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「ゴールドは没収可能でありBitcoinは没収不可能な資産」トーン・ベイズ(全インタビュー記事)

JPモルガンの元アナリストであり、ビットコイン・マキシマリストとしても知られる著名トレーダーのトーン・ベイズ氏(Tone Vays)にインタビューさせていただきました。第1回のインタビュー記事では、ウォール街からBitcoinの世界へ入ったきっかけや、Bitcoinが持つ魅力などについてお話ししていただきました。

トーン・ベイズ氏

インタビュー日 : 2020年7月14日

トーン・ベイズ(全インタビュー記事)

私の名前は、トーン・ベイズです。暗号通貨の世界には6年以上います。それ以前は、ウォール街で約10年間、主にリスクモデル構築の仕事をしていました。トレーダーとしての経験も長く、2000年代初頭からトレードを開始してから現在まで取引を続けています。

カンファレンスでBitcoinについての話をするために世界中を移動することが多く、自分でもカンファレンスを主催したりしているので、今は積極的にトレードを行う時間があまりありません。

Tone Vays

自分のYoutubeチャンネルも持っていて、ウェビナーやマスタークラスなどでもトレードに関する講習を行っています。TwitterYoutubeInstagram、Googleなどで「Tone Vays」と検索するか、tonevays.comにアクセスすれば私の情報を見ることができます。

生活のためにウォール街の世界へ

ウォール街の世界へと入ったのは、暗号通貨の世界にやって来る10年前でした。ウォール街に入った理由はBitcoinとは違い、正直に言ってしまえばお金のためでした。

私は、大学で学位を取得した後、高校教師をしていましたが、教師の仕事が嫌いでした。給料もあまり良くなかったので、何か違うことをしたいと思っていました。その一方で、大学の頃の友人の多くは、2000年代の初めから金融の世界で働いていて、彼らはその仕事に非常に満足していました。

それが理由で、私も金融工学の修士号を取得し、ベアー・スターンズという会社に就職することとなりました。数年後、この会社は金融危機によって倒産してしまいましたが、ウォール街で新しい仕事を見つけるのはそれほど難しくありませんでした。

没収不可能なBitcoinとの出会い

暗号通貨の世界へ入ったのは、仕事を辞めてフルタイムのトレーダーとしてキャリアを始めた頃と同時期でした。ウォール街で働いていた時はパートタイムのトレーダーでしかなかったので、ずっとフルタイムのトレーダーになりたいと思っていました。同時に暗号通貨の世界も楽しみながら見ていました。

Bitcoinについて聞いたのはこの界隈に入る2年前でしたが、そこから強い衝撃を受けたのは、キプロス危機で銀行による資産没収が起こってからです。キプロスの人々は数千ユーロを超える銀行預金を失ったので、私も本当に恐怖を感じ、銀行にある自分の預金にも同じことが起こり得るだろうと考えました。

この出来事がきっかけで、Bitcoinこそが没収不可能な(Unconfiscatable)初めての資産であると認識し、その部分に惹き付けられました。暗号通貨については2013年から注目してきましたが、Bitcoinに関する記事を書き始めたのは、2015年の初めに仕事を辞めてからでした。

自分が書いた記事のおかげで、Bitcoinについてのインタビューを受けたり講演なども行うようになりました。現在は状況が逆転し、私はパートタイムのトレーダーとなり、フルタイムのBitcoinエバンジェリストとなりました。

ゴールドも没収可能

現在は、没収不可能な資産はBitcoin以外に存在しません。大昔前は、ゴールド(金)をどこかに隠すことが可能であり、それを所有していることが誰にも知られることはなかったので、ゴールドも没収不可能な資産でした。

今日になってもゴールドを隠すことが可能であると考えている人がいますが、金属探知機の発明のような現代のテクノロジーを使えば、それは不可能となります。裏庭に自分のゴールドを埋めたとしても、掘り起こして物理的な場所を特定することなく、それらを発見することが可能となっています。さらに、自分のゴールドをどこかに預けたとしても、それは押収されてしまう可能性があります。

ゴールドを持って移動するのも大きな問題です。昔は、ゴールドをバッグに入れてボディーガードを雇い、別の国に行くことができました。今日は、ゴールドをある場所から別の場所に移動させることは非常に困難となっています。

