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「DJから暗号通貨トレードの世界へ」人気ポッドキャスター スコット・メルカー氏(全インタビュー記事)

人気ポッドキャスター、スコット・メルカー氏(Scott Melker)のインタビューです。メルカー氏は、トレーディングをはじめて暗号通貨業界に入るまではDJや演奏者として数々のステージで活動してきました。今回のインタビューでは、音楽活動やトレーディング、ポッドキャスト番組のコンセプトなどについてお伺いしました。

インタビュー日 : 2020年9月30日

スコット・メルカー氏(全インタビュー記事)

日本との関わり

私はスコット・メルカーと申しますが、ツイッター上では “The Wolf Of All Streets”という名前で知られています。この名前は冗談で使い始めたのものなですが、皆さんの間で定着してしまったので、そのままにしています。

私は人生の中でもかなり長い期間、トレーディングと金融市場に興味を持ってきました。またDJやミュージシャンとしてのキャリアを通して、日本で長く過ごしてきた経験があります。

日本で非常に有名な久保田利伸さんのバンドで、DJとパーカッショニストとしても演奏しました。そのおかげで2006年には日本の35以上の都市を訪問することができました。

2017年には、MTVの番組のために再び日本を訪れました。日本は私が世界で最も好きな場所の一つであり、そして時が経つにつれて、どんどん好きになっていった場所でもあります。

暗号通貨に興味を持ったきっかけ

暗号通貨界隈に興味を持つようになったのは、2016年後半にDJを引退し、トレーディングをはじめてからです。

多くの人と同じように私もトレーディングに魅了され、神話のようなコインが月まで連れて行ってくれる、という夢に惹かれました。

私は後になって、暗号通貨のユースケースとその重要性について確信するようになりました。我々が現在目にしている様々な世界規模の問題は、その重要性をより高めていると思います。

投資のすすめ

個人的には99.9%の人は投資すべきだと考えています。投資をするときは、常に投資のことばかりを考えてはいけません。しかし年に2〜3回は、バランス調整が必要かどうかをチェックする必要があります。

マーケットというものが始まって以来、投資家は非常に裕福になりました。これが富の蓄積というものです。金持ちになるための方法は、早めにお金を貯めておくことです。もっと分かりやすく言うと、若いうちに要らないお金を貯めておいて、最後の瞬間まで手を出さないことです。

私はいつも、自分のポートフォリオの15%程度でしかトレーディングをしていません。投資資産が70%、現金が15%、そして残りの15%がトレーディングです。世界の優秀なトレーダーの中には、総資本のほんの一部でしかトレーディングをしていない人もいると思います。

ポートフォリオ全体を使って、毎日のようにトレーディングをしてはいけません。そのようなことをすれば、間違いなく資産を全て失うことになってしまいます。

人は何年もトレーディングをしていると、あらゆる経済指標、そして色々なテクニックを試してみたくなるものです。トレーダーになったばかりの頃の私のチャートは、線が多くて読み解くのが大変でした。

このように、トレードを始めたての人の多くは、過剰な分析マヒに陥ってしまがちです。多くのことを分析しすぎてしまうのです。そして多くの指標が、お互いに矛盾しあったことを示していたりするので、混乱してしまいます。

しかし経験を積むにつれて、チャートを読み解くことができるようになります。本当に大事なのは、出来高での値動き、そして単純なサポートとレジスタンスだけです。

今では、何分間かチャートを見るだけで自分の好きなラインを引いて、重要だと思うところを損切りラインとして設定することができます。そして通常、価格が自分のアラートエリアに入らない限りは、チャートを再び見ないようにしています。

Bitcoinとの出会いがもたらしてくれたこと

2012年にDJライブのお金をBitcoinで払おうとした人がいたのですが、その時にはじめてその言葉を耳にしました。Bitcoinが何なのかわからなかったため拒否しました。詐欺だと思ったのです。これが人生の中で一番の後悔かもしれません。

2017年からバブルが弾けるまでの間、私は暗号通貨の熱狂的なゲームに巻き込まれました。とても過酷なゲームであったにもかかわらず、離れられなくなってしまいました。たくさん売ってもなお、この虚しい市場でのトレードを続けようとしていました。

2017年冬、暗号通貨の下げ相場の間に、多くの人々がトレードを止めてこの市場についての研究をしはじめました。連邦政府や金融政策について知れば知るほど、Bitcoinの重要性が明確になりました。

