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「ブロックチェーンを活用したベーシックインカム」ゾルタン・イシュトヴァン ③

アメリカ大統領選で史上初めてBitcoinで政治資金を集め、トランスヒューマニストとして知られるゾルタン・イシュトヴァン氏(Zoltan Istvan)にインタビューさせていただきました。是非、ご覧ください。

ゾルタン・イシュトヴァン氏

インタビュー日 : 2020年5月20日

ブロックチェーンによるベーシックインカム

私はユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)を支持しています。リバタリアン的な方法でこれを実行するには、アメリカ合衆国の保有する200兆ドルもの手付かずの森林や、採鉱施設などの連邦地を取得します。これらの連邦地は、自然保護のために保存されています。

カリフォルニアでは約25%の人が貧困に面しています。つまり、何百万人もの子供たちが、夜にお腹をすかせているのです。アメリカにこんなに空腹の子供がいるのは予想外かもしれませんが、実は毎晩1,000万から1,500万人の子供がお腹をすかせているのです。

そこで、天然資源の一部を利用して人々に分配することで貧困に対処したいです。一連のプロセスを実行に移すために、そして完全に透明なものにするために、暗号通貨、または同様の何かを使用することに関しては全く抵抗ありません。

たとえ私が、「一部の連邦地を大企業に貸し出すことで、大企業からお金を受けることができます。お金は国民に支払われるので、結局のところ、土地は政府のものではなく国民のものなのです。」と主張しても国民は聞き入れてくれません。

問題は、お金が支払われるまでの間に、政府や官僚、弁護士など、現場に多くの関係者が参入してきてしまうことです。そうすると国民のお金の取り分はほとんど残りません。

これこそが植民地資本主義であり、全く信用できないシステムなのです。もしも暗号通貨やブロックチェーンの台帳であれば、土地をリースして得られたお金の動きが明確になり、ベーシックインカムのプロセスは劇的に透明になるでしょう。

最終的にすべてのアメリカ市民が、同額の金額を受け取るようにもできるでしょう。はるかに信頼性の高いシステムの出来上がりです。

単に「連邦地をリースする」ということだけではなく、「連邦地をリースして得られるお金は、コンピュータによって設定された暗号通貨という形で、毎月必ず国民の手に支払われることが保証されている」ということを可能にするシステムです。政府などの仲介者を経ることがないので、信頼することができます。

現在アメリカ政府は給付金を配っています。しかしアメリカでは、約3割の人がコロナウイルス関連の給付金をまだ受け取れていない状況です。ロックダウンに入ってすでに8〜9週目になりますが、家賃支払いはどうしているのでしょうか。

これは、暗号通貨が機能するかどうかという次元の話よりも、もっと大きなシステムの話です。多くの植民地資本家が、庶民の公平性のために実現しないといけないシステムです。

だからこそ、私は暗号通貨が好きなのです。暗号通貨は公平であろうとしたわけではなく、単純にシステムの設計上、勝手に公平になる仕組みなのです。狙ったというよりはあるがままのものなので、とても便利だと思います。

最近だと、Facebookや、中国がその方向に向かっているようです。アメリカも、そういったシステムを思いついていても不思議ではありません。何しろ信頼性の高いシステムですので、遅かれ早かれ、最終的には、世界中が向かう方向だと信じています。

お金についての教育が必要

教育体系の中に、お金や価値について教える科目を設けるべきだと思います。他の国については分かりませんが、アメリカの問題の1つは、多くの人が、トレーディングのやり方といった、重要なことのやり方を何も教わらずに、学校を卒業することだと思います。 

私は家を建てる方法を知っています。ジャーナリストになる前にしていた仕事だからです。だから、何が起こっても、少なくとも手を使って、仕事に就くことができます。

しかし、お金の使い方がわからないのに、仕事をしたところで一体何の意味があるのでしょうか。たとえばお金を手に入れても、アルコールとか、不要な品物の数々に費やしていたら、仕事をしてもいいことは何もありません。

価値という側面からお金について教育することは非常に重要です。大恐慌といった歴史について教え、また、なぜそのようなことが起こったか原因を考えるようにします。

銀行家が不況時に借り入れをしすぎてどうなったか、現在のコロナ禍が、経済面でどのような影響を及ぼすか、そういったことを考えていかなければなりません。

そこで、貯蓄に関することや、へそくりを貯めておくこと、ゴールドをもっておくこと、Bitcoinをもっておくことなど、お金の基礎について教えることが大事になってきます。

私は、不動産だけではなく、小型帆船ももっていますし、いざという時のために、ブドウ畑も持っています。地下室には大量の種子を貯蔵していますし、暗号通貨、ゴールド、銃もいくらか用意があります。

これらの蓄えはまだ使ったことがないですし、出来れば使う時がこないことを祈っています。私がこういったものを持っているのは、ナショナルジオグラフィックのジャーナリストとして働きはじめた際に、紛争地域や紛争地域を取材したからです。

紛争地域に行くと、一夜にして全てを失ってしまうこともある、ということを学びます。したがって資産は分散投資しておく必要があるのです。たとえ40%の資産を奪われたとしても、他の60%は残るように、価値の異なる多様な資産を準備しておかなくてはいけません。

賢い手段に見えるものの、実行に移すのは大変で、しかもこれを皆に教えていかなければなりません。私自身、紛争地域に行って、かつては裕福だった家族が路上で暮らしているのを実際に目にしていなければ、学べなかったことかもしれません。

メディアではなく、信頼できるジャーナリストを信じる

私はイーロン・マスクとアンドリュー・ヤンをフォローしています。アンドリュー・ヤンは現在、ベーシックインカムの分野でリーダー的存在です。

彼はユニバーサルベーシックインカム進めるためには増税するべきだと主張していて、ここは私の見解とは違うのですが、そういうこともあると思います。他にも数々のリバタリアンや偉大なジャーナリストもフォローしています。

よくないメディアもあれば、とても良いジャーナリストもいますので、メディアとジャーナリストは分けて考える必要があると思います。良いジャーナリストの伝える話は、いつでも信頼に値します。

このように様々な人やメディアがいます。私はニューヨークタイムズのために記事を書いていますので、かなりの数のニューヨークタイムズのジャーナリストをフォローしています。

インタビュー・編集: Lina Kamada

翻訳: Nen Nishihara

     

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