車を運転してある国から別の国へと移動させる事は確かに可能ですが、飛行機の場合は金属探知機とX線によって発見されてしまいます。したがって、資産価値を守る選択肢は、実際には多くないのです。しかし、Bitcoinは自分の脳内にも保管することができるので、非常に素晴らしいものです。

サトシは裕福な人だったか

Bitcoinの最も重要な特性については、あまり理解がなされていません。これまでの歴史を見ると、ある国が別の国を侵略したり、政府が自国通貨の平価を切り下げたり、増税を行うことなどが常に行われてきました。それは全て「没収」の歴史であり、今日でさえ共産主義者が支配し、富が悪者扱いを受けています。

大部分のイノベーションは、イノベーティブな個人から生まれます。何かを発明しようとすることは誰にでも可能ですが、その発明をマーケットに広めていくには、一定の財力と手段がなければ非常に困難です。

Bitcoinを発明したサトシが裕福だったかどうかはわかりませんが、何年もの間Bitcoinの開発に取り組む余裕は明らかにあったことでしょう。もしも、非常に貧しくて生活のために働かなければならないのなら、いつ時間を見つけてその発明に取り組むことができたのでしょうか。このようなことを考えれば、既にどれほど大きな貧富と社会階級の格差が存在しているかがわかるでしょう。

現在、トップレベルのイノベーターの1人であるイーロン・マスクを見ると、彼がどれほど裕福な人物であったかがすぐにわかります。彼は以前に設立した2つの会社に続き、現在はテスラを運営しています。最高のイノベーターは、ある程度の財力を持つ人々であり、それにより皆をより豊かにする素晴らしい発明ができるのだと、私は考えています。

もしも、長年働いて貯めた預金を守ることができないのであれば、大多数の人にとって絶望的な状況となってしまいます。多くのお金を貯蓄し、何かを発明するための多くのリソースと時間がある状況を想像してみて下さい。そのような状況において、大きな銃を持つ何者かによってそれが奪われてしまったらどうなるでしょうか。

個人とコミュニティの発展に対しては壊滅的な影響が出るでしょう。Bitcoinが非常に重要であり、私が「Unconfiscatable:没収不可能」という名前のカンファレンスも企画している理由は、このような点にあります。

金銭的理由よりもイデオロギー

私にとって、Bitcoinは単なる投資ではありません。最初にBitcoinを購入したとき、確実に価格は上昇するだろうと感じていましたが、金銭的な理由よりもイデオロギー的な理由にもっと興味をそそられました。投資よりももっと重要なのは、Bitcoinが象徴するものを支持したいという点です。

残念ながら、暗号通貨界隈にいる投資家の人達には大きな問題があり、Bitcoinが生まれてから、皆が自分のお金を発行しようと試みてきました。私から見る限り、他のアルトコインやプロジェクトは根本的に不確かなものである思います。

それらのコインを購入する唯一の理由が、そのプロダクトに対して使用するためではなく、ただ金持ちになろうとするためなのです。少数の人達は金持ちになりますが、これらの通貨が1つずつ崩壊するときに大多数の人は損をしてしまいます。

毎年、多くのコインが消滅し、そして新しいコインが上位に上がってきますが、その新しいコインでさえ数年後には消滅してしまうでしょう。私は、Bitcoin以外の通貨が今から10年後に存在するとは考えていません。新しい通貨もいくつかありますが、それら全ての価値はゼロに向かっていると思います。

現在、この世界に入って来る人達は、それぞれに異なる期待を抱いているかもしれません。しかし、この世界に入る理由が金持ちになることであるのなら、非常にがっかりしてしまうでしょう。

私が勧めるBitcoinでも他の暗号通貨でも同じことですが、間違ったタイミングで購入して価格が上昇しないことに不満を感じたり、お金持ちになると約束されて購入する人が存在しています。現実的に見て、私はBitcoinの価格が上昇していくと期待していますが、この世界での戦いはそれほど簡単なものではないと考えています。

