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「不変性こそBitcoinの根源的価値」Bitcoin Rapid-Fire ジョン・ヴァリス氏 インタビュー ②

「Bitcoinを理解すると起こるパラダイムシフト」Bitcoin Rapid-Fire ジョン・ヴァリス氏 インタビュー ①
Bitcoinのもつ意味合いを理解しはじめると2つのことが起こります。1つ目は、通貨システムがどれほど腐敗しているのに気付き、Bitcoinがどのようにしてこの腐敗を解決できるかを理解するということです。そうすると、他にも様々な多くのものに不信感を抱くようになります。これが2つ目の出来事です。「通貨システムをこんなにも見誤っていたのであれば、他の分野についてももう少し批判的な視線で見た方がいいのかもしれない」と考えるようになるのです。そうすると、政府や医療や教育といった人生の身の回りの物事をより批判的な視線で見ることができるようになります。そうすると、主権を持つということの大切さが分かり夢中になり、様々な分野において主権を確立したいと考えるようになります。このことを極端に単純化して考えると、多くのBitcoinerたちというのは、あらゆることに対する主権を自分で掌握できるような、可能な限り独立した砦を夢見ているということです。食料も、そしてエネルギーに至っても自分で確保して主権を握りたいのです。現代においてどれだけの自由が奪われているのかということは、一度Bitcoinの世界に足を踏み入れてみるとよく分かります。人々が自由を望むのは、その価値と重要性を理解しているからこそだと思います。ここ最近の新型コロナウイルスの蔓延以前から自由は奪われていましたが、確かにパンデミックの発生によってそれが明るみに出たというのは間違いないと思います。

ポッドキャスト番組「Bitcoin Rapid-Fire」の司会者であるジョン・ヴァリス氏(John Vallis)に、Bitcoinと所有権という観点からお話を伺いました。カナダ出身のヴァリス氏は上海で金融・資産管理の仕事をした経験もあります。Bitcoinこそが自分の探し求めていた答えだというヴァリス氏に、Bitcoinの奥深さについて色々と伺いました。

インタビュー日 : 2021年3月23日

技術革新で消えるゴールドの優位性

多くの人がゴールドを安全な資産だと考えヘッジ手段として利用しています。しかし個人的には、これは非常に危険な可能性を孕んでいて安全を得るのにはむしろ逆効果だと考えています。

なぜなら貨幣の競争が続いていく限り、ゴールドはこの先の10年間でほぼ非貨幣化されてしまう、つまりお金としての地位を失うと思っているからです。この意見は、人類がゴールドを価値の貯蔵手段として5000年以上使ってきたという歴史を考えると、たしかに突拍子もない考え方のようには思えます。

しかし、よくよく考えてみてください。例えば我々は、1万年以上前から交通手段として馬を使っていたという歴史があります。1900年代初め頃は、自動車と馬が共存していた時期もありました。その頃馬に乗っていた人々は「車は汚い」「うるさくて不便」「泥道では使い物にならない」と言っていました。

ところが、自動車は馬とは違って、改良に改良を重ねることができる技術でした。車は時間をかけて改良され、不便さはなくなり、泥道にも強くなり、臭くもなくなりました。

さらに道路といったインフラが整備されたことで、効率が大幅に上がりました。自動車はこのようにして、それまでの交通手段がかかえていた問題を解決していくかのごとく常に技術を革新してきたのです。

私は、ゴールドとBitcoinにも同じことが起こると考えています。今後の10年間で、ゴールドはBitcoinに貨幣としての優位性の多くを奪われるでしょう。そうなってくるとゴールドは本来のあるべき姿、つまり有用な工業用金属になります。

ゴールドにはたくさんの産業用途があります。ゴールドが産業用に用いられるようになると、そのコストも下がるでしょう。そして価格が下がればさらに多くの産業用途に使われていくようになるという流れです。

貴金属としての価値

ゴールドが宝飾品として使われている理由の1つは、価値があるからです。ゴールドの価値が下がれば人々はゴールドを身につけることをあまりしなくなるでしょう。価値が下がったゴールドをいくらたくさん身につけたとしても、ステータスを示すことができなくなるからです。

ゴールドはまだ非貨幣化されていないので、今のところ通貨としての価値があります。そう考えると今のうちが、切り替えにはもってこいの時期です。

様々な出来事を考えると今年はあまりいい年とは言えません。とは言えBitcoin価格は史上最高値に限りなく近い高値です。ゴールドを売却してBitcoinと交換するには、今が絶好の機会だということです。

