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「トラベルルールと匿名性」CipherTraceのマイク・コーワンス氏にインタビュー ③

仮想通貨アドレス、ブロックチェーンの分析情報を提供しているCipherTrace(サイファートレース)へのインタビューをまとめた記事に続き、今回は最後の記事となります。トラベルルールと匿名性などについてお話ししていただきました。是非、ご覧ください。

マイク・コーワンス (サイファートレース:リージョナルディレクター)

インタビュー日 : 2020年1月10日

マネーロンダリングと匿名性

仮想通貨やトークンは詐欺に使用される可能性があり、そのコインの利用率が高いほど、サイバー犯罪に使用されるリスクは高くなるという傾向があります。Ethereumでは、違法行為により約400万ドルが失われた事件があったことがわかっています。ほとんどのマネーロンダリング事件に関して言えば、そのコイン対する需要がなく、人々がそれに投資を行わなければ、それを交換して資金洗浄しても意味がありません。コインの市場規模が大きく需要があれば、犯罪者もマネーロンダリングに使用する可能性が高くなります。

「匿名性」とは個人を特定できる情報を本人しかもっていないことを言います。言い換えれば、目に見えず、識別できないトランザクションの詳細情報を持っているのは本人だけということを意味します。これが一般的な匿名性の定義になるかと思います。ブロックチェーンの情報を見ると、トランザクションが生成されたことを全員が確認できますが、誰が生成したかを知ることはできません。透明性と安全性が保ちながらも、トランザクションには個人間の詳細な情報が含まれていない。これが仮想通貨の非常に特殊な機能となります。中央集権的な組織が自分達のプライバシーを侵害することなく、個人情報を出す必要もないことが、仮想通貨の魅力です。そのネットワークに参加する資格は誰にでもあるのです。

トラベルルールの必要性

FATF(金融活動作業部会)に関しては、新たなメンバーをどの様に受け入れて結束していくかということよりも、それが提供する役割こそが重要だと思います。FATFの役割は非常に必要とされていて、これからも重要であり続けます。世界中の規制当局を率いて、そのルールが仮想通貨市場においてどのように働いているかを調査し、法律成立のためにそれぞれの当局に勧告を行うこと。これはFATFの役割の一部にすぎませんが、非常に重要な役割でもあります。FATFはここ数年で素晴らしい働きをしています。トラベルルールについては多くの議論がありますが、これは全く新しいものではなく、法定通貨のような伝統的な金融エコシステムでは何十年も存在し続けています。法定通貨の世界を見ると、トラベルルールなしでは取引やお金の流れを追跡することができません。送金の追跡を容易にし、法定通貨と仮想通貨の相互のエコシステムの流れを円滑にすることができます。そのため、トラベルルールが整っていないと、仮想通貨の法的地位は失われてしまいます。

非中央集権とのバランス

役割的な観点から見れば、非中央集権的な仕組みは常に残り続けると思います。規制がより進んでしまうと、匿名性が失われ分散性が保てなくなると主張する人がよくいます。私は個人的にそのような考えを持っていませんが、匿名性はこのままの状態で残り続ければ良いと思っています。分散化には欠点や問題が多いことは、皆が理解しています。しかし、分散化は悪いことではなく、集権化されたシステムにも確かに障害があります。ですので、非中央集権の良い側面は、規制とのバランスによって残り続けると思います。

最近は、仮想通貨に対するルール作りが進んでいて、かなり発展しています。規制のスピードも速くなっており、トラベルルールからもわかるように、規制に対する需要があることはかなり明確になっています。日本、米国、またはシンガポールにかかわらず、仮想通貨に対して規制を行うかに関しては、国ごとに異なる考えがありますし、問題を解決のための規制方法に正解はありません。ただ、規制が存在しなかったのは過去の話で、これらのルールは実施されていく中で、さらに発展していくと思います。

CipherTraceの取り組み

CipherTraceは、ホームページで定期的に約40〜50ページ程度のレポートを出しています。2019年第4四半期のレポートをリリースした時には、既に2020年第1四半期のレポートに着手しており、休む事なく作り続けています。市場は急速に変化と成長を続けているので、現在の仮想通貨エコシステムの状況をしっかりと認識する必要があります。取引所が行っていることだけでなく、規制当局、個人投資家、研究所、また犯罪者の活動データを正確に分析し、何が起こっているかを明確にしています。四半期ごとにレポートを作成するのは、かなり大変ですが、仮想通貨に対する規制が急速に動いているため、重要な仕事だと感じています。

CipherTraceという会社自体は設立から5年弱経ちますが、私が入社したのはほんの4か月前です。ここに入る前は、リップル社の営業とマーケティングの部署で働いていました。CipherTraceの技術力や市場の見方、また法律の問題を乗り越え、規制を機能させるためのソリューションに感銘を受けました。AMLやKYC、コンプライアンス、モニタリングなどは、規制をクリアするため全てが重要な要素となります。私は仮想通貨のエコシステムが成長し、広く受け入れられることを望んできました。

ブロックチェーン上で、トランザクションを追跡したり、様々な集団や取引所などを分類して確認ができるという点で、CipherTraceの強力なソリューションに強い興味を持ちました。それぞれの集団の情報を見て、彼らがブロックチェーン上で行っている活動に違法性がないか、高リスクのトランザクションであるかどうかを判断をすることができます。これらのテーマを研究することは非常に重要です。このような活動や分析が仮想通貨のエコシステムにもたらす影響を考えると、CipherTraceはこの業界においてソリューション対する大きな需要を生み出していることがわかります。私がCipherTraceに引かれたのはこれが理由です。

インタビュー・編集: Lina Kamada

     

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