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「NFTは注目を集めるだけの単なるカラクリなのか」Zoobdoo分析記事

昨今の世の中で大流行しているNFTは、特にアートの分野での利用が盛んです。しかし現在流行っているNFTの利用方法の中で、実生活に役立つ活用事例はどれくらいあるのでしょうか。NFTには単なる収集価値以上の価値があるのですが、人々はいわゆる「ギミック」、つまり人目を引くような派手な用法につい気を取られてしまいます。今回の記事では最新技術の陥りやすい「ギミック」の罠について解説しています。ぜひご覧ください。

本記事は、Zoobdooに掲載されている「NFTs Are a Gimmick; They Won’t Be For Long」の内容を日本語へ翻訳し掲載したものです。原文の英語版はこちらをご覧ください。

NFTs Are a Gimmick; They Won’t Be For Long

最新技術の陥りやすい「ギミック(人目を引くためのからくり)」の罠 

人類は何世紀にもわたって原始的な仕組みのさまざまな機械を作ってきましたが、機械の「原理」の部分は、どのように活用されてきたのでしょうか。

古の王様であるソロモン王は、自動装置のからくり技術を自分の玉座の装飾に使ったと言われています。牛やライオンが玉座を持ち上げているように見えたり、あるいは鳩が自分の頭上に王冠を載せてくれるような「仕掛け」を施していたのです。

ソロモン王から約1千年後、ビザンツ帝国のコンスタンティヌス7世も、外国の外交官を威嚇するために同じような「仕掛け」を用いたと言われています。コンスタンティヌス7世の玉座の詳細については以下に描写をのせておきます。

皇帝コンスタンティヌス7世は黄金のライオンに挟まれた玉座に腰掛けていた。ライオンは口を開けて舌を震わせながら恐ろしげな唸り声を上げ、尻尾を前後に振って外国の客を迎えた。玉座の横には実物大の黄金の木があり、その枝には何十羽もの金色の鳥が止まり、それぞれが歌を歌っていた。外交官が皇帝の前で平伏すると、玉座は天井に向かって上昇し、皇帝はその上に座っていた。皇帝は天井裏で衣装替えをして、別の衣を着て地上に戻ってきました。(サイト「Aeon」より抜粋)

さて、ソロモン王からコンスタンティヌス帝の時代にかけて、東洋では水車や綿繰り機が発明されました。

つまりどういうことかというと、もしも皇帝たちが最新技術を安っぽい見かけ倒しのトリックに使うかわりに人々の実生活で役立つようなものに投資していれば、もっと重要な成果が得られたはずだということです。

実は現代の最新技術も同じような罠に陥っています。

たとえば映画に使われているフィルムですが、フィルムは大切な物語の詳細や歴史的な出来事を記録することもできる技術です。しかし前述のような用途で使われる前は、フィルム技術はただの目新しいアトラクションとして使われていました。

具体的には、フェアやショーに行ってほんの数セントのお金を払えば、ステージパフォーマンスの録画といった類のはっきり言って実際に見た方がはるかに見栄えのするような芸術の記録映像を見ることができました。

それからインターネットもあります。インターネットははじめから世界を変えるべくして生まれた世紀の大発明でした。そして初期の支持者たちもそのことを十分知っていました。

ところが我々は21世紀になっても、グローバルな接続性ともいえるこの大発明の未来について、おもちゃやペットフードといったものを注文できることだと信じていたのです。クラウド、IoT、ソーシャルメディア、ブロックチェーン、といったような数々のアイデアの半分すらもまだ想像さえされていませんでした。

こういった数々の「ギミック」となってしまった革命的な技術のことを考えると、NFTが現在いろいろな用途で使われているにもかかわらず、その中に社会的に有用性のある活用ケースがほとんどないというのもうなずける話です。

NFTもギミックとなってしまっているのか 

NFTに関する話題はもうだいぶおなじみかもしれません。たとえばCryptoKittiesについてはもうご存知でしょう。アニメの猫のコレクションであり、育てて繁殖させることはできるものの、それ以外のことはほとんどできません。

CryptoPunksと呼ばれるコレクションもあります。このコレクションに関しては「育てて繁殖させる」ことすらできません。しかしこれらのコレクションのアイテムは、めずらしいものだと時には数万ドルから数十万ドルもの価値で取引されています。

「NBA Top Shot」では、過去数ヶ月の間に数億ドル相当の栄えあるGIF画像が取引されました。中には5桁ドルの価格のついたものもあったほどです。また、イーロン・マスク氏のツイートのNFTは100万ドル以上で購入され、ジャック・ドーシー氏の「初ツイート」のNFTは何と約300万ドルで購入されました。

しかし中でも一番有名な例は何と言っても数週間前に7,000万ドルで落札されたデジタルアート作品「Everydays: The First 5000 Days」でしょう。「Everydays: The First 5000 Days」の作者であるビープル氏(Mike Winkelmann氏)は、才能あふれる人気アーティストです。