機能しないトークンのビジネスモデル

現在、私が関心を持っている暗号通貨はBitcoinだけで、他の暗号通貨はあまり役に立たないと思っています。
トークンが取引所で公然と取引されているにもかかわらず、通貨の機能としてトークンが使用されているような場合、そのトークンは詐欺だと思っています。取引の途中で変動する通貨をなどありえませんので、このようなビジネスモデルは全く意味をなしません。

トークンが変動するとはどういうことか 

もしこのようなビジネスモデルが成り立つのであれば、NetflixにNetflixの株で支払いをしてもいいということになります。e-bayにはe-bayの株で支払い、AmazonにはAmazonの株やAmazonの通貨を支払って買い物をしてもいいことになります。

安定した価値を持たないユーティリティー・トークンを使用する目的は、自分のためにお金を刷って投資のプロではない人々に売るためです。このようなビジネスモデルは、投資家を守るために長い間改良されつづけてきた多くの証券のルールを破っています。
ここで重要なのは、こういったビジネスモデルのプロジェクトを行っているのは、すべて企業である点です。こういった企業はサーバーを中央集権で管理していて、まるで分散化されていないのです。

Bitcoinの重要な指標

少人数の人に利益をもたらすことだけを目的としているようなトークンもある中、私が唯一評価し続けているのはBitcoinです。
私は、Lightning NetworkやLiquidサイドチェーンといったBitcoinの上に構築、統合されている技術、そしてハッシュレートを指標として見ています。

ハッシュレートは新たな最大値に達しました。これはつまり、Bitcoinを取得するために必要な電力はこれまでになく高くなっているということです。このような傾向は、Bitcoinが問題なく機能していることを保証するポジティブな指標です。

それから、Bitcoinのネットワークは決してダウンしません。過去5〜6年間、1秒もダウンしたことはありません。トランザクションは常に高速であるとは限りませんし、常にプライベートであるとも限らないですが、常に実行されています。

こういった点は私が本当に気にしている指標です。このような指標をみているので、Bitcoinに対する信頼は増すばかりです。

市場を大きく動かすプレーヤー

暗号通貨界隈において、その発言だけで市場に影響を与えられるような人がいるとは思いません。たとえ影響を与えられたとしても、一時的なものに過ぎません。それほどの影響力を持つ人はいないと思います。また、前にも言った通り、Bitcoinとそれ以外の暗号通貨は分けて考える必要があります。

Bitcoinの市場に影響を与えられる人はいませんが、Bitcoinを大量に保有している人が実際にそのBitcoinを売ったり、お金をたくさん持っている人がBitcoinを買えば、価格が変動します。

このことは一般的に市場操作と呼ばれますが、個人的には、ただ単にお金やBitcoinをたくさんもっている人が市場を動かすことに対して、「操作」という表現は使いたくないと思っています。

私は自由市場を信じているので、Bitcoinをたくさん持っていれば価格を動かせるというただそれだけのことだと思います。
もしもBitcoinを売りたいのであれば、市場により大きなプレイヤーが存在する可能性もあるため、自分に制限をかけず賭けに出るべきです。米ドル市場でも同じことが言えます。

また、例えばBitcoin市場に参入したい億万長者が、100万ドルを投げうってすぐにBitcoinを購入しようとすれば、相場が上昇します。これもまた素晴らしいことだと思います。

しかし、Bitcoin以外の他の暗号通貨に関して言えば、市場に多大な影響力を持つ個人または団体が存在します。例えば大手アルトコイン企業のCEOが何か発言すれば市場は動きます。

したがって、どの暗号通貨の市場も、カリスマ的リーダーの影響を受けやすくなっています。しかし、Bitcoinに関して言えば、私は自由市場を信じており、圧倒的な影響力を持つ人物は存在しないと思います。

Bitcoinマーケットとポーカーゲーム

クジラ(大量のBitcoinを保有する人物)が大規模なトランザクションを実行する場合、市場が影響を受けることは確かですが、ルールに従って行動している限りは、全く悪質だとは思いません。

ただし、取引所がユーザーに対する価格を変更している場合、それは操作であり、おそらく犯罪にもなります。取引所がクジラに情報を提供し、市場での立場を有利にするようなことも操作です。

こういった違反行為は規制当局が防ぐべきものです。しかし、クジラが私と同じルールのもと市場でプレーしている限りは、クジラの方がより多くの資本をもっているから価格を上げているという、ただそれだけのことです。

