Bitcoin、Lightning Networkの開発を行う企業Lightning LabsでビジネスオペレーションのVPを務めるデシレー・ディッカーソン氏(Desiree Dickerson)にインタビューさせていただきました。是非、ご覧ください。
インタビュー日 : 2020年6月25日
暗号通貨業界の女性にもっと注目を
この業界には多くの女性がいますが、彼女たちはもっと注目されるべき存在だと思います。当社Lightning LabsのCEOであるElizabeth Starkをはじめとして、CoinSharesのMeltem Demirors氏やFidelityのAmanda Fabiano氏など、パワフルな女性がたくさんいます。
もしかすると女性たちは皆、Twitterに費やす時間がないくらい仕事で忙しくしているから、すごい人たちなのにもかかららず、いまいち知名度が上がらないのかもしれません。
RedditにあるBitcoin関連のフォーラム
Redditは、あらゆる種類のコミュニティのためのフォーラムがある面白い場所ですが、悪い情報や誤った情報がたくさん混ざっていることもあるので、注意が必要です。私はr/Bitcoinとr/Dogecoinというフォーラムに参加しています。
初心者が、情報を収集したいという場合、Redditは入り口としてはあまりおすすめしません。Lightning subredditというのもありますが、あまり活発ではありません。
Redditでは自分で情報を取捨選択する必要があります。ただしr/BTCだけは絶対に避けてください。Redditの他には、Twitter、Telegram、Slack、Discordなども、業界にはじめて入るにあたっておすすめのツールです。
Twitterか、それともRedditか
Redditには色々なグループがありますが、非常に穏やかなフォーラムです。Redditのイメージは基本的には「恐ろしい図書館」といった感じですが、情報がよく整理されていて、Twitterや「暗号通貨界隈のTwitter」と比べると論争が少ないです。
Twitterはというと、みんな好き勝手なことを言っているので、まさに無法地帯だと思います。Bitocoinコミュニティ、暗号通貨コミュニティの内外で言い争いが絶えませんが、これにはなかなかエンタメ性があります。
Twitterでは、人々がアルトコインやBitcoinなどについて語り合ったり、論争を繰り広げたりする姿だけではなく、いい大人が食生活のことなんかで言い争ったりしている場面なんかもみられます。
Twitterのいいところは、適切な人をフォローすれば、信頼できる正確な情報を入手できるという点です。たとえば、Lightning LabsチームのAlex Bosworthは、日々とても豊かな情報提供をしてくれます。私は彼をフォローして、自分の取り組んでいることの情報を得たり、技術面のことなどを学んでいます。
興味のある分野を探したり、自分が最も興味感心をそそられる話題について、正しい情報を発信している、フォローすべき人を探したりする時間は、大変有意義なものです。たとえば、マイニングに興味がある人であれば、巨大なBitcoinマイニングコミュニティがTwitter上にあります。
私の場合は、ライトニングネットワークと、ゲームの活用事例に関するツイートに興味があります。
ゲームプラットフォームこそ次世代のSNS
父もよくゲームをしていた影響で、私は小さい頃からずっと、ビデオゲームで遊んできました。ゲームが本当に得意な人の中には、信じられないほどの時間とお金をかけてプレイしている人もいて、私はそういう人を何人か知っています。
彼らはゲームに勝つと、そのゲームに固有のゲーム内通貨を受け取ることができ、その通貨はゲーム内に残ります。そうすると、ゲーム内でしか使えない無駄なポイントをたくさん保有することになります。
しかし、ゲーム内で稼げるポイントがSatoshi(Bitcoin)だった場合、それはゲーム内でしか使えないポイントでなはく、ライトニングウォレットに入れて実際に使うことができます。
eスポーツは、人々が交流するためのソーシャルプラットフォームやSNSへと進化しつつあります。我々の世の中で次に流行るSNSに、通貨が組み込まれるのは自然な流れだと思います。
現在私たちが直面しているパンデミックの影響もあって、思っていたよりもは早く、新しいSNSが台頭するかもしれません。
SNSによるBitcoinとライトニング・マイクロトランザクションの活用事例
次の段階は、SNSを通じての価値の伝達です。現在FacebookやInstagramのアプリでは、広告をクリックすることで直接商品の購入ができます。このようなSNS内での売買が、これから我々の向かう先です。
マイクロペイメント(少額決済)も重要な活用事例です。普通、ゲームでは1セント以下の単位はありません。どの不換紙幣でもそこが最小限の単位です。
しかしBitcoinの場合は、Satoshiを受け取ることができます。1 Satoshiというのはたいへん小さい単位なので、たとえばゲーム内において、10 Satoshiの報酬というのは、それほど高いものではありません。
しかし、プレイヤーにとっては、時間が経てば経つほど価値が蓄積されますし、価値が低いといっても、他のゲーム通貨よりもはるかに価値があります。
Zebedeeは、自社の開発したZEBEDEE Unity SDKにより、ゲームの開発者が、Bitcoinのライトニングマイクロトランザクションを、開発したゲームやデジタル体験に統合できるようにしました。
