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「世界経済と日本経済の問題」MicroStrategy CEOのマイケル・セーラー氏にインタビュー ③

2020年、16億ドル以上のBitcoinを購入したことで話題になったMicroStrategy社のCEOであるマイケル・セイラー氏(Michael Saylor)にインタビューさせていただきました。ぜひご覧ください。

マイケル・セーラー氏(MicroStrategy CEO)

インタビュー日 : 2020年12月8日

Microstrategyとブロックチェーン技術

現在、我々はBitcoinのフルノードを動かしています。ブロックチェーンを抽出してデータを研究し、我々のビジネスにどのような付加価値をつけられるかを検討しているところです。まだ具体的な発表は何もないのですが、研究中の分野ではあります。


また、我々のソフトウェアを使ってBitcoinにより価値をもたらすことのできる良い方法を見つけることができれば、その時はそれを実行に移します。 

Bitcoinについての勉強法

ほとんどの勉強はYouTubeでしました。それから、アンドレアス・M・アントノプロス氏の著作から多くのことを学びました。Erik Voorhees氏とPeter Schiff氏によるBitcoinに関するディベートや、ポッドキャスト番組の「The Pomp Podcast」も視聴しました。

Saifedean Ammous氏の著作『Bitcoin Standard』も読みました。Vijay Boyapati氏の著作『The Bullish Case for Bitcoin』や、Parker Lewis氏の著作も読みました。様々な著作や動画を見てきました。

技術変化の大波の中を生きる

技術的な変化の巨大な波が来ています。これを利用しない手はありません。我々は今まさに波の中を生きています。これは仮想現実的な波であり、この波の中で人は、光速で移動したり、時間や空間を曲げることができるのです。

光速で移動できるというのはつまり、世界の両端にいる2人の人が、Zoomを通して交流できるということです。これはパンデミックが起こる前はそれほど一般的なことではありませんでした。2020年に入ってから急激的に普及したのです。私も今年に入ってから、オーストラリアやドイツなど、様々な国の人たちと交流するようになりました。

時間と空間を曲げるということは、いつでもどこでも、そして誰でも見られるような動画を作成できるということです。同じくビジネスにおいても、時間と空間を曲げて機会を創出するということが重要です。

たとえば世界のある地域の労働力を使って、別の地域でのサービス提供をしたり、あるいは今まで手動で行っていたことを自動化したり、といった具合にです。我々の生きる市場の中では、このような仮想現実的な側面を様々な形で見つけることができます。

Bitcoinのネットワークに繫る人々

金融界でも変革が起こっていて、ここでも利用すべき最高のチャンスが、まさに今訪れています。変革というのは、人々が法定通貨投資を暗号通貨への投資に転換していることです。

Bitcoinには、基礎となるセトルメント・ネットワークとマネタリー・ネットワークのレイヤーがあります。人々はBitcoinというマネタリー・ネットワークに繫ることができます。自らマイナーになることによってネットワークに繫る人もいれば、取引所を通して繫る人もいますが、どちらも非常に重要です。

SquareやPaypalなどの決済ネットワークは、Bitcoinのセトルメント・ネットワークのレイヤーに繋がっています。

さらに、暗号通貨界隈にはアナリストがいて、高度な金融商品も存在します。市場は進化しているのでいつか必ず、生命保険や債券、銀行サービス、そしてその他の種類のデリバティブなどもすべてネットワークに接続されていくようになるでしょう。

78億人もの人口のいる世界では、資産をBitcoinのようなものに変換していかない限りは、これから先46~48ヶ月に間に財産の半分を失ってしまいます。この問題を解決できれば、ビジネス機会的にもかなり大きな推進力になると考えています。

しかし問題解決のためには、地球上のすべての国で、あらゆる種類のコンプライアンス要件に準拠する必要があります。要件はそれぞれの国によって違うだけではなく、たとえ同じ国内だとしても州によって異なることもあります。

例えば、フロリダ州の住民だとBitcoinのデリバティブ取引ができないかもしれませんが、オハイオ州の住民だとできるかもしれません。国だけではなく州ごとの違いも重要なのです。

