし、アンチコメントは毎日のようにあります。誠意のある批評を行なったり、ある考えについて議論したい場合は、いつでも大歓迎なのですが、たまにコメント欄に「Bitcoinは全て詐欺」と投稿する人も確かにいます。それから逃れることはできませんし、インターネット上には常にそのような人達がいます。しかし、暗号通貨コミュニティでは、ほとんどの方達が非常に強い情熱と関心があり、新しい考えに対してオープンなクリティカルシンキングを持っています。彼らはお金の問題を解決することに対して非常に熱心なので、コミュニティに参加することで励みにもなります。
YoutuberがBitcoin価格に与える影響
暗号通貨系のYouTuberが、Bitcoinの価格に影響を与えることはありますが、その影響力はコミュニティとの関わり度合いよって違ってくると考えています。特に時価総額が小さい暗号通貨を考えると、非常に大きな影響が出る可能性があります。例えば、視聴者が多い暗号通貨系Youtubeチャンネルにおいて、時価総額の小さい通貨が宣伝された場合、元々の取引量が非常に小さいため、実際に価格が変動することがあります。同じ方法で、資金調達を検討する企業は、コンテンツ作成者に自社製品を宣伝してもらうことで投資のリターンを得ています。なので、この様な影響は確実にあります。
私は教育にフォーカスするのが好きなので、「これを買いなさい」「このようにトレードしなさい」ということは決して言いません。これが自分の考えで、現時点でこの様な見方をしていると、ただ伝えるだけです。トレードは、必ず自分自身の判断で行う必要があります。しかし、残念ながらネットには動画のサムネイルだけを見て、トレードを行う人がいるというのが現実なのです。動画の中身も見ず、聞くべきことにも耳を貸さず、自分自身でのデューディリジェンスとリサーチを怠る人達が一定の割合で常に存在しています。彼らは、最初に目にしたものに飛びついてしまいます。暗号通貨コミュニティにいる殆どの人は物事を批判的に検証する優秀な人達なので、非常に残念に思います。暗号通貨系のYoutube、Twitterは、意見を交換したりニュースを得るのには丁度良い場所だと思いますが、それをファイナンシャル・アドバイザーとして使うべきではありません。
Youtubeは巨大な暗号通貨コミュニティ
Youtubeの暗号通貨コミュニティは非常に大きいです。幸いにも私には約11.5万人のチャンネル登録者がいますが、全体で見るとYouTubeにアクセスして暗号通貨関連のコンテンツを視聴している人は少なくとも100万人はいます。私は主にニュースを取り扱い、トレードについても少し解説していますが、ニュースだけに特化したチャンネルや、トレードやレビューのみに特化したチャンネルもあり、様々な視聴者を引きつけています。コンテンツの作成者が異なれば、それを見る視聴者も異なってきます。私のキャラクターが少し変だと思う人もいるかもしれませんし、コンテンツは万人向けでなくても良いと思っています。そのような人は、もう少し真面目で素晴らしいコンテンツを作り続けている「DataDash」などのチャンネルが合っているかもしれません。YouTubeの視聴者は、様々な視点や特徴のチャンネルから豊富なコンテンツが選べるようになっています。素晴らしいオプションが多く用意されているので非常に恵まれていると思います。
尊敬するインフルエンサー
私は、暗号通貨系のYoutube動画をほとんど観ることがありません。自分でYoutuberをやっているので、少し変に聞こえるかもしれませんが、動画を観ない理由は、他人のコンテンツに影響を受けず、自分自身の斬新な発想を大切にしたいからです。
ただ、私が本当に尊敬していて、素晴らしいコンテンツを作り続けている人はたくさんいます。『Crypto Zombie』『The Moon』『Nugget’s News』、これら全てが間違いなく素晴らしいチャンネルです。彼らはそれぞれにユニークな情報発信の方法を持っていて、それぞれのコミュニティもあります。
