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「なぜBitcoinは生まれたのか」ナオミ・ブロックウェル氏 インタビュー ①

数多くのブロックチェーンカンファレンスで司会を務め、テレビプロデューサーとして活動するナオミ・ブロックウェル氏にインタビューさせていただきました。また、これまでにアメリカの全国テレビで、テクノロジー、ビジネス、政治など世界中の様々な分野の専門家にインタビューを行い、ブロックチェーンやプライバシーなどの問題をYou Tubeで発信されています。

ナオミ・ブロックウェル

インタビュー日 : 2020年5月21日

Bitcoin Girl

私は、テレビプロデューサーのナオミ・ブロックウェルと申します。アメリカのトークショース「Stossel:ストッセル」でプロデューサーを務めています。また、プライバシー、テクノロジー、ブロックチェーンなどの話題を取り扱うNBTVという自分のチャンネルも持っています。現代のデジタルな生活においては、安全に使用できるデジタルマネーが不可欠だと考えています。

日本には二度行ったことがあり、非常に好きです。数年前には、「ビットコイン 月に行く」という日本語の歌も作りました。

 

Naomi Brockwell

日本語も勉強していて、これまでにひらがなとカタカナを習いました。漢字はできないので、まだまだ頑張らなければいけないと思っています。今のところ私が知っている日本語は、自己紹介や「いただきます」などの基本的なフレーズ、そして「Bitcoinは未来のお金」など少し変わったフレーズだけです。

自由なお金との出会い

私が最初に暗号通貨について聞いたのは2012年頃で、周りにいた多くの友人がそれに興味を持っていました。当時、私はニューヨークに住んでいて、特にプログラマーや数学者の友達が暗号通貨に強い興味を持っていました。

私は以前から、フリードリヒ・ハイエクが唱えた通貨間の自由競争という考えに非常に大きな興味があったので、Bitcoinについて知ったときは強く惹きつけられました。政府によって発行されることがないお金という考えが気に入りました。そして、Bitcoinが匿名で作り出され、誰もコントロールできないという点が好きになりました。

2013年頃、様々なプラットフォームでBitcoinに関する動画を作り始めました。そこから、界隈にあったサービスを色々と試してみましたが、当時のウェブサイトは造りが悪く、ユーザーにとっては使い勝手が良いものはありませんでした。しかし、暗号通貨のあらゆる全ての世界を見てみたいと思ったので、技術を開発している人達にも会うようになりました。世界中の多くの人達にとって、Bitcoinこそが自由のための強力なツールになり得るということに気付いたので、かなり夢中になりました。

世の中では、マネーサプライをコントロールできる人が全てを管理できます。他の誰かがあなたの資産をコントロールし、差し押さえることも可能であり、もし資産の凍結が可能であれば、彼らは何かしらの行動を強要することもできます。お金をコントロールする手段は、あなた自身をコントロールするためのツールにもなり得ます。

私は、自由という視点から暗号通貨というものに興味を持ちました。また、テクノロジー、オタク、イノベーションに関わるものが大好きで、今ある最新技術を追いかけることに夢中になっています。

これまでは、マネーサプライの独占があまりにも長く続いており、イノベーションを行うことに対してのインセンティブがなかったため、技術革新があまり起こらなかったと思います。現在、Bitcoinの世界では、信じられないほど頭の良い人達が常に新しいテクノロジーを開発し、お金をより良くするために努力しています。なので、私も非常に楽しませてもらっています。

楽しく伝えることが重要

数学、テクノロジー、暗号通貨、Bitcoinの話題は非常に退屈になってしまうこともあります。例えば、ミュージックビデオの様なものを作ることで、その話題をもっと楽しいものにできると感じました。

私は経済学、数学、ゲーム理論に興味がありますが、ほとんどの人は関心を持っていません。どこが面白いのかを説明できる方法を探す中で、楽しめて理解しやすいものを作れば、人々にもっと伝わりやすくなるのではと思うようになりました。そして、ミュージックビデオというものが、このような話題を理解してもらい、関心を集めるための非常に良い方法になりました。

