暗号通貨のデータを収集し、様々な角度から市場分析を行っているCoinGecko(コインゲッコー)共同創設者のボビー・オン氏にインタビューさせていただきました。CoinGeckoでの取り組みや、ビットコインとの出会いなどについてお話しをいただきました。是非、ご覧ください。
ボビー・オン(コインゲッコー:共同創設者)
インタビュー日 : 2020年2月25日
CoinGecko ボビー・オン氏(全インタビュー記事)
CoinGeckoとは
私は、CoinGecko共同設立者のボビー・オン(Bobby Ong)と申します。 CoinGeckoは暗号通貨のデータアグリゲーター(データ収集サイト)です。 400を超える外国の取引所から6500以上のトークンをカバーしており、世界最大の暗号通貨データアグリゲーターの1つとなっています。価格、時価総額、取引量に加えて、全コインのソーシャルメディア、開発の統計データも追加しています。また、暗号通貨デリバティブについてのページもあり、20つのデリバティブ取引所から250ペアを既にカバーしています。
四半期ごとにレポートを作成し、暗号通貨市場に関する分析を共有しています。最新のレポートは、約70〜80ページ程度です。無料で提供している暗号通貨APIもあり、Metamask、Etherscan、Mycrypto、MyEtherWalletなどのトップレベルの暗号通貨企業でも使用されています。また、暗号通貨取引所の実質の取引量を算出しており、多くの取引所でのオーダーブックの取引量データやSimilarwebのトラフィック推定値などのデータも追加しています。私達は、これをトラストスコア(信用スコア)と呼んでいます。
私達には研究チームがあり、互いに連携をとっています。暗号通貨の業界に関するデータを収集し、市場の動きについて発見したことを基にプレゼンテーションを行います。価格、時価総額などの様々な情報源から取得したデータをチャートで視覚化し、皆さんが理解しやすいように作成しています。前回の四半期レポートでは、Defi(分散型金融)と暗号通貨デリバティブのセクションも設けました。宇宙でのプロジェクトからデリバティブまで、私達のチームで暗号通貨に関連があると考えたプロジェクトなどを載せています。
新しいお金との出会い
私は、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンで経済学の学位を取得して卒業しました。大学の最後の年に、コードの書き方を勉強していて、Webサイトのプログラミングにかなりの時間を費やしていました。その後に暗号通貨について話している人達のグループと出会い、彼らはそれを「インターネットの新しいお金」と呼んでいました。私は、世界でもトップクラスのイギリスの大学で、お金について3年間学んできたので、非常に興味を持ちましたが、教授達はビットコインについて全く言及しませんでした。「なぜ技術オタク達がお金の新しい形について話しているのに、大学ではそれを学ばなかったのか」と感じ、ビットコインについての文章を読み始めました。
Bobby Ong
そして、ビットコインについて読み続けていくと、実際にかなり大きな可能性があり、ロジックがしっかりしていると感じました。2013年に最初のビットコインを買うことを決め、P2Pのマーケットプレイスで手に入れたことを覚えています。ビットコインが取引所から自分がコントロールできるウォレットに出てくるのを見たとき、ビットコインの可能性を強く感じました。鍵を自分自身でコントロールできるので、許可しない限りは他の誰もお金を凍結したり、受け取ったりすることができません。初めて自分の銀行が持てたという感覚で、従来の金融システムと比べると大きな利点でした。また、コインの数量が2,100万と有限であることも気に入っています。当時の大規模な量的緩和に対しては、持続可能だと思えなかったので、ビットコインについて読めば読むほど、将来的に非常に強力な可能性を秘めていると確信できました。
2017年の大暴落は予想されていた
私はビットコインがマネーロンダリングでの使用に向いているとは思っていません。また、2017年を全体的で見ても、その年にマネーロンダリングが増えたとも思いませんでした。暗号通貨でマネーロンダリングが行われた場合のため、それに対処するオンチェーン分析が数多くあります。実際に警察はそれを積極的に活用しているので、FBIもマネーロンダリングの罪を犯した人を多く捕まえています。ただ、このような状況と2017年の暗号通貨の価格暴落の間には、あまり関連性ないと考えています。当時、ビットコインは1000米ドルぐらいで取引されていて、その年の終わりに20,000米ドルまで上昇しました。これは明らかに持続的な動きではなく、2018年に起こった急速な価格上昇とその後の2019年に下落が続いたことは、予想されていた市場の調整でした。価格が急速に上昇したとき、それがずっと続くことはないのです。
