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「ドメイン名はデジタル資産」MicroStrategy CEOのマイケル・セーラー氏にインタビュー ②

2020年、16億ドル以上のBitcoinを購入したことで話題になったMicroStrategy社のCEOであるマイケル・セイラー氏(Michael Saylor)にインタビューさせていただきました。暗号通貨に興味を持ったきっかけや、なぜBitcoinはシステムとして優れているのかなどについてお伺いしました。ぜひご覧ください。

マイケル・セーラー氏(MicroStrategy CEO)

インタビュー日 : 2020年12月8日

ドメイン名はデジタル資産

私の主な事業は、法人向けの事業製品や技術、そしてビジネスインテリジェンス製品の販売です。私自身技術系の起業家ですので、常に新しいビジネスを生み出すことに非常に興味を持っています。

私は常に、デジタルの希少性について、テクノロジーについて、そしてテック投資に興味を持っていました。

Apple、Amazon、Google、Facebookには早くから投資をしていましたし、テック投資家としての役割を果たすために、これらのビジネスモデルについて多くのことを学びました。これらの取り組みに加えて、MicroStrategyのCEOとしてビジネス経営を続けてきました。

1990年代には、Hope、Courage、Wisdom、Strategy、Angel、Alarm、Speaker、Voice、といった、いくつかのドットコムドメイン名を購入しました。さらに自分の名前のMichaelと、ニックネームであるMikeも購入しました。これらのドメイン名は、ビジネスを展開するのにちょうどいいデジタル資産になると思ったからです。

そのうちの1つであるAlarm.comを商品化して、独立させました。Angel.comは1億ドル以上で売却しました。そして今ではナスダックで47億ドルの時価総額で取引されています。Voice.comというドメインも最終的には3000万ドルで売却しました。

英語を学んでいる人なら誰でも「Hope」という単語の綴りがわかるでしょう。ドメイン名の価値は、言語によって決まります。ビジネスにおいて最もよく使われている言語は英語です。インターネット上で最もよく使用されているドットコムのドメインも英語です。

したがって、AppleやAmazonなどのように、綴りが簡単で、ポジティブな意味合いをもつ覚えやすい単語は非常に重宝されます。こういった単語をもっていれば、その単語を使ってビジネスをすることができるのです。

たとえば10億人の人が、その単語をみて綴りを覚えることができれば、その人たちはその名前をパソコンに打ち込むことができるでしょう。逆に言えば、ポジティブな意味もない複雑な名前は覚えられにくいです。したがってHope(希望)やWisdom(知恵)といったように、シンプルな名前の方がいいのです。

もう一つの重要な要素は、「.com」のドメインであることです。単語がドットコムドメインでない場合は価値が下がります。「.io」や「.org」「.tv」などは覚えにくいのです。さらに単語が長すぎる場合も価値は下がります。

世界中の商取引のうち65%~80%が英語ですので、英語で最も重要な1000の単語のうちの1つでも所有していれば、そのドメイン名はちゃんとしたビジネスになります。

もしも現在AppleがApple.comを手に入れようとした場合、いくら払うかを想像してみてください。その単語を所有していれば、デジタル資産を所有していると言えます。

ドメイン名を所有しているというのは言ってみれば、世界最大の都市マンハッタンで土地を所有しているようなものです。貴重なドメイン名をもっていれば、世界中のあらゆる都市の中心地を所有しているようなものです。

Bitcoinとその他の暗号通貨

私はEthereumに投資していません。「Ethereumはリスクが高いのか」と聞かれれば「はい」と答えます。Ethereumは複雑なのでBitcoinよりもはるかにリスクが高いです。

ソフトウェアや暗号ネットワークを作るときには、どんな設計にするのか、方針が大切です。Ethereumは、より実用的で複雑になるように設計されています。だからこそ、ハッカーがハッキングをしかけられる面がより多くなってしまっているのです。

