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2023年、暗号資産の重大ニュースを振り返る(パート2)

前回の記事では、「暗号資産の重大ニュースを振り返る(パート1)」をテーマとして”2023年前半のニュース”について振り返りました。

今回の記事では、”2023年後半”における、暗号資産の重大ニュースを振り返っていきます。

それでは早速、見ていきましょう。

暗号資産の重大ニュース

SEC、RIppleとの裁判に判決

2023年7月14日

SEC(米証券取引委員会)とRIpple Labsの裁判で、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所の判事が7月13日にXRPはVCや機関投資家に販売される場合は違法に販売された投資契約だが、暗号資産取引所を通じて販売される場合や、従業員や内部関係者に配布された場合は、完全に合法な「別物」ということになると判決を下しました。この裁判では、過去の法律や判例を参考にして判断がなされました。特に「ハウィーテスト」という基準が使われ、これは投資としての性質を持つかどうかを判断するためのものです。裁判の結果、暗号資産の取り扱いについてはまだ不確実性が残っていることがわかり、この裁判の結果により、今後の暗号資産関連のビジネスや取引に影響が出る可能性があります。今件の裁判には続きがあり、他の問題については裁判の日程が2024年4月に設定されています。この暗号通貨をどのように取り扱うか、どのような形で販売するかによって、合法性が変わるという点が注目されています。

参照:https://www.coindeskjapan.com/193966/

Coinbaseがレイヤー2「BASE」を公開

2023年8月9日

Coinbaseが、独自ブロックチェーン「Base」の公開を発表しました。これは、上場企業が自身の分散型ネットワークを始動させる新たなステップとして注目されています。

この新しいブロックチェーンは、今までのコインベースのシステムを更に発展させ、新しい可能性を秘めています。Coinbaseの目標は、この「Base」を使用して、より多くの人々や企業が暗号資産を日常生活に取り入れることを促進することです。また、CEOであるブライアン・アームストロング氏によれば、この「Base」は、多くの人々にとっての新しい取引の場所となる分散型アプリケーションを提供する予定です。既に100以上のアプリケーションが導入される計画であり、これにより、暗号資産を使用する範囲が大幅に広がることが期待されています。日常生活においても、このような技術の進化により、暗号資産の利用が一般的になる日も近いかもしれません。

参照: https://www.neweconomy.jp/posts/330992

OpenSeaがクリエイターフィーの変更

2023年8月18日

NFTマーケットプレイスOpenSeaは「オペレーターフィルター」の仕組みを8月31日に終了すると発表しました。この仕組みは、NFTの購入者からクリエイターへのロイヤリティを確実に支払わせるための仕組みで、ロイヤリティを逃れようとするプラットフォームをブロックする役割がありました。つまり、作品を作ったクリエイターが、その作品が再販されるたびに適切な報酬を受け取ることを保証する目的でした。8月31日よりクリエイターへの手数料の支払いが「オプション制」に変わり、NFTの購入者や販売者が、クリエイターへのロイヤリティの支払いを選べるようになります。この変更の背景には、市場の多様性やユーザーの選択の自由を重視するOpenSeaの考えがあります。既存のコレクションや「オペレーター・フィルター」を有効にしていたコレクションについては、来年2月29日まで従来のルールが適用され、その後新しいオプション制に移行する予定です。

参照: https://www.neweconomy.jp/posts/332411

friend.techの24時間手数料が全てのDappsで1位に

2023年8月22日

「friend.tech」という新しいソーシャルプラットフォームが、過去24時間で142万ドルの手数料が発生するなど、収益で他のDappsを上回って1位となりました。このプラットフォームは、コインベースの独自ブロックチェーン「Base」を基盤にしています。機能としては、プラットフォーム内で自分自身のトークンを発行することができ、このトークンをユーザーは購入することで、特定のチャットに参加することができるようになります。つまり、ファンはお気に入りのインフルエンサーと直接コミュニケーションをとるチャンスを手に入れることができるアプリとも言えます。他にも、様々な活用方法が考えられ、最新のキラーアプリとして非常に注目されています。

