SH

金融の世界が理解できる:ウォール街がテーマの映画6選 アレクサンダー・フォークト氏

本記事は、アレクサンダー・フォークト 氏(Alexander Voigt)の「Best Stock Market Movies」の内容を日本語へ翻訳し掲載したものです。原文の英語版はこちらをご覧ください。

著者のアレクサンダー・フォークト氏(Alexander Voigt)はdaytradingz.comの創設者であり、20年間の金融市場での勤務経験を持ちます。彼はトレーディングと投資を誰にでもわかりやすく理解できるようにするということを目標に掲げており、彼の著述はBenzinga、Business Insider、GOBankingRatesといった数々のメディアで引用されています。

ウォール街を題材にした映画は、株式市場や金融に関心のある世界中の人々を魅了してやみません。ウォール街は何しろアメリカで一番の株取引のホットスポットなので、それもそのはずです。ウォール街で大金を手にした人たちの話を聞けば、その魅力に納得がいくと思います。ここでは歴代のウォール街関連映画の中から6作品厳選してご紹介いたします。

1. Trading Places (1983)

(邦題:大逆転)
1984年アカデミー賞ノミネート作品。その他受賞3回、ノミネート4回

エディ・マーフィ氏が演じるホームレスの男ビリー・レイ・ヴァレンタインは、2人の成功した株式ブローカーの間で行われたある賭けをきっかけに、デューク&デューク・コモディティーズ・ブローカーズ社のファイナンシャル・マネージャーになります。

ビリーの前任のファイナンシャル・マネージャーであったルイス・ウィンソープ3世(ダン・エイクロイド)は、元々いわゆる負け犬的なポジションにいました。ところがビリーとルイスは2人で手を組み、自分たちを賭けの駒にした株式ブローカーたちに仕返しをしようと画策します。そして最終的に作戦が功を奏して、金融界の曲芸師たちを破滅へと追い込みます。

本作はマーク・トウェイン氏による短編小説「100万ポンド紙幣」を基にした、抱腹絶倒のコメディです。作中のビリーのセリフです。

「おい、俺たちは全財産を失っているんだぞ!クリスマスもすぐそこだっていうのに、息子にカンフーグリップ付きのG.I.ジョーを買ってやる金もないんだ!お金がなければ妻だって俺のことを抱…愛してくれはしないんだ!」

2. Wall Street (1987)

(邦題:ウォール街)
1988年アカデミー賞受賞作品。その他受賞9回、ノミネート4回

本作は株取引の華やかさとその裏にある汚さを描いた代表的な株式市場映画です。俳優のマイケル・ダグラス氏が金融界の大物、ゴードン・ゲッコーの役を演じています。ゴードン・ゲッコーは、若き株式仲買人バド・フォックス(チャーリー・シーン氏)を説得して、バドの父親が勤めている会社のインサイダー情報を入手します。

さすがハリウッドの超大作だけあり、スピード感満載の物語です。それに加えてゴードン・ゲッコーやバド・フォックスといった登場人物たちの演出も素晴らしく、何度でも見る価値のある映画であること間違いなしです。

「ウォール街」は映画としての完成度の高く、多くの若者が株式市場に興味を持って参加するきっかけとなりました。しかし批評家たちは、オリバー・ストーン監督は株のゲームを過剰に表現しており、美しくて華やかな側面に焦点を当てすぎていると非難しました。

作中にでてくるゴードン・ゲッコーのセリフです。

「皆様、重要なポイントをお話します。『欲』という言葉はもっと聞こえのいい言葉がなかったというだけで、実は良いものなのです。欲は正しいですし、役に立つのです。欲は進化の精神の本質を捉えているものです。本質を切り開き、明確にするものなのです。」

3. The Big Short (2015)

(邦題:マネー・ショート 華麗なる大逆転)
2016年アカデミー賞受賞作品。その他受賞37回、ノミネート79回

アダム・マッケイ氏が監督した本作は、全米で約800万人を失業に追い込み、約600万人が家を失うこととなった金融危機にいたるまでの出来事を詳細に描いています。

金融危機にいたるまでの期間というのは具体的には2007年から2008年にかけてですが、映画をみてみると、当時は自分の飼い犬の名前でお金を借りることさえも可能だったということがわかります。

本作の中でクリスチャン・ベイル氏の演じる登場人物であるヘッジファンド・マネージャーのマイケル・バーリは、世の中の状況の危うさをよく認識して金融危機の到来を予見します。彼は自分の予見を上手く利用していくのですが、後になると彼の予想した通り、大崩壊が訪れます。

