クリプト界隈で人気を集めるイギリス出身のポッドキャスター、ピーター・マコーマック氏(Peter McCormack)にインタビューさせていただきました。マコーマック氏は、自身のポッドキャスト「What Bitcoin Did」で、Bitcoinに関連する様々な問題について発信しています。今回は、ポッドキャスターになるまでの経緯や、Bitcoinのもつ可能性についてインタビューしました。是非、ご覧ください。
ピーター・マコーマック氏
インタビュー日 : 2020年9月28日
私はイギリス出身のPeter McCormackと申します。ロンドンの北にあるベッドフォードという、「誰もいない町」と言われる不思議なところから来ました。ケンブリッジからもまあまあ近いです。
ビットコインとの出会いは?
私は6年前にBitcoinの存在を偶然知りました。周囲から聞いたことはあったし、実は少しだけ売買もしていたのですが、よくわかっていませんでした。
当時は、ロンドンの広告業界で働いていました。学生の頃からずっと働き続けていたため、自分の為の自由な時間が欲しくて、1年ほど休職し、その期間中にBitcoinと再度出会い、真剣に取り組むようになりました。
私はポッドキャスターでありながら、2人の子供を持つシングルファーザーでもあり、ほとんどの時間は子育てをしています。学校の送り迎えをして、お昼ご飯を準備して、学校用の服にアイロンをかけたりしています。
私と子供たちはリヴァプールFCの大ファンで、よく3人でサッカー観戦をします。あとこれは他人からあまり理解されないのですが、私は叫び声のようなヘビーメタルが好きです。
ポッドキャスターになろうと思ったきっかけは何ですか?
2017年の年末頃、トレーディングは自分に向いてないなと気づきました。トレーディングはクールで楽しくて刺激的ですが、何年もそれをやっている自分を想像できませんでした。何か他のことをしなければと思っていました。
Bitcoinについての記事を書いたり、フェイスブックに投稿をしたりしていましたが、大成功を収めているポッドキャスターの友人がいて、彼のライフスタイルとかやっていることとかをみて、とてもかっこいいなと思ったんです。自分もやってみたいと思うようになりました。
アメリカのロサンゼルスにいた時、彼に会いに行きました。彼はポッドキャストの運営方法やコンテンツの作り方を教えてくれました。必要な機材も教えてくれました。
それから、彼はBitcoinや暗号通貨の世界で有名なトレーダーであるLuke Martinに電話をしてくれて私とインタビューをしてくれないかと尋ねてくれました。それが私の最初のポッドキャストになりました。それから3年後の今、ポッドキャストも含めると、300回以上の色々な番組をやりました。
What Bitcoin Didのポッドキャストのメインテーマは何ですか?
このポッドキャストのメインテーマは、私自身が日々葛藤しているような問題です。なので、Bitcoinに限った話ではなく、Bitcoinと、それに関連したトピックを取り上げています。
主に政治や経済といった、不平等な問題について議論しています。他の人のためというよりは、常に私自身が本当に気になっている話題についてのポッドキャストです。興味深いトピックを見つけたらそれについて取り上げます。
時々、ツイッターで論争が繰り広げられているのを見ますが、皆自分の戦っているものについて、お互いに声をあげています。論争されているトピックの中には、本当に大切でもっと議論されるべき話題があります。
このように、もっと議論されるべきだと考えた話題について番組を作ったりしますが、ほとんどの場合は、自分が気になっている話題を取り上げます。
アメリカの政治についてどうお考えですか?