Youtube以外で言うと、私はかなり伝統的な投資家タイプの方を尊敬しています。レイ・ダリオやトニー・ロビンスのような方達は、全体を把握している人達なので、強くインスピレーションを受けています。レイ・ダリオは、有名な投資家で、私は投資家としての彼を非常に尊敬していますが、彼はBitcoinに興味がありません。決してBitcoinに反対しているわけではありませんが、ただ単に興味がないようです。
一方で、Bitcoinに夢中なトニー・ロビンスのような人もいます。ゲイリー・ヴェイナチャックからも、私がチャンネルでコンテンツを作っていく上で、大きなインスピレーションを受けています。彼は、Bitcoinにも興味があるので、とても素晴らしいと思います。
全ては価格のため
暗号通貨コミュニティのYouTube視聴者は、主に市場の価格変動についての情報を得るために動画を観ているようで、その背後にある技術的な事柄には関心がありません。価格予想だけに着目している人が非常に多く、価格が上がるのか下がるのかを、皆が知りたがっています。
チャンネルの動画を視聴している多くの人々にとって、価格が最大の関心事となっています。業界のニュース、テクノロジーについての議論など、より広い話題に関心を寄せている人も多くいますが、暗号通貨コミュニティが直視すべきなのは、ほとんどの人々は価格予想のために視聴しているのであり、テクノロジーのためではないという現実です。
価格予想が目的の人達がテクノロジーの話題に入って来る場合もありますが、彼らにとってそれは金融革命のためではないのです。多くの人がBitcoinを取引するようになってきていますが、彼らがこの世界にいる本当の理由は、ボラティリティが非常に高いこの資産から利益を得るためなのです。
コミュニティとの関わり
私にとって最も重要なことは、コミュニティに価値を提供することです。その点を一番重視しています。また、どうすればユニークな考察を人々に提供できるかを常に考えています。
『Crypto Zombie』や『The Moon』にも本当に素晴らしい価格分析の動画があり、皆さん楽しんで視聴していると思います。価格分析は、私が作っている主要なコンテンツではありませんが、Bitcoin価格に何が起こったのか、そして次に何が起こるのかということを視聴者の方は楽しみに待っています。
2017年頃を振り返ってみると、あの時のコンテンツは酷かったと思うこともあります。当時は、カメラやマイクの良い設備を持っていませんでしたが、それでも動画が多くの人の役に立っていたと願っています。
私は相場が上がっていようが下がっていようが、常にこのコミュニティに居続ける必要があると思っています。中には、下落相場の最中には姿を消し、市場が回復すると戻ってくるようなコンテンツクリエーターもいます。しかし、コミュニティ、そして私の動画を見続けてくれる人のために、動画を作り続けることが本当に重要だと思っています。状況が厳しい時であっても、皆のためにこの場所に居続けたいと考えています。
市場が下落するのを見ると、多くの人は非常に不安になってしまいます。なので、私は心理的なサポートを提供し、自分がここに居続けていることを皆に知らせたいと思っています。そして、何かが起こり、価格が下がったとしても、価値のあるコンテンツを届け続けています。
動画作成のインスピレーション
動画作成のインスピレーションは、当然ではありますが、市場で何が起こっているかということに関連した内容にしたいと思っています。視聴者に価値が提供できるコンテンツを作成するのと同時に、自分が興味を持っていてワクワクしている内容についても話をしています。
最近は、Ethereumの将来性についての動画を作り、時価総額が将来的に3兆ドルを超えるかについて、色々と考察しました。このような予想を行う動画をいくつか作るのも本当に楽しいです。このようなタイプの動画によって、何かが起こった原因について再度考え直し、自分をアップデートしていくことができます。
私のように自分でリサーチを行い、全てを整理する時間が割けない人にとっては、ある事柄に対する見方が得られるという点で良い場所となっていると思います。ニュースを通して情報を更新し、何が起きているかについて私自身の研究と考察を加えるようにしています。さらに、視聴者にとって本当に関係があるものや、価値のある内容を加えています。
