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「より高速で安価なクロスボーダー決済の追求」トールビョーン・ブル・イェンセン氏にインタビュー ②

ノルウェーの暗号通貨コミュニティにおいて長く活動されているトールビョーン・ブル・イェンセン氏(Torbjorn Bull Jenssen)にインタビューさせていただきました。オスロ大学出身のエコノミストであるイェンセン氏は、Bitcoinについての論文を執筆し、ノルウェーの首相、中央銀行、財務省などの機関で助言を行ってきました。ぜひご覧ください。 

トールビョーン・ブル・イェンセン氏

インタビュー日 : 2020年8月13日

ノルウェーの暗号通貨の法規制について

ノルウェーの法規制に関しては、ヨーロッパ全体と同じです。取引所は自国の金融を管理する当局にウォレットを登録する必要があります。登録と規制に関するフレームワークの作成は、各国が独自にできるように任されています。

例えば取引所を開設してノルウェーのユーザーをターゲットにしたい場合、ノルウェーの金融当局に登録をしなければなりません。ドイツのユーザーをターゲットにしたい場合は、ドイツの金融当局BaFinに登録しなければなりません。

同様に、スウェーデンの顧客をターゲットにしたい場合は、スウェーデンの金融当局に登録しなければなりません。現地の規制を担当する当局の規制に従い、承認を得ることで、銀行が積極的に協力してくれるようになります。

ノルウェーの金融庁は銀行に対して、金融庁に登録されている企業に銀行口座を開設してほしいとの声明を出しています。つまり暗号通貨企業にとっては、より金融サービスを利用しやすくなったということです。

企業のためのBitcoinを使ったソリューション

我々が目指しているのは、Bitcoinを活用したクロスボーダー取引を通して、企業を支援することです。ノルウェーは小さなオープンエコノミーで、世界中に対して輸出入を行っています。

ノルウェーの企業は世界中から支払いを受けていますが、様々な分野の企業で、Bitcoinやステーブルコインを利用できないかという問い合わせが増えています。しかしほとんどの企業はずっと法定通貨で取引をしてきたので、それらの問い合わせへの対処法が分からないのです。

我々が開発しているのは、このような企業向けのソリューションです。Bitcoinの専門家でなくても、Bitcoinによる支払いを受け入れ、そして最終的に銀行にある従来の通貨を得ることができます。支払いがより速く、より安くなり、さらに銀行を利用する場合のように、為替レートが原因で台無しになることもありません。

これは中小企業にとって特に重要です。両替を銀行に頼ると、支払いで得た金額の1%ほどのコストが経費だけでかかってしまいます。Bitcoinを活用して我々の提供するソリューションを使うだけで、こういったコストを削減することができるのです。

Arcane Cryptoのはじまり

暗号通貨は2018年春、価格こそ暴落していましたが、インフラと技術は目覚ましいスピードで進歩を遂げていました。マイクロソフトのような大手企業の参入もあり、価格に関係なく進化し続けていて、その発展の様子は非常に強気でした。

当時、暗号通貨界隈について長らく調査している2人の有名なノルウェーの投資家と接触しました。2人は、台頭してきている新産業に対して、確かな影響力を持った会社を立ち上げたいと考えていました。

過大な宣伝が多すぎたため、2017年は市場に参入したくないと2人の投資家は思っていました。彼らは2018年春がベストタイミングだと考えていました。私も完全に同意見でした。

何度かミーティングを行った後に、我々はArcane Cryptoという会社をはじめました。Bitcoinおよびオープンブロックチェーンの活用に向け、必要なインフラを開発して提供することが目的です。

より高速で安価なクロスボーダー決済の追求

我々は現在、いくつかの異なるビジネスラインのポートフォリオを構築しています。一つだけに賭けるのではなく、相乗効果と統合によるメリットを追求しながら、ポートフォリオをより強化していくためです。

他の業界ではよく知られているビジネスモデルを参考にしたのですが、それらのビジネスモデルは暗号通貨の分野にも応用することができました。

非常に速いスピードで動き続ける業界において我々が必要としたのは5年間がかりの計画などではありません。より迅速にそして効果的に結果をもたらしてくれる、市場に合った性質を求めていました。

我々は、マーケットメーカー、取引所、インターバンク市場、ヘッジファンド、決済テクノロジー企業、そして調査・コンテンツ作成事業など、6つの事業を含むビジネスのポートフォリオを構築しました。我々の目的は、これらの事業を掛け合わせることで、クロスボーダー決済を追求していくことです。

これによって従来の決済レールでは実現できなかった、より高速で安価なトランザクションを提供することができます。具体的には、Bitcoinとライトニングネットワークを、フィアット建てのトランザクションの決済レールとして活用することで実現できます。

需要をうまくマッチさせる役割

取引所のスムーズな運営には、マーケットメーカーの存在が不可欠です。そこで、助けてくれるマーケットメーカーを探すことができるのですが、外部の関係者がいることで、価格をコントロールすることができなくなります。

外部でなく同じ屋根の下でビジネスをすれば、共同作業がはるかに容易になるのです。決済ソリューションに関しても、これと同じことが言えます。決済ソリューションからのフローは、ヘッジが必要となります。そのフローの一部は、取引所でBitcoinを購入したいという需要と一致する可能性があります。

Arcane Cryptoは、他の企業にコンタクトをとり、投資をしたり、パートナーシップを築いたりすることができます。我々が作成するコンテンツは、暗号通貨界隈でなにが起こっているのかについて知らせてくれると同時に、Arcan Cryptoの存在感を高めるものになっているからです。

ストックホルムの証券取引所への上場

現在我々は、ストックホルムにあるナスダック傘下の証券取引所、ファーストノースに Arcane Crypto を上場させようとしています。リバーステイクオーバー(既に上場済の企業を逆買収すること)による上場で、上場企業になる予定です。我々は指揮能力と牽引力を兼ね備えていますので、上場は現在のビジネスラインをより加速するためです。

現在すでに、ポートフォリオのほとんどのビジネスから収入を生むことができています。これらのビジネスモデルは、規模の拡大に対応できるので、後は拡大する機会を掴む必要があります。Arcane Cryptoが上場することで、傘下にある企業は、知名度と信頼という恩恵受けることができます。

暗号通貨界隈は非常に分裂していて、まとまりがないです。したがって今まで通り継続して、エコシステムアプローチをとります。つまり、面白いアイデアを持つ新興企業と、テクノロジーの最先端を行く大企業、この両方に投資をします。

ノルウェーでなくスウェーデンの証券取引所に上場する理由スウェーデンで上場するのは、Arcane Cryptoはすでに多国籍企業となっているからです。我々はノルウェーの会社ですが、オスロの他にロンドンとストックホルムにもオフィスがあります。

リテール取引所のTrijo、そしてArcan AssetsのCIOであるEric Wallはストックホルムに拠点を置いています。スウェーデンの市場は規模が大きく流動性があります。

テック企業は、オスロの証券取引所でも問題ないかと思います。しかしやはり、漁業や石油産業での出来事に注目が集まってしまいます。一方スウェーデンでは、テクノロジーとフィンテックにより重点を置いています。

インタビュー・編集: Lina Kamada

翻訳: Nen Nishihara

     

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