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「Bitcoinは既存金融システムよりも環境に悪いのか」アルベルト・ゲレロ氏

Bitcoinはマイニングに莫大な電力コストがかかるため環境に悪いという議論が多く聞かれるようになりました。しかし、実際に他の通貨システムや金融システムと比較してみるとどんなこと言えるでしょうか。また、Bitcoinの消費電力だけではなく価値提供を考えた時、その消費は割に合っていると言えるでしょうか。今回の記事ではBitcoinと環境問題について考えます。ぜひご覧ください。

本記事は、アルベルト・ゲレロ氏(Alberto Guerrero)の「Is Bitcoin So Bad For the Envoronment?」の内容を日本語へ翻訳し掲載したものです。原文の英語版はこちらをご覧ください。また、アルベルト・ゲレロ氏のmediumのページブログについても、ぜひご参照ください。

エネルギーを消費するだけの価値のある活動とは

Bitcoinは、規模でいうとアルゼンチン全国よりも多くの電力を消費しています。これは間違いなく大規模な電力消費だと言えます。しかし、Bitcoinには約1兆ドルの時価総額があり、約2億人を支える通貨ネットワークサービスを提供し、また、銀行をはじめとする金融機関や法定通貨にまでも取って代わる通貨システムへと成長し続けているというのもまた事実です。

この世界には、膨大なエネルギーを消費する活動はたくさんあります。インターネットで様々な情報を流したりすること、ニュースなどの様々な情報を見ること、あるいはカリブ海に旅行することなどなど、挙げたらきりがありません。ここで一番重要となってくるのは、消費に対してその活動が有益かどうか、需要が高くて必要とされているかどうか、効率性はどうかということを評価すること、そして代替手段と比較することです。

たとえば、インターネットは大量のエネルギーを消費しますが、非常に大きな価値を提供してくれています。また、オンライン上の活動はオフラインの活動よりも汚染が少ないということを考えると、二酸化炭素排出量を大幅に削減できる可能性があります。

Bitcoinの消費電力と価値提供を考える

ケンブリッジ大学によって発表されている「Bitcoin電力消費指数」によると、Bitcoinのマイニングに使用されている電力は130TWhで、これは世界のエネルギー使用量の0.6%にあたります。

しかし、Bitcoinは世界的な通貨であり、不変的価値の貯蔵庫であり、また我々が現在直面している最大の問題の一つであるインフレに対する解決策を提供してくれます。

重要なのはBitcoinがいかにエネルギーを消費しているかということではなく、エネルギーを消費するだけの価値を提供してくれているか、ということだと思います。

数兆ドルを蓄えることのできる安全な通貨ネットワークを提供してくれているというのは非常に価値があると言えます。エネルギーが効率的に利用されていて、環境にも配慮がなされているのあれば、そのエネルギーの消費は正当であると主張できると思います。

ここで争点となってくるのは、エネルギー源についてです。多くの産業とは異なりBitcoinは非常に適応性が高いため、他に目的がなくて未使用の電気があればどこででもマイニング事業を行うことができます。

だからこそ、中国では巨大な水力発電所の隣でマイニング事業が行われ、アメリカではいずれにしろ燃やされる運命のフレアガスの近くで、あるいはそのままだと確実に無駄になってしまう地熱エネルギーの近くといった場所で、マイニング事業が行われているのです。

Bitcoinは、エネルギーを貨幣価値という形で保存します。またマイニング事業を行う生産者たちには、エネルギーの消費単位あたりのコストがより低いグリーンなプロジェクトに切り替えるインセンティブがあるので、結果としてより環境にやさしいプロジェクトが推奨されるようになります。

そうすると、Bitcoinはネットワークの安定に貢献しているのみならず、再生可能エネルギーの使用を促進し、さらにはそのコスト削減にも貢献していると言えます。

エネルギー消費が高く効率の悪いサービスやシステム

冒頭で述べた通り、この世には数多のBitcoinよりも効率の悪いシステムが存在しています。たとえばクリスマスツリーの栽培はBitcoinよりはるかに多くの電力を消費していますが、クリスマスツリーは見た目が綺麗という以外に、あまり価値提供はしていません。