取り扱う内容は、私が実際に関連性があると考えていることや、市場や技術に与える影響という観点から重要性を判断しています。
インターネットでは、あらゆる種類のニュース記事を目にするかもしれません。例えば、業務提携の話、新たに就任した人物、ある投資家がどこに投資を行ったかという話などがありますが、このようなニュースはそれほど重要ではありません。
もちろん、それは誰かにとっては重要な情報なのかもしれませんが、大部分の視聴者にとってはそれほど意味のある内容とは映らないでしょう。
動画を視聴する場合、私なら何が重要で、どのような情報が必要になるだろうかと考えます。私が観たい内容は、マクロ的な政治の分析であったり、新技術の開発、業界のリーダーや他のコンテンツクリエイターとの意見交換、そして皆さんとの双方向の議論が出来るようなコンテンツです。
私のコンテンツで他のクリエイターと差別化できる点は、マクロの政治状況、経済システムの動きなどに焦点を当てている部分だと思っています。なぜこれらの出来事や暗号通貨が重要であるかということを説明しますが、もちろん自分で楽しむことも大切にしています。
Bitcoin価格を下落させる要因
Bitcoin価格の大幅な下落を引き起こす要因となるのは、まだコロナ危機が収束していないという状況と、別のパンデミック、自然危機が発生する可能性があるという点です。現在のパンデミック危機はさらに悪化してしまう可能性があり、この危機がどこまでの影響を及ぼすのかを完全に把握できてはいません。この危機がまた著しく悪化した場合、Bitcoinの価格が大幅に下がることになるでしょう。
これは、Bitcoinが株式市場と非常に密接に連動しているためです。世界経済の景気低迷によって株式市場が下落してしまう場合、Bitcoinがそれに続いていく可能性があります。Bitcoinが他の市場から悪影響を受けてほしくはないのですが、これら2つの間には強い相関関係があることもわかっています。まだ様子見が必要ですが、再び市場が落ち込んだ場合はBitcoinも下落する可能性があります。また、それは同時にBitcoinを安価に購入できるようになるということでもあります。
ステーブルコインが引き金に
価格の下落を引き起こす恐れのあるもう1つの要因は、4月14日に国際決済銀行(BIS)から出された発表です。国際決済銀行はステーブルコインの禁止を提案しているため、Tether、USDC、その他の様々なステーブルコインが禁止されてしまう可能性があります。ステーブルコインを使用することで、銀行の仲介なしで自由に取引を行うことも可能なので、それがドルへの脅威となり、影響が非常に大きくなっています。
同様に、国際決済銀行はFacebookのLibraプロジェクトが進展していくことも望んでいませんでした。Libraも、ステーブルコインと同様に脅威とされていますが、それコントロールすることはそこまで難しくなく、マーク・ザッカーバーグ氏を公聴会に呼び出し、止めなさいと命じることが可能となっています。
しかし、MakerDAOのDAIのようなステーブルコインは非常に分散化されているので、それを止めるのは本当に難しくなっています。そのようなステーブルコインを止めるには、暗号通貨取引所での取引を禁止することが、非常に効果的な方法となるかもしれません。
ステーブルコインが禁止されると、その運営者が逮捕され、銀行口座が凍結される可能性もあります。ステーブルコインのこのようなリスクはかなり微妙で、それが起こるかどうかもまだ確かではありません。
現時点では、世界最大の経済国から出された提案に過ぎず、最終的な方針は違ったものになる可能性もありますが、提案自体は実際に出されているのです。
仮に、ステーブルコインが禁止される場合は、暗号通貨の価格は大幅に下がる可能性があります。現在、ステーブルコインは、暗号通貨の1日のボリュームの約半分を占めているため、このような事態が発生すると、取引量が大幅に減少することが予想されます。彼らがステーブルコインを禁止しないことを望んでいます。
