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「Bitcoinの時間的価値を変化させるライトニングネットワーク」Layered Money著者 ニック・バティア氏 インタビュー ②

「Layered Money」の著者、ニック・バティア氏(Nik Bhatia)にインタビューしました。バティア氏は大手投資運用会社での米国債のトレーダーとして働いた経験もあり、Bitcoinや従来の金融業界に関しても深い知見があります。ぜひご覧ください。

インタビュー日 : 2020年2月3日

Bitcoin建ての経済が発展

今日のBitcoinはまだ富を貯蓄するための媒体に過ぎません。つまり、Bitcoinが主に貯蓄技術であるというのは変わっていません。

ただ、Bitcoinは普及の波を経験し、高いボラティリティによる変動も経験してきました。そんな中でBitcoinの恩恵を一番受けられる人たち、それは使わずに保有している人たちです。

Bitcoinユーザーは1億人をはるかに超えました。また、地球上の暗号通貨ユーザーは今後の数年間で10億人に達しようとしています。そんな状況の中、これからはより多くの商品やサービスの価格設定が、法定通貨とBitcoinの両方でなされるようになっていくでしょう。

価格がBitcoinのみで設定されるような商品やサービスもやがてはどんどん登場してきます。そしてBitcoin建ての経済全体がさらなる発展を遂げていくようになるでしょう。今はまだ初期段階で若い経済ですが、これからユーザーが発展し、それから商業が、会社が、そして政府が、というように徐々に発展を遂げていきます。

しかしこの発展によって我々が現在使っている通貨が完全に廃止されるというわけではありません。これからはあらゆるものが法定通貨とBitcoinの両方で会計処理される、二元的な経済になっていくだろうと思っています。これが私の抱いている未来のビジョンです。

債券発行でBitcoinを購入すること

数ヶ月前に「社債発行とBitcoin購入:Bond Issuance and Bitcoin buying」という記事を書きました。この記事の中で、マイクロストラテジーが社債、つまり負債を発行してドルを調達し、調達した現金をすぐにBitcoinの購入に充てているということについて書きました。

マイクロストラテジーはBitcoinがドルよりも優れた資産であると考え、このような大胆な行動に出たのです。これは世界初の試みであり、金融理論の観点からも非常にわくわくするような興味深い出来事でした。

債券市場は年間10兆円規模の巨大な市場であり、政府や企業は皆この市場を通じてお金を借りています。債券を発行することで、将来的な借金をする代わりに、今すぐ使えるお金を入手して、投資や収益の向上や研究開発などに使うことができるのです。

マイクロストラテジーはそのお金を使ってBitcoinを買ったというわけです。もしも世界中の他の企業もこれを真似して後に続けば、Bitcoinの価格が爆発的に高騰するという可能性があります。

債券を買うための待機資金というのはまだ大量にあります。この資金が導線となったり、または債券市場自体がBitcoinを買う導線になったりすれば、これまでに存在していなかった、全く新しい購買層や需要が生まれるということになります。

マイクロストラテジーがBitcoinの価格に与えた影響は?

マイクロストラテジーによる債券発行が行われた際のBitcoin価格は1BTCが17000ドルでした。つまりマイクロストラテジーがBitcoinを大量購入し、10億ドル相当以上ものBitcoinを蓄積した際、Bitcoin価格は現在のおよそ半分だったのです。

このことを踏まえると、債券発行でBitcoin価格が上昇したとまでは言いませんが、何らかの影響があったということを否定することはできません。

マイクロストラテジーは前例を作りました。たった一社の会社による大量買いが、価格に影響を及ぼしたという前例です。もしも世界中の他の企業や、ひいては政府までもが債券発行に関与し、資本を得たらどうでしょう。その資本がBitcoinに注ぎ込まれたらどうでしょう。想像してみてください。

Bitcoinの供給量は限られています。したがって、需給関係の変化によってBitcoinの価格が押し上げられる可能性はあるということです。

OTC取引は市場に悪影響を及ぼすか

OTC取引で悪影響が出ることはないと思います。オフチェーンやOTC取引は市場にとって重要な要素です。

Bitcoin市場というのは西部開拓市場のような性質を持つ野性的で自由な市場であり、価格も一つに定まっていません。だからこそ、誰もがBitcoinはこの価格だ、いやこの価格だ、と主張したがりますが、それはどの価格を見ているのかによって違うのです。

世界中には何百もの取引所が存在します。我々の目に見える価格だけでも無数にあるということです。マイケル・セーラー氏がどこで、そしていくらでBitcoinを購入したのか、我々には明かされていません。しかしそれでいいのです。結局のところ真の価格というのは、購入者や販売者によって発見されるものです。

Bitcoinは24時間365日、地球上のあらゆる地点で、デジタルで取引されています。そしてOTCの多くは、SignalやTelegramといったアプリのテキストメッセージで行われています。

取引所以外で取引されている、いわゆる影で行われているBitcoinの売買というのも、いたって自然なことです。おそらく市場にとっても良いことだと思います。なぜかというと、たとえ取引所が閉鎖されてもどこかしらではBitcoinを取引できる場所がある、ということを知ることができるからです。

Bitcoinは発行者のいない通貨で、アルゴリズムによって発行されます。だからこそ他の暗号通貨としっかり区別されなければいけません。Bitcoinには管理者がいないため、政府はBitcoinを停止しようにも、誰に命令するわけにもいきません。