ただ、ビットコイン市場の流動性はあまり高くないと考えられており、市場操作が行われる可能性もあります。日本やマレーシアでは、市場を監視する規制があります。もしも、あなたがクジラ(大口のコイン保有者)であれば、恐らくある国の規制によって捕まるか、後で起訴される危険があるので、市場を操作することはないでしょう。市場操作が行われる可能性があるのは、現時点でまだ規制が導入されていない国だけかもしれません。私が暗号通貨の市場に入ってきた次の年である2014年には価格は1000ドル程度でピークに達し、2015年には300ドルに落ち込み、価格が大幅に下落してしまいました。これと同じパターンで、2018年の大幅な価格の下落は、予想されていた動きで、全く驚くことはありませんでした。
暗号通貨に積極的なマレーシア
マレーシアは、暗号通貨の法制化の整備に関して非常に積極的です。政府はこれまでに3つの取引所にライセンスを付与しており、そのうちの1つは“Luno”と呼ばれる取引所があります。他の2つに、“SINEGY Technologies”と“Tokenize Technology”がありますが、まだ最終承認中です。協会という点では、複数の機関はありますが、日本のような自主規制団体ではありません。
マレーシア政府は非常に進歩的で、暗号通貨をもう一つの資本市場と見ていると思います。現在、暗号通貨の法制化だけでなく、ICOの資金調達に対しても法制化を始めています。それに1年か2年かかるかはわかりませんが、そのルールが施行されると、取引所もそれぞれのプラットフォームでICOを行うことができるようになります。マレーシアの証券委員会は、スタートアップ企業のための資金調達方法としてICOを捉えています。
各国のユーザーの違い
全ての国にそれぞれ独自のマーケットがあります。それぞれにマーケットと規模の違いがあるので、アメリカのユーザーと日本のユーザーを単純に比較することはできないと思っています。日本では、JVCEAによって承認された暗号通貨しか取引ができません。もちろん、バイナンスのような他のプラットフォームでコインを購入することも可能なのかもしれませんが、日本ではあまり人気がありません。一方、アメリカのユーザーも、規制により多くのプラットフォームが利用不可となっていますが、彼らは常に何らか方法で抜け穴を見つけています。
また、ヨーロッパのユーザーは、どんな場所でも暗号通貨取引を行い、あらゆる種類のトークンを試すのが好きなようです。それがアジアのプラットフォームであろうが、欧米のものであろうが、あまり気にしていないようです。そのため、国民性など考慮しなければならない要因も多くあります。多くの人にとって妨げとなっている問題の1つは、言語の障壁です。これらのプラットフォームとアプリの多くは英語であるため、日本ではユーザーを引き込むことはできません。深い英語の知識を持っているか、英語を使うことが好きでない限り、それは難しいと思います。
キャッシュレスへの動きは不可避
キャッシュレスへの動きは避けられず、お金を持ち歩く方法としては万能です。最近、中国やスウェーデンのような国に行くと、現金を使う人がほとんどいないことに気付くでしょう。中央銀行には、デジタル通貨を発行する方法がいくつかありますが、どのような方法が採用されたとしても、その国のエコシステムにおいて市中銀行の役割に影響が及びます。なぜなら、市中銀行は、中央銀行に対する預け入れの比率を通じ、マネーサプライを増加させるために使われているからです。キャッシュレス社会への動きは避けられないと思いますし、紙幣を印刷してメンテナンスするコストは安価ではないので、政府にとっては魅力的です。
現金は損傷してしまい、コインは常になくなってしまう可能性があるので、政府はe-moneyを欲しています。現金はマネーロンダリング、および麻薬取引などのあらゆる種類の違法な目的にも多く使用されますが、デジタルマネーではマネーロンダリングが非常に困難です。全てに証跡があり、お金がどこから来たかを監視し、追跡することができます。デジタルマネーは間違いなくやって来ると思いますが、e-moneyは中央銀行に対しては、まだ不確実な概念だと思います。それぞれの国が、どのようなものを出してくるのか非常に興味深いです。近い将来、いくつかのモデルが各国から登場し、どのように機能するかを見られるようになるでしょう。
その主張は真実か
2014年の頃を振り返ると、暗号通貨界隈は今とかなり違っていて、造りが良くないサイトが多くあったように思います。現在は、1つのWebサイトにアクセスするだけで価格、時価総額などの情報を全て簡単に入手できますが、2014年当時はそうではありませんでした。また、造りが酷いサイトでは信頼性が損なわれてしまいます。そこで、私達はより良質なサイトをこの業界にもたらす良いチャンスだと考えました。他の多くのプラットフォームよりも優れたデータ集約こそ、私達にできることだと思いました。