原理はポーカーゲームと同じです。テーブルに座りポーカーをする時は、一定のお金を、チップという形で保有しています。もしも同じテーブルに10倍多くのチップを持っている人がいた場合、そのプレーヤーはテーブルの他のプレーヤーの方向性を自分の都合の良いように変えることができるし、その権利があります。

そういうプレーヤーがいたら、テーブルから立ち去るという選択もとれます。または、チップを多くもっているプレーヤーが有利であることを認めつつも、プレイを続行することもできます。

もしくは、自分の方がいいプレーヤーだと思うのであれば、チップの多いプレーヤーからチップを奪うべくプレイするという手もあります。

もしも敵に手持ちのカードの中身を知られると、公正なゲームではなくなってしまいますが、全員が同じルールでプレイしている限りは公正なゲームなのです。

2020年のBitcoinの動き

2020年の初めに、私自身の暗号通貨とBitcoinの予想についてのブログ記事を書きました。今年の1月の第1週に、「半減期の前に5000ドル前後まで大暴落する」と予想し、まさにその通りになりました。

Bitcoinの存在意義は並外れて大きいですが、同時に過大評価されているため、Bitcoinの価格をつり上げることは非常に難しいです。Bitcoinの優位性はそのうちもう少し上昇すると予測していますが、多くの人々がアルトコインを購入し、詐欺プロジェクトに手を出してしまっています。

中国では、Bitcoinを大量に騙し取る大規模なネズミ講の詐欺があったように、依然としてBitcoinの需要が非常に高く、狙われやすい状況です。

私の所有物で一番価値があるものはBitcoinです。他のものは割とどうでもよくて、例えば銀行口座をハッキングされたりペイパルアカウントをハッキングされたりしてもそこまで気にしないと思います。

もちろんハッキングされないことが一番ですが、もし仮にそういった被害にあったとしても、銀行のシステムがあるので、とられたお金を取り戻すことができるはずです。しかし資産の中でも唯一、Bitcoinはとられてしまうと取り戻せません。だから私は自分のBitcoinを守りたいのです。

クリプトアーティスト「ヴェサ・キヴィネン」

クリプトアーティストとして知られるヴェサ・キヴィネン氏は大変素晴らしい人物です。ヴェサ氏の絵が展示されているイベントで彼に会いました。絵は3つの作品で構成されていて、そのうち企業ロゴ入りの2つの作品はイベント中にすでに売れてしまいました。

残りの一つは何もロゴが入っていない作品で、私も非常に欲しいと思いましたが、結局Bitcoinを手放すことができず、買いませんでした。

その後、我々はヴェサ氏にお願いして、「Unconfiscatable Conferene」というカンファレンスのために絵を作成していただきました。彼はこのカンファレンスの本質を理解するために、私に長時間にわたるインタビューをしました。そこから先は、彼のもつビジョンと創造性に全てを任せました。

彼は立派な仕事をしてくれて、この上なく素晴らしい一枚の絵が完成しました。そしてその絵にカンファレンスのスピーカーたちが署名し、絵をオークションに出したところ、私の友人の一人が落札しました。

ヴェサ氏のしていることは素晴らしいと感じます。彼は自分の絵をBitcoinと引き換えに売ることが大好きです。Bitcoinを得るのは難しく、人々にBitcoinを手放してもらうためには、皆が本当に欲しがるものを提供する必要があります。
ヴェサ氏がBitcoinを稼ぐ手段は、自身の作品をBitcoinで販売することです。

これは最善の手段ではないのかもしれませんが、それでも彼は現代で最も有名なクリプト・アーティストの三本指に入る実力者だと思います。 

「ブロックチェーン」という言葉はなぜ流行り始めたのか

ブロックチェーンという言葉は大変有名になりましたが、実はこの用語はサトシ・ナカモトのホワイトペーパーには登場しません。ホワイトペーパーを隅々まで読んでも、ブロックチェーン(Blockchain)という言葉はでてこないのです。

ブロックチェーンという用語は、サトシ・ナカモトが書いたBitcoinのコードの中にあるコメントに登場します。サトシ・ナカモトはプルーフ・オブ・ワークの仕組みについて説明するためにブロックチェーンという用語を使いました。

