「なぜEthereum上でBitcoinを発行するのか」BitGo キアラシュ・モサイェリ氏 インタビュー

WBTCを提供するBitGoのプロダクトマネージャー、キアラシュ・モサイェリ氏(Kiarash Mosayeri)にお話を伺いました。
WBTC(Wrapped Bitcoin)は、Ethereum上でBitcoinをトークン化し、様々な用途に利用するために開発されました。今回は、DeFiプロジェクトとどう関係しているか等についてインタビューしました。是非、ご覧ください。

キアラシュ・モサイェリ氏(BitGo プロダクトマネージャー)

インタビュー日 : 2020年10月9日

私はBitGoでプロダクトマネージャーを務めるキアラシュと申します。現在、私たちはWBTC(Wrapped Bitcoin)に注力しています。
BitGoは2013年に始まり、この分野で最も実績のある会社の一つです。最初のプロダクトとして作られたのはノンカストディアルのホットウォレットAPIでしたが、今では全Bitcoinトランザクションの20%を支えるインフラとなっています。

我々の開発したインフラは多くの取引所で使われていて、Bitcoinのトランザクションの内、5回に1回が、我々のインフラを通して行われています。
BitGoは2018年に、サウスダコタ州政府の銀行部門の制定するライセンスをもつカストディ企業となり、それ以来、世界中の複数の国に当社のカストディー・ソリューションを提供し、拡大してきました。

BitGoのフルスタック・インフラストラクチャ

BitGoは、統合されたプロダクトとサービスソリューションを豊富に提供する、業界で唯一のフルスタック・インフラストラクチャ、およびサービスプロバイダ企業の1つです。プライムブローカレッジのビジネスもかなり拡大しています。

決済サービス、ポートフォリオ管理ソフトウェア、税務ソフトウェアだけでなく、コールドストレージからの直接融資とトレードができるサービスも提供しています。
WBTCというのもBitGoのプロダクトでもあり、時価総額は現在およそ15億ドルで、DeFi(分散型金融)の分野において広く使用されています。

私たちはWBTCの唯一のカストディアンです。つまり、WBTCを発行するために入金されたすべてのBitcoinを管理しているのです。1WBTCにつき、BitGoの保管庫には1つのBTCが保管されています。

DeFiとWBTCの活用事例

Bitcoinでできることはいたってシンプルです。資産を送ったり受け取ったりできます。ところがEthereumは、スマートコントラクトを介してプログラムが可能なお金であり、この機能がEthereumのエコシステム上に出てくる多くの金融アプリケーションを生み出しました。この包括的なエコシステムがDeFiと呼ばれるものです。しかし、Ethereumエコシステムにすでに存在しているアセットにしかアクセスできないという制約がありました。つまり、Ethereumブロックチェーン上にないアセットのために、金融アプリケーションを使用したい場合は、アセットをまずトークン化しなければならないということです。信じられないことですがBTCさえもトークン化しなければいけないのです。

例えば、Compound、MakerDAO、Aaveのような金融アプリケーションでは、ETHやステーブルコインを貸し借りできます。しかし、これらのアプリケーションにBitcoinを持ち込むことはできません。そこで、Bitcoinを表すトークンを作成して、これらの金融アプリケーションで使用できるようにする仕組みが必要になります。それがWBTCの活用事例です。

WBTCのはじまり

最初の流れは非常に自然で、コミュニティが主導となりました。WBTCネットワークは、BitGoを含む18の異なるDeFiプロジェクトの連合体です。2018年、Kyber NetworkとRen(以前のRepublic Protocol)は、WBTCのカストディアンになることをBitGoに提案してきました。

その頃当社はすでにカストディ業務を行っており、セキュリティを基盤とした企業でしたので、我々はその役割を負うことができる非常に特殊な立場にいると思いました。

また同時に、DeFiについては非常に楽観的な見方をしていて、DeFiは今後大きく成長すると知っていたため、この仕事を引き受けました。

WBTCの利点とは

Bitcoinを保有することだけが目的であれば、トークン化するべきではないと思います。Bitcoinとして持っておくべきでしょう。しかし、問題はBitcoinでできることがあまりないということです。一定期間保有しておくか、送金に使うかしかありません。

一方で、DeFiを使えば、色々なことが可能になります。仮に1万ドルの価値のあるBitcoinを1枚持っていて、車を買いたいとしましょう。もしもBTCが値上がりすると予想するのであれば、「Bitcoinを使用することで値上り益を失ってしまう」というジレンマに直面するでしょう。しかしMakerDAOのようなアプリケーションを使えばこういったジレンマを解消することができるのです。

