仮想通貨アドレス、ブロックチェーンの分析情報を提供しているCipherTrace(サイファートレース)へのインタビューをまとめた前回の記事に続き、今回は第2回目の記事となります。今回は規制の必要性や、データ分析の手法などについてお話ししていただきました。是非、ご覧ください。
マイク・コーワンス (サイファートレース:リージョナルディレクター)
インタビュー日 : 2020年1月10日
ブロックチェーンのビッグデータ解析
私達が行っているのは、ビッグデータのプラットフォームを構築するだけではありません。正確かつ効率的な方法でデータを処理するためには、アルゴリズムを動かせるだけのエンジンも必要になります。さらに、数多くのソースから大量のデータが必要となります。大量のデータを取り込み、調整を加えた後に、そこから何らかの考察を得る事こそが課題となります。CipherTraceでは、毎週150万から200万のデータポイントを取得しており、これを過去5年半に渡って続けています。今、私達が話している間にも、データは蓄積され、積み上げられています。データを処理するためのコンパイルがずっと続けられ、その処理にどのくらい時間が必要なのかを実感することができます。それらを処理するために、AI(機械学習)を使い、異なるソースからの全てのデータを正確かつ効率的な方法で処理できるようなアルゴリズムを開発しています。データが正確であればあるほど、結果はより強力になります。機械学習アルゴリズムで処理されるビッグデータと、業界で最も優秀なデータサイエンティスト、これが我々のシステムです。
仮想通貨価値の増加
好きな仮想通貨の種類は人それぞれありますが、仮想通貨がどのように成長するかを決定するのは、その背景にどれだけの実用例があるかだと思っています。私が実用例に注目している理由は、それがメインストリームへの普及につながるためです。それはコインに対する多くの需要を確実に呼び起こします。Bitcoin、Ethereum、XRP、Litecoinなどは、既に多くの例があり、時間が経つと共に増えていきます。多くのトークンや仮想通貨は消滅していくと私達は考えており、活用事例や需要がないことが原因で消滅した通貨は過去にもいくつかあります。しかし、確かな実用性と需要があれば、そのコインの価値は間違いなく増加します。
発展と成長の年
2019年は持続的発展と成長という点において興味深い年でした。 2017年と2018年は「仮想通貨の冬」と多くの人から呼ばれていましたが、昨年は市場が大きく広がった年となりました。過去数年の間、市場には不確実性や規制の欠如があり、「セキュリティとは?」「規制は必要か?」などのテーマについて考え続けてきました。市場に不確実性がある場合は、ボラティリティが高くなりますが、規制当局は市場を安定化させることに積極的になっていきました。それまでは規制に積極的ではなかった世界中の規制機関が仮想通貨のレギュレーションに注目し始め、様々なタイプの仮想通貨ビジネスと新しい実用例が増えていくのを目にすることができました。ですので、2019年は「発展の年」だったと私は思っています。
規制の必要性
仮想通貨の規制に関してどこの国が一番進んでいるかと言うのは難しく、様々なアプローチがあると思います。しかし、米国と日本は、仮想通貨の規制に関して明らかに非常に進んだ国です。そこに合法性がなければ価値のある資産を手に入れることはできないため、もちろん規制は必要だと私は思います。規制がなければ混乱が生じ、グローバルな規模での正当性を持つことはできません。そのため、あるべきかという批判はありますが、あらゆる種類の価値ある資産には、何らかの規制が必要だと思います。
非中央集権と規制
非中央集権と規制というテーマは象徴的ですが、両立することは可能だと思います。分散化は、集中化されたシステムと単一組織で発生するマインドセットや問題の解決に役立ちます。単一組織のコントロールから逃れることによって、ある一つのグループで起こる機能不全を回避することが可能になります。仮想通貨の業界が大切にしているのはこの点です。しかし、この理由だけで規制から逃れる理由になるとは思いません。仮想通貨やその他の新しいシステムには、新しい視点が必要です。規制当局がこれらのことに気付き始め、この業界に適した規制方針を作り始めています。
インタビュー・編集: Lina Kamada
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