今では、Bitcoinがハードマネー(Hard Money)であること、そして現存するものの中で最も優れた価値保存媒体であることを理解しています。この理解のおかげで、私は中央銀行と政府のあらゆる問題について、さらに研究するようになりました。

お金とは何かということ、貧富の差について、そして貧富の差がどのように金融政策よって固定化されているのか、これらの事柄について、Bitcoinは私の考えを形作り、変化させてきました。

ポッドキャスターになるまで

ポッドキャスターは、計画してなったわけではありません。これまでに私が行ってきたことは何一つとして、計画されてきたことではありません。

ただ単純に、はじめは音楽に興味を持ち、そして音楽をやめる日がきて、それから暗号通貨についてツイートをしはじめたというだけです。

私のそれまでのフォロワーの半数は、「この人は変だ、なぜデジタル、インターネットの話をしているのか」と言って離れていきました。しかしその後徐々にまたフォロワーが増えて、暗号通貨について話すのが楽しくなってきて、そしてとうとうTwitterだけでは物足りないと思うようになりました。

こうして私は無料のニュースレターを書き始め、コンテンツライターとして開花しました。頭の中をめぐる思考やアイデアを、すべて紙面に落とし込みました。ニュースレターがだんだん人気になってくると、Blockworkという会社から連絡が来ました。

Blockworkは、Anthony Pompliano氏のボッドキャストや、Charlie Shrem、Luke Martin、Meltem Demirorsなどをプロデュースしている会社です。今名前を挙げた人々は、暗号通貨の世界ではよく知られた人物たちで、暗号通貨界隈の顔ともいうべき人たちです。

物事は雪だるま式に進んでいきました。私はポッドキャストを始めて以来、ずっと楽しみ続けています。現在40代ですが、ポッドキャストのおかげで大学に戻ったような気分です。この界隈にいる非常に情熱的で知識豊富な人たちから、暗号通貨について学ぶ機会を得ているからです。

ポッドキャスト番組のコンセプト

私がポッドキャストを始めた頃、世界は大きく変わっていました。新型コロナウィルスが大流行する2〜3週間前くらいに、何本か初収録をしました。

番組のコンセプトは「暗号通貨に興味のある人なら誰でもインタビューする」というものでした。私は暗号通貨に興味を持っている人から面白い話を聞きたいと思っていました。

ところが新型コロナウィルスのパンデミックで世界情勢が深刻になったため、思っていた内容のポッドキャストが、なかなか出しづらい状況になってしまいました。

そこで、疫学者や世界のリーダー的人物を番組に招待して、現状について本格的な話をしてもらうようにしました。

しばらくすると、人々はコロナウィルスに慣れてきました。私も、世界がいかに恐ろしい状況かということを聞いて落ち込むことにうんざりしていました。

そこで当初の目的に立ち返り、暗号通貨界隈の人物を番組に招待しました。これまでのところ、Anthony PomplianoやSamson Mowをはじめとし、暗号通貨界隈の主要人物のほとんどが番組に出演しています。

そしてこれだけにとどまらず、DJなど、あらゆる分野の人に連絡をとりました。Justin Blowも番組に出演しています。彼も私もデジタルアートに興味をもっていたので、NFT(非代替性トークン)関連の話題について対談しました。

また、元ドジャースの野球選手で、現在は暗号通貨アーティストとして活躍しているMicah Johnsonさんも番組に招待しました。デフレを信じてインフレを回避するという内容のすばらしい本を執筆したJeff Boothさんも交えて、金融全般について対談しました。

このように、自分の話をしてくれる優秀な人たちとの交流は、この番組のコアコンセプトになっています。

幼少期と音楽との関わり

両親の話によると、私は赤ちゃんの頃から歌って踊っていたということです。私のお気に入りの音楽はフリートウッド・マックでした。今でも大好きです。

5歳の時にピアノを始めました。子供の頃はコンクールでクラシックを弾いていました。しかし15、6歳の頃に燃え尽きて、普通の10代の子供らしく、皆と同じようにスポーツをしたいと思っていました。

途中でサックスをはじめたり、歌も歌ってみたりして、最終的には音楽の分野においてあらゆることに少しずつ挑戦したと思いました。大学時代はパーティーでDJを経験しました。そしてその後、フィラデルフィアの中心部に引っ越しました。

音楽活動について

私は長いこと音楽制作をしてきました。制作した曲は主にピアノで演奏しています。DJとしてのライブもたくさんしてきました。カニエ・ウエストやリアーナと共演したこともあります。ほとんどの場合は、アーティストの前座として、ステージでDJ演奏をしてきました。