サトシ・ナカモトによる、分散型データベースというイノベーションの最終的な産物がBitcoinです。分散型データベースは電力を消費して数学の問題を解きます。そして数学の問題というのは、非常に大きな数字を当てるだけのものです。

プルーフ・オブ・ワークとは、この数学の問題を解く一連のプロセスのことです。プルーフ・オブ・ワークでは、電力を使って問題を解くのに十分な数を推測して方程式を解き、そして解いたことを証明しなければなりません。

このように、プルーフ・オブ・ワークによってBitcoinが機能するようにできているのですが、サトシ・ナカモトはこのプロセスのことを、ブロックチェーンと表現しました。だから実際には、ブロックチェーンなどというものは存在しおらず、実はただ単にBitcoinのことなのです。

ブロックチェーンという言葉が流行したのは、Blockchain.info(現在はBlockchain.com)という会社が社名に使ったからです。そしてこの会社のウォレットは、Bitcoin用の最初のウォレットの一つでもあります。

ところがBitcoinは、犯罪者の使うお金というレッテルを貼られてしまいました。このレッテルは事実ではありません。米ドルにしろBitcoinにしろ、お金が実際誰によって使われているのか知ることはできないので、ただの疑いに過ぎなかったのですが、Bitcoinは嫌われてしまいました。

そこで投資をしたい企業は、各方面にクリーンなイメージをもたせるためにBitcoinという言葉をさけてブロックチェーンという言葉を使うようになったのです。現在ではもはや全てのものがブロックチェーンです。エクセルのスプレッドシートもブロックチェーンと呼ばれています。こうしてブロックチェーンという言葉は薄っぺらで無意味なものになってしまいました。

一番重要なのはBitcoin

何かをブロックチェーンと名付ける時は、それは果たしてBitcoinなのかどうか、プルーフ・オブ・ワークなのかどうか、必ず確認が必要です。もしもプルーフ・オブ・ワークでないならば、それはブロックチェーンとは呼べません。

ブロックチェーンという言葉はもともと、プルーフ・オブ・ワークを説明するために使用されたものです。しがたってプルーフ・オブ・ワークが使われているものは確かにブロックチェーンです。

しかし、そのブロックチェーンは、果たしてどれくらい重要なのでしょうか。Bitcoin以外のブロックチェーンを見てみると、重要なブロックチェーンはBitcoinだけだということに気づくでしょう。私にとっても、一番大事なのはBitcoinだけです。

分散型ネットワークの本質

例えて言うなら、インターネットと同じです。無数のインターネットの会社が存在していても我々は結局、皆同じ1つのインターネットを使っています。たくさんのインターネットがあってそれらをつなぐ架け橋があるわけでもないし、国によって別々の異なるインターネットが存在するわけでもありません。

中国や北朝鮮のように、自国のインターネットの周りに壁をつくっているような地域はあるものの、それぞれの国が個別のインターネットを持っているわけではないのです。巨大な分散型ネットワークを持つというのは、つまりこういうことで、他のことは実はどうでもいいことなのです。

Bitcoinに関するおすすめの本

私は人生の中で、物理や化学などの教科書ぐらいしか本を読んできませんでした。地質学と数学の学位を持っているので、より技術的な内容の教科書もたくさん読みました。金融工学の学位も持っていますし、コンピュータサイエンスの知識もあります。

しかし私は教科書以外の、一般的な本はあまり読んだことがありません。トレードに関してはプロのトレーダーから教わりましたが、レベルでいうと初心者から中級トレーダーになろうとしているところだと思います。

おすすめできる本があるとすれば、Saifedean Ammous氏の、『Bitcoin Standard』という本です。この著者はBitcoinの歴史に関するとても素晴らしい本を出しています。『Bitcoin Standard』は14章で構成されていて、最初の11章はお金の歴史について書かれています。最後の3章はBitcoinについてです。

Bitcoinは唯一の長期投資

私の唯一の長期投資はBitcoinです。それは私にとって、今後10年から15年の間唯一信頼できる投資です。その他のものはすべて、私にとってはトレーディングです。

すべての卵を1つのバスケットに入れてはいけないのですが、Bitcoinのバスケットに関しては信頼しているので、リスクをとることができます。

短期間〜中期間のトレーディングと、投資との違いが重要だと思います。私は長年、YouTubeチャンネルや他のプラットフォームで、適切な投資としてアマゾンやテスラの株について話してきました。