むしろ今交換しておかないと、これから先はどんどん困難な状況になってくるでしょう。100年以上前に中国が銀本位制を採用していた頃以降、シルバーがたどったような道をゴールドもたどることとなるでしょう。

たしかにゴールドの輝きは美しいものです。これを手放すというのは非常に難しいことです。しかしそれでも、現在の環境を考えると貴金属を売却してBitcoinを入手するのが賢明な行動です。

不変性こそBitcoinの根源的価値

Bitcoinは常にアップグレードされ続けています。しかし実は、Bitcoinの構成要素には2種類あり、アップグレードされ続ける部分と絶対に変わらない部分があります。

1つ目の構成要素は、アップグレードされ続けることによりあらゆることがより便利でより効率的になるという特徴があります。それに対してもう1つの構成要素はBitcoinを成り立たせている根源的な要素であり、これは常に不変です。

ところが多くの人は、Bitcoinや他のすべての暗号通貨が特別な理由はその根本的な成り立ちにあるということを理解していません。その根本を変えてしまうと、特別さが失われてしまうのです。Bitcoinの特別な点の1つはその不変性なのです。

もしも中核となる最も重要な箇所を変更できるようにしてしまうと、あらゆる暗号通貨のあらゆる側面を際限なく変更できることになってしまいます。そうすると暗号通貨の魔法が失われてしまうのです。

確かに、根本的な価値を変えることのない部分であれば変化を加えてもいいところもあります。しかし一番大切なのは、たとえ変えた方がより良くなると思っても、変えてはいけない部分もあるということです。

暗号通貨の魔法を成り立たせているものの1つは不変性という要素なのです。Bitcoinの場合は、例えば2100万枚という供給量の上限は絶対に不変であるべきものです。このような要素というのは今後も変更されることはないと思います。保有者にも、ノードを運営する人にも、経済的なインセンティブが何もないからです。

たまに、「将来的には手数料がセキュリティコストをカバーできなくなる可能性があるためインフレが起こるはずだ」という予測も耳にすることがあります。しかしこれは、なぜBitcoinが特別なのかということを完全に誤解してしまっている意見です。

まずは「変えてはいけない根本的な価値観を守る」ということに皆が合意する必要があります。そうしてこそ我々は、より公平な経済システムの基盤として機能するような、特別なものを手に入れられるでしょう。

Bitcoinの根本的な価値の変更を認めるのであれば、それが誰の手によって行われるのか、変更権を有しているのは誰か、それに、変更がその時々の政治や哲学に左右されないようにするためにはどうすればいいか、といったことについて考えていかなければなりません。

Bitcoinの根本的な価値というのは、やはり絶対に不変であるべきです。今までの経済学には存在してこなかった概念ですが、絶対不変の定数なのです。従来の我々は価値を測るための不変数を持ち合わせていませんでした。しかし今はあります。この重要性を理解して認めていかなければいけません。

なぜ不変性が大切なのか

現在の世界では、意見の相違が物理的な衝突や暴力につながってしまうことが多々あります。これはなぜかというと、一定の基準として機能できるような、常に不変である存在が欠如しているからです。

しかしBitcoinには譲れない最低限の不変なラインがあって、そのラインを遵守する限りは他のあらゆることに対して意見が相違してもよい、という性質があるように思います。この性質は大変重要です。なぜなら、最善の決定のためには意見の相違が必ず必要だからです。

誰かが1人だけが1つのレバーに手をかけている、というような状況は実はありえません。つまり、何かを一方的に変える力は誰にもないということです。だからこそ、根本的な部分は不変を保つということが非常に大切だと思うのです。

政府が操作可能なマーケット

実はBitcoin市場以外のほぼ全ての市場は操作されています。株式市場の操作の度合いはそれほど強くないかもしれませんが、債券市場は完全に茶番です。

本来、債券市場は2 つの要素を反映します。1つ目の要素は資本ストックです。これはつまり、貸し出しや投資に利用できる全貯蓄の合計が債券市場に反映されるということです。そして2つ目の要素は、市場参加者の時間とリスクの選好です。

本来であればこの2種類の要素が組み合わることで資本コストが生まれます。資本コストとは、ある一定の金額をある一定の期間貸すのに、どれくらいのコストがかかるのかという値です。

