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世界的なインフレ率の上昇とインフレ大国アメリカ:ドリュー・デシルバー氏 分析記事

2021年の第3四半期、世界の多くの国々でインフレ率の上昇がみられました。中でもアメリカの上昇は著しく、上昇幅は本記事の調査対象46カ国の中でも3番目の高さでした。一方で日本は調査対象の中でも唯一インフレ率がマイナスの国でした。世界の国々のインフレ率はパンデミックを受けてどのようなパターンをたどったのでしょうか。是非ご覧下さい。

本記事は、Pew Research Centerのドリュー・デシルバー氏(Drew DeSilver)の「Inflation has risen around the world, but the U.S. has seen one of the beggest increases」の内容を要約・抜粋し日本語へ翻訳し掲載したものです。

年第3四半期に見られた世界的なインフレ率の上昇

世界の中でインフレ率が上昇しているのは決してアメリカだけではありません。Pew Research Centerが46カ国のデータを分析したところ、2021年第3四半期のインフレ率は、大半の国(46カ国中39カ国)でパンデミック前の2019年第3四半期よりも高くなっていました。

しかもアメリカを含む16カ国では、インフレ率が2019年の同時期よりも2%以上も上昇しています。2019年第3四半期から2021年第3四半期にかけてのアメリカのインフレ率の上昇幅は3.58ポイントで、調査対象国の中ではブラジルとトルコに次いで3番目の高さでした。

調査対象国の多くに共通していた傾向とは

なお、インフレ率の高低にかかわらず、調査対象の多くの国に共通する傾向がありました。

2020年第1四半期にパンデミックが発生する前は、どの国も比較的低いインフレ率でした。しかし同年の後半から2021年にかけては、パンデミックを受けて多くの政府が経済活動を大幅に抑制したため、インフレ率は横ばいもしくは低下する傾向となりました。

そして2021年の第2四半期と第3四半期には、パンデミックによる影響から回復して正常化しようとする努力が各国で見られ、インフレ率が再び上昇しました。

調査対象46カ国のインフレ率の上昇(2019年第3四半期と2021年第3四半期の比較:パーセントポイント)

分析には経済協力開発機構(OECD)のデータを使用しました。データ対象はOECD加盟国38カ国に、その他経済的に重要な8カ国を加えたものです。

データソース:Pew Resource Center Analysis of Organizaztion for Economic Cooperation and Development(OECD) data. 

調査対象46カ国のインフレ率比較(2021年第3四半期の年間インフレ率)

・日本は−0.2%で、調査対象国の中で唯一マイナスのインフレ率だった
・調査対象国の中で最高のインフレ率だったのはアルゼンチンの51.9%で、次点でトルコの19.3%となった

ソース:Organization for Economic Cooperation and Development(OECD)

調査対象国の中で唯一インフレ率がマイナスであった日本

今回の分析対象となったほとんどの国では、2021年を境にしてそれまで異例の長さにわたって続いていた低〜中レベルのインフレから大きく脱却することができました。

しかし一方で日本は20年以上にわたって、持続的な低インフレと周期的なデフレに苦しめられてきました。その中で日本はほとんど持ち直しに成功していません。日本のインフレ率は2020年第1四半期も0.7%と低迷しています。そして2021年の第3四半期の消費者物価は、2020年の第3四半期の水準を0.2%下回っています。

記事全文はこちら(英語版)をご覧ください。

翻訳: Nen Nishihara

     

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