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「Bitcoinという外部圧力が変化を促す」The Price of Tomorrow 著者 ジェフ・ブース氏 インタビュー ②

ジェフ・ブース氏(Jeff Booth)は起業家、作家、戦略アドバイザーとして、数多くのテック企業を立ち上げてきました。また、新著『The Price of Tomorrow – Why Deflation is Key to an Abundant Future』では、現代社会におけるインフレとデフレの影響について解説しています。今回は技術発展とデフレの関係についてのお話を伺いました。

インタビュー日 : 2021年2月26日

暗号通貨に出来ること

暗号通貨は既に我々の経済システムに様々な影響を与えています。とりわけBitcoinの影響は大きいです。Bitcoinは操作されることのないハードカレンシー(国際通貨)であり、経済システムの移行を引き起こしています。

我々の今抱えている現状というのは、まず約130兆ドルの実質金利マイナスの債券があり、あらゆる経済はこの130兆ドルの上に成り立っているというものです。これほどの負債は歴史の中でも類をみません。

お金を保管する最も安全な手段が国債だと考えている人は確実にお金を失うことになります。国債が安全な手段だったのは良き時代の話です。今の状況というのはその時代よりもずっと悪いのです。

Bitcoinをはじめとする暗号通貨の中にいる人たちは、リスクは全てこの経済システムにあるということ、そしてBitcoinはそこには含まれていないということに気が付いています。

このことに気付いてからというものの、人々はBitcoinを価値の貯蔵手段として信頼するようになりました。お金がBitcoinへと流れるようになり、リスクが徐々に縮小されているというわけです。

Bitcoinという外部圧力が変化を促す

システムが自ら変化が必要な部分を変化させるということは、めったにありません。これはチャンスであると同時に問題点でもあります。

システムに変化をもたらすのは、いつもシステムの外部にあるものです。大抵の場合は外部的な要因により、変化せざるを得なくなるのです。

私は自分の本を執筆した際に「技術の発展が進むにつれて価格が永遠に下落を続けていくのなら、価格の上昇を続けさせようとする仕事はもはや必要なくなる」と考えていました。そしてシステム全体がそのように変化することを期待していました。

しかし私の期待は裏切られ「システム自体が自らを変化させることはない」ということを痛感しました。外部から圧力をかけてシステムの変化を促しているのがBitcoinです。

私は、このまま行けば、世界の全ての富を2100万BTCの中に落とし込めるのではないかと思っています。我々の住んでいる世界を2100万BTCで測ってみれば、私の言っている全てのことが理解できるかと思います。我々の住んでいる世界は、既にデフレ的な社会となっています。あらゆるものが、年々安くなり続けているのです。

印刷機が起こした文明の発展

まず、Bitcoinは人類の最大の発明かもしれません。もしかしたら、現時点でこのように言うのは飛躍しすぎているかもしれません。

しかし、誰もが情報にアクセスすることを可能にした画期的な技術である印刷機が開発された際も、多くの人は懐疑的でした。

印刷機の発明により、誰でも自分の考えをまとめてそれを表現することができるようになりました。印刷機は、それまで権力を独占していた大金持ちたちから権力を奪い、誰もが自分の考えを広められる世の中にしました。したがって、印刷機の発明によって人類の文明は爆発的に発展したのです。

皆が自分のアイデアを発信するようになり、その中でも選りすぐりの最高のアイデアが最終的に勝利を収めたのです。これは、お金やその他の多くのものの中で、Bitcoinが勝利を収めていくという現在の構造と同じです。我々はいつの日かこの勝負を振り返り、「どうして初めからこうしていなかったのだろうか」と思うことでしょう。

もしも政府が印刷機を停止させていれば、全てのものは巻き戻されてしまうため、社会にとってはかなり非建設的なことだったことでしょう。

そしてもしも政府が今日まで印刷機を止め続けていようものならば、最終的には革命や戦争が起こっていたでしょう。

技術の流れに逆らう人々

もしも突如として宇宙人がやってきて「どうしてテクノロジーの発展に伴って価格が下落するのを許容しないのか」と聞いてきたら、人々はどのように答えるでしょうか。ぜひ想像してみてください。