可動部分も多いため、より壊れやすいというリスクがあります。リスクが高いので、私はEthereumには投資しないのです。

他のあらゆる暗号通貨はベンチャーキャピタルのようなものです。はるかに大きなリスクを孕んでいて、成功するものもあれば失敗するものもあります。複雑になればなるほど、そして機能が増えればなるほど、攻撃されやすい側面も増えます。

Bitcoinの大きなメリットは、シンプルで変更しにくい点だと思います。Bitcoinはそれほど機能的ではありません。Bitcoinが成功するために、これ以上機能を追加する必要はありません。もうすでに完成品なのです。

暗号資産ネットワークの最大の特徴は、永久不滅の主権があることです。永久不滅の主権とは、攻撃の弾丸を防ぐことができて、永久に持続することができ、国家や企業といった枠組みの制約からはずれて機能できるということです。

また、この永久不滅の主権にとって不可欠な機能が価値の保存機能です。価値とはエネルギーのことであり、エネルギーこそがお金なのです。

資産を分散するリスク

何百種類もの異なる暗号通貨ネットワークに分散して投資する方が、最もリスクの低い1種類ものに資産を集中させることよりもずっと危険です。分散すると資産の99%を失ってしまう可能性が高まります。分散すれば、勝っているものを売却し、負けているものを購入することになります。

例えばAmazonの株を所有している場合、なぜ他の小売企業の株を購入して分散しようとするのでしょうか。Amazonが多数の小売企業を潰してしまえば、分散した株はすべて損失になってしまいます。勝っているものだけ買ったほうがリスクが少ないのです。

GoogleやAppleについても同じ理論が当てはまります。 Appleは携帯電話業界の全利益の150%を生み出すほどの大成功を収めました。つまりAppleは儲かって、業界他社は損をしたのです。もしも分散投資のためにAppleの株を売って他を買ったのであれば、勝者を売り敗者を買ったことになります。

Bitcoin建てで100万ドル分を保有する代わりに、法定通貨でお金を保有すれば、価値が失なわれていってしまいます。

“BitcoinのCEO” と呼ばれる人たち

Bitcoinには何千人ものCEOがいます。私もその内の1人で、自分の領域内でできることをしてBitcoinを支持しています。GrayscaleのCEOやCoinbaseのCEO、そしてBinance、Square、Paypalなども皆Bitcoinの支持者です。

毎朝どこかのCEOがBitcoinの話をしていて、そして午後にはまた別のどこかで別のCEOがBitcoinのついて話していると思います。日本にCEOがいるのと同じように、韓国やドイツにもCEOがいて、世界中にBitcoinの話をしている“BitcoinのCEO” がいるのです。

これがあるべき姿だと思っています。私は多くのCEOたちの中の1人で、大勢のCEOがいることは非常に素晴らしいと思います。この業界のことを考え、支援してくれる情熱的なリーダーたちがどこにでもいて、自分もそのチームの一員であることをとても嬉しく思います。

マイケル・セーラーのツイートは市場に対して影響力があるか

そんなことはないですし、誰かに対してまたは何かに対して影響を与えようとも思っていません。私は長期的な視点を重視しています。価格が短期的にどうなるかを把握することはできないと思っていますし、気にしたこともありません。私にとっての短期的というのは3年先、中期は10年先、長期は100年先です。

市場は結局なるようになるのです。だからBitcoinを買った時もはじめの3年間の間は、間違いだったならばそれはそれで仕方ないと覚悟していました。しかし今では、正しいタイミングで正しいことができたと思っています。

Bitcoinは希望

初めてBitcoinを購入した時はホッとしました。世の中が良くなるような気がしました。自分の会社も、もっと成功するだろうと思いました。私はBitcoinを希望だと考えています。私は「hope.com」を所有しているので、それをBitcoinの情報ページとして使っています。Bitcoinを持っていると希望があるので嬉しかったですね。

インタビュー・編集: Lina Kamada

翻訳: Nen Nishihara

     

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