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「マルタのブロックチェーン監査」イアン・ガウチ弁護士インタビュー ②

マルタを代表する弁護士の1人であり、マルタ政府のブロックチェーンタスクフォースでアドバイザーを担当しているイアン・ガウチ氏にインタビューさせていただきました。前回の記事に続き、今回は第2回目の記事となりますマルタのブロックチェーン監査、弁護士としての体験などついてお話しいただきました。是非、ご覧ください。

イアン・ガウチ弁護士

インタビュー日 : 2020年2月19日

マルタのブロックチェーン監査

マルタ政府は、他の国よりも先にブロックチェーン技術を採用し、この技術が持つ分散性という要素も取り入れています。ただ取り入れるだけでなく、それらに対して法制化を行った最初の国の一つとも言えます。ここでは、暗号通貨ではなくブロックチェーンについてお話しします。マルタデジタルイノベーションオーソリティ(MDIA)という特別な機関が設立されたのも世界初でした。現在、ヨーロッパやアメリカにおいても、監査のために複雑なスマートコントラクトの認証の仕組みを作ろうとしていますが、マルタでは既にそれがあります。スマートコントラクト、分散型台帳技術(DLT)をどのように監査し認証するかというガイドラインもあります。暗号通貨業界は成長を続けており、金融サービスと同じような扱いを受けています。暗号通貨を保管したり、それに関する助言を行うと規制の対象となります。暗号通貨に規制がある限りは、この業界にも可能性があると思いますが、同時に国のニーズに合わせて柔軟に対応する必要もあります。

マルタデジタルイノベーションオーソリティ(MDIA)は、時代を先取りしたと言える特別な機関です。ヨーロッパや他の地域を見てみると、今のところ、この機関に相当するものはどこにもありません。MDIAは、監査と認証、そして革新的な技術の取り決めに関するガイドラインを作るために、特別に設立された機関です。それら革新的な技術の中には、DLT、ブロックチェーン、スマートコントラクトがあり、もうすぐAIも加わります。AIに関する枠組みもあり、将来的に更なる自動化が行われていく予定です。現在、自動車産業や医療産業など、いくつかの領域では既に自動化が行われていますが、この技術に加えて、それを監査する誰かが必要となります。大抵の場合は、もはや人間がコントロールできない領域となります。ある技術の機能が適法であり、確実にコーディングをされ、ソフトウェアが公正で正確かつ透明であることを、誰かが監査して確認する必要があるのです。

私達はフォレンジック・ノード・システム (Forensic Node System)というものも採用しています。フォレンジック・ノードとは、航空機のブラックボックスのようなもので、認証されたある個体の中の全ての活動を記録する仮想マシンやサーバーのことを言います。これにより、監査人は、特定の事業者と技術が認証要件を満たしているかどうかを確認することができます。問題がある場合は、それらを容易に特定し、対策の実施へと進むことができます。

弁護士としての体験

この分野で数多くのことを経験する中で、非常に多くの興味深い出来事や人々に出会いました。あるICOを支持するように迫られたケースもありました。私は、彼らのビジネスプランを信じることができなかったので、誘いを断りました。それにもかかわらず、私が政府のアドバイザーを担当している事、マルタでの実績が他国でも知られている事を知った彼らに、資料の中で私の名前が利用されてしまいました。彼らに連絡すると、必要であればお金やコインを支払うと返答がありました。非常におかしな話だったので、お金の問題でないことを伝え、名前の削除するよう返事をしました。

その他にも、私のマルタのオフィスを尋ね、ビジネス案件を売り込もうとする人達も多くいました。私が最初に尋ねるのは、「そのビジネスプラン、ホワイトペーパーにおいて、ブロックチェーンやトークン化はどのような価値があるか」ということです。多くの人は、「何々ができたのなら素晴らしい」と幻想を語るので、私は「そうですか、お帰りください」と答えています。このような事が時々、私のオフィスで起こっています。

マルタでのビジネス

マルタに会社を設立して暗号通貨の事業を行う場合は、株主、取締役、主要な従業員に対するデューディリジェンスとは別に、提供する暗号通貨サービスの計画を具体化する必要があります。また、マルタ金融当局からライセンスと規制された範囲で認可を得る必要があります。

この業界はまだ非常に若いにもかかわらず、ここ数年で成熟し洗練されてきています。特定の企業が製品やサービスを提供することは非常に重要であるため、企業の責任と健全性も少しずつ見られるようになりました。ユーザー達は、実際の仕組みや環境を知らずにトークン化を支持する傾向があるため、企業側からユーザー向けに提供される知識も増えてきています。当初、技術が未熟で問題がありましたが、進化が続き、市場にも非常に興味深い製品が出てきていると思います。また、以前から課題となっていたスケーラビリティ(拡張性)を備えたブロックチェーンも出てきているので、将来は非常に明るいと信じています。

    

イアン・ガウチ (Ian Gauci)

マルタの法律事務所GTG AdvocatesAfilexion AllianceCaledo Groupでマネージング・パートナーを担当。テクノロジー法、フィンテック、レグテック、電子通信、情報社会、データ保護、ゲームとギャンブルの問題などが専門。その他に、消費者法、競争法、放送法、サイバー法、eコマース、mコマース、e-Health、電子決済、情報技術、不公正商慣習、偽造表示などにも関わる。 

     

Ian Gauci

インタビュー・編集: Lina Kamada

     

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