もちろん彼の作品は何時間もかけて丁寧に制作された大作であり、市場ではそれなりの値段がついても全くおかしくありません。しかしそうは言っても、さすがに7000万円ともなると、ギミックの領域に入ってしまうのも否めません。なぜなら、結局のところ高額な芸術作品はコレクターズアイテムというのは、実生活にはあまり役に立たないからです。

NFTは収集価値だけではない

Luka Doncic選手のスリーポイントシュートを捉えた映像のNFTにしても、最終的な販売価格以上の価値を所有者に与えてくれるわけではありません。たとえ何か価値があったとしても、せいぜい脳内にエンドルフィン等の化学物質がわずかに分泌される程度でしょう。CryptoKittiesにしてもイーロン・マスクのツイートにしても、この点は変わりありません。

しかし興味深いのは、「Everydays: The First 5000 Days」の所有者は自らの投資を有効に活用する方法を見出しているという点です。彼はメタバースのアートギャラリーにこの作品を展示し、誰でも独自の暗号トークンで作品のステークを購入できるようにしたのです。将来的にはこういったギャラリーが、入場料によって利益を得ることも考えられるでしょう。

これは非常に重要な転換です。というのも、現在NFTで得られている数十億ドルの利益というのは、すべてキャピタルゲインという形だからです。

ところがキャピタルゲイン以外の形で他の種類の収入が得られるということになれば、NFTが単なるコレクターズアイテムではないという証拠になります。その価値は決して収集価値だけではなく、実際には希望価格以上の価値があるということを意味しているのです。

実際のところNFTは我々が現在注目していること以外にもさまざまなことができるのです。我々は昔から画期的な技術を表面的な目的のためにしか使ってきませんでした。しかしいつまでもそうというわけではありません。すでに進化は始まっているのです。

NFTの可能性

NFTができることを最大限に理解するためにはまず一旦現状から離れ、そのきらびやかなイメージを払拭した上で、非常に根本的なところから考えていく必要があります。

ブロックチェーンのセキュリティーによって支えられている唯一無二のデジタル資産である、というのがNFTつまり非代替性トークンの本質です。

NFTの根本的な技術の原理などについてはこの記事では触れませんが、それでも一つだけ書いておきたいのは、すべてのNFTは世界で唯一のものでありしかもそれが証明可能であるということです。つまり誰であれそれを否定したり、コピーしたり、あるいは奪ったりはできないということです。

このことを踏まえると、NFTの価値提供が歴史的な美術品の価値提供(希少性があること・本物であること・非再現性が高いこと)とあまりにも似通っていたがゆえに、世界はビープル氏の作品やCryptoKittiesなどに魅了されるのかもしれません。

しかし「世界に一つしか存在しない(デジタルな)モノ」という基本に立ち返れば、もっと魅力的なユースケースがたくさんあるはずです。

たとえば、シンプルですが意外と知られていないニッチなNFTのユースケースとして「暗号ドメイン」というのがあります。たしかにドメイン名というのは、ユニークなコレクターズアイテムといったものと比べるとどうも魅力に欠けます。しかし、「.com」にどれほど価値があるのかということは、もう何十年も前からインターネットが証明してくれています。

たとえば市場性の高い「Insurance.com」や「LasVegas.com」は数千万ドルで落札されました。人気のある文字列を所有しているのは人気のある不動産を所有しているのと同じで、莫大な収入を得ることができるのです。Ethereum上の「.crypto」ドメインも、いつの日か数千万ドルの価値になるかもしれません。

ドメイン名の例からもわかるように、再現性のないデジタルアイテムは実用的なビジネスアプリケーションになり得ます。実際に個人でも企業でも、さまざまな方法でこのようなアプリケーションを生産的に役立てることができるのです。

NFTのさまざまな機能

・記録管理

ブロックチェーンの最も基本的な機能は、記録の保存です。分散型暗号の安全性と不変性に匹敵する記録システムは他にありません。法的な契約書、ライセンス関係、証明書、財務記録、不動産証書といったような重要な記録が、紙とペンによる記録方法からNFTによる記録へと移されるのは当然の流れだと言えるでしょう。

・詐欺対策

詐欺というのはデザイナーの活動やさまざまなイベント運営にも共通する問題です。たとえばスポーツイベント等で競技場の外で偽造チケットを販売する詐欺師もいますし、闇市場で安い素材を使ってブランドバッグをコピーするような怪しい業者もいます。

詐欺に対しても、NFTを利用することで真贋の検証をシンプルかつ容易に行うことができます。チケットにNFTを利用すれば、購入者の来歴をデフォルトで即座に示すことができます。同様にブランドバッグにもQRコードをつけて本物であることを示すことができます。NFTは偽造ができません。したがって犯罪者たちは、新しいユニークな戦略をまた考えなければなりません。

