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「Bitcoin懐疑論者からトレーダーへ」アレッシオ・ラスターニ氏 著名テクニカルアナリスト ①

著名テクニカルアナリストのアレッシオ・ラスターニ氏(Alessio Rastani)にインタビューをさせていただきました。ラスターニ氏は、トレーダーとして10年以上にわたり金融市場の研究を行い、株式市場のテクニカル分析、暗号通貨、外国為替に関して、レポートやYouTube動画などで情報発信をしています。また、ロンドン、米国、オランダ、香港など多くの場所で講演を行い、TEDtalkでもスピーチを行っています。

アレッシオ・ラスターニ氏

インタビュー日 : 2020年6月29日

インターネットバブルの教訓

私がトレーダーとしてのキャリアを始めたのは、2000年代の初めに株式市場に興味を持ち、世界で最も大きな会社の1つであるゴールドマンサックスで働いていた人物と出会ったのがきっかけでした。彼は素晴らしい人で、今は私の良き友人となりました。彼に株式市場の世界へと連れられ、いくつかのトレード戦略を教えてもらったのが始まりでした。

株式市場についての研究を始めましたが、そこで数多くの失敗もしました。学生だった1990年代後半頃に、相続財産で受け取った5万ドルという大きなお金を失ってしまい、それが大きな教訓となりました。

Alessio Rastani

1990年代後半から2000年代初頭までのインターネット株は、現在のBitcoinのような感じでした。当時の状況は今日とは大きく異なり、現在のBitcoinが全く新しいものであるように、当時のインターネットも皆にとって非常に新しいものでした。

皆がインターネット株に夢中でした。私もそのような株に夢中で、最悪な投資をしてしまいました。そこで自分に問い正したのは、永遠に投資をやめるべきか、それとも何か学ぶべきかという事でした。そして、私は後者の道を選び、今日に至ります。

私は短期的なトレードは行わず、Bitcoinに関しても長期の取引を行っています。それは、株式市場でも同じ戦略で、私はデイトレードもスイングトレードもしません。

私が2013年に初めてBitcoinについて聞いた時は、非常に恥ずかしいことがありました。当時、ピーター・シフ、ブライアン・ローズと一緒にインタビュー動画を撮影していて、その動画の中で数年後には誰もBitcoinについて話すことはないだろうという恥ずかしい発言をしてしまいました。今では、それは完全に間違いだったと思っています。

Bitcoin懐疑論者からトレーダーへ

私を含め多くの人は、Bitcoinの価格が1,000ドルなのは高すぎると思っていました。それが10,000ドル、最終的には20,000ドルになると誰が予想したでしょうか。

しかし、BTC価格のチャートが放物線の形になっていたという点で、2013年はバブルであったと言えます。多くの人は「バブル」という用語を、単に価格が高くなることと誤解していると思います。確かに、バブルとは短期間に財の価格が高くなることを意味しますが、トレーダーがこの言葉を使う時は、その価格上昇が放物線状に加速していくことを意味しています。

価格が放物線の形になると、非常に危険な状態になります。私が最初にBitcoinの世界に入ったときは、小さなバブルがありました。価格は1,000ドルまで上がった後に暴落しましたが、最終的にはまた上がりました。それがBitcoin取引を開始し、Bitcoin懐疑論者であった自分の間違いを理解した瞬間でした。

そこからBitcoinを分析し始め、もっと真剣に取り組むようになりました。数年後の2017年には、Bitcoinに関する動画制作も始めました。2017年にはBitcoin相場に関して強気な動画を作ることから始めましたが、価格が放物線状のフェーズに入ったので、その後弱気な内容へと変えました。Bitcoinの価格が10,000ドルから20,000ドルとなった場合はとても危険であり、暴落の可能性もあるためマーケットについてよく考えるべきであると発言していました。

2017年9月〜2019年3月までのBTC価格(ドル)

