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「暗号通貨ATMの増加」Coin ATM Radar : パトリック・ミューラー氏 (全インタビュー記事)

海外で位置情報を利用し周辺のBitcoin ATMを検索できるサービスを提供しているCoin ATM Radarパトリック・ミューラー氏に暗号通貨ATMの現状についてお話を聞きました。是非、ご覧ください。

パトリック・ミューラー (Coin ATM Radar)  

記事作成 : 2020年3月9日  

Coin ATM Radar : パトリック・ミューラー氏 (全インタビュー記事)

Coin ATM Radarとはどんなサービス?

Coin ATM Radarは、Webサイトとモバイルアプリの両方に対応したサービスで、暗号通貨と現金を交換する場所を簡単に検索できます。私達は、暗号通貨取引所などとは違い、現金と暗号通貨の両替取引のサービスのみをリストアップしています。

Coin ATM Radarにリストアップされているものの大部分はBitcoin ATMの企業ですが、多くのATMは他の暗号通貨もサポートしているため、一般的には暗号通貨ATMの企業とも言えます。Bitcoin ATMは専用のマシンで、通常の銀行ATMと似ている場合もありますが、そうでない場合もあります。暗号通貨を現金で購入したり、暗号通貨を現金に換えたりできます。また、私達がリストアップしているものの中には、会計のレジを通してBitcoinを購入できる他のサービスもあります。

私達自身はBitcoin ATMの運営は行っておらず、ATMサービスの提供者をリストアップしているだけです。よくある誤解を解くために言うと、私達はこれらのATMを販売することも、メーカーと提携することもありません。市場には多くのプレーヤーがいますが、主要な役割を果たしているのは、ハードウェアである情報端末を作るATMの製造業者と、更に重要なソフトウェアを開発しメンテナンスする業者です。彼らはこれらのデバイスを事業者に販売し、事業者はそれを運営しています。そのため、事業者は情報端末を購入した後にオペレーションをする人であり、これは製造業者とはまったく異なるビジネスモデルとなります。

暗号通貨ATM設置台数の変化

純設置台数の変化

上のグラフは、1か月間に設置された新規ATMの数を示しています。サービスが停止になった台数も考慮されているため、「NET」という言葉を使って純増加量だけを表しています。

      

一日あたりの平均設置台数

暗号通貨ATM設置スピードゲージ

出典 : coinatmrader.com

上の図は、一日あたりのATM新規設置台数を表すスピードゲージのようなものです。ゲージの目盛りは2か月の期間を基に計算されており、示されている値は過去2週間のデータから計算した一日あたりの平均設置台数です。

Bitcoin ATM設置場所の選択

ATM設置のためにより良い場所を選択することは、ビジネスを成功させるための重要な側面の一つです。収益性の低さから、事業者がATMを停止し、マシンを別の場所に移動させたケースが多くあります。ビジネスを成功させるために、設置場所には次の二つ要素が必要となります。

一つ目の要素は、高速道路網のようにアクセスが容易で駐車場が近い場所に配置することです。暗号通貨を売買する必要があるほとんどの顧客はランダムにATMを見つけて取引を行うのではなく、自分から最も近いATMを検索します。Coin ATM Radarには現在地から最も近いBitcoin ATMを見つけるための専用ページがあります。一度そのATMを見つけると、その場所まで1〜2時間もかけて運転する人もいます。

二つ目の要素は、営業時間の長い店(24時間年中無休など)があることで、週末のアクセシビリティも重要です。また、そこが暗号通貨取引の需要が高い地域かどうかを見る必要がありますので、現地調査を行うことも勧めています。機械を設置する前に、地元のBitcoinのミートアップなどに参加し、その町でどれくらい関心を得られるかをチェックします。適切な位置場所を選ぶ必要があり、店舗内に設置する場合、入り口にATMを設置することはあまり良くありません。Bitcoin ATMのユーザーはプライバシーを重視する人が多く、店の奥の誰にもスクリーンが見えない場所に置するのが良いです。

ライトニングネットワークを導入したATM

今のところ、Lightning Network(ライトニングネットワーク)はATMにはあまり導入されていません。しかし、製造会社であるGeneral Bytesは、Lightning Networkをソフトウェアの中に公式に追加しました。その他の主要なATMプロバイダーは、Lightning Network自体の需要と流動性不足のため、まだ追加していませんが、導入しようという考えは皆が持っています。Lightning Networkが、Bitcoin ATMで行われるオンチェーンのトランザクション(Onchain Transactions)とどう違うかについて書かれた良い記事もあります。(現在のATMと比較して、長所と短所が説明されています)