多くのラッパーの方たちとも仕事をしてきましたし、シェリル・クロウやクロスビー・スティルス・ナッシュといった、70年代のすばらしいバンドとも演奏してきました。私の音楽スタイルは、クラシックをベースにしたマッシュアップなので、どんなジャンルの音楽も演奏できます。

ラップ音楽から親がきくようなアコースティックまで幅広く演奏しました。色々な有名人も含め、様々な方と一緒にライブをするという大変素晴らしい仕事を経験してきました。

子育てと仕事の両立

5歳と16ヶ月の子供がいるので日々子育てに追われています。それ以外の時間は暗号通貨に没頭しています。一度興味を持ったらのめり込んでしまうタイプなのです。音楽に関してはもうあまり時間をかけていません。ピアノを弾いて楽しむぐらいです。

週2回のニュースレターと、同じく週2回のポッドキャストを配信しているので、少なくとも週2回はポッドキャストを録音しています。それから会社の顧問も何社かしているので、いつも電話がかかってきます。これらをすべてこなすのは大変なことです。残った時間はトレーディングに費やしています。

学生時代について

私はADHD(注意欠陥・多動性障害)で、優秀な方でしたがうんざりするような生徒でした。クラスではしょっちゅう問題行動を起こしました。挙手せずに答えを叫ぶような子で、大声を出したり、不愉快な態度をとったりして、常に問題児でした。

しかし成績は良く、そして幸いにも、学校が難しいと感じることはありませんでした。フィラデルフィアにあるペンシルバニア大学に進学し、ペンシルバニア大学のウォートン校というビジネススクールで、ビジネスの授業を受ける機会を得ることができました。

ところが大学時代は、授業よりもDJや人との付き合い、パーティーなどに興味を持ちました。教育は若い者には無駄、という古い言い回しは私にもぴったり当てはまりました。自分のやりたいことをするために、学業はできるだけ最低限のことだけしてのりきろうとしていました。

DJをやっていく中で、自分は社交的な人で、起業家精神を持っていることに気がつきました。このような性格だったため、決して誰か他の人のために働くような人間ではありませんでした。

私は常に、自分の道を切り開くための創作に挑戦していました。例えばDJをしていた1999年、私は大学時代の友人3人とウェブサイトを立ち上げました。街中のレストランやバーのリストを掲載した夜遊びに役立つサイトです。こういったウェブサイトの登場にしては、かなり早かったと思います。

暗号通貨は詐欺の温床か

別に暗号通貨がなくても詐欺被害は起こります。たとえばですが、私の元には1日にだいたい3~4件、アメリカ合衆国内国歳入庁を名乗る電話がかかってきます。これらの電話は「捜査令状がある」といったようなことを言ってきます。

こんなことが日常茶飯事なのです。詐欺師ははるか昔から様々な手段であらゆる人々を食い物にしてきたのです。

詐欺は決して暗号通貨固有のものではありません。しかしソーシャルメディア上にインターネットに精通しているやり手の人々がいるため、詐欺を行うことがより容易になっているというのは事実です。現代ではありとあらゆるものが技術的なことに依存しているため、突破するのがより簡単になっているのです。

私は、詐欺の可能性があると思われるものには手を出さないようにしています。新興のプロジェクトには細心の注意を払わなければなりません。またDeFiプロジェクトの多くについては、価値が0になることも想定してポジションのサイズを決めています。したがってポートフォリオに対して損失を小さく抑えることができまるのです。

ハッキングされた経験

私はハッキングをされたこともありますし、SIMスワップ詐欺被害を受けた経験もあります。それらは私の人生の中で最悪の経験でした。

私はツイッターのプロフィールに顔と実名を載せている数少ない人間のうちの一人です。暗号通貨業界に入る前は公人として活動していたため、匿名でいることができませんでした。そんな私は、多くのハッカーたちにとって狙いやすい格好のターゲットになってしまったのです。

詐欺師から過激な脅迫や電話を受けるようになったため、私は自分の家族と自分自身、そして自分の資産を守るために思い切った措置をとりました。この措置のおかげで、現在誰かが私の資産にアクセスすることはほぼ不可能です。

私はアメリカの大手携帯キャリア会社から方向転換して現在はEFANIという会社で働いています。私の友人でもあるハセブ・アワン氏はそこで、SIMカードを確実に保護したいという人向けのサービスを運営しています。

従来は、ハッカーは私の携帯キャリアに電話して私に成りすましさえすれば詐欺ができました。しかし今では私をハッキングしようと思ったら、ハッカーは12段階の認証プロセスをクリアして、しかも自分の顔をビデオに映す本人確認を突破しなければなりません。