CoinGeckoを開始した2つめの理由は、サービスを開始した当時、ソーシャルメディアと開発者の統計データを誰も収集していないという事でした。価格、数量、時価総額なども、ある程度までしかトラックされていませんでした。そこで、どのコインが長期的に生き残る可能性が高いかを知りたいと思いました。長期的に存続するコインには、一般に優れたコミュニティと開発チームがいます。長い時間を費やしてネットを見ていると、「最高の開発チーム、最高のコミュニティがあるから、このコインは素晴らしい」と言う人がいることに気付きました。私達は、そのような主張が本当に正しいのかを確認できる良い方法があるべきだと考えました。
自分のコインは最大のコミュニティを持っていると誰かが主張する場合、Facebook、Twitterでフォロワーがいる、またはRedditで非常に多くの投稿とコメント、コミュニティ、アクティビティがある等で簡単に裏を取ることができます。そのコインが死んでいる場合、そのような動きは確認できないので、彼らの主張が嘘であるとわかるでしょう。これと同様に、開発者が最高のコインだと主張し、全てがオープンソースの形で行われている場合、実際にこれを証明することが可能となります。Githubで作成、管理されているコミュニティの数やコメント数で検証を行うこともでき、そのリポジトリに貢献している開発者の人数、いいねの数なども確認できます。そして、これら全てのデータをまとめることも可能であると考えました。実際にいくつかのコインは、ソーシャルメディアで多くの開発活動とコミュニティがあることが確認されましたが、他のコインは完全に静かで死んでいたことが研究でわかりました。
DeFi 分散型金融の出現
非常に興味深いことは、Ether、DAI、USDCなどで利子によってリターンが得られるようになり、マネーマーケットが形成されていることです。以前は、基本的にバイ・アンド・ホールド(Buy and Hold)の戦略だけしかありませんでしたが、投資を行うことで利子も得られるようになっています。これらの利率は、コインとプラットフォームによって違ってきます。 特に、USDCなどのステーブルコインの場合、多くのスマートコントラクトのプラットフォームで提供されている利率は、銀行よりも大幅に高くなっています。このような活用方法自体は非常に良いと思います。
また、分散型の保険商品も多く作られ販売されています。スマートコントラクトはハッキングなどのリスクが伴うため、DeFi(分散型金融)に対する保険の領域が拡大していることは非常に喜ばしいことです。DeFiが出てくる前には作ることができなかったプロダクトもあります。例えば、損失が出ない宝くじのサービス「PoolTogether」というものがあります。そこでは、参加者がくじを購入し、集められた資金がレンディングサービスであるCompoundに送られます。そこで1週間の利子が得られた後、くじを購入した参加者の中から1人が当選者として選ばれ、その利子を受け取ることができます。その他の参加者にはくじを購入した分の資金が返ってくるので、損失が出ないという仕組みになっています。これは従来の方法では実現できなかったサービスであり、暗号通貨ならではのプラットフォームだと思います。更に多くのプロジェクトがDeFiの領域に出てくるのを楽しみにしています。
DeFiに対する保険
スマートコントラクトは非常に複雑になるため、ハッカーがそれらの弱点を見つけた場合、資金が流出してしまう可能性があります。今年の2月にDeFiプラットフォームのbZxが2、3日の間に2回もハッキングされ、スマートコントラクトで100万ドル以上のEthereumを失ったことがわかりました。DeFiスマートコントラクトにお金を入れ、コントラクトが完全に悪用された場合、基本的にはお金を失うことになります。 USDCを使って8%〜9%の利子が得られるからといってコントラクトにお金を入れてしまうと、かなり危険なことになります。そのコントラクトがハッキングされると、そこで発生した利子だけでなく、元本も失ってしまうのです。
最近、Nexus MutualとOPYNという2つの保険会社が出てきて、ある保険サービスを始めました。そこでは、暗号通貨の購入で何か問題が起こった場合に備えて保険を購入できます。例えば、Compoundのコントラクトに問題が発生した場合、購入した分の金額が保証されるという内容です。bZxのハッキング事件では、一部の人々がNexus Mutualの保険を購入していたため、損失が発生した分が保証されました。
株よりもBitcoinを好む若者
