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「アメリカではハイパーインフレが起きているのか」MintDice分析記事

「ハイパーインフレ」という言葉は誰もが一度は聞いたことがあると思いますが、経済的に不安定な小国が陥るイメージが強いのではないでしょうか。たとえばアメリカのような大国でもハイパーインフレになることはあるのでしょうか。今回の記事ではハイパーインフレの定義も紹介しつつ、アメリカのインフレ状況を考察していきます。また、ハイパーインフレ時代に備えてどのようにして身を守るべきかについても触れています。ぜひご覧ください。 

本記事は、 MintDiceの「Hyperinflatin and Bitcocin in the USA」の内容を日本語へ翻訳し掲載したものです。原文の英語版はこちらをご覧ください。

アメリカの物価はコロナのせいで高くなったのか

新型コロナウイルスのパンデミックが発生した2020年に物価上昇が見られた際、多くの企業はこれをサプライチェーンの混乱と工場の生産性低下によるものだとしました。ところが2021年になっても物価は高いままです。実際、一部の地域では2020年のパンデミック発生時よりもさらに物価水準が高くなっているところさえあります。

この状況を受けて多くのアメリカ人は、一体何が起きているのはわからずにいます。そしてこの状況が自分の経済や将来にとって何を意味するのだろうかと疑問を抱いています。

ハイパーインフレーションとは

インフレというのは社会における商品やサービスの価格が上昇することです。ハイパーインフレというのは、商品やサービスの価格が急高騰し政府のコントロールが及ばない状態を指します。一般的には、30日間で商品やサービスの価格が2倍以上になった場合を指します。

アメリカはハイパーインフレか

現在アメリカのモノ・サービスの価格は急速に上昇しています。しかし価格上昇の割合で言うと、まだ1ヶ月の間に2倍になるほどの上昇率ではありません。したがって政府の専門家の見解によると、厳密には現在のアメリカはハイパーインフレには陥っていないということになります。

しかしだからといって、現在アメリカで起きていることに何の問題もないというわけではありません。なぜなら月に2倍の上昇率とまではいかなくとも、それに限りなく近い上昇率で価格が上昇している可能性があるからです。

このレベルの上昇率というの異常であり維持可能なものではありません。ハイパーインフレとまではいかない上昇率であったとしても、結局は数ヶ月という短期間の間にモノやサービスの価格が2倍になってしまうのです。

では、アメリカの現在のインフレ率は一体どれくらいなのでしょうか?この問いの先が、人々の見解が分かれてくるところです。

たとえば、1970年代に金本位制を廃止して以来インフレ率を隠し続けてきたアメリカ政府は「インフレは起きておらず、すべて順調だ」と言うでしょう。しかし他方では、第3回目の景気刺激策の小切手給付があって以来、1週間あたり100ドルだった食費支出が400ドル近くまで膨れ上がったという家族もいます。これは明らかにインフレです。

アメリカのサプライチェーンに関しては、2021年の1月から既に再開しており完全に通常運転となっていますので、サプライチェーンの問題ではありません。では一体なぜ物価が上昇しているのでしょうか。

現在のアメリカは紛れもなくインフレーションです。そしてこの事実を理解して受け入れるか否かに関係なく、ここ2〜3年間の政府によるお金の印刷は全くもって維持可能なペースではありません。

政府の行ってきたお金の印刷により、人々の財布の中のお金も預金口座の中のお金も、同様に切り下げられてしまいました。市場では以前1ドルで買えたものが今では買えません。現実を直視しなければいけない時がついに来たのです。

現在のアメリカがハイパーインフレに陥っているかどうかを測る別の方法としては、国の支出と収入の比率をみることです。アメリカの支出、つまり負債と収入の比率を見ると、負債が収入を60%も上回っているということがわかります。

国の政府負債が収入を40%以上上回っている場合はハイパーインフレであると見なされます。しかしもちろんアメリカ政府はそんなことは認めず、前述のように、30日間で物価が完全に2倍になったわけではないということを主張する立場をとり続けるだけです。

ハイパーインフレーションのもたらす結果とは

第一世界の国々におけるハイパーインフレは稀ではありますが、実際に起こっていないわけではありません。最近の例でいうとドイツが典型的です。ハイパーインフレが起こってしまうと、残念ながら良い結果にはなりません。

ハイパーインフレになると、個人の生活レベルでは食料の買いだめ、食料不足、飢えの問題が生じます。社会面では企業の倒産や失業者の増加などが起こります。しかしこういったハイパーインフレの症状が出始めてからではすでに手遅れなのです。過去にあった多くの例でいくと、もはや国の通貨を何か他の通貨に変えることでしか国を救うことはできません。

ハイパーインフレーションから身を守るには

ハイパーインフレーションは個人の仕事や生活環境に関わらず国民全体に影響を与えるものであり、たしかに恐ろしいものです。だからこそ、ハイパーインフレから身を守るために出来る限りの対策をとる必要があります。たとえば貴金属や不動産、それから自分のための教育などに投資することで、ハイパーインフレによる被害から自分自身と自分のお金を守ることができます。貴金属に投資するというのは、物理的な価値のあるものに投資するということです。言うまでもないことですが、貴金属自体への投資というのはどんどん難しくなっていきます。特にデジタル化やノマド化が進んでいる昨今の社会では、物理的なものの持ち運びや保管が難しくなってきているからです。

投資対象となるさまざまな資産の特徴

そこで注目を集めはじめたのがデジタル通貨であるBitcoinへの投資です。Bitcoinは2,100万枚という上限があり元々デフレ体質だからということもあって、その価値は長期間にわたって上昇するのみだと言われています。こういった性質をもつBitcoinはハイパーインフレのような不確実性の高い時代には良い投資対象になると考えられています。

では、株式はどうでしょうか。ハイパーインフレから身を守る方法をインターネットで検索すると、株式の購入を勧める会社がたくさん出てきます。たしかに、食品や石油といったインフレ時でも必需品であるような商品を扱っている会社の株なんかは良い投資対象となり得るでしょう。しかし株は決してハイパーインフレになっても完全に安全というわけではありません。

ドルの価値が下がれば株価は上がりますが、もしもドル市場が崩壊すれば株式市場も崩壊してしまいます。ただそれでも、株式を買っておけば少なくとも企業に投資しているので、寝床に現金を置いておくのとは違い最終的に何かを得られる可能性が高いです。

ただ全体的な観点からみると株式よりもBitcoinのようなものに投資したほうがいいかもしれません。不動産投資もよいでしょう。というもの不動産はインフレの影響を受けこそするものの、価値がゼロになるようなことはまずないからです。不動産投資は多少の損失が出ることもあります。しかし少なくとも市場が暴落した時に住む場所は確保できそうです。

教育への投資も◎

ハイハーインフレに備えるもう1つの方法は、大学のコースをとったり、オンラインで教育を受けたりすることです。何か新しい仕事やビジネスをはじめてみるのもいいでしょう。というのも、ハイパーインフレの影響で現在の職業に何が起こるかわからないからです。

ハイパーインフレのダメージから身を守るためには、いざという時のためのバックアッププランを持っていることが大切です。Bitcoinを買っておくのもいいでしょうし、プログラミングスキルを学んでおくのもいいでしょう。

どのようなプランを採用するにしても、一番重要なのは選択肢の中から何かしらしっかりと選んでいるということです。なぜなら、我々の感情に関わらず、今の米ドルに起きていることは経済的に不健全であり、すぐには改善されない可能性が高いからです。

翻訳: Nen Nishihara

     

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