参照: https://www.coindeskjapan.com/198255/

Nouns DAOのフォーク

2023年9月1日

NFT関連プロジェクトのNouns DAOは、内部の対立によりフォークが起こり、資金5000万ドルの半分以上を失うという事態が発生しました。このフォークは、Nouns DAOの運営を巡る数カ月に及ぶ議論の末の決定でした。この議論の決定には、分散化の更なる向上への一歩として、多くのコミュニティメンバーが受け入れました。しかし、このフォークによる資金流出は、意図しない結果となり、フォークのリスクについて考えさせられる出来事となりました。今後のDAO設計においてどのようなことが問題となるか、今回のフォーク騒動が貴重な事例の一つとなった出来事であると言えます。

参考: https://www.coindeskjapan.com/202215/

Startale Labsがソニーネットワークコミュニケーションズとブロックチェーン開発へ

2023年9月12日

日本発のパブリックブロックチェーンAstar Networkの開発・運用で知られるStartale Labs Pte. Ltdとソニーネットワークコミュニケーションズ社がブロックチェーンを共同開発するための新会社設立を目的とした合弁契約を締結したと発表しました。

急速に進化を続けているブロックチェーン技術の力を最大限に活用し、Web3キラーユースケースの創出に向けて、Web3時代を支えるグローバルインフラとなるブロックチェーンの開発を目指すとしています。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000114522.html

Astar NetworkがPolygon Labsとの協業を発表

2023年9月13日

Astar Networkを開発するStake Technologies株式会社は、Polygon Labsと協業し、イーサリアムのレイヤー2「Astar zkEVM Powered by Polygon」の提供を発表しました。本ブロックチェーンは、Astar Networkのエコシステムが提供してきた相互運用性に加え、ネットワーク上の取引処理を行う際にゼロ知識証明と呼ばれる技術を活用することにより、高度な処理能力・拡張性・安全性を担保するとし、マスアダプションに向けたソリューションが提供されていくとして注目を集めています。

参照: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000073525.html

イーサリアム、テストネット「Holesky」リリースへ

2023年9月28日

イーサリアムは、新しいテスト環境「Holesky(ホルシキー)」が立ち上げられました。このHoleskyは、次の大きなアップデート「Dencun(デンクン)」に備えての実験場として作られました。もともと9月15日にスタートする予定でしたが、いくつかの問題から延期され、28日に無事にスタートしました。これまでイーサリアムでテストを行うためのネットワークとしては、「Sepolia(セポリア)」や「Goerli(ゴエリ)」が使われていましたが、今後はこの新しいHoleskyが主役となる見込みです。Holeskyの特徴としては、大量の「バリデーター」という検証者が含まれていることや、テスト用のイーサリアム通貨も豊富に用意されていることが挙げられます。これにより、よりリアルな環境でのテストが可能となります。

そして、このHoleskyでのテストの結果をもとに、次のアップデート「Dencun」での新機能、特に取引の手数料を減少させる「プロト・ダンクシャーディング」の導入が進められる予定です。

参照: https://coinpost.jp/?p=484278

まとめ

以上が暗号資産業界の”2023年後半”の重要ニュースとなります。

後半も様々な出来事が起こりました。

SECとRipple Labsの間で行われた裁判では、XRPの取り扱いに関する判決が下され、暗号資産の扱いについて明確になった部分もでました。一方、Coinbaseは新しいブロックチェーン「Base」を公開し、これを基盤とするソーシャルプラットフォーム「friend.tech」が注目されています。また、NFT関連では、NFTマーケットプレイスのOpenSeaは、クリエイターへのロイヤリティの仕組みを変更することを発表しました。Nouns DAOも内部の対立から資金の大きな流出があるなど、業界にとっては前例のない出来事もいくつか報告されています。さらに、日本発のブロックチェーンAstar Networkがソニーネットワークコミュニケーションズとの協力を発表したり、イーサリアムが新しいテストネット「Holesky」をリリースするなど、業界の動向は日進月歩で進んでいます。

これらの出来事を通じて、暗号資産業界は成熟の過程にあることが伺えます。新しい技術や取り組みが次々と生まれ、それに伴い新しい課題や機会が出てきています。これらの出来事は、業界の将来にとって大きな意味を持っていると言えるでしょう。

   

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記事執筆(コンセンサス・ベイス株式会社)

コンセンサス・ベイスは、国内初のブロックチェーン技術の専門企業として事業を展開しており、専門的な知識と技術を持った企業としてアドバイス、コンサルティング、開発、教育を行っています。

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