この金融映画は、マイケル・ルイス氏の著書「The Big Short: Inside the Doomsday Machine(世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち)」に基づいています。映画のベン・リカート(ブラッド・ピット)という登場人物の作中のセリフです。

「もしも我々の予想が正しければ、人々は家を失い、職も失う。退職金も年金も失う。なぜ私が銀行ビジネスを嫌っているかって?それは人をまるで数字のように扱っているからだ。 数字が聞きたいか?失業率が1%上がるとごとにな、4万人の人が死ぬんだぞ。」

4. Boiler Room (2000)

(邦題:マネー・ゲーム 株価大暴落)
受賞1回、ノミネート9回

2000年に公開された本作は、株取引とウォール街の闇の部分を豪華キャストで印象的に演出した作品です。

大学を中退した19歳のセス・デイビス(ジョヴァンニ・リビシ)は、自分のアパートで違法カジノの経営をスタートしますが、仲間の一人からJ.T.マーリン・ブローカーという会社で働こうと誘われます。セスが就いたのは大金の気配を感じられる仕事で、彼は億万長者になるという夢をこれまで以上に身近に感じるようになります。

なんとか仕事に慣れてくるセスですが、彼はやがて自分の雇い主が違法行為に手を染めているということを知り、会社がとんでもなく無節操な欲をかかえている、まさに震源地的な場所であるという実態を知ってしまうのです。

映画の登場人物の1人、ジム・ヤングの作中のセリフです。

「お金で幸せは買えないって?この笑顔を見ろよ。まさに満面の笑みだぜベイベー!」

5. Margin Call (2011)

(邦題:マージン・コール)
アカデミー賞オリジナル脚本賞ノミネート作品

物語はニューヨークの投資銀行でリスク管理のアナリストとして働くピーター・サリヴァン(ザカリー・クイント)が、上司であるエリック・デール(スタンリー・トゥッチ)から、衝撃的なデータの入ったUSBメモリーを受け取るところからはじまります。

映画の中では金融業界の仕組みが印象的に明かされ、また登場人物たちがいろいろと先回りしようとする場面もあり、最後まで見応えのある株取引映画となっています。また俳優陣のデミ・ムーア氏、ケビン・スペイシー氏、ポール・ベタニー氏、ジェレミー・アイアンズ氏らは、優れた演技で世界中の観客から好評を得ました。

映画の中の登場人物の1人ジョン・チュルドの作中のセリフです。

「このビジネスで生計を立てる方法は3つだ。誰よりも先になるか、他の人よりも賢くなるか、それかズルをするか、だ。」

6. The Wolf of Wall Street (2013)

(邦題:ウルフ・オブ・ウォールストリート)
2014年アカデミー賞5部門にノミネート。その他受賞38回、ノミネート165回

レオナルド・デカプリオ氏演じるジョーダン・ベルフォートは、巧妙な売り口で1,500人の投資家を説得し、自分が以前購入して保有していた安株に投資させることで2億ドルの富を築き上げました。

ベルフォートの顧客の投資により、実際には価値のなかった安株の価格はどんどん上昇しました。そこでベルフォートは高い利益を得て、自分の保有分の株を売却して富を築いたのです。しかし最終的には価格が暴落し、ベルフォートに株を買わされた投資家たちはお金を失ってしまいます。ジョーダン・ベルフォートの真実の人生をもとにしている本作は、マーティン・スコセッシ監督の史上最も成功した映画の1つでもあり、映画好きであればまず間違いなく「必見」の作品です。

そして映画を見た人は皆、これを警告だと捉えるべきです。映画の中で騙されてしまった投資家の人たちも、どこの誰とも知らない人の話を信じて欲に駆られて投資をしてしまう前に株取引の映画を見ていれば、きっともっといいことがあったことでしょう。映画の中に出てくるジョーダン・ベルフォートのセリフです。

「私に任せろ。たとえ若くて、飢えていて、愚かでも、それでも私の手にかかれば、すぐに金持ちにしてみせるさ。」

翻訳: Nen Nishihara

     

【免責事項】

本ウェブサイトに掲載される記事は、情報提供を目的としたものであり、暗号資産取引の勧誘を目的としたものではありません。また、本記事は執筆者の個人的見解であり、BTCボックス株式会社の公式見解を示すものではございません。