人々が「価格が常に上昇していかなければ、我々は生き残れない」と信じ切っていて、そのようなシステムにすがりついているというのはとても滑稽なことです。

テクノロジーの目的というのは、ものの価格を下げ、より多くのものをより少ないコストで提供するのを可能にすることです。

したがって、テクノロジーが我々のシステムにもたらす効果というのは不都合な真実ですらありません。それは、システムに影響を及ぼすというだけの、単なる一つの真実に過ぎないのです。しかも、真実を真実と認識できなければ、それはそれでシステムに影響が及ぶのです。

時間を象徴するためのお金

お金というのは、我々の時間を象徴するための抽象的な存在です。お金とは、我々が互いに自分の時間を取引するための契約なのです。

例えばもしも誰かのために時給20ドルで働くのであれば、自分の時間を1時間20ドルで取引したということになります。

つまりお金の価値が失われれば、我々の時間の価値も失われてしまうということです。このような観点で考えると「ではどのようにして時間を取り戻せばいいのか」ということについて思考するべきだと思います。

Bitcoinで取引をした場合、誰も我々の時間取引の価値を失わせることができません。つまりBitcoinは時間という観点において、力を守り通す強制機能なのです。

Ethereumについて

私にとってEthereumは、価値保存の手段としての効力の証明がまだできていないと思います。EthereumはBitcoinのように価値の貯蔵庫としての機能を持つために設計されたものではありません。どちらかといえば、通貨として設計されたものです。

しかしEthereumは通貨でありながら、その機能や目的に対して、コストが高いのです。また様々な変化があった割には、どの媒体においても信頼できる安定したプラットフォームではないと思います。

もしかしたらいつかは信頼できるようになるかもしれませんが、少なくとも今はまだです。今はまだ、価値保存の手段としての効力が証明されているのはBitcoinだけです。

大きな問題に目を向けさせる

私がポッドキャストやインタビューを行ったり、本を執筆したりする理由は、人類として立ち向かわなければならない、より大きな問題に人々の目を向けさせるためです。決して富や名声を得るためではありません。

私は特別なビジネスを創り出すためにテクノロジーの創始者たちと時間を過ごすのが好きです。私は成功した自分自身のビジネスも持っていますが、家族や友人たちと過ごす時間も大切にしたいと思っています。

現在の人々は、本題からあまりにもかけ離れたところで議論をし合っていると思います。自分の著書が議論の矢面に立つようなものとなり、必要な対話が行われるための避雷針のような存在として機能することを願って、私は本を執筆しました。

より本質的な問題に対して、起業家的なアプローチで目を向けるべきです。起業家というのは、問題点を見つけたり構造の欠陥を見つけたりすると、それを解決するために全エネルギーを注ぎます。彼らは決して過去のものにエネルギーを割くようなことはしません。

起業家たちのエネルギーというのは全て「今この瞬間において価値提供をするためにはどうすればいいのか」ということに注がれるのです。そしてたとえ壁にぶつかろうとも、価値を提供できるまであきらめずにやり続けるのです。

「根本的な問題を解決し、より良い未来に向かうためにはどうすればいいのか」ということが語られず、いわゆる「過去の問題」を追いかけるのに世界中でどれだけのエネルギーが費やされているか、ということを考えるとつい震えてしまいます。

世界中のエネルギーは、例えば奴隷制や文化の違い、植民地の副産物の問題、それから貧富の差といった問題を追求し、そして悪化させるのに費やされてしまっているのです。

だからこそ私は本を執筆しました。ポッドキャストや私の著書を通じて、より多くの人がもっと本質的な問題について語り始めてくれることを切に願っています。

私が今非常にワクワクしているのは、人々がこの対話のバトンを確実に前に運んできているということです。これを後退させることはもはや不可能です。かつてフランス・ロマン主義の詩人のヴィクトル・ユーゴーは、「満を持したアイデアほど強力なものはない」と言いました。まさにこの通りだと思います。

日本の読者の方々へのメッセージ

この界隈についてまだ理解していない人や勉強中の人たちには、ぜひとも優しく接してあげてください。Bitcoinについて、一旦ディープな世界まで理解してしまうと、現実を直視するのがなかなか難しくなってしまいます。

そうなってくると、自分の気付いていることに周りの人たちはどうして気付いてくれないのかと、信じられない気持ちになります。しかしそのような態度をとることは、研究したいと思う人たちを一気に突き放すような行為です。

もう一つ大切なのは、常に謙虚さと好奇心を忘れないことです。「分かっていないことは何か」「足りないものは何か」という視点を忘れずに、常により高みを目指して勉強を続けてください。

インタビュー・編集: Lina Kamada

翻訳: Nen Nishihara

     

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