「暗号通貨と芸術の融合」クリプトアーティスト:ヴェサ・キヴィネン氏 インタビュー ①

フィンランド出身でクリプト・アーティストとして活動するヴェサ・キヴィネン氏(Vesa Kivinen)にインタビューさせていただきました。ブロックチェーンを活用し、全く新しいタイプのアート作品を生み出すキヴィネン氏に「Art for Crypto」というアイデアについて説明していただきました。是非、ご覧ください。

ヴェサ・キヴィネン

インタビュー日 : 2020年5月11日

「クリプト・アート」とは、新しいタイプのデジタルアートであり、特定のブロックチェーンに存在する固有のトークンと関連付けられているものを指す。「デジタルの希少性」のという考え方が基になっており、このデジタルアートは物理的なアート作品のように購入、販売、取引することができる。BitcoinやEthereumなどの暗号通貨と同じように、クリプト・アート作品の数量は限定されており、希少性が存在する。

クリプト・アートの世界

私は、クリプト・アーティストのヴェサ・キヴィネンと申します。NewsBTCのライターとしても活躍しています。

「Art for Crypto」とは、暗号通貨と芸術・アートの領域で使われている言葉です。私がこの世界に入ったのは、フィンランドの通貨制度に関するドキュメンタリー映画の製作に携わっていたのがきっかけでした。

1年ほど製作に取り組み、2011年頃にそのドキュメンタリー映画は公開されました。その映画が、インターネットから全国に配信されたことで、当時は大勢の人々から大きな注目を集めることとなりました。この反響がきっかけとなり、通貨制度の状況を取り扱う他のドキュメンタリーを自分でも観るようになりました。

そして、私自身でも何か革新的な取り組みを始めてみようと考えましたが、当時は集権的な選択肢しか残されていなかったので、非常に困難に感じました。そこにある既存のシステムを批判したり、何らかの方法で革新を起こしたいと思っても、その試みが虚しく終わってしまうのが目に見えていたので、自分自身が挫折のど真ん中にいるような感覚がありました。

転換点は、Bitcoinについて知った3年前でした。Bitcoinとは一体何かということを紹介され、後戻りできない世界へと足を踏み入れていきました。また、暗号通貨とアートの世界を融合するという選択肢があることもわかったので、自分のギャラリーを閉め、フルタイムのクリプト・アーティストという全く別の方向に進み始めました。

私は、Cryptovoxelsというプラットフォームで、ギザの大ピラミッドの形をしたギャラリーを友人のOgarと一緒に作成しました。いくつかのフロアに分かれた黄金のピラミッドの中で、展示されている作品がご覧いただけます。

クリプト・アートの未来は必ず美しいものになると思っています。このようなアート作品は、ブル・マーケットに突入する直前の状態にあります。クリプト・アートの領域においては、アーティストとコレクターの数が釣り合っていない状態だと思うからです。コレクター達は、徐々にNFT(非代替トークン)の世界に入り始めていて、現実世界の物理的なアート作品で生まれる多くの問題が、暗号通貨で解決できることを理解し始めています。

しかしながら、暗号通貨の世界には、例えばEthereumしか使用せず、それ以外のプラットフォームは認めないというような認識の隔たりや不協和音も存在しています。それに対して、Ethereumはゴールドではないから本当のお金ではないと主張する人もいます。これは、デジタルアートは本物のアートではないと主張する人のロジックと同じだと思います。

現在、Ethereumで提供されているソリューションを使用すれば、JPEGの画像データの中に値を代入していくことが可能となっています。これは、人間の直感とは逆行する方法ではありますが、コンピューティングの長い歴史の中で、非常に優れた方法とスピードで多くのことが実現できるようになってきています。今まで馴染みのあった物理的なアートが、突然、希少性を持ったJPEGデータに変化し始めているのです。このような新しいアイデアに慣れていくには少し時間が必要なのだと思います。

