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「Bitcoinについて懸念していること」アンディ・エドストローム氏 インタビュー ②

「Why Buy Bitcoin」の著者であるアンディ・エドストローム氏(Andy Edstrom)にBitcoinと行動心理学との関係や、Bitcoinに関するの懸念や期待についてお話をお伺いしました。ぜひご覧ください。

インタビュー日 : 2021年2月10日

ゴールドを買う政府 

政府がゴールドを買う理由はいくつかあります。まず1つは、ゴールドが通貨を裏付けてきたという歴史があるからです。歴史をみてみると、我々は金本位制や銀本位制をとってきました。

したがってゴールドを購入すれば人々や投資家は国の通貨に自信を持つことができます。そして利益を得るため通貨をもっと要求すようになるので、通貨の需要が高まるというわけです。

中国やロシアといった国々が近年ゴールドを買っているのには別の理由があります。その理由は、ドルを避けたいということです。これはドルが悪いというわけではなく、アメリカが他の国々にとってドルを使いづらくしているため、ドルを使うのが嫌なのです。

アメリカ政府は制裁を利用して、各国がドルを利用できないようにしてきました。アメリカが自国の通貨を武器として使用することを諸外国は嫌っています。

さらに、アメリカが抱えている借金の額というのも懸念となっています。中国やロシアをはじめとする世界各国はもう長い間、ドルを使わなくても良い世界へ移行するために動き出そうということを考えています。

発行量が制限され保有できる人は少なくなる? 

Bitcoinの発行量が限られているからといって、保有できる人が少なくなるというわけではありません。コインが十分に存在するかどうかという心配はいらないのです。

1BTCは1億Satoshiまで分割可能です。だからこそ、何コインまでしか発行できないという上限は、実はあまり問題ではないのです。上限が2100万枚だろうと、210億枚だろうと、それはさほど重要ではありません。

たとえBitcoinが値上がりして1BTCの価値が2000ドルになったとしても、1Satoshiは1セント程度の価値になります。Bitcoinの価値がさらに上昇すれば、より小さく分割された単位でBTCを保有することのできるサービスがでてくるでしょう。

長期的な視点でみれば、お金が固定供給される仕組みこそが、人々と経済にとっていいことだと思います。

Bitcoinに懸念があるとすれば

Bitcoinが動き続けているかどうかということは常に注目して見ています。もしもトランザクションが実行されないということが頻繁に発生したり、日々何十億ドル分もの価値を動かすということがなくなったりしたら、懸念すべきだと思います。

また、長い間使われてきたコードにもしもバグが発見されるようなことがあれば、これも大きな懸念となります。

Bitcoinについて考える上では、政府の動きをみることも重要です。予算が足りなくなった時に、政府はお金を増刷するでしょうか、それとも予算のバランスをとろうとするでしょうか。

もしも政府が現在の過剰支出をやめれば、Bitcoinにとってはあまり芳しくない状況となります。なぜなら、法的通貨と比較しての魅力が薄れるからです。

Bitcoinへの期待

Bitcoinが安定して普及し続けることに期待しています。Bitcoinの価格をグラフでみてみると、放物曲線を描いているように見えます。しかし対数グラフでみれば、時間の経過とともにきれいな上昇傾斜曲線を描いています。古典的な分析からも、これは採用規模感の拡大を示しています。

実際にはBitcoinには熱狂的な時期があり、そしてその時期に続く大規模な崩壊も何度もありました。しかし全体を均せば、より多くの人がBitcoinを使用するようになりました。価格も上昇し続けています。

テスラ社がBitcoinを購入して会社バランスシートに載せたということも、Bitcoinが普及しているということの証拠です。また私のような人が、Bitcoinを購入することについて話し、顧客にBitcoinのことについて教えています。これも普及の証です。

政府の借金の問題点

政府の借金における最大の問題点は、多すぎるということです。政府はお金を印刷しすぎています。このまま金利を下げつづければ、消費者はもっと借り入れをするようになります。