クレジットカードによる取引も効率の悪いシステムの例です。クレジットカード取引は支払いレール(支払者から受取人にお金を移動する支払プラットフォームまたは支払ネットワーク)や銀行業務等を含む複雑な業務です。確かにクレジットカードは便利であり必要なサービスであはあります。しかし、このサービスにわずかなコストで取って代わることができる世界的な通貨にはとても太刀打ちできません。

銀行も効率が悪いです。世界中には無数の銀行の支店があるということを考えてみてください。それらの支店には24時間365日稼働しているコンピューターがあり、エアコンの効いたオフィスがあります。また、支店へ行き来するために日々たくさんの人の移動が発生します。銀行はエネルギーの使用量が多く、取引単位でみた時の効率性が低いことは明らかです。

それと比較してBitcoinといった暗号通貨によるエコシステムはというと、銀行が行っているようなサービスをほぼ全て、より速く、より良く、そしてより安く行うことができます。銀行は新しい時代に素早く適応して行かない限り、その行き先は暗いと私は予測しています。

米ドル、つまりペトロダラー(オイルマネー)にいたっては、おそらく史上で最も汚い通貨です。基軸通貨として、あるいは石油といった商品を購入するための唯一の通貨として強制的に押し付けられているだけではありません。米ドルは膨大な量のエネルギー、そして言うまでもなく人命をも消費している巨大な軍事構造によって支えられているお金です。

ゴールドについても考えてみましょう。ゴールドの採掘や溶解、輸送、そして保存というプロセスは、ダムの横でコードを走らせている数台のサーバーよりもはるかに環境に悪いということは言うまでもありません。したがってBitcoinがゴールドを代替すれば、より世界の環境はクリーンになるでしょう。 それから電気自動車も大量にエネルギーを消費しています。こう言うと多くの人が驚くかもしれません。電気自動車を走らせるには電気が必要であるというのは言うまでもないのですが、実は電力が大量に必要なのです。

各種通貨システムと銀行システムのエネルギー消費量とコスト比較
出典:ナスダック

青:年間コスト(10億米ドル)
黒:年間エネルギー消費量(ギガジュール)

では電気自動車を走らせたりするのに使用されているエネルギーはいったいどこから来ているのでしょうか、ということを問うと、誰もはっきりとは答えられません。電気のエネルギー源は国や地域、そして近くにどのような発電所があるかによって異なります。しかし一つだけ言えるのは、電気自動車などが使っている電気エネルギーの約半分は、非再生可能資源から来ているということです。

これに対してBitcoinのエネルギー使用量の約75%は、水力発電や風力発電、それから太陽光発電といった再生可能エネルギーです。それにも関わらず、電気自動車のテスラ社のイーロン・マスク氏がBitcoinのエネルギー使用量について批判しているというのは、非常に変なことだと思います。

Bitcoin利用に切り替えるアルゼンチンの人々

あらゆるものはエネルギーを使います。我々は他者に対して、どのような使い方が良い使い方であるかを指図する道徳的権利はありません。世の中にはカーダシアン姉妹といったきれいな女優をみるのが好きな人もいれば、世界を一変させることのできるような金融ネットワークを確立したいという人もいます。

重要なポイントとしては、できるだけ効率的で、できるだけ環境にやさしいエネルギーの使い方をするということだと思います。Bitcoinはこの重要な2点を達成するために努力していると思いますし、おそらくはグリーン電力の最大の推進者だと言えるでしょう。

たしかに、Bitcoinはアルゼンチン全体よりも多くの電力を消費しているかもしれません。しかし電力だけではなくエネルギー全体でみると、アルゼンチンの消費量はBitcoinの約3倍です。しかもその消費エネルギーのほとんどが、再生可能でクリーンなものではありません。

これだけのエネルギーを消費しているアルゼンチンですが、世界経済に影響を与えないほどの小さな経済規模の国です。ところがBitcoinはというと、金融界により効率的で安全でかつ透明性の高い通貨システムをもたらしてくれています。

実際、アルゼンチンの人々はBitcoin利用に急速に切り替えていて、エネルギーを大量に浪費しながらも価値を提供しないという破綻した通貨から脱却しつつあります。何事においてもFUD(市場にまん延する悪い噂等)に踊らされず、自らリサーチすることをおすすめします。

    

翻訳: Nen Nishihara

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