失われたBitcoin
Bitcoinの所有者が秘密鍵を紛失したことで犠牲になったことには、ある意味感謝しています。失われたBitcoinは価格の底値を生み出します。本当に秘密鍵が失われたかどうかは誰にもわからないので、失われたBitcoinは暗号通貨の全体的な時価総額の一部としてカウントされ続けます。
例えば、誰かが1万BTCの秘密鍵を無くしてしまったとします。それはもう市場に出ていくことがないので、Bitcoinネットワークの一部ではありながら、売買のためのスポット市場では、大きな希少性が生み出されます。
失われたコインは底値を作り出し、台帳には残り続けます。失ってしまった人にとっては確かに悪いことですが、ネットワーク全体にとっては悪いことではありません。
現在、Bitcoinの約4分の1がユーザーによって紛失されていますが、以前よりもはるかに安全で優れたウォレットが増え、資産を取り戻す方法も用意されるようになりました。
特に、初期の頃はBitcoinに価値があるとはあまり認識されていませんでした。たとえばコンピュータに1万BTCを持っていて、最初は何の価値もなかったので、その存在を忘てしまったとしましょう。
そうすると、自分のPCでマイニングした1万BTCに触れずに、そのまま置きっぱなしにして数年たち、Bitcoinの価値が数千ドルまで上がります。自分が持っていた1万BTCが突如として大金にばける。このようなことが実際に起こったのです。
なぜ詐欺に遭うのか
暗号通貨で詐欺が行われるのは、非常に残念なことです。例えば、クリプト・クイーンの事件は最も恐ろしい詐欺の1つです。新しいテクノロジーが出てくるたびに、それに対する理解の欠如を悪用しようとする人が現れます。
このようなことは数え切れないほど何度も起こっていて、昨年は、100万ドルを超える規模のOneCoinやPlustokenなどの詐欺が複数ありました。Bitconnectというプロジェクトでは、10億ドル以上ものお金が集められました。
このような詐欺が起こってしまう要因はいくつかあります。そのうちの1つは、速く多くのお金を稼ぎたいという強欲さが人々にあるからです。明らかに虫が良すぎる話に対しても、忠告を無視し、そこに飛び込めば、全てのお金が手に入ると思ってしまいます。
さらに、マーケットについて何も知らない人がいるのも大きな要因です。市場がどのように機能しているかも、毎日2〜3%の利息が得られるような保証はどこにもない、ということも理解していません。そういった非現実的な方法でお金がもらえることなど決してありません。
無知ゆえに苦い経験を味わう
多くの人が理解していないのは、投資が未経験で慣れていない、または何でもすぐに信じてしまうのであれば、最終的に全てのお金を失ってしまうということです。
Bitcoinを始めようと思い、1000ドル分を購入したとします。そして、魔法のBitcoinマイニングで1日40%のリターンを約束するとある男にFacebookで誘われたとします。
この誘いを信じて、お金がたくさん手に入ると思い、全てのお金を失ってしまうのです。こうして苦々しい教訓を得るのです。
このような罠に引っかかってしまう人いるのは理解はできます。こういった詐欺を見分けられるようにする、金融に関する教育はほとんど行われていないからです。
詐欺師は、信頼できると見せかけるために多くのテクニックを使います。詐欺でもソーシャルプルーフ(社会的証明)によって、まともなものに見えるようになっています。
詐欺に遭ってしまった場合は、諦めるできではありません。非常に腹立たしいことで、お金を失うことは辛いことであると理解できます。本当に腹立たしいことではあるのですが、多くの人が経験していることなので、きっと立ち直れるはずです。
多くの人にとっては、60歳以上になると資産を形成するのは難しくなるので、詐欺でお金を失うことは本当に辛い教訓となります。しかし懲りずに投資をまたもう一度やり直してみましょう。