SIMスワップ詐欺に遭う可能性

Charlie Shrim氏という方は、過去には3回もSIMスワップ詐欺に遭ったという経験の持ち主です。

また、アンソニー・ポンプリアーノ氏とジェイソン・ウィリアムス氏も同様に、SIMスワップ詐欺に遭った経験があります。彼らのケースでは状況がエスカレートして、FBIや治安部隊も巻込むまでになりました。

ジェームソン・ロップ氏も同様の脅迫を受けた経験をもつインフルエンサーです。彼はサイファーパンクでもあります。

詐欺師たちは常軌を逸脱していて、彼らの行動はとどまるところを知りません。しかし彼らは自分たちの行動を常軌を逸脱したものだとは思っていません。しかも彼らにとって暗号通貨というのは、ドルよりもアクセスしやすい手段となってしまっているのです。 

携帯キャリアの従業員を買収する詐欺事例

私はハシブ・アワン氏をゲストとしてポットキャストにお招きし、詐欺の世界について色々と教えてもらいました。そして、個人情報にアクセスすることがどれだけ簡単かということや、SIMスワップ詐欺を行うことがどれだけ簡単なことなのかということを知り、大変恐ろしく思いました。

SIMスワップ詐欺を行う詐欺師はダークウェブ上で何百もの電話番号と名前情報を入手することができます。こういった基本的な情報を詐欺師たちは、ほんのわずかな小銭で買うことができるのです。あとは少し小細工さえすれば、名前やメールアドレスや電話番号といった情報を全部入手することができます。

詐欺師が次にすることは、ターゲットが暗号通貨取引をしているかどうかを見つけ出すことです。これも非常に簡単に分かってしまいます。さらに詐欺師はターゲットのFacebookなどから家族情報を収集します。こうして詐欺師が被害者に成りすますのに使う、偽プロフィールが出来上がっていくというわけです。

詐欺師はソーシャルメディアからより多くの情報を集めるべく、被害者の電話番号を乗っ取ろうします。したがって携帯キャリアの会社に電話して、被害者に成りすましてSIMを切り替えてもらうのです。これが詐欺師の手順ですが、これは数多くある詐欺手段のほんの一例に過ぎません。

もう一つ詐欺師の詐欺手段をご紹介します。これはよりシンプルですが大変恐ろしい方法です。これは携帯キャリアの従業員を買収するというやり方で、たとえば詐欺師は、携帯電話会社で時給10ドルで働いている従業員に1000ドルといった賄賂を渡すのです。

そしてこの従業員を説得して顧客の情報を売ってもらいます。詐欺師はこうして1000ドルのお金をかけてSIMスワップ詐欺を行います。たとえ詐欺が10回中9回失敗したとしても、10回目のトライで100万ドルを盗めたりするので、詐欺師にとってはやる価値があるのです。

これが詐欺師の仕事のやり方で、大抵の場合は詐欺のために情報を売ってもらう人、つまりインサイダーを会社に配置しているのです。

金融リテラシー教育の重要性

自分の周囲に頭の良い人達がいるということは個人的な資産だと思っています。たとえば私のよき友人であるSahil Bloom氏は、私のビジネスアドバイザーのような存在でもあり、いつも私の金融人生を良い方向に導いてくれます。

我々は教育に情熱を持っていて、人々に金融教育を行い、リテラシーを持ってもらうことを目指しています。他の国々の状況についてはわかりませんが、アメリカに関して言えば、金融リテラシーは全くといっていいほど注目されていません。教えるほど重要視されていないのです。

私は何世紀も前にアメリカが行った戦争について学びましたし、その時学んだ知識というのは今でも覚えています。しかし小切手の使い方やクレジットカードの使い方については誰も教えてくれませんでした。こういったシンプルな経済の知識こそが必要な知識であり、教えるべき知識だと思います。

たとえばお金に関するリテラシーや投資の仕方などの知識を教えてくれる学校に1年でも通えば、将来が大いに変わるかもしれません。実際に「株の買い方」を教えてもらえれば、個人的な経済状況が変わるかもしれません。

