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検索データからみる2021年にBitcoinが最も注目された国 : The World Bitcoin Report ニノ・カデル氏

Bitcoinについてよくネットで検索しているのはどこの国でしょうか。またBitcoin関連のWikipediaの閲覧やTwitterでの言及はどうなっているのでしょうか。今回は世界各国のBitcoinに関する検索情勢を分析し、人々の検索データからBitcoinが人気な地域とそうでない地域を割り出します。多種多様なデータを用いて多角的な分析をしておりますので、ぜひご覧下さい。

本記事はThe World Bitcoin ReportのCEO兼エディターのニノ・カデル 氏(Nino Kader)の「Which country is most intersted in Bitcoin?」の内容を日本語へ翻訳し掲載したものです。原文の英語版はこちらをご覧ください。

検索事情からみる世界の人々のBitcoinに対する認識

世の中に一大旋風を巻き起こしたBitcoinは、世界中の100以上の言語で話題になり、2009年にはほとんど価値がなかったにもかかわらず、2021年には時価総額1兆ドルを突破しました。

2022年度Wolrd Bitcoin Report(2022年1月出版)

本記事ではBitcoinに対する世論をデータに基づいたアプローチで分析していきます。このパートでは153カ国の人々のBitcoin検索事情を分析し、Bitcoinが人気な国とそうでない国を明らかにしていきます。後編の記事ではBitcoinの将来について人々がどのように考えているのか、また現在どのような疑問を持っているのかについて深堀りしています。

The World Bitcoin Reportは世界中の人々のBitcoinに対する認識に関する評価・調査を行い、画期的な調査から明らかになったBitcoinの様々な側面に関するデータを提供しています。

Bitcoinに関するWikipediaはどれくらい見られているのか

まずはWikipediaのデータに対してtoolforgeの言語表示分析ツールを使用すると、Bitcoinに特化した頁は計112の言語で閲覧されていることがわかりました。これらの頁の閲覧数をすべて合計すると、1億PV(年間)を超えることになります。これはスティーブ・ジョブスの頁(1.1億PV)とマイケル・ジョーダンの頁(9800万PV)のちょうど間にくるほどの記録です。

153カ国におけるBitcoinに関する人々の検索事情(検索量と傾向)

我々のチームは各種検索エンジン(Google、Baidu、Bing、Yahoo、Yandex、Naver)のデータを用いて、世界中の153カ国のBitcoinに関するインターネット検索について分析し、相対的な関心度合いとしてまとめました。

このデジタルな金鉱ともいうべきデータの山を分析し、各国のインターネットアクセス人口の割合に基づく「Bitcoin」検索の基線を確立しました。下図は各国を月別の平均検索水準に応じて、Bitcoinへの関心レベルを「非常に高い」〜「非常に低い」の5段階に分類したものです。

153カ国のBitcoinに対する関心レベルの高さ(5段階評価)
レベル1 非常に高い
レベル2 高い
レベル3 普通
レベル4 低い
レベル5 非常に低い

Bitcoinに対する国民の関心レベルが最も高かったのはイギリス、アイルランド、アメリカ、カナダ、ドイツ、トルコ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、韓国、香港、台湾といった国や地域でした(中国のデータはありません)。記事の後のほうでランキング詳細も紹介しています。

逆に最も関心レベルの低かった国は、ガンビア、シエラレオネ、ウガンダなどでした。最下位はミャンマーで、Bitcoinへの関心レベルはわずか0.001%でした。

我々はBitcoinのインターネット検索量の分析に加えて1年間の検索の全体的な傾向分析も行いました。つまり各国の関心レベルが増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのか、あるいは安定しているのかについても分析を行ったということです。

その結果、調査対象の66%の国において、Bitcoinへの関心レベルが増加傾向にあるということがわかりました。一方、33%の国では検索量が月比較でみた時に安定傾向にありました。これはBitcoinの認知度の成熟を示唆している結果であると考えられます。 

また、2021年にBitcoinへの関心レベルが低下した国は調査対象の中で1カ国だけで、その1カ国とはエチオピアでした。全体的な傾向としては、Bitcoinへの関心レベルは世界的に高まっていると言えるでしょう。

Bitcoin関心レベル上位40カ国

Bitcoinへの関心レベルの高い国々や地域についてさらに調べてみると、いろいろと興味深いことが明らかになりました。

まず、Bitcoinの月間検索回数が最も多かった国はアイルランドでした。2位は活気あふれるテクノロジーの土壌を持った国シンガポールで、これに僅差でドイツが続きました。2021年の検索回数でドイツに次いで4位だったのはトルコで、トルコは来年もこの順位をキープできるのか注目していきたいところです。