資本コストは本来であれば、市場に参加している全員が個々に判断した結果によって生みだされる真実であるはずです。しかし実際の市場ではそうはなっていません。

実際には政府が「消費を増やしたいから金利を下げる」というように決定を下しているのです。そして中央銀行が、政府の決定を支えるべく国債を買い取ることで低金利が維持されるのです。

薄められる国民の資産

経済大国は今のところデフォルトしていません。そしてこれから先も、ほとんどの経済大国はデフォルトしないだろうと思います。これには理由があります。デフォルトしない理由はずばり、これらの国の国民が政府が発行した通貨を使うことを強制されているからです。

これはどういうことかというと、このような国々の政府は、国民の全生産能力を永続的に利用できるということです。

中央銀行が国債を買うという行為は、国債を買うためのお金を何もない空気中から生成しているのと同じです。こうして新しく無から生み出されたお金というのは、既存のお金、つまり国民の貯蓄や資本を薄めるものです。

したがって問われるべき質問は「崩壊はいつ訪れるのか」ではなく「既にどれだけのものが壊されてきのか」なのです。「いつ崩壊するのか」ということは、人々があとどれだけ我慢できるか、ということにかかっているのです。

これから先も、主要国の政府が明確なデフォルトに陥ることはないだろうと私は思っています。仮にもしもデフォルトを起こしてしまったとしたら、その罪はあまりにも重く、今までの不始末をこっぴどく糾弾されてしまいます。

したがってそのような事態を避けるために、政府はこれからも道を踏み外し続けるでしょう。つまり、お金の印刷を効果的に利用して国民の富を搾取し、これまでの不始末や犯してきた過ち、汚職、数々の悪用といった類いのものを隠し通そうとするでしょう。

政府から貯蓄を守るための対抗手段

貯蓄を搾取する政府の行いに対して多くの人々が反発しようとしています。そもそも人々の貯蓄というのは、毎日働いたり、夜遅くまで大変な仕事に取り組んだり、何年も勉強したり、といったこれまでに捧げてきた犠牲の上に成り立っている、大切な蓄えです。

この大切な蓄えが政府の不始末によって銀行口座からみるみる消えていくのを、何も出来ずに見ているだけということを望んでいる人はいません。だからこそ人々は対抗手段としてBitcoinを選んでいるのです。

人々による反発は今後も続いていくので、今後は時間の経過とともに、政府はだんだん人々から搾取することができなくなっていくでしょう。そうすると残念ながら一番傷つくのは、自分の身を自分で守るという責任を果たさなかった人たちです。

しかし彼らは、なぜ自分らが傷つかなければならないのか理解に苦しむと思います。政府が正直に理由を説明してくれるとは到底思えません。しかも不幸なことに、傷ついた人たちこそが、さらなる政府の助けを求める人たちなのです。

これこそまさに、長年続いてきた負のスパイラルです。ほとんどの場合、状況が悪くなればなるほど、政府のさらなる介入を求めることが唯一の解決策になってくるのです。しかし政府はこれまで通りのことを続けるしかなく、このことが問題をますます悪化させているのです。

政府に対して意思表示をすること

一部の集団が政府と連携し、自分たちの富を維持するためにBitcoinユーザーを敵視するという可能性は十分にあり得ると思います。

しかしそれにしても、政府が今までとってきた数々の行為はあまりにも無謀で、まさに狂気の沙汰だったと思います。私が指しているのは、政府がつくりあげてきた債券市場や中央銀行といった仕組みのこと、それにお金の力の乱用のことなどです。

政府や中央銀行の貨幣を創造する力とその能力の非対称性により、我々の生きる世界は、政府という組織と国民との間に大きな開きがある世の中になってしまったのです。

大規模な軍事力、核兵器、巨大な警察組織を有する政府に対して、我々国民は非力です。我々に出来る唯一のことは、これ以上政府に搾取されないように政府の略奪を止めることです。我々は政府に対して「もうこれ以上お金は奪わせない。同意なしにお金を取ることはさせない」という意思表示をしなければなりません。

より多くの人がこのような声をあげていけば、政府という巨大な怪物の息の根を止めることができます。なぜなら、今まで構築されたシステムや構造というのは、現在のやり方に依存することで成り立っているからです。だからこそ、現在のやり方を変えれば世の中の仕組みに変化が見られるようになるのです。