OTC市場は一般の人も利用できます。今や人々は、取引所を介さずしてP2P市場でBitcoinを売買することができます。また、世界中にはいくつかのOTC市場プラットフォームがあり、そこでは人々がBitcoinを現金で販売しています。

こういった取引は全て、疑似匿名の状態で行うことが可能です。KYCを経る必要も、個人情報を共有する必要もありません。

OTC市場においては、大口取引のできる買い手が必ずしも有利だとは思いません。小口の売買と大口の売買が同じ場所で行われることはありません。この市場の性質上、OTC取引というのは多々ある窓口のうちの一つに過ぎないのです。

Bitcoinの時間的価値を変化させるライトニングネットワーク

ライトニングネットワークというのは「Bitcoinを瞬時に取引する」という金融契約に合意したBitcoinのネットワークです。ライトニングネットワークにおいては、Bitcoinの時間的価値が変化します。

ライトニングネットワーク上で使えるBitcoinを持っていれば、人々の間の支払いを促進することができます。Bitcoinの持ち主は、この流動性を提供することで、その対価としての収入を得ることができるというわけです。

つまり、ライトニングネットワークによって、Bitcoinはその時間的価値による収入を得ることができるということです。

ライトニングネットワークにあるBitcoinは、これを機能させるために使用されているスマートコントラクトであるHTLC(hash time-locked contracts)によってロックされています。

Bitcoinの時間的価値が得られるのは、Bitcoinがライトニングネットワークのスマートコントラクトによってロックされている間だけです。逆にそれ以外の場合は、時間的価値は得ることができません。

私は、ライトニングネットワークに関する「The Time Value of Bitcoin:Bitcoinの時間的価値」という研究論文を2018-19年に執筆しました。

とある日本人のファンの方が、私の論文を初めて外国語に翻訳してくれました。今でもずっとこのことに感謝しています。

この新しい技術の背後にある金融理論を提示することこそが、Bitcoinの世界における私の役割だと思いました。

ライトニングネットワークのリスク

もちろんリスク要因は存在します。しかし、伝統的な銀行システムにあるようなカウンターパーティーリスク等ではありません。

例えばHTLCを使用することにより、間違った金額を入力してしまうかもしれないというリスクがあります。また、コンピュータ科学に関する側面の管理を誤ってしまうもしれないということも考えられます。さらには、機器が故障してお金を失うかもしれないというリスクもあります。

自分のBitcoinをライトニングネットワークに捧げて収入を得るには、無数のリスクがあるのです。しかもリスクは決して小さくありません。おまけにほとんどの人が、これらのリスクをどのように管理すればいいのか、適切な方法を分かっていません。

普通の人でもノードを管理できるか 

普通の人はノードを管理することはおろか、興味を持つことすらしないでしょう。普通の人というのは、自分の財産の99%以上を預金として銀行に預けています。このことからも、普通の人であれば自分のお金を管理したり管理責任を持ったりしたくないということが分かります。

私自身、ライトニングネットワークのノードを持っていません。私はライトニングネットワークを通してBitcoinから収入を得るということをしていないのです。なぜかと言えば、私はコンピュータ科学者でもプログラマーでも専門家でもないので、自分に相応の技術的能力があるとは思えないからです。

私がライトニングネットワークを使って自分の資産を管理しようと思わないのは、私の専門知識が金融の研究、理論化、執筆であり、コンピュータ科学ではないからです。

ほとんどの人はノードを自分で管理するということはないと思います。そしてそれはそれでいいと思っています。大半の人は、Bitcoinの秘密鍵を自分で持つことすらしていないでしょう。

これもこれでいい、とまでは言いませんが、少なくとも人々が取引所を信頼して自分のBitcoinを預けるのはごく自然なことだとは思います。

例えばアメリカへ行けば、コインベースが地球上で最大級のBitcoin保有者であることが分かります。また、グレースケールが立ち上げた投資ファンドであるGBTCという事業体も最大規模のBitcoin保有者です。これは人々がグレースケールを信用して、Bitcoinを預けたり取引をしたりしているからです。

大部分の人が自分自身でBticoinを管理していなくても、Bitcoin自体にはなんらマイナスの影響はありません。これはBitcoinの価格からも分かります。Bitcoinは日々成長し続け、史上最高値を更新し、強くなり続けています。時に上下に揺れたりしながらも、Bitcoinは長期的には順調に増え続けているのです。

自分自身でBitcoinを管理するには

カウンターパーティーの影響を一切考える必要のない、お金の第一層にいたいと思うのであれば、まずは自分のBitcoinの管理者について把握してください。真に学びたいという気持ちがあれば難しいことではありません。

それから、Bitcoinのプログラミングやウォレットについて書かれた本を買えばいいと思います。また、ハードウェアウォレットやソフトウェアウォレット、そしてウォレットの作り方等について調べることもできます。

私はプログラマーではありませんが、先ほど挙げたようなことについてはいくらか勉強しました。私が自分の勉強に使うことができたのはYouTubeやGoogle、それからBitcoinの構築に貢献した偉大なる人々たちの教えでした。これら以外には何もありませんでした。

しかし世の中には自主学習を手伝ってくれる素晴らしい人たちというのもたくさんいます。Bitcoinは学びたい人にとって、非常に力を与えてくれる存在だと思っています。

Bitcoinというのは、私のようにコンピュータ科学を学ぼうとする人に力を与えてくれる存在であり、我々が個人の資産を自分自身で管理することを可能にしてくれる存在なのです。

インタビュー・編集: Lina Kamada

翻訳: Nen Nishihara

     

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