アメリカの政治は面白く、大変興味深いです。昔からアメリカに憧れていて、私が最も旅をした国でもあります。子供の頃、アメリカのショーを見て、「わぁ、ディズニーランド、ハンバーガー、グランドキャニオンだ!」などと思ったものでした。
とても大きくて魅力的な国だと思っていましが、23、24歳になるまでは一度も行ったことがありませんでした。最近では年に1、2回は行くようになりました。
アメリカはいろんな意味で世界をリードしている国です。世界中の色々なことを管理しているという意味でもそうです。他にも超大国はあるものの、私がいつも惹かれるのはアメリカです。
政治に関しては、本当に好きな部分と嫌いな部分が、両方たくさんあります。例えばアメリカの憲法が大好きです。憲法はアメリカを支えている素晴らしい岩盤だと思います。しかし憲法は常に権力者による攻撃を受けています。現政権からの攻撃を受けているのは確かだと思います。
アメリカの二大政党制についてどう思いますか?
二大政党制は、これまでの展開を見ればわかるように、深い欠陥があると思いますが、アメリカの二大政党制を見るのはとても楽しいです。
インターネットが発展して、私たちは24時間いつでもニュースが見れるとはどういうことか経験してきました。SNSがあって、誰でもメディアコンテンツを作れて、ツイッターやフェイスブック上で論争を巻き起こすことができます。
このような社会の発展が、政治にも影響を与えていることを目の当たりにしていますが、これが果たして良いことなのか悪いことなのかは分かりません。様々な声を巻込むことができるようになったので、いい影響だと思う一方で、あらゆる声が対立し、戦って勝つことが目的となってしまったため、政治の状況はかなり悪くなったようにも思います。
政治においては、政党が分かれていても、意見が違っていても、最終的にはリーダーが国民を団結させるべきだと私は信じています。今のアメリカの政治は本当に分断されていると思いますが、この分断された状況が、アメリカを二つの強固な陣営に分けているように感じます。
この問題は昔から存在しているので「昔からそうだった」と言う人もいるでしょうが、今はかなり厄介になってきてしまっているように感じます。
Bitcoinでアメリカの政治を改善できると思いますか?
「Bitcoinですべてが解決する」と言う人もいますが果たしてBitcoinで人間性が改善できるかどうかは分かりません。Bitcoinで一体何ができるのかということを考えるためには、まずBitcoinに十分なお金が集まっている状態を達成しなければいけません。
Bitcoinで循環する経済環境をつくりだせれば、なんらかの方法で、政治を変化をもたらすことができる可能性もあります。ぜひみてみたいですが可能性は低そうです。
Bitcoinにできることはどんなことでしょうか?
Bitcoinは価値観や思考様式を変えることができます。私はBitcoinのおかげで根本的に変わりました。例えば、私はイギリスの二大政党制を信じていないので、もう投票しません。
もしも投票するとしたら、完全なリバタリアン社会という考えは難しいとは思いながらも、リバタリアンに投票します。もし我々がBitcoinを通してお金、権力、政治、経済といった事柄についてもう一度考えることができれば、良い影響になるかもしれません。
どのような政治的イデオロギーを信じていますか?
すべてのものが分散化されるべきだと主張する人もいますが、私はそれはどうかなという考えです。ものによっては中央集権化されている方がうまういくこともあると思います。
広告会社を経営していた時は、リーダーシップは絶対に必要なものであり、自分の意見を述べるチームワーカーが絶対に必要だったと思います。ところが分散化された空間では、こういったビジネスはうまくいきません。
我々は意思決定者を必要としていますが、では君主制がいいかというと、非常に微妙な領域の話になってきます。問題は選挙で選ばれた人が誰かいう点です。
英国の君主制は実質的な権力を持っていません。しかし中央集権的な権力が存在する場合、その権力の決定は果たして「民主的」なのか「権威主義的」なのかを定義しなければなりません。
イギリスでは、議会員の半数以上は権威主義的な原理のもとに行動しています。中央集権か非中央集権、どちらがいいのか議論の余地があると思います。
中央集権と地方集権、どちらがうまくいくのでしょうか?
よく機能するだろうと確信しているのは、「ローカリズム(地域主義)」です。より小さく分けられた権力が小さなグループを支配することで、よりよい社会構造をつくることができると思います。
インタビュー・編集: Lina Kamada
翻訳: Nen Nishihara
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