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「東西半球指標:East vs West Indicatorの重要性」IntoTheBlock コンタスチ氏、ガラティ氏にインタビュー ②

ブロックチェーン分析企業イントゥ・ザ・ブロック(IntoTheBlock、ITB)は、機械学習の技術を活用することで独自の指標を出し、投資家たちに暗号資産市場に関する魅力的な情報を提供しています。今回はITBの開発に携わっているニコラス・コンタスチ氏(Nicolas Contasti)とフランチェスコ・ガラティ氏(Francesco Galati)をお招きし、サービスの詳細や様々な指標の見方についてお伺いしました。

インタビュー日 : 2021年2月16日

イン/アウト・オブ・ザ・マネー指標(In/Out of the Money)

この指標は、特定の暗号資産の投資家の実像をユーザーに示すものです。この分析では、まず特定のトークンの残高がプラスのアドレスをすべて取り上げ、それらのアドレスが当該トークンを取得した際の平均コストを推測します。

次に、推測された平均購入コストに応じてアドレスをクラスターに分類します。そしてクラスターごとに、平均購入コストと暗号資産の現在価格を比較します。

この一連の分析によって、現状でトークンを売却した場合にどれだけのアドレスが利益を得られるか、あるいは損失を被ることになるかという情報を確認することができます。資産の現在価格が、アドレスで保有されているトークンの平均コストよりも高ければ、そのアドレスはいわゆる「イン・ザ・マネー:In the Money」と言われる状態です。

逆に、資産の現在価格が保有されているトークンの平均コストよりも低い場合は「アウト・オブ・ザ・マネー:Out of the Money」となります。

そして資産の現在価格が保有しているトークンの平均価格に非常に近い場合、これは「アット・ザ・マネー:At the Money」と呼ばれる状態です。

この指標を参照することで、何百万もの暗号資産のアドレスの実際のポジションから作成されたサポートとレジスタンスの範囲を特定することができるのです。

大口取引指標(Large Transactions indicator)

この指標は10万ドル以上の大口取引のみを抽出したもので、この数値が良ければ、ネットワークにおける機関投資家の活動が活発という意味になります。したがってこの指標をみれば、ネットワーク上の機関投資家の活動状況がわかるというわけです。

過去7日間の「大口取引」の取引量をみてみると、約1,619億1,000万ドルでした。そしてこの指標を時系列で追ってみると、ここ数ヶ月で劇的に増加しています。このことから、機関投資家の参加が増えているということが分かります。

この指標は、実際の価格変動と大きな相関関係があるということが確認されています。暗号資産市場がまだ比較的小規模であるということを考えると、機関投資家の資金の流れが増えると、この指標の針が大きく動くということも納得がいきます。

東西半球指標(East vs West Indicator)

これは当社の提供する指標の中で最も人気のあるものの一つです。

暗号資産取引は24時間365日、世界のどこかで行われています。したがって我々は、ブロックチェーンの活動の大部分がどこで行われているかということを特定するために使えるわかりやすい指標を考えたいと思いました。我々が採用したのは世界を東西半球に2分割するという方法です。こうして異なるタイムゾーンで行われるすべての取引を計算して比較することで、大半の取引が世界のどの部分で行われているのかということを分析することができました。

たとえば、取引がアメリカやヨーロッパの取引時間帯に実行された場合は、欧米の取引としてカウントします。同様に、アジアの取引時間帯に行われた取引は、アジア(東洋)の取引として計上します。 

東西半球指標の重要性 

東西半球指標が重要な理由は、ユーザーが自分の暗号資産が最も活発に活動している地域とは反対の地域にいる場合にリスクを軽減できるからです。

たとえばアジア地域にいる人がLitecoinに投資する場合、この暗号資産の活動の分布が通常世界の西側に偏っていることに注意する必要があります。香港に居住している人がLitecoin取引をする場合、損切りや利益確定の注文設定をせずに寝るようなことはないでしょう。なぜなら自分の寝ている深夜や早朝に、価格変動の影響を受けやすいからです。

東西半球指標はITBプラットフォームがサポートするすべての資産で見ることができます。資産の種類によって活動の分布は大きく異なる可能性があります。

たとえば前述のLitecoinの例だと、欧米における活動が活発な暗号資産であるため、アジア圏の投資家にとっては不利な資産だと言えます。

しかし逆に、日本をはじめとするアジア圏の暗号資産投資家にとって有利な資産もあります。そのような資産を扱う際には欧米のトレーダーはより慎重にならざるを得ません。

そして活動の分布が偏っている資産もある一方で、たとえばBitcoinやEthereumといった、グローバルな資質をもち、活動がより均等に分布されているような資産もあります。

取引所による資産の価格差 

ほとんどの取引所はオーダーブックに流動性を供給するパートナーと連携していますが、取引所同士でに相互に連携していて、必要に応じて流動性を提供し合えるようになっています。つまりマーケットメーカー、リクイディティプロバイダー、そして取引所は相互に繫がっているため、通常は大規模な裁定取引はできません。

あまり知られていないマイナーな取引所ともなると、若干の価格差はあるかもしれません。しかし大規模でグローバルな取引所では、原則として価格差は生じません。たとえばバイナンスアジアやHuobi グローバル、バイナンス USといった取引所の間で大きな価格差が出ないのはそのためです。

プラットフォームの改善の余地について

データの集約、新しいタイプの分析、そしてよりよい分析を目指すための改善の余地はというのは絶対にあります。暗号資産はまだまだ新しい業界で、我々の行っていることもまだ氷山のほんの一角に過ぎないと考えています。

実はITBのプラットフォームは我々がこの業界に入ってから作った最初の作品です。今後も継続的に面白いものを見つけてこの市場を分析し理解していくための様々な方法をさらに作り出していきたいと思っています。

我々は暗号資産投資家のために大きな価値を創造していると信じています。そしてこれこそが我々が持続的な成長を遂げている理由でもあります。暗号資産についてより深く掘り下げて大規模なデータセットに機械学習を応用すればするほど、より多くのパターンの発見につながると信じています。

ブロックチェーンは魔法のような作品です。情報はほとんど公開されていて、誰でもアクセスすることができます。我々は自分の独創性と様々なツールを活用し、ブロックチェーンのデータから面白い情報を知ることができます。情報が無数に存在している従来の金融資産では同じことができません。しかしほとんどの人はこのことを知りません。

インタビュー・編集: Lina Kamada

翻訳: Nen Nishihara

     

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