また税金についても、皆理解しているはずのことなのに、実は誰も理解していません。

金融リテラシー基礎入門というのは、我々の教育システムの中心カリキュラムの一部であるべきです。これは非常に明白な事実だと思っています。

金融リテラシーに関する教育を少しでも受けたことのある人はより多くの貯蓄があってより良い財政状態の人生を歩んでいるということは、統計情報からも分かります。

銀行はショート、Bitcoinはロング

Bitcoinは犯罪行為に使われていると言われています。しかし一番犯罪行為に使われているものは米ドルです。そして銀行家たちはこのことをよく知っています。だからこそフィンセン文書の事件のようなニュースも私にとっては「空は青い」と言われているようなもので、何も驚くようなことではありませんでした。

銀行は犯罪に関与しています。政府も同様です。アンソニー・ポンプリアーノ氏も以前述べているように、Bitcoinersたちが「銀行はショート、Bitcoinはロング」と言っているのには理由があるのです。

現在の銀行は腐敗しています。銀行システム全体の構造というのは、富裕層を富ませて貧乏人を押さえつけ、貧富の差別をするようにできてしまっているのです。

SNSはトレードに影響するか

私はトレーダーとして、自分で分析を行い、そして自分で判断をしています。したがってSNSに掲載されているものに影響をうけることはありません。

Twitterは情報を素早く見つけるのに適したSNSです。しかしTwitterに限らず、どのSNSにも言えることは、良い情報と悪い情報を見分ける必要があるということです。

だからこそ、Twitter上でトレーダーのコミュニティに参加する前に、基礎レベルの知識を習得しておくことをお勧めします。トレーディングの方法を分かっていないという人は、その方法を学ぶためにTwitterに行くべきではないと思います。

方法がわかっていないままでTwitterに行けば、ほとんどの人は資産に関する知識もなければ計画もなく、そして説明責任も果たされないままで何かを買ってしまい、そして結局は損をしてしまうことになるからです。

私はTwitterを通して自分のニュースレターやポッドキャストを成功させることができましたので、そういった面では大変恵まれていました。このようなことも含めて、暗号通貨業界の一員として活動してこれたのは大変素晴らしいことです。

しかし、この業界にはじめて参入した時のこともよく覚えています。その時は周囲で一体何が起こっているのか全くわからず、そんな中で自分の進路をみつけて上手く切り抜けていくということは本当に大変でした。

避けられない派閥闘争

現在のアメリカは「王国の崩壊」のように見えます。これは政治が国に影響を及ぼしている限り避けることはできません。しかもこれはまるでサーカスのように滑稽な見せ物で、だからこそとても熱中することができません。

人間の核心には部族性というものが生まれつき備わっていると思います。人間は集団的生き物であり、自分と同じ属性をもつ集団と関わりを持ちたがります。

たとえば同じ宗教、同じ国の国民や同じ国民性を分かち合う人、同じスポーツチームの支持者、同じ政治的見解を持つ団体、といった人々と付き合いたがります。

この性質からくる問題点をまさに象徴している例が二大政党制だと言えます。どちらの言い分にも100%賛成することはできません。中絶に反対で一律の税率に賛成であれば、共和党支持ということになります。

しかしそういった考えを持ちつつも、移民を認めるべきという考えを同時に持つこともありえます。このように、認知的不協和や歪みが発生するのです。

しかも2020年までは、どちらの政党にも上手く収まらないトランプのような大統領もいました。共和党員は皆、党の政策の原則とは対照的なトランプの政策に染まってしまいました。

事実に基づかない意見が蔓延するディストピア

我々は問題に対して、建設的な議論をしていく必要があります。私は事実と教育に基づいた自分の意見を持っている人や、教育された感覚を持ち合わせている人を尊敬しています。たとえ自分とは対極的な意見を持っている人がいたとしても、正当な理由と説明があれば尊敬します。

しかし我々の生きる世界では、事実に基づかない意見が蔓延しています。しかもさらに危険なのは、こういった意見を、言った本人は事実だと思っているということです。

このようなことが、我々を資本主義の存在しない破綻した経済へと突き落とすのです。現在の我々の世界にあるのは「企業のためだけの福祉」そして「お金持ちしか救わない社会主義」です。

お金持ちは社会主義の悪さを説く一方で、自分たちが救済措置やフリーマネーからの恩恵を受けているのです。

我々の世界にはもはや合理的な言説はありません。我々は事実で構成されていた世界の、その先にあるディストピア的世界にいます。この世界では誰も彼もが何でも言いたい放題で、聴衆は言われたことを信じてしまいます。

フェイクニュースは本物のニュースの何倍もの速さで読まれ、ソーシャルメディア上ではどんなことを唱えることもできます。そして十分な数の人にリツイートされれば、それが事実になるのです。

インタビュー・編集: Lina Kamada

翻訳: Nen Nishihara

     

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