Bitcoinのライトニングマイクロトランザクションを統合することで、ゲームを通じてBitcoinの支払い、受け取り、引き出しができるように、開発を進めることができます。
このようなプラットフォームは、ライトニングネットワークを直接人々に広められる素晴らしい機会です。
実は以前にData Labsの方々にお話を伺い、実際にBitcoinを使用したことがある人はどれくらいいるのかを聞いてみたことがあります。すると、プラットフォームを使っているにもかかわらず、Bitcoinを使ったことがない人が多数いたため、とても驚きました。
もともとはゲームをすること自体に興味があった人たちが、いつの間にかゲーム内でお金を稼ぐようになる、ということが起こっています。これは、Bitcoinとライトニングネットワークを今まで使ったことのない新しいユーザーを呼び込むのに、またとない良いチャンスだと思っています。
ゲームプラットフォームの未来に向けた実験
北米がパンデミックの騒ぎに襲われる前の数ヶ月、私はライトニングとBitcoinゲームの界隈で起こった進歩について、なんとかもっと、世間の興味を引きたいと考えていて、イベントやカンファレンスに向けていくつかのアイデアを準備していました。
残念ながら、パンデミックにより私の計画はほとんど中止になりましが、かわりにMintGoxという、より大きな素晴らしい成果につながりました。
Simon CowellやZebedee、THNDR GAMESのメンバーたちと協力して、ライトニングを利用して構築した様々なゲームを売りにした、バーチャルイベントシリーズを毎月開催しました。
たいへん楽しい数ヶ月間でしたし、活用事例も成功をおさめ、とても嬉しく思います。我々が行ってきたのは、人と直接対話できない世界において、ゲームがどのような未来をもたらすことができるかを観察する実験のようなものです。これまでのところ我々の実験は非常に成功しています。
本格的なライトニング企業の登場
ライトニングネットワークとBitcoinの規模の拡大、そして人気の上昇は、とどまるところを知りません。昨年ベルリンで開催されたThe Lightning Conferenceには400人を超える人が参加しました。驚くべきことです。
ライトニングネットワークの成長だけでみても、著しいものです。ライトニングネットワークは、新しいアイデアを試していたほんの数人の開発者から始まりました。しかし今では本格的な企業が多数誕生し、稼働しています。
FOLD、Bitrefill、LN Marketsなどの企業は、急成長を遂げています。またここ1年の間に、ライトニング関連ビジネスに対するベンチャーキャピタルの関心も高まっています。見ていてわくわくするほどの関心と成長です。
有益なポッドキャスト
たくさんの素晴らしいポッドキャストがあります。Stephan Liveraのポッドキャストと、Peter McCormackの「What Bitcoin Did」は、誰でもすぐに聞けるし、非常に有益です。
他にも、Mart Bentの「Tales from the Crypt」、Pierre RochardとMichael Goldsteinの「Noded」、Brad Millの「Magic Internet Money」なども、良いポッドキャストです。「Lightning Junkies」のような、ライトニングネットワークに特化したポッドキャストもあります。
こういったポッドキャストを1週間も聞けば、情報が段違いに増えます。コミュニティ・オーガナイザーでFulmo Lightingの責任者でもあるJeff Gallasは、自身のYouTubeチャンネルに数々の素晴らしいインタビュー動画を投稿しています。
彼はイベントにも番組にも、たくさんの素晴らしいゲストを迎えています。
VR技術と組み合わせるのはまだ難しい
VRとBitcoinライトニングネットワーク技術の交差するところで、何かできないか模索しているのですが、これはまだ時期尚早だと思いました。
VRのヘッドセットをつけて、VR世界に夢中になっている状態で、ライトニング上に支払いをしようとするのは、とても困難です。パンデミックの前は、VRヘッドセットを使用する試みは一切ありませんでした。
ここ数ヶ月、VRヘッドセットを借りて使用してみたのですが、すっかりはまってしまいました。軽く運動する時なんかにも使っていますし、パンデミックが原因で、今ではVRライブのヘビーユーザーです。
問題は、VR技術がまだ開発の初期段階にあることだと思います。まだ世間に採用されていない点では、Bitcoinやライトニングネットワークのようなものだとも言えます。しかしそこには、大きな可能性があると思います。
MintGoxで取り組んでいる問題のひとつは、「どうすればバーチャルだけでなく、バーチャルリアリティ(VR)でも取引をすることができるのか」というものです。
ライトニングネットワークの場合は、スマホにQRコードとライトニングのウォレットを入れておく必要があります。
ではVRのQRコードをスキャンするだけで、スマホで支払いを出来るようにするには、どうすればいいのでしょうか。これは現時点ではできないため、ここが大きな障壁となっている状態です。
インタビュー・編集: Lina Kamada
翻訳: Nen Nishihara
【免責事項】
本ウェブサイトに掲載される記事は、情報提供を目的としたものであり、暗号資産取引の勧誘を目的としたものではありません。また、本記事は執筆者の個人的見解であり、BTCボックス株式会社の公式見解を示すものではございません。