2023年もそろそろ終わりに近づいてきました。暗号資産業界は、今年も様々なニュースがあり、大きな動揺をもたらした出来事もある一方で、新たな技術革新や投資の流れ、そして暗号資産の役割の再定義が行われるなど、明るい展望も見えてきました。この1年はどのようなニュースがあったのでしょうか。
この記事では、暗号資産の重大ニュースを”2023年前半のニュース”から振り返っていきます。
暗号資産の重大ニュース
Azukiがハッキング被害に遭い、多額の資金流出
2023年1月28日
NFTプロジェクト「Azuki」のTwitterアカウントがハッキングに遭い、偽のNFT発行イベントがハッカーによって投稿されました。プロジェクトのコミュニティマネージャーはハッキングされたことを確認後、投稿されたリンクにアクセスしないようユーザーに警告し、Twitter社へ直接連絡を取り1時間以内に投稿を削除しました。しかし、その時間の間に多くの被害が発生し、中には75万ドル相当のステーブルコインが盗まれたユーザーもいました。今回のハッキング被害は、77万ドルに値する計122点のNFTが盗まれたとの情報もあり、多額の被害を及ぼしました。
参考: https://coinpost.jp/?p=428690
DigiDaigakuがスーパーボウルにてNFT広告
2023年2月12日
アメリカ最大のアメリカンフットボールイベントであるスーパーボウルにて、Limit Break社が自身のNFTプロジェクト「DigiDaigaku」のCMを流しました。スーパーボウルの30秒間のCM枠を650万ドルで購入しました。また、Web3系のプロジェクトがスーパーボウル内でCMを流すのは初めてのことです。CM内では無料でNFTを取得できるQRコードを表示させることで、これまでWeb3に触れてこなかった多くの層にまでWeb3体験を届けることになると注目されていました。しかし、放送されたCMのQRコードはNFTの無料配布ページのリンクではなく、CEOであるゲイブ自身のTwitterへのリンクだったと大きな波紋も呼びました。
参考: https://www.neweconomy.jp/posts/294620
NBA Top Shotが裁判で有価証券であると判決
2023年2月22日
Dapper Labs社のNFTプロジェクト「NBA Top Shot Moments」が有価証券にあたる可能性があると、ニューヨーク州南部地裁によって判決が下されました。有価証券としてみなした理由として、独自のブロックチェーンと発行したNFTの両方とも管理していることや、NFTの販売プロモーション方法が、NFTの価値向上に寄与した可能性があることにあるとしています。また、今回の判断は限定的なものとしており、すべてのNFTに該当するわけではないとしています。尚、今回の結果は最終判決ではないため、今後の動向にも注目です。
参考: https://www.coindeskjapan.com/175857/
MetaがNFTに関するサポートを中止
2023年3月14日
FacebookやInstagramのサービスを展開するMeta社が、NFTへの取り組みを中止すると発表しました。同社は2022年5月より、一部のユーザーに限定してNFTのテスト機能を開始しており、同年11月にはアメリカ内の限られたクリエイターに対して直接NFTの発行から販売を行えるようにしていました。しかし、コマース&金融サービス責任者であるカスリール氏は「クリエイター、人々、企業を支援する他の方法に集中する」として、他のサービスへの注力や、企業戦略のシフトを理由としてNFTサポートの終了を決断しました。ただし、クリエイターとファンの関係をサポートすることは変わらず続けていくとしています。
参考: https://www.coindeskjapan.com/177625/
世界最大規模のイーサリアムハッカソンが東京で開催
2023年4月14〜16日
Web3市場の育成やエコシステムの発展を目的としたハッカソンを世界中で開催している「ETHGlobal(イーサグローバル)」が2023年4月14〜16日の間、東京都内で「ETHGlobal Tokyo」を開催しました。ETHGlobalはこれまでに100カ国以上から5万人程の参加者がおり、「ETHGlobal Tokyo」においても約1,500名もの開発者が参加しました。また、世界中からWeb3系プロジェクトやコミュニティも東京に集まり、自分たちでサイドイベントを開催するなど、これまでにないWeb3の大きな盛り上がりが東京都内各地で見受けられました。
参考: https://coinpost.jp/?p=458043
Binanceグローバルが日本居住者へサービス終了