投資をやめるべきではありません。歴史的に見ると、市場に費やした時間の経過とともに報われることもあります。Bitcoinを50ドルだけ購入し、ウォレットに入れたままにしておくのが良いでしょう。
株式市場に投資する場合にも言えることですが、長期的な投資を継続することが勝利の秘訣です。
私は主に暗号通貨への投資を行っています。しかし、暗号通貨以外の事業にも多くの投資を行っています。株式やゴールドなどへの投資にも前向きです。
しかし暗号通貨に関しては、やはりBitcoinについての話題が一番多く、Bitcoinが最先端だと思っているので、そこにフォーカスしています。
私は、Ethereumや他の何種類かの暗号通貨にも投資を行っていて、これらのマーケットにも素晴らしい可能性があると思います。
Bitcoinだけに固執している人々の多くが、そこには何も重要なものはないとよく言っていますが、私はそう思っていません。
現在、暗号通貨業界全体で、数々の本当に素晴らしいイノベーションが起こっています。Ethereum上で構築されている素晴らしいものもあり、これからの10年間で本当に革新的なテクノロジーが生まれる可能性があります。
暗号通貨以外への投資
私は最近、ゴールドへの投資を検討しています。実はしばらく検討して、まだ決心はしていないのですが、ゴールドをすこし買おうと思っています。
ニュージーランドで、実際にゴールドと交換することができる暗号通貨を探していますが、この国では、そういう暗号通貨が作られる可能性はないようです。だから海外に行かなくてはなりません。
それとは別に、私はパートナーと一緒に、ニュージーランドの食品事業に投資してナッツとチーズの事業を行っています。
地元ニュージーランドの、エネルギー会社の株式をいくらか購入しようとも思っていますが、まだ機会がありません。
ニュージーランドの暗号通貨コミュニティ
ニュージーランドにも暗号通貨コミュニティがありますが、小国なので、シンガポールや香港のような、同じくらいの人口の場所に比べると、ニュージーランドの暗号通貨コミュニティが市場へ与える影響ははるかに小さいです。
シンガポールと香港は、国際的なビジネスのハブの1つであり、暗号通貨ビジネスも盛んですが、活気のある暗号通貨コミュニティがあります。
ニュージーランドにも多少のビジネスはありますが、規制当局は、ニュージーランドでの会社設立を誘致するために、もっと色々な取り組みをするべきだと思います。
スイス、シンガポール、香港といった場所は、人を集めるのに非常に良い法整備がされていて、たくさんのビジネスを誘致しています。
また、ニュージーランドでは暗号通貨決済が非常に少ないです。たとえば私の町にはBitcoinを使用して決済が行える場所は1つしかありません。
こういった点の改善は、ニュージーランド政府が推進すれば絶対に可能です。ニュージーランドには革新的なアイデアや取り組みがたくさんありますが、暗号通貨に関しては遅れをとっていると思っています。
先をゆくフランス
企業の誘致にもっと本腰をいれればニュージーランドはこの業界において、リーダーになりやすいと思います。
フランスは暗号通貨業界の起業家に、ビザを与える法律を可決しました。フランスで暗号通貨の企業を設立したい場合はビザが発行され、多くの国で問題となっている、銀行へのアクセスが保証されることとなります。
シンガポールは全体的に暗号通貨に好意的です。しかしそのシンガポールでさえ、政府が暗号通貨が違法でないことを明確にしたとしても、銀行は暗号通貨業界の企業に対して、大歓迎という態度ではありません。
しかしフランスでは銀行へのアクセスが保証されており、銀行から金融サービスの提供をうけることができます。
一部の銀行には「暗号通貨の企業に、なぜ銀行口座が必要なのか」と疑問視する人が依然としていますが、暗号通貨業界の企業も税金や給料、電気代を支払う必要があるのです。
フランス政府はこのような政策を打ち出して安心感を与えることで、暗号通貨の普及において優位に立っています。