また、エンジニアの人達は、複雑な概念を一般の方達に説明するのにあまり合っていないという考えもありました。エンジニアは技術的な専門用語を理解している他の技術者に説明することは得意です。しかし、それ以外の人達も届くような世界的なムーブメントを作り出したいと考えています。物事をより簡潔にし、理解しやすい話題を通して、多くの人々と繋がっていくことが非常に重要だと思います。

エンジニアの人達は、システムの分散性や基盤となるテクノロジーなどを重要視していますが、一般の人はそうではありません。なぜこのようなことを理解しなければならないのかと思う人もいます。なので、このような話題において繋がりを保つためには、それぞれの価値観も理解する必要があると思います。

暗号通貨界隈のインフルエンサー

暗号通貨の界隈で影響力のある人は非常に多いですが、私は新しい技術を作り続けている開発者をフォローするのが好きです。同時に、ワイオミング州において暗号通貨のユーザーを保護する法律制定に尽力されたケイトリン・ロング氏のように立法側で働いている人達にフォーカスするのも好きです。

また、業界からメッセージを発信し続ける素晴らしいコミュニケーターの人達もいます。最初にBitcoinが出てきたときは、大手メディアはそれを無視し続けていました。その後、全ての主要メディアがBitcoinを「ドラッグ・マネー」と呼び、犯罪者のものだと報道し始めたのです。

現在、最も著名なベンチャーキャピタリスト、投資家、ビジネスパーソンなどが、暗号通貨ついてポジティブな視点から話をしているという事実は、非常に大きな変化だと思います。

このような全ての変化は、数え切れないの人達の努力の結果なのです。結果として、私達皆が、代替となるお金を別の選択肢として持ち、その恩恵を受けることができているのです。

なぜBitcoinは生まれたのか

ここ数年の間に新しく暗号通貨の世界に入って来た人達は、Bitcoinというものがなぜ生み出されたのかをあまり理解していないように思います。Bitcoinは、人々が金融危機の真っ只中にいるときに生み出されました。

当時、人々はマネーサプライの仕組み、そして超巨大企業への救済策に対して非常に憤慨していました。この世界で起こっている腐敗を目の当たりにする中で、お金の代替システムが新しく生まれたことにより、多くの人がその可能性に気付き、参加するようになりました。

その後、初期ユーザー達のこのような精神をあまり理解していない新しい人々が、金銭的利益のために暗号通貨の世界に入り始め、多くの人がお金を稼ぐためだけにこの業界にいます。

しかし、私達は再び金融危機を迎えており、企業への救済は数兆ドルにも上っています。FED(連邦準備制度)が全てのお金を発行していて、選ばれたごく少数の人達がマネーサプライをコントロールするという腐敗を、再び目の当たりにしているのです。なので、私はBitcoinが好まれるという状況がもう一度起こり始めると考えています。人々は、初期ユーザー達のメッセージを理解し始め、Bitcoinがなぜ重要なのかということに気付き始めるのだと思います。

誰もコントロールできないお金

今日、あらゆる種類のデジタル通貨がありますが、全てが良いというわけではありません。例えば、政府によって発行、管理されるデジタル通貨は、既存のシステムと何の違いもありません。私達が使っているお金のほとんどは、既に1と0のデータで存在しており、ボタンをクリックするだけでコントロールできてしまいます。

私は、選ばれたごく少数の人々によってコントロールされる如何なるシステムも支持するべきではないと考えています。Bitcoinのように、誰にもコントロールできない分散型のオープンソースのシステムは、希望を与えてくれます。好き勝手に増やすことのできないBitcoinという存在が、お金を民主化し、人々に力を取り戻してくれるのです。

選挙で選ばれたわけではない官僚グループが莫大な金額を思いのままに発行できるという状況は好ましくありません。お金が大量に発行されることで、私達の貯金の価値が目減りしていくということに対して、憤りや無力感も覚えています。

長い間、人々はゴールドで裏打ちされたお金など、代替となる通貨の発行を試みてきました。政府は権限を集中させるために、そのような通貨を止めてしまいましたが、Bitcoinを使用することで、中央サーバーの電源が切られたり、金庫が押収されるという状況がなくなるのです。

Bitcoinを止めることはできません。もし政府が望めば、動きは大幅に遅くなる可能性はありますが、完全に止めることはできないのです。Bitcoinがエキサイティングな理由はここにあります。

インタビュー・編集: Lina Kamada

     

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