エリオット波動理論で考えるBitcoin相場

ここ数ヶ月の間、Bitcoin相場は横方向のレンジを保ってきました。現在のBitcoinは、エリオット波動理論の第3波の開始点にあると考えています。

エリオット波動理論は、ロシアのマトリョーシカ人形のようなもので、1つの人形を開くと、内側に小さい人形があり、次にその人形を開くと更に小さい人形が中にあるので、最後の人形を開くまでそれが続いていきます。

エリオット波動理論もこの人形と似ており、これにより市場のトレンドがどうなっているかを理解することができます。ここでは、マーケットが5つの波で構成されおり、それぞれの波が更に小さな波によって構成されていることが説明できます。

3月の相場の回復で第2の波が終わってからは、Bitcoinの重大な上昇トレンドが始まったと思います。今後数年間の私のBitcoinに対する見立ては、今より高い3〜5万ドルのレンジです。(これでも控えめだと考える人もいます)これはまだ上昇トレンドの始まりに過ぎず、現在は上昇トレンドの3つめの新しい大きな波の始まりに突入していると思います。

第3波へと進む前に、第2波が終了すると市場の調整が再び行われます。Bitcoinの価格は、もう一度12,000ドル程度まで上昇し、その後1万ドル以下への調整が起こります。しかし、Bitcoinが1万ドルのレンジに留まるのはこれで最後となり、そこから今後数年間で更に高いレベルまで動いていくでしょう。

金融のニュースを感情分析に

私は金融メディアやメルマガなどがあまり好きではなく、特に役に立つとは思っていませんが、センチメント分析(感情分析)としては非常に便利です。センチメント・トレーダーのJason Goepfertという人がいて、彼の研究は本当に素晴らしいと思います。

私がニュースやライターの発言に注意を払っている理由は単純で、これらは多くの場合に逆張りの指標となることがあるからです。非常に悲観的なトーンで記事を書く金融ジャーナルやメディア記事のライターは、しばしば逆張りの指標となります。

非常に楽観的なトーンで記事を書くジャーナリストもいます。なので、私はそのニュースサイトに行き、Bitcoinについてのポジティブ、ネガティブな記事数をそれぞれ数えるだけです。ポジティブな記事が多ければ、それに逆張りすることができます。また、Bitcoinやその他の暗号通貨について非常にネガティブな記事がたくさんある場合も、価格変動のターニングポイントとなる可能性があるため、それらを有利に利用することができます。

コロナの株価への影響

これから、どのようにウイルスの状況が変化していくかにもよりますが、航空業界やレストラン業界は、大変な苦労をしていると思います。コロナが来年までに終わると言う人もいれば、消滅することはないと言う人もいます。

しかし、ワクチンが開発され、最終的に感染者数が減少するようになるまでは、航空会社やレストラン業界はひどく苦しむこととなります。数か月後に航空会社やレストランの銘柄の株価が上昇トレンドになったとしても、株式市場での価格変動と実際の経済は異なるので、業界の苦しい状況は続くことでしょう。

私は、航空業界とレストラン業界の株価チャートをチェックし、上昇トレンドが起こるかどうかに注目して見ています。巨大な会社であるボーイング社を例にとってみましょう。私は、政府から大規模な救済を受けているボーイング社が好きではありません。企業は失敗したり問題を抱えたりした場合でも、政府に救済を求めるべきではないからです。それは企業に対する社会主義のようなもので、他の航空会社も世界中で大規模な救済を受けています。

いずれにせよ、株価に関して言えば、ボーイングで上昇トレンドが起こるかは非常に興味深い点だと思います。一度、上昇傾向が見られれば、私は買いを入れようと思っています。一部の航空会社は倒産してしまうため、注意も必要です。

航空会社の株価が1ドルを下回る場合は、破産してしまう可能性があります。1ドルを下回る銘柄は、0に下がる可能性が非常に高いため、私が触ることはありません。5ドルの銘柄であっても、そこから5ドルを下回ると、瞬時に2〜1ドルまで下がる可能性があるので注意が必要です。特に航空業界は、今後数年間で規模が縮小するにつれて、多くの影響を受けることでしょう。

インタビュー・編集: Lina Kamada

    

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