自己紹介をお願いします
BTCボックス株式会社代表取締役の辻󠄀治俊です。去年8月にこの会社に入社し、今年の5月に代表に就任しました。
それまでは銀行の世界で22年間、証券では15年間働いてきました。デリバティブ、為替のディーラーなどを経験してきました。
仮想通貨を知ったのはいつですか
初めて知ったのは、マウントゴックスがニュースで話題になっていた2014年ですが、仕事として詳しく理解し始めたのは、2016年に第二種証券業の会社立ち上げに内部管理責任者として参画していた頃です。
当時、仮想通貨を発行して資金調達を行うと簡単にお金が集まるというICOが流行し、ホワイトペーパーの内容は問わないという感じがして、正直に言えば胡散臭いという印象しかありませんでした。しかし、インターネットで巨額の資金があっという間に集まるという点は非常に画期的だと感じましたし、多くの人が便利だと思っているということは理解していました。金融の世界に長くいた者にとって、ライバル心のようなものは多少ありました。
仮想通貨と為替相場の動きはどのように違いますか
為替のディーラーをしていた時に実感としてあったのは、貨幣の価値自体があやふやなものであるということです。価格の上下は需給のバランスで決まり、一部分の需給は実体経済から得られる統計で確認することができますが、その数十倍にもなるホットマネー(投機で動く資金)が市場に入ることで全体を正確に捉えることが非常に困難となります。
予測が困難な為替の世界ではありますが、仮想通貨はそれ以上に混沌としていて、法定通貨の裏付けとなる国力のようなものがないので、更に曖昧なものになっているという印象を持っています。そのため、仮想通貨は為替よりも遥かに投機的にならざるを得ないですね。
社長にとってお金とは何ですか
購買力平価という概念がありますが、平価というものはとてもデタラメなものだという実感があります。私にとってお金とは「生活するための価値」であり、ビッグマック指数のようなものを例にすると、海外で実際にものを買うことで「運ばれる価値」というものにお金としての本質があると考えます。ですので、ビックカメラでビットコインが使えると最初に聞いたときは非常に興味を持ちました。
しかしながら、貨幣とモノの間には大きな経済システムが必要であるため、仮想通貨を交換に使う上では多くの問題をはらんでいます。今は投機対象でしかない仮想通貨をどの様に流通させ、使わせるかを常に考えています。
単純に考えれば、決済はピアツーピアで行ったほうがコストは下がります。多くの人が利用している、いわゆる「キャッシュレス」は、現状では、銀行のような機関が存在して初めて決済できます。銀行のキャッシュが裏付けとなって動いている仕組みなので、本当の意味での「キャッシュレス」とは言えません。これに対し、仮想通貨が法定通貨に交換する必要性を感じないほど流通した世界で媒介機能を果たすことができたら、完全なピアツーピアの世界の決済が完成します。
この夢のような仮想通貨が流通している世界を実現するために、特に、セトルメントのネットワークをどの様に構築していくかということを追求すれば、仮想通貨は大いに利用できる価値があるものになると感じています。
最後に一言
まだ、仮想通貨の業界に入って、1年未満の新参者です。今までは、内部統制管理の面を整備してきました。引き続き、内部統制機能の高度化を進めながら、一般企業としての稼ぐ力を身につけなければ、企業として生存することができない、厳しい状況にあります。今、この業界では、手数料0%が当たり前になり、金融機関が生存するために必要な、新しい時代のビジネスモデルが求められています。先進モデルが見当たらない中、スタッフ一同、力と知恵を合わせて、次世代モデルを生み出したいと考えています。我らがBTCボックスの変化する力にご期待ください。
略歴
- 1979年株式会社三和銀行入行
室町/国際資金証券為替部
- 1983年ロンドン支店
ディーリングルーム主任
- 1989年国際資金証券為替部(東京)
企画G部長代理/上席部長代理
- 1993年Sanwa Financial Products Ltd.,(UK) 出向
副社長兼COO
- 1997年資本市場部(東京)
システム企画G 上席調査役/次長
- 1999年市場国際部
事務システム企画室長
- 2002年つばさ証券株式会社 出向
コンプライアンス部長
- 2002年UFJつばさ証券
総合リスク管理部長
- 2005年三菱UFJ証券株式会社
経理部長
- 2008年三菱UFJ証券 経営企画部
特命部長(主計室担当)
- 2010年三菱UFJ証券ホールディングス財務企画部
IFRS移行推進室長
- 2018年取締役 管理本部長
- 2018年コンプライアンス部長
- 2019年代表取締役社長就任