・二次流通対策

コンサートのチケットが高いのは二次流通市場があるからです。PS5が買えないのも同じ理由です。転売屋はボットを使って市場にいち早く参入し供給分をすべて買い占め、法を犯すことなくクリーンに利益を得ることができます。

しかしこういった転売屋たちの行為に対抗する術を持っていた企業は今までほどんどなく、政府による法整備でさえもほとんど成果をあげられませんでした。

もしも二次流通するようなアイテムが、ブロックチェーン上で販売されるようになった場合はどうなるでしょうか。チケットはNFTそのものを使い、ゲーム機はNFTと紐付けることができます。そしてブロックチェーンですべての取引を追跡し、望ましくない種類の取引を防止したり、抑制したりするルールを適用することができます。

たとえばアメリカの実業家のマーク・キューバン氏はNFTを利用したモデルについて、二次販売によってチケットの発行者が利益を得て、より多くのお金を価値創造者に還元することで転売屋の利益を削ることができる、ということも指摘しています。

・ファンドレイジング

古代の哲学者マイモニデスは寄付について、「寄付は寄付者が完全に匿名である時に最も祝福され、最も受け入れられる」と書いています。

実際のファンドレイジングでは、寄付者が何らかの見返りを得られるようにすると上手くいきやすいという傾向があります。例を挙げると、アメリカのGoFundMeのキャンペーンや、「1日たったの25セントで子犬を救うことができて証明書がもらえる」というCMなどが典型的です。

たとえばですが、一律に寄付を募るのではなく、チャリティ団体がNFTをオークションに出品するようにしたらどうでしょうか。シェルターや救済基金に寄付をすると、デジタルトークンを受け取ることができるようにするのです。

このデジタルトークン自体には価値がないかもしれません。しかし「I Voted(投票に行きました)」というステッカーや、LIVESTRONG(がん患者および家族の支援を行っているアメリカ合衆国の非営利団体)のリストバンドに価値があるのであれば、それ自体は価値を持たない小さな小物でも、利他的な行動にプラスの影響を与えられる可能性があります。

・貸借の担保

個人であれ企業であれ、融資を受ける際には担保が必要となることが多々あります。NFTに価値があるのであれば、担保として機能することも可能でしょう。しかしこのアイデアを実現するのは当分は難しいと考えています。というのも非代替性のあるものはその性質上、確実に価値を鑑定することが難しいからです。

たとえば米ドルを例にとりましょう。ドル市場は非常に流動的なので、ドルの価値を知るのも簡単です。そして我々はいとも簡単にドルと他の通貨、暗号通貨、または価値のあるアイテム、あるいは別のドルと交換することができます。

しかし米ドルとは対照的に、Top Shotで7万ドルで売却されたルカ・ドンチッチ選手のスリーポイントシュートのNFTは、翌月の流通市場では2倍の値段なってるかもしれませんし、20倍になっているかもしれませんし、あるいは半分の価値になっているかもしれません。その時になって売ってみないと何とも言えないのです。

今後もしNFT、あるいはNFTにおけるある特定分野の市場が平準化されることがあれば、貸し借りに役立つかもしれません。

新しい時代の幕開け

コンスタンティヌス帝のビザンツ帝国が栄えてから数世紀後、その首都からそう離れていない場所で多くの科学者たちが単純な機械の研究を行うようになりました。ダヴィンチやガリレオといった思想家たちです。

彼らはレバーや滑車、車輪やくさびといったものを使い、機械が個別の小さなパーツの総和よりも大きな物理的効果を得られる仕組みを解明しようとしていました。そして彼らが研究していた効果というのは、社会を大きく変えるほどのものでした。彼らが行った研究は産業機械や自動車、そしてロボット工学へと繫がる道筋となったのです。

ちょうど15世紀あたりのイタリアのように、我々も今まさに新しい時代の始まりに生きています。非常に便利なテクノロジーを手にしてはいるものの、その使い方についてはよくわかっていません。我々は手にしたテクノロジーの能力を理解しはじめているところで、現在の限界を広げようと挑戦しています。しかしこの挑戦も、ごく最近はじまった動きでしかありません。

言うまでもないことですが、最先端の技術の利用法というのは、どうしても最も派手なものが注目を集めてしまいます。しかしNFTにはここでもまだ取り上げていない素晴らしい活用方法がたくさんあります。人々の社交、遊び、仕事、そして生活の在り方を一変させるような使い方もあるでしょう。

いつの日か2021年を振り返った時に我々は、便利な技術が目と鼻の先にあるのにもかかわらず、見た目が派手なだけの実用性のないものばかりを作るのに時間を費やしてきたという自分たちの愚かさに気付くかもしれません。

翻訳: Nen Nishihara

     

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