私はテスラへの投資家ではありませんが、テスラが短期的に上昇すると思った時はテスラ株を取引しました。しかし最近の高騰については懐疑的で、信じられません。

2013年はBitcoinにとって重要な年

印象に残る瞬間というのは必ずどの年にもあるものです。暗号通貨界隈での印象深い出来事といえば2017年の価格高騰ですので、2017年は誰にとっても記憶に残る1年だったことでしょう。

しかし個人的に最も印象深かった年は、自分がBitcoinをはじめた年である2013年です。2013年には2回のバブルがありました。1つ目のバブルは、Bitcoinが10ドルから250ドルまで上昇した時です。私はこのバブルが終わる頃に、ようやく真剣に取り組みはじめました。

そして同じ年の終わりに、価格が1300ドルまで上昇しました。これはマウントゴックスが崩壊した時です。またクラウドソフトの閉鎖があったのもこの年です。さらに、私がBitcoinに没頭するきっかけとなったキプロスでのイベントがあったのもこの年でした。

2013年はBitcoinの最初の半減期があった年でもあります。Bitcoinが数分間ダウンする事件が起こり、少しフォークが発生するという事件も起きました。2013年は重要な出来事がたくさんあった年です。

2015年〜2017年の重要な出来事

他に一つだけ触れておきたい出来事があります。それは2015年に起こったギリシャの金融危機で、Bitcoinのライフサイクルにおいても非常に重要なイベントとなったと思います。

2017年はBitcoinのコードがアップグレードされました。SegWitが含まれるようになり、ライトニングネットワークも統合されました。一方で、プルーフ・オブ・ワークの仕組みや、最も長いチェーンの仕組みなどを理解していない人たちは、Bitcoinの模倣品をつくろうとするようになりました。

これらの年に起こった事件やイベントが、今までのところBitcoinにとって最も重要な出来事です。2021年には、まだどんな出来事があるかわかりません。しかし2021年も非常に印象深い年になると信じています。

数々のプロジェクトへの取り組み

私は現在、多数のプロジェクトに取り組んでいて大変忙しいです。そして新しいプロジェクトにも着手し続けています。普通1年のうち10ヶ月はイベントに費やしているのですが、現在は新型コロナウィルスのため行き詰まっている状態です。

主要なプロジェクトは相変わらず教育関係です。高校の教師としての仕事は合わなかったのですが、大学の教授の仕事は少ししました。教えることは好きなのですが、学ぼうとしない人に教えることは嫌いです。

私のプロジェクトはイベント形式です。我々はラスベガスで開催されている「Unconfiscatable Conferene」というBitcoin全般に関するカンファレンスを主催しています。

また「Understanding Bitcoin Confernece」というカンファレンスもあります。このカンファレンスでは、開発者などのBitcoinの技術に通じている人たちが、開発者ではない人々向けに、最高の実習や、Bitcoinブロックチェーンの使用方法に関する教育などを提供しています。

それからfiancialsummit.comという金融サミットも行っています。これは、トレーダーや投資家、ヘッジファンドなどのための1週間にわたるイベントです。

私はトレーディング関係のイベントも行っていて、教育的なブートキャンプやウェビナーを開催しています。ウェビナーでは、リスク管理に焦点をあてたトレーディングの仕方を教育しています。最後になりますが、私のYouTubeチャンネルと、たくさんのポッドキャスト番組もあります。取り組みたいことばかりなのですが、時間が十分にありません。私は以前「Crypto Scam」という番組をやっていました。暗号通貨界隈のあらゆるプロジェクトを批判的な視点でみて、進行する悪事を暴くという内容の番組です。この番組を復活させてほしいという人がたくさんいます。

一部のポッドキャストはYoutubeでも視聴することができます。また、カンファレンスもどれも非常に素晴らしい内容となっていますので、開催地のお近くに住んでいらっしゃる場合は、ぜひ参加してみてください。

インタビュー・編集: Lina Kamada

    

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