分散投資について

ポートフォリオを多様化すべきかどうかという問題については、決めかねているところがあります。この問題については、個々人の年齢や事情、それにライフスタイルといったそれぞれの背景が関わってくると思います。

Bitcoinはおそらく誰にとっても、これまでに存在してきた中で最も非対称性の高い投資機会だと思います。しかしそれとはまた逆説的に、Bitcoinは現代において最も保守的な投資である、という風にも考えています。

つまり私から言わせれば、ポートフォリオの大半をBitcoinに配分するべきだと思っています。しかし人によっては、別のものでヘッジした方が賢明だと考えるかもしれません。ただこの辺の選択については、私の意見するべき範疇を超えていると考えています。

コロナ以降の世界 

たとえコロナが過ぎ去った後でも、コロナ以前の世界に戻るのがいいことだとは考えていません。人間は快適さを求める生き物であるがゆえに、今までの快適さや計画、慣れ親しんだものが壊れると、どうしても元に戻りたくなります。

しかし歴史的に見ても、物事が元に戻るということはありません。物事には周期性こそあれど、必ず時系列的な進行があるのです。例えば16、17世紀の人々はルネサンスに憧れていたかもしれません。しかしそんな世の中に次に訪れたのは産業革命でした。

つまり、大切なのは前を向くことです。そして前を向くための最善の方法は、勉強して情報を集め、できるだけ明確な方向を向くことです。混沌とした状況の中では、誰も前に進みようがありませんし、未来を予測することもできません。

特に現代は、世界を一変させるような技術が次々と生み出されて色々と繫がってきているような時代です。だからこそ、未来は不確実性に溢れています。そんな中どう進めばいいかを決めるためには、自分にとっての意味、真実、そして価値とは何かということを理解し、それをコンパスの指針にしなければなりません。

情報収集で視界を広げる

私にとっての最たる目標は、物事を最高の解像度で見るということです。これは並大抵のことではありません。人間はどうしても主観的な生き物だからです。人間は主観的で偏見や先入観にまみれているため、視界を澄まして何かを明確に見るということはとても難しいのです。

社会、経済、政治、金融、医療、そして教育といったものがどれほど堕落しているか、これらのものに対する真の価値判断はどうあるべきか、ということを考えていくと、私は恐ろしいと感じます。私はこの恐怖心を何とか解決策に向けようとしています。そして私にとっての解決策というのがBitcoinなのです。

多くの人は、周りで何が起こっているのか、自分の視界を澄まして直視しようとしていないと感じています。様々な誤解があり、先入観があり、歪みがあります。そして人々はあの手この手で、誤った方向に導かれてしまっていると思います。しかも一番最悪なのは、物事が見えていないということではなく、見ようともしていないということです。

もしも物事を明確に見たいと思う目的があれば、必ず方法があります。情報収集をして勉強するための手段はいくらでもあります。特にインターネットは有用でしょう。自ら勉強し、自分で責任を負いたいと望むのであれば、特にお金をかけずともとても簡単にできるのです。必要なのは時間だけです。

ところが実際には、自分から物事を明確に見ようとする人はほとんどいません。皆、誰かに言われたことをそのまま信じて受け入れようとしています。これには本当にがっかりさせられます。

Bitcoinの今後のアップグレードについて

アップグレード「タップルート」が行われることでBitcoinの機能性が向上し、また何らかのイノベーションが起こるようです。

それからライトニングネットワークも非常に楽しみです。ライトニングネットワークこそインターネット3.0になるのではないかと、この頃思い始めています。

大切なのは、全てに通ずるベースレイヤーはBitcoinであるため、いかなるアップグレードもBitcoinの主要な特性を維持することが前提だということです。

日本の読者へメッセージ

自分の頭で考えるということが大切だと思います。情報をただ信じるのではなく、自分で検証し、自分で結論を導き出すということをしてください。これこそが自分の信念を保つ唯一の方法だと思います。

あらゆる情報を取り入れて必ず自分のフィルターを通すことで、自分の行動は紛れもなく自分のものだと確信できるようにしてください。

我々は決して他の誰かのイデオロギーの化身ではありません。我々は皆、独自の考え方を持った1人の人です。我々の1人1人が自分だけの決定をすることで、最終的に一番素晴らしい形でこの世界に存在しているのです。

インタビュー・編集: Lina Kamada

翻訳: Nen Nishihara

     

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