最初、暗号通貨はあまり銀行に理解されていませんでした。Bitcoinの最初のユーザーは、ほぼ全てが麻薬密売人やマネーロンダリングを行う者であるという、かなり悪い報道から始まったため、銀行はあまり関与したくありませんでした。最初に目に付くのは、シルクロードのように犯罪者がダークウェブでドラッグを買うために使用されているという記事ばかりでした。その見出しを銀行の人々が読み、暗号通貨は悪という認識が広まったので、銀行がそれを断ち切るという状況が数年間続きました。しかし、銀行がブロックチェーン技術とBitcoinの可能性を理解するようになり、最近の彼らの認識は変わってきたと思います。将来的に銀行がBitcoinやブロックチェーン技術と結びつき、カストディ・プロバイダーとなるのは時間の問題だと思います。
銀行が法定通貨を保管できるのであれば、暗号通貨も可能ではないでしょうか。銀行は全てを安全に保管できる最も信頼できる機関と言われていますし、彼らは新しい形の収益モデルを検討し始めたばかりだと思います。一般的に若者はそれほど株式の取引を行っておらず、多くの若者にとってBitcoin取引は株式取引と比べて非常に簡単です。今後、銀行にとっては暗号通貨取引所を買収するか、業界に直接参入するか以外の選択肢はないと思います。
このような動きは既に始まっていて、ドイツでは銀行が暗号通貨のカストディソリューションを提供し、Bitcoinを顧客に直接販売することが許可されています。なので、銀行にとって暗号通貨がグローバルな機能となるのは時間の問題だと思います。銀行が顧客にゴールドの販売サービスを提供できるのなら、Bitcoinも同様だと思います。顧客がBitcoinを取引したいのであれば、そこから新たな収益が得られるので、銀行がそれを受け入れていくのは理にかなっていることだと考えます。
暗号通貨のこれから
2019年は暗号通貨市場が40%も拡大し、主にBitcoinがリードした年でした。Bitcoinの時価総額の増加率は約95%でしたが、他のコインがあまりうまくいっていなかったこともあり、Bitcoinのドミナンスが増加していきました。取引所トークンは非常にうまくいっていました。
2020年の主要なイベントを見てみると、ETH 2.0のリリースは非常に大きなものだと思います。また、現在、中国では中央銀行のデジタル通貨が発行されることとなり、お金が常に再定義され、流動的になっていると言えます。暗号通貨だけでなく、中央銀行、民間銀行、ハイテク企業などによっても、お金が定義されようとしています。未来のお金がどのようなものになるかついて誰もが違う意見を持っており、独自の視点と分散性の違いが各々にあります。最終的にどうなるかはわかりませんが、社会のあらゆる場所で、これら全ての実験を目の当たりにできるのは非常に興味深いことだと思います。
暗号通貨の世界に存在するトークンの数は、時間とともに増加すると考えています。トークン化が可能なものは、全てトークンに変わっていく未来を考えると、金融を再編成する数十年の革命の幕開けと言っても過言ではないと思います。多くの実験が試され、数多くのプロジェクトが始動しているのを、私達は目の当たりにしています。一部では過剰な資金調達が行われ、多くのプロジェクトが他のスタートアップと同様に消滅してしまうでしょう。ただ、ブロックチェーンと従来の市場の唯一の違いは、これらのトークンが公の場所で取引されているところです。お金を多く稼ぐ人もいれば、失う人もいますが、暗号通貨が産業として成長するにつれて、より多くのトークンが発行され、より新しいものが生まれてくると思います。
ハッキングと技術の進歩
他の新しいテクノロジーと同様に、Bitcoinにもリスクが伴います。ウォレットを安全に実装しなければ、ハッキングが行われるという最大のリスクになります。セキュリティを確保するためには、適切な手段を見つける必要があります。Bitcoinと従来の送金方法の違いは、その不可逆性です。誰かがあなたのウォレットをハッキングしてコインを奪うと、泣き寝入りするしかありません。そのコインと資産を完全に失うこと、これが銀行が恐れている最大のリスクです。
どのような商品を扱っているのかを先に理解する必要があり、システムの安全性を確保するための適切なプロバイダーが必要です。ただし、全てのトランザクションはブロックチェーンに記録されます。そして、今は捕まえることができないかもしれませんが、行われたトランザクションは永久的に記録され、5年後、10年後の近い将来に技術が追いつき、彼らは捕まえられるかもしれません。したがって、暗号通貨はマネーロンダリングには適しておらず、ダークウェブでドラッグを購入するのも良い考えではないと思います。
透明性が非常に重要であり、多くの取引所が透明性を高めるために独自の基盤を開発しています。EthereumにEthereum財団があるように、内部でどのような意思決定が行われ、どのように維持していくかということは、コミュニティ全体の利益のために透明化されるべきです。コミュニティと議論を行わずして何かを作り上げることはできません。それができなければ、信頼を構築できず、エコシステムは消滅してしまうと思います。