たとえば住宅ローンが年利8%だとすると、私は25万ドル借りるのが精一杯です。しかし仮に年利が2%まで下がった場合、私は余裕ができて100万ドルの借り入れをすることができます。

政府は半世紀以上も前から、金利を下げて人々に多くの借金をさせる政策を実施してきました。こういった政策がバブルを引き起こし、資産価格を強制的に値上がりさせ、そして経済システムにおける借金の量を劇的に増やしました。

このシステムのせいで企業は多額の借金を抱えています。そして現在のコロナ禍の状況のように景気が悪くなると、負債が多すぎて支払い能力がなくなるのです。

結果として、政府による救済措置が必要になります。借金の最大の問題点というのは、多すぎると誰にとってもバッドエンドになってしまうということです。現在の借金は多すぎると思います。

仮に普通の金利水準を維持できたとしても、大恐慌が起こってしまいます。それは何としてでも避けなければなりません。政府はお金を刷り続け、最終的なインフレをどんどん先延ばしにするしかない状況だと思います。 

基本財とは 

オーストリア派の経済学者カール・メンガーは、基本財には3種類あるとしています。その3つとは衣食住にまつわる消費財、その消費財を生産する資本財、そして貨幣財(お金)です。

貨幣財が増えれば、それは家や不動産や株、そして債券といった資本財に流れていきます。しかし消費材は値上がりするわけではありません。たとえ値上がりしたとしても、資本財や投資向け資産のように、すぐに高価になるわけではありません。

というわけで、実質インフレ率は政府の公表よりも高いと思います。米国の物価上昇率が2%なわけはなく、これは間違った測定方法に基づいているのだと思います。

とはいえ、消費材のインフレが他の資産のインフレに比べてずっと遅いというのは事実です。しかしこれはゆくゆくは変わってくると思います。

お金の需要が高まるとはどういういことか

消費者物価のインフレはお金の需要と深く結びついています。お金の需要が高まる時というのは、人々が先行きに不安を感じている時です。このような時は、人々はよりお金を貯めたがる傾向にあります。

現在のようなコロナ禍の景気においては、投資で負けて損をする可能性が高まります。人々は自分の給料を回収できる自信がないため、お金を現金で貯める可能性が高くなります。

ところが保有している現金の価値が下がれば、人々は購買力を失っていることに気が付きはじめます。こうなってくると、現金を保有したいとは思わなくなります。

人は社会的動物なので、他人の行動に注意を払い、他人の行動を真似します。もしも人々が政府が印刷した大量のお金を貯金するのをやめ、みんなで捨て始めるようなことがあれば、もはや政府にとってはどうにもできない状況になってしまいます。

法定通貨は安定性を失ったのか

まさしくその通りだと思います。政府の発行する法定通貨が、今後の10~20年の間その購買力を維持できる可能性は極めて低いと思います。特に今後10年の間に、今までよりも速いペースで購買力が失われていく可能性が高いと考えています。

なぜ株価が上昇しているのか 

株式というのは将来のキャッシュフローを現在価値で評価します。ですので、将来的に利益が出ると予想した場合、その企業の割引率と現在の価値について考えなければなりません。

原則として、割引率が下がれば株価は上がります。割引率というのは長期金利だと考えることができます。中央銀行が長期金利を引き下げたことで、事実上の割引率が低下しました。株価が上昇しているのはそのためです。

株価が上昇しているもう1つの要因は、中央銀行と政府が行ってきた救済措置です。金融市場はこれまで幾度となく、この救済措置を受けてきました。これらの措置により投資家たちは、リスクに対して無頓着になってしまい、必ず利益をあげられると自信を持つようになってしまったのです。

現在の株式市場においては株価が3割〜4割暴落すれば、経済にとって深刻な打撃となります。株を保有している人は貧しくなったと感じ、消費が減退し、そして経済は負のスパイラルに陥るでしょう。

したがって政府が株式市場を支えなければ、深刻な不況、あるいは大恐慌に陥る可能性すらあるのです。

インタビュー・編集: Lina Kamada

翻訳: Nen Nishihara

     

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