ニュージーランドでは中央銀行のデジタル通貨についてあまり議論されていませんが、他の国の動向を観察しています。今のところ、中央銀行の発行するデジタル通貨というアイデアに着目している国のほとんどは、巨大な経済大国です。
フランスは計画段階であり、米国は間違いなくすぐに実行段階に入ると思います。おそらくは主要国の中では中国が、最初に中央銀行によるデジタル通貨を発行するでしょう。
マーシャル諸島はすでに中央銀行の発行するデジタル通貨が導入されており、アルゴランド(Algorand)という技術に基づく独自のデジタル通貨が開発されています。
しかしこれは非常に小さな事例なので、我々はもっと影響力を持った大国にフォーカスするべきだと思います。ヨーロッパ諸国、中国、ロシア、米国などの大国が、世界の他の国々が向かう先を決定します。
この先ニュージーランドの中央銀行がデジタル通貨を発行することは大いにありえますが、それはアメリカや他の国が発行した後だと思います。
Bitcoinを長期的に保有すること
現在のこの経済危機の中では、中央銀行が行っている紙幣の乱発は、暗号通貨に良い影響を与えるでしょう。世界は、主要な経済国が機能しなくなってメルトダウンが発生してしまう状況へと急速に移行しています。
メルトダウンが起こるのは数年後のことだと思いますが、今回の危機は、経済がいかに深刻な病にかかっているかを、改めて認識させてくれるものだと思います。
2008年の後は何も解決されていませんし誰も逮捕されていません。経済を破壊したことで罰をうけた人はいませんでした。実際には、2008年の金融危機を引き起こした多くの人々が、ボーナスをもらっているような状況です。
現在は2020年ですが、経済の構造的な欠陥がそのまま残っており、状況はさらに悪化しています。政府がしていいることは、企業に可能な限り多くの救済金を与え、ウォール街に無限のお金を、そして株式市場に無限の流動性をもたらすことです。
現在政府はジャンク債を購入しています。ジャンク債は、破産する可能性のある企業や、債務不履行の企業の社債であり、誰も欲しがらないような債券です。
中央銀行は、誰も欲しがらない債券の最後の買い手となり、市場でダメなものを受け入れると述べています。これは資本主義ではありません。
もしも会社が生き残れず失敗した場合は、他の誰かが取って代わる、という構図こそが資本主義です。
中央銀行が行っていることは、金持ちに対しては社会主義であり、貧しい人に対しては資本主義、というシステムになっています。このシステムは崩壊しており、今行われている紙幣の乱発は、長期的には非常に悪い影響を及ぼすことになるでしょう。
ごく短期間の場合は、大きな問題にはならないかもしれません。しかし10年単位の長期間で考えると、どれだけのインフレが発生するでしょうか。
15〜20兆ドルが、世界経済に投じられています。そのすべてが新しく印刷されたお金というわけではありません。こういったお金は、帳簿上では一見ちがった動きをしているように見えたとしても、結局のところは新しい借金です。
多くのお金を印刷すればするほど経済がより機能不全になり、そして最終的にこれらすべてが不換紙幣の将来に負の影響を与えるのです。
現在大量の借金を抱えている中央銀行の将来にも負の影響が及んで、次の10年間のどこかの時点で、借金の利息の支払いが、国の税収を超える可能性がでてくるでしょう。これは特に米国に当てはまります。
これは大災害的な状況ですが、Bitcoinにとってはいい影響となります。Bitcoinは2,100万コインしかありません。インフレが始まりドルの価値が下がっていくほど、Bitcoinを長期保有するしかありません。
Bitcoin市場に参入してから、1週間または2、3か月経って動揺しはじめた人たちは、目先のことではなくもっと全体像を見る必要があります。
当初Bitcoinを100ドル以下で購入した人たちも、今日のような日がやってくるとは思ってもいなかったでしょう。長期的な戦いなので、長期的に我慢した人が、最も報酬を得られるのです。
インタビュー・編集: Lina Kamada
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