BTCをトークン化してWBTCを作り、1万ドル分のBitcoinを口座に入れ、MakerDAOを使用して担保付きローンを組むことができます。このローンで希望の車を購入することができます。そしてもしもそこから数週間、数ヶ月後にBTCの価格が上昇した時には、ローン分を返済するだけで口座に入れたBitcoinをまた取り戻せますので、ポジションを失わずにすみます。これはほんの一例に過ぎませんが、こういった金融アプリケーションには、WBTCを利用してプラグインすることができる活用事例がたくさんあります。

MakerDAOとWBTCの関係

WBTCはMakerDAOにとってすばらしい存在です。Daiと米ドルのペッグにおいても、非常に大きな影響を与えました。また、MakerDAOにロックされている中で、WBTCは3番目に大きなものとなっています。これは、Bitcoinを中心とした金融商品に対する大きな需要があるからです。 

WBTC利用者の目的

データや統計からどのプールにどれだけのWBTCがあるかをみれば、利用者の使用目的を推測することができます。現時点では、Aave、MakerDAO、Compoundのようなプロトコルに大量のWBTCがロックされています。

実際の活用事例としては、資産を担保に借り入れが出来ることです。取引自体も活用事例であり、分散型取引所のような新しい取引所に興味関心が集まっています。そしてこのような場での取引を可能にするメカにズムがWBTCなのです。

WBTCによる流動性の向上

WBTCの背後で行われている議論の1つは、Bitcoinの流動性をEthereumチェーンに接続しようというものです。 Bitcoinがこの分野で最も流動性の高い資産であることは周知の事実です。 WBTCは、BitcoinがEthereumに流れるためのブリッジを提供します。

WBTCは、非常に大規模なトランザクションに対応できる、非常にスケーラブルかつ効率的なブリッジを提供します。 WBTCは約1か月半で2億から10億まで増加しました。 このスケーラビリティと、トークン化の高速性は、WBTCならではのものです。

WBTCの基本的な3原則

WBTCは、透明性、検証可能性、コミュニティという3原則の上に構築されています。これが非常に興味深いところです。
コミュニティというのは、WBTCが数々のDeFiプロジェクトによって立ち上げられたものであるという特徴を意味しています。実際にこれらのDeFiプロジェクトが、システムの運営に関わっています。

透明性はWBTCの構築の根底にあるものです。資金の流れ、関係者、プロセスなど、すべての情報をユーザーに開示したいと思っています。また、透明性は、プロジェクトの検証可能性という側面にも繫がってきます。透明性があるお陰で、ユーザーはすべての発行元、バーン(焼却)、そして資産の裏付けとなっているBitcoinのリザーブ(準備金)をそれぞれ検証することができます。

米ドルのステーブルコインでは、こういった透明性と検証可能性の機能が本質的に欠けています。しかし、別のブロックチェーンベースの資産をトークン化することのいい点は、方程式の両サイドが公開情報になるということです。

つまりユーザーは、EthereumとBitcoinの両方のブロックチェーンで検証ができるアクセス権を持てるのです。そうするとユーザーはBitcoinが保管されているウォレットをみにいけば、システムに支払い能力があることを確認して安心することができるのです。

WBTCをサポートする3つの要素

WBTCをサポートしている要素は大きく3つに分類できます。1つ目は、ユーザーがアセットを使用するためのプロトコルです。WBTCをサポートするプロトコルはウェブサイト上で見つけることができ、たとえばMakerDAOやCompoundやAAVEといったプロトコルがあります。2つ目は取引所です。そして、その2つを支えている3つ目の要素が、流動性を提供してくれる業者になります。

是非、BitGo.comWBTC.networkの両方にサイトをチェックしていただければと思います。BitGo.comでは、インフラからプライムブローカーサービスまで、BitGoのフルスタックソリューションについて学ぶことができます。

WBTC.networkでは、システムとその仕組みについて詳しく知ることができます。また我々の全てのパートナー情報についても掲載されています。資産の取引ができる場所についても全て見ることができます。

WBTC.networkのダッシュボードをご覧いただき、透明性が高く検証可能なWBTCの性質を、ぜひとも実際にチェックしていただければ幸いです。

インタビュー・編集: Lina Kamada

翻訳: Nen Nishihara

     

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