暗号通貨ATMの増加

Bitcoin ATMの数は今後も増え続けると私は考えています。現時点では、暗号通貨の世界はまだ非常に孤立した状態で、経済的な循環はありません。なぜなら、暗号通貨を所有しているユーザーが日常の支払いを行うために、まず法定通貨へと交換する必要があるからです。現金を暗号通貨と交換するという点では、ATMは一番大きな役割を担っています。また、収益性の高いビジネスとして、数百、数千もの新しいマシンの設置を計画している大規模事業者も多数存在します。現在、世界中に7000台を超える暗号通貨ATMがありますが、これはまだ初期の段階です。過去の設置台数推移のグラフを見ると、変化が線形ではないことがわかりますので、この増加傾向は続くと予想されます。

暗号通貨ATMの設置台数推移

本人確認とマネーロンダリング

暗号通貨ATMを運用する事業者は、KYC/AMLの方針など、現地の規制を遵守する必要があります。国によって取引の限度額が異なり、通常はKYC(本人確認)を行わずに、ある程度の金額まで取引することが可能です。これは多くの人のプライバシーにとって非常に重要です。大口の顧客は事業者に登録を行う必要があります。大手メーカーのATMは、KYC申請の機能を備えており、ATMの管理者はそれらの機能を有効にするか、不要な場合には無効にするかを設定することができます。

重要なのは、200〜500ドル程度の限度額ではマネーロンダリングを行うことができないということです。実際のマネーロンダリングは、銀行のような従来の金融システムの中で、全く違った規模で発生する可能性が高いのです。 少額の取引に完全な本人確認を要求することにはあまり意味がなく、ユーザーにより多くの問題を強いるだけだと思います。世界中に500を超える暗号通貨ATMの事業者があり、本人確認書類(パスポートまたIDカード)をスキャンする必要がある場合、それらの情報は事業者によって保管されるということを頭に入れておく必要があります。このデータがどれだけ安全に保管され、将来的に漏洩しないかをユーザーがどのように確認するか。ATM事業者が運営を終了したら、集められたそれらのデータはどうなるのか。このような問題があるので、KYCの要件は、その地域で法的に認められている最低限の水準に設定しておくことを推奨しています。

Coin ATM Radarの取り組み

Coin ATM Radarでは、新しい機能を追加したり、モバイルアプリを開発して検索を簡単にしたりと、常にサービスの改善に努めています。最近は、手数料が最も安いATMをサイトの中に表示することをしています。ATMの運営者は様々な手数料を課しているため、市場レートの中に、手数料率(%)と1回の取引に必要な定額の手数料を追加しています。以前は、手数料率のパーセンテージのみを計算し、最も安いATMを並べるアルゴリズムを使っていましたが、一部の事業者がこれを利用して、定額の手数料を高額な10〜15ドルに設定していました。結果的に、そのような事業者がリストのトップが表示さてれてしまいました。彼らの手数料率は5%でしたが、定額の手数料が原因で、実質の手数料はずっと高くなりました。例えば、Bitcoinで100ドルを購入し、5%の手数料率+定額手数料として15ドルを支払うと、合計で20%も支払うことになります。現在、この問題は修正されており、両方の手数料を考慮に入れていますが、多くの事業者(特に平均より高い手数料を課している事業者)はそれをユーザーに伝えていません。

暗号通貨を安全に取引できる場所を見つけるためにユーザーの手助けをするのが、Coin ATM Radarの目標です。ウェブサイトには様々なコインがリストされていて、 BTCやBCH、ETH、Dash、LTCなどがあります。これにより全てのユーザーは、それぞれの最適な場所を見つけることができます。暗号通貨ATMは、現金を使用した最も安全な交換方法の1つです。誰かに会って直接取引を行うという別の選択肢もありますが、企業が運営しているATMを使用する場合と比較すると、問題が発生するリスクがはるかに高くなります。更に、銀行から取引所へ送金するよりも、現金で取引を行う方がよりプライバシーが保たれ安全に送金が可能です。私達の目標はこの様な取引をサポートすることです。

     

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本ウェブサイトに掲載される記事は、情報提供を目的としたものであり、暗号資産取引の勧誘を目的としたものではありません。また、本記事は執筆者の個人的見解であり、BTCボックス株式会社の公式見解を示すものではございません。