2023年5月26日
最大手暗号資産取引所「Binance」が、日本の法律に従うため日本人居住者へのグローバルサービスの提供を2023年11月30日をもって終了すると発表しました。それに伴い、日本居住者向けの新しいプラットフォームを提供するとしている。これまでグローバルサービスを利用していた日本人居住者には8月1日より本人確認を通じた移行作業が開始しており、12月1日以降に利用が可能となる予定です。本人確認の移行作業が未完了なユーザーは暗号資産の売買を行うことはできず、資産の出金のみが可能な状態になるとのことです。
参考: https://coinpost.jp/?p=463094
SEC、大手暗号資産取引所2社を提訴
2023年6月6日・7日
SEC(アメリカの証券取引委員会)が、大手暗号資産取引所の「Binance」および「Coinbase」を提訴しました。6月6日にはBinance、その翌日6月7日にはCoinbaseを提訴したと大きな話題となりました。SECは、Binanceが投資家の権利を犠牲にして利益を上げたと主張しました。Coinbaseはステーキングサービスが有価証券の提供であるとSECは指摘しました。そして、SECに登録せずに、仲介などのサービスを提供したことも問題としました。どちらもSECの主張に対しては強く反発し、暗号資産全体の相場も大きく変動させるなど、暗号資産業界にとってはかなり重大なニュースとなりました。
参考: https://coinpost.jp/?p=467347
Uniswap V4の計画を発表
2023年6月13日
分散型取引所「Uniswap」が新バージョン「v4」の開発計画を公表しました。
ユニスワップv4の特徴として、「フック」という新しい機能が追加されることが予定されています。これは、取引をもっと自由にカスタマイズできるようにするための機能で、例えば、市場の動きに合わせて手数料を変動させたり、特定の条件で取引を行うことができるようになります。また、全ての取引情報を1つの場所で管理する「シングルトン」という機能も新たに追加されます。これにより、取引の際の手数料や費用を大幅に節約できると期待されています。また、新しいバージョンでは、より簡単にイーサリアムを取引できるようになるという点も注目されています。具体的には、これまでのバージョンではサポートされていなかったイーサリアムの直接取引が可能となります。このユニスワップv4は、コミュニティが管理する形で公開され、初めの4年間は特定のライセンスのもとで利用される予定。その後、誰でも自由に使ったり、変更したりすることができるライセンスに変わる予定です。
ユニスワップv4は多くの新機能や改良点が盛り込まれており、暗号資産の取引を行うユーザーにとっては大きな進化となることが期待されています。
参考: https://coinpost.jp/?p=467509
イーサリアム、アップデートの詳細発表
2023年6月8日
イーサリアムの開発者グループは次のアップグレード、「Dencun(デンクン)」の詳細を発表しました。このアップグレードは年内に実施予定で、データストレージの増強や取引手数料の削減を目的としています。特に注目されるのはEIP4844、通称「プロト・ダンクシャーディング」。これはブロックチェーンのスケーリングを向上させるためのデータ保存領域の拡大を意味し、レイヤー2技術の一つであるロールアップの取引手数料を大幅に削減することが期待されています。Dencunは、以前に決定された「Cancun(カンクン)」と「Deneb(デネブ)」の2つのアップグレードを統合した名称であり、イーサリアムのネットワークをさらに強化することを目指しています。イーサリアムは業界において、非常に重要な役割を持っているため、今後の同行については引き続き注目です。
参考: https://www.coindeskjapan.com/188698/
まとめ
以上が暗号資産業界の”2023年前半”の重要ニュースとなります。
DigiDaigakuのNFT広告や、イーサリアムのアップデート「Dencun」など注目の出来事が続々と発生した一方で、SECによるクリプト規制の強化やMetaがNFTへのサポートを中止するなど業界にとっては痛いニュースもいくつかありました。しかし、これらは暗号資産業界の成熟と共に新しい課題や機会が生まれていることを示しているともいえます。
次回は暗号資産の重大ニュースを振り返り(パート2)についてまとめていきます。
ぜひ、そちらの記事も併せてチェックしてみてください。
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