スケーラビリティの向上
サイドチェーンは確かに素晴らしい発明だと思います。Ethereumのようなシステムが完全に詰まってしまっている場合、ある程度のトランザクション数しか一度に処理できなくなってしまうので、TPS(1秒当たりのトランザクション処理件数)を増やしていく必要があります。そうしなければ、ネットワークはスケーリングできません。Ethereumは、トランザクションを高速に処理できるワールド・コンピューターを目指しているので、サイドチェーンのような方法を活用してスケーリングさせる必要があります。
Bitcoinは、1秒あたり約7トランザクション、Ethereumは約15トランザクションしか処理できません。 1つの分散アプリケーションが広く普及すると、ユーザーが増加し、ネットワーク全体が混雑してしまいます。例えば、Ethereumのチェーンで1つのトランザクションを生成するのに5分以上待つ必要があったり、Bitcoinの承認に1時間以上も待たなければならない場合があります。決済や取引のためには、トランザクションの承認作業が可能な限り速く行われた方が良いのです。スケーラビリティでは、ブロックチェーンが1秒あたりに処理できるトランザクションの数を増やすことが目標とされており、そのための方法がいくつか存在しています。
クリプト界は毎日がドラマ
暗号通貨の業界は非常に速く動いているので、今から数年後に何が起こるかを予測することは非常に困難です。暗号通貨の中のストーリーは6か月ごとに完全に変化し、常に新しいものが生まれ続けています。1年半前はNFT(非代替トークン)が注目を集めていましたが、現在はそうでもなくなっています。今後2、3年は落ち着いたままだと思いますが、恐らくその数年後には、もう一度流行り始めると思います。同様に、以前はBitcoinのLightning Networkについて皆が話していましたが、今では多くの人が話をしなくなりました。しかし、Lightning Networkにも再び人気が集まり、最もクールな存在となるかもしれません。状況が非常に急速に変化しているので、CoinGeckoはその変化に合わせて、今後のデータを集約していく必要があると思います。
特に注目している分野は、DeFi(分散型金融)とデリバティブで、 2019年にはこれらのトピックに多くの時間を費やしました。DeFiの調査では、それをどのようにシステムに組み込むことができるかという部分を積極的に見ています。 2019年のような急速な成長は、2020年も続いていくと思います。急速な成長に伴い、システムが更に複雑になっていくので、複雑になりすぎる前にしっかりと把握しておくことが必要です。DeFiの急速な成長はBitcoinの始まりの過程に似ています。当時はBitcoinだけについて学べばよかったのですが、今はEthereumや、その他多くコインについて学ぶ必要があります。なので、今は暗号通貨の世界で起こっている全ての出来事に追いつくことは不可能に近いと思います。
暗号通貨のエコシステムは毎日がドラマで溢れ、常に様々なことが行われています。誰もが自分の考えやアイデアが最高であるという自信を持っているので、お互いに論争が起こることもあります。今となっては何が起きても驚きはなく、それが普通になってしまいましたが、もし逆に何の論争も起こらなくなってしまえば、ドラマはなくなり、非常に退屈なものになってしまうと思います。
ヤモリのマスコットキャラクター
ヤモリは小さくて愛らしい生き物なので、CoinGeckoのロゴとして選びました。暗号通貨の業界が真面目な名前とプラットフォームで溢れているのとは対照的に、私達が欲しかったのは可愛らしいものでした。金融の世界が真面目な雰囲気である必要はなく、楽しむことが私達の目標です。マスコットが可愛いからといって、そのサイトのデータが信頼できないというわけではありません。また、多くの日本企業には独自の可愛いキャラクターがいるので、日本文化にもアピールできるのではと思いました。私達のモットーは今も昔も変わらず、最も正確なデータプロバイダーであり、暗号通貨市場の状況を360度から提供することです。
最後のメッセージ
皆さん、こんにちは。 是非、CoinGeckoをチェックしてみて下さい。まだ、 CoinGeckoで提供されていないサービスがあれば、メールを頂ければと思います。頂いたメールは、必ずチェックしています。
インタビュー・編集: Lina Kamada
【免責事項】
本ウェブサイトに掲載される記事は、情報提供を目的としたものであり、暗号資産取引の勧誘を目的としたものではありません。また、本記事は執筆者の個人的見解であり、BTCボックス株式会社の公式見解を示すものではございません。