Bitcoin関心レベル上位40カ国
(Bitcoinの総検索回数を国民1人あたりの関心レベルに換算)

アイルランドがトップというのは意外に感じるかもしれませんが、アイルランドは国土が狭くハイテク企業が盛んなため、国民はBitcoinに対して非常に高い関心を持っています。たとえばGoogle、Apple、Facebook、Paypalといった数々のテック企業も、ヨーロッパ拠点をアイルランドに置いています。

また、中にはBitcoinそのものを検索する頻度よりも「Bitcoin価格」の検索頻度の方が高かった国もいくつかありました。これらの国の人々は、Bitcoinに関する一般的な検索よりも日々の価格の方に関心を持っている可能性があることを示していると言えるでしょう。

多くの国がBitcoinを歓迎しているということがわかりましたが、その筆頭とも言えるのが2021年にBitcoinを初めて法定通貨として採用したエルサルバドルです。この大胆な決断が今後の数ヶ月、あるいは数年のうちにどのような結果へと発展していくのか興味深いところです。

Bitcoinを歓迎する国々の一方で、Bitcoinの使用を禁止する国もあります。Bitcoinを禁止した国の最近の例は中国です。

Bitcoinの検索回数合計とTwitterでの言及

Bitcoinの検索回数合計で世界をリードしているのはアメリカで、具体的な数字で言うと月間約700万回も検索されています。アメリカの人口が世界第3位であるということを考えると、十分うなずける順位です。

Ahrefsのデータによると、アメリカに次いで2位だったのはトルコで月間検索回数約240万件、3位はドイツで約210万件でした。

我々はTwitterの年間言及数と主要メディアのニュース記事の分析も行いました。Wikipediaの検索回数、Googleの検索回数、Twitterの言及回数、それからメディアのニュース記事で取り上げられた回数という各種データを組み合わせることで、Bitcoinに対する世界の人々の関心をより明確に把握することが可能となります。

世界中のBitcoinのGoogle検索回数合計、Twitterでの言及回数、ニュース記事の本数、Wikipediaの検索回数 (2016年から2021年までの推移)

Wikipediaの検索のピークは2017年で、これはBitcoinがはじめて熱狂的に流行った年です。また、Google検索、ニュース記事への出現頻度、およびTwitterでの言及は2021年にピークを迎えました。これらの数値はBitcoinの価格と相関関係にある可能性が高いと言えそうです。アナリストたちによれば、Bitcoinの価格は今後まだまだ上昇し続けるそうです。

Bitcoinの年間の平均価格

Bitcoinはボラティリティが高い上に24時間365日休みなく取引が可能なため、株式や他の従来型の資産と比べると把握しにくいという面があります。

そこで我々は過去5年間のBitcoinの1日の価格を平均化することで、年間価格の比較を行いました。このデータを用いて過去5年間の年複利成長率を計算すると、約142%となりました。比較対象として挙げておくと、同時期の株式市場のS&P500指数は17%近くでした。

投資対象としてのBitcoinは今や個人投資家たちだけではなく、機関投資家たちをも魅了し始めています。

Bitcoinの年間の平均価格(2016年〜2021年の5年間の推移)
年平均成長率(CAGR)は5年間で142%であった

2021年半ばにBitcoinは時価総額1兆ドル(約1900万BTC×53000ドル=1兆70億万ドル)を突破しました。Bitcoinは誕生からわずか12年でこの驚異的な大台に到達しました。参考までに、Googleはここまでくるのに22年かかりました。

億から兆へ

億から兆という成長がいかに驚異的か、これを量的に測り知るのは非常に難しいことです。この差をイメージしやすくするために、パリからあるヒントを持ってきました。高さでいうと、シャンパン1本分の高さとエッフェル塔の高さの差が、まさに10億と1兆の間の差です。

Bitcoin自動預け払い機(Bitcoin用ATM)

Bitcoin用ATMは世界各地に設置されるようになりました。見た目は普通のATMと似たような機械で、Bitcoinを引き出したり預け入れたりすることができます。これらのATMは、たとえばフランスに11台、アメリカに3万台近く設置されています。

世界各地のBitcoin用ATMの分布と台数

Bitcoinが法定通貨となったエルサルバドルでは、ここ何カ月で数十台の新しいBitcoin用ATMが稼働するようになりました。また香港、ポーランド、ルーマニア、スイス、オーストリア、スペイン、カナダ、イギリスには、それぞれ100台以上のBitcoin用ATMがあります。

翻訳: Nen Nishihara

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