税制上のコンプライアンス等をどのように解決して変えていくか、そしていかにして人々がやりたいことをできるようにしていくか、ここが今のところ、大きなビジネスチャンスとなり得ます。

世界経済と日本経済の問題

日本はマクロ経済的に、他の国と同じような課題を抱えていると思います。日銀は非常に積極的な金融緩和政策を行ってきました。日本の銀行は大量の株式を保有していますが、同様に多くの国債も保有しています。

EUやアメリカと同じように、日本もまた資金供給量を拡大させています。これの一番の問題は資産の過剰なインフレで、市場における価格の発見が不足していることです。

債券、株式、不動産市場を含め、資本市場は凍結状態です。これらの資産価値はすべて非常にインフレしています。一般人が働いても働いても、資産を購入するのに十分なお金を稼ぐことができません。

あらゆる資産価格が上昇しているのに対して、賃金は横ばい、もしくははるかにゆっくりと上昇します。したがって全階級の人々が資産を購入することができなくなり、市場は凍結状態になってしまうのです。

その結果、経済を非効率にしてしまうゾンビ企業やゾンビ資産とよばれる存在が生みだされ、資産取引が行われなくなってしまうのです。日本ではずっと前からこういった問題があります。現在これは世界の他の国でも問題になり始めています。

対処法が必要なのですが、Bitcoinが一番良い解決策だと思っています。価格を見出すことができなくなった資産から貨幣エネルギーが流出してくると、やがて人々はそれに気づきます。そうなってくると、過大評価されてきた資産を売り、Bitcoinを買うという論理的な行動をとりはじめることができます。

人々が資産を売却しはじめれば、貨幣エネルギーがより完璧な貨幣ネットワークに流れ込みます。そうすればあらゆる市場において、また価格の発見が可能になるのです。結果として、再び物を買う余裕ができるようになります。

この解決策をの実現には、取引所を成長させ、そして誰もが簡単にBitcoinを手に入れることができるように教育をするのが最善の方法です。

トレーダーとは異なる目線

我々はトレーダーではありません。Bitcoinでトレーディングをしているわけでもありません。ギャンブラーでも投機的な投資家でもなければ、マクロ経済のトレーダーでもありません。トレーダーのほとんどは非常にテクニカルで、価格がどのように動くかの考え方のモデルをというのを持っています。

しかし我々はトレーダーとは異なる見解を持っています。世界には300兆ドルの資産があり、そのうちの半分は今後46~48ヶ月の間に、中央銀行によって資産価値が流出してしまうと考えています。Bitcoinは我々にとって安全資産であり、長期的に見て価値のあるものになると確信しています。

Bitcoinネットワークが貨幣エネルギーを吸収してくれるので、タイミング的にはいつ買ってもいいと考えています。そして売るべきではないと思います。売って代替品を買っても、それは欠陥品なので、売るのは決して得策ではありません。例えて言うとすれば、今我々は北極点にいるようなものです。気温は日に日に寒くなっていきます。もしもそんな時に、暖房の効いた小屋でもあれば、凍死するのを選ぶかわりに小屋に入るでしょう。小屋に入るのに高いお金を払うのか、などと考えても意味はありません。凍死するのはごめんなのです。

それにもっと寒くなってくると他の人も入ってくるでしょうし、その時には入るのにかかるお金ももっと高くなっているかもしれません。いつ小屋から出るのか、という質問など絶対に気にもしないと思います。

外は凍えるほど寒いので、小屋からでるなんてことは絶対にありません。一体なぜ、暖かい場所から離れなければならないのでしょうか。たとえ入場料が少しくらい高くても、どうってことはありません。

私は毎日、世界をより良い場所にするにはどうしたらいいかということを考えています。私にとってBitcoinは、水道、電気、飛行機、電車、鉄、石油と同じくらい重要なのです。ただ多くの人がまだその重要性を理解していません。

私は純粋に、Bitcoinの通貨ネットワークを人々に伝えてこのネットワークを構築していくことに興味があるのです。

インタビュー・編集: Lina Kamada

翻訳: Nen Nishihara

     

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