The Universal Invitation:ユニバーサル・インビテーション

私は、パキスタンの人気女優であるビーナ・マリク(Veena Malik)と6つのアート作品を作りました。そして、プロジェクトの後にまだ残っていたアート素材を使い、この「ユニバーサル・インビテーション」という作品を作り上げました。Cryptovoxelsの私のピラミッドに入ると、入り口の所で一番最初に目に入るのがこの作品です。作品名の通り、このピラミッドにあらゆる人々を招待できるようにという願いで作りました。

   

「新時代の始まり:The Beginning of a New Era」

今までに私が制作した中で一番知られている作品は、ビーナと作った「新時代の始まり」です。彼女は周囲の目を気にせず、我が道をゆく人です。2011年に出会ったときに、彼女の話に非常に感動しインスピレーションを受けたので、ボディペイントで6つの美しいアート作品を制作しました。

当時、彼女がパキスタンのイスラム教徒であったこともあり、ボディペイントというアートが大きな問題となり、作品の公開時には非常に大きな議論を巻き起こしました。ボディペイントというものは、少し怪しい目で見られがちです。しかし、実際の作品を見てもらうことで、このプロジェクトが火に油を注ぐものではなく文化間の架け橋となるものであると理解してもらえたと思います。プロジェクトによって世界をより良い方向に変えるということが、一番意義深いことだと思っています。

ここまで大きな反響がアート作品によって起こるのは初めてだったので、ビーナはBBC Worldなどのニュース放送局からテレビ出演の依頼を受けるようになりました。テレビ放送によって、大スクリーンにプロジェクトで制作したアート作品も公開されました。ビーナ・マリクとこのプロジェクトに関する話題は、ネットを除いたとしても3億人以上の人々に届いたようで、非常に嬉しく感じました。

同じようなプロジェクトができればと、現在も新しい出会いを求め続けています。次は、ビーナ・マリクと同様のコンセプトで、日本の芸能人の方ともアート作品を制作するかもしれません。私は、人類発展のためのツボを見つけ出し、その下で沸き立つ芸術を表へと引き出すために、このクリプト・アートという世界にいます。皆に開かれた暗号通貨という世界がもたらす美しいプラットフォームを通して、それが可能になると考えています。

ウォール街支持派のアーティストはいないですし、反ビットコイン派のアーティストも存在しません。この世界では、ほとんど全てのアーティストが暗号通貨を支持しています。非常に独善的であり、それぞれに大きく異なるアーティストというコミュニティで、ここまで同じ様な声が挙げられる状況は人類の歴史を遡ってもなかったと思います。

暗号通貨のコミュニティーは暗号通貨の可能性に気付いていますが、芸術・アーティストに関して言うと、クリプト・アートの本当のポテンシャルは、まだあまり認知されていないと思います。

この世界に入ってきた全ての人達が、暗号通貨を一般社会に広く普及させるという理念と願望を共有しています。何の才能があるかや、どのように自分のメッセージを発信するかということに関わらず、ここにいる全ての人達の声が非常に大切だと思います。一部には、Nouriel Roubini氏のように反対意見を表明される方もいますが、界隈の全ての人達の声によって、私達はクリプト・コミュニティとして結束することができると思います。

   

「Red Eye:レッド・アイ」

3年前、暗号通貨の世界に完全に入り込んだ最初の4ヶ月間は、中々眠ることができませんでした。後戻りできない道に足を踏み入れ、最終的には睡眠薬を飲むことになってしまいました。暗号通貨に関する全ての事柄を直ぐに理解したいと考えましたが、吸収しなければならない情報は山のようにありました。この世界に入ってから既に3年が経ち、今は落ち着いてきましたが、最初の方はかなり大変でした。この「レッド・アイ」では、今も抜け出すことができない道に入り込んだ時のスパイラルを表現しました